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なぜ企業はDXに取り組むのか?理由とメリットを徹底解説

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは、企業規模を問わず経営上の重要課題となっています。しかし「なぜDXが必要なのか」「取り組むことでどんなメリットがあるのか」を明確に説明できる担当者は意外と少ないのではないでしょうか。本記事では、企業を取り巻くビジネス環境の変化やレガシーシステム問題などを背景に、DX推進の理由とそのメリットをわかりやすく解説します。DXの必要性を社内で共有し、推進のきっかけとしてお役立てください。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の概要

まずは、デジタルトランスフォーメーションの定義と、日本における推進状況を見ていきましょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、IT技術を活用して新しいビジネスモデルを創出したり、デジタル化されていない業務プロセスの効率を上げるためにデジタル化したりすることです。ただ、最先端のITビジネスと、いまだデジタル化すら進んでいない企業のビジネス変革が、同じ「DX」として語られることに違和感を覚える方もいるのではないでしょうか。

それは、2004年にスウェーデンのウメオ大学の教授が「デジタルトランスフォーメーション」を提唱して以来、多くの機関や人々が「DX」をさまざまに定義してきたためです。言い換えれば、「DX」と一口にいっても、解釈は多岐にわたるということです。

本記事ではDXを「ITによるビジネス創出」と「既存業務におけるデジタル活用」と定義したうえで、なぜ企業がDX推進に向かうのか、その理由とメリットをご紹介します。

日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進状況

2019年に行われた調査によれば、日本では企業規模によってDXの取り組み状況に差が見られます。また、DXを推進している企業の間においても、実績差が生じているようです。

ビジネス系メディアの日経BP社のシンクタンク、イノベーションICTラボは、2019年7~8月に約900社を対象にデジタルトランスフォーメーション(DX)に関するアンケートを実施しました。この調査から、企業のDX推進状況をある程度把握することができます。

全体でみると、DXを推進している企業は36.5%、つまり3社に1社の割合でした。ただ、従業員1,000人以上の大企業では半数以上がDXに取り組んでいるのに対し、企業規模が小さいほどDX実施率は低くなる傾向があります。企業規模とDX推進率には相関があると言えるでしょう。また、DX推進企業のうち一定の成果を上げられたのは一部の企業にすぎません。つまり、DX推進を実行に移せたとしても、まだまだ道半ばの企業が多いということです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む理由

ここまでDXの定義と推進状況を整理してきました。では、そもそも企業はなぜDXに取り組む必要があるのでしょうか。現在の世界のビジネス状況をふまえながら解説します。

DX未対応による市場競争力の低下リスク

DXというと、GAFAに代表されるアメリカ企業の他、中国企業の台頭も著しいです。中国の巨大企業アリババの成功事例を見ると、DXの取り組みが遅れることで自社のシェアが思わぬライバルに奪われるリスクがあることに気づかされます。

アリババは2015年にはユーザー数の鈍化が懸念されており、成長を継続するには新事業の創出が急務でした。そんな危機感から、子会社化したのち2016年3月にスーパーと生鮮宅配を合わせた新業態を開発、他の追随を許さない事業化に成功しました。

アリババは自社のECと実店舗を融合させ、オンラインの売上比率が60%を超え、坪単位の平均売上は大きく成長しました。逆に言えば、このような急激な市場環境の変化に対応できなかった企業は、着実にシェアを奪われているということです。一般の事業会社もDXに真剣に向き合わなければ、同様のリスクを抱えることになるでしょう。

2025年の崖とレガシーシステムからの脱却

日本におけるDXの課題の一つに、企業が抱える古いシステム(レガシーシステム)の刷新があります。2018年に経産省は日本企業が抱えるIT課題を指摘し、なかでもレガシーシステムからの脱却は急務だと提言しています。なかでも「SAP」のサポート終了を象徴的に取り上げ、「2025年の崖」として警告しています。

古いシステムはベンダーのサポートが終了すると、不具合に対応できなくなりセキュリティ上の問題が生じる恐れがあります。更改のタイミングを逃すと、古いシステムに頼り切りになり、いずれ業務に支障が生じることは想像に難くありません。また、こういった古いシステムで利用されている技術を扱えるIT人材は今後ますます不足していくことが明らかです。端的に言えば、レガシーシステムの刷新は、日本企業にとって喫緊の課題なのです。

ビジネス環境の変化への対応

昨今の市場変化のスピードはどんどん加速しています。ICTやビッグデータなど、IT技術の進化と活用が進み、ビジネスモデルを一変させる新しいデジタルプラットフォームが次々と出現しています。

市場の変化に即応できない局面があったとしても、IT基盤をあらかじめ整えておくことで、来たるべきタイミングに業務の立て直しを図ることができるかもしれません。視点を変えれば、DXへの取り組みは「攻め」だけでなく「守り」の意味も持つと言えるでしょう。

また、さまざまな商慣習がデジタル環境へ移行しています。商取引や行政手続きさえもオンラインで完結できるのが一般的になりつつある今、これらに対応できるシステムの導入に努めることも重要です。

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むメリット

ここまでDXに取り組む理由を見てきました。では、実際にDXを推進することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。DXの推進が後回しになってしまわないよう、経営層が納得できる具体的なメリットを整理してご紹介します。

生産性向上による収益増

新事業創出のDXにおいては、質の良い人材さえ投入できれば生産性と収益の向上が見込めます。それはITを活用した産業において、以下のような仕組みが効いてくるからです。

スタンフォード大学のブライアン・アーサー教授は1996年に、大量生産・大量消費の古い産業形態においては「収穫逓”減”」、ハイテク産業では「収穫逓”増”」の特徴が見られると指摘しました。

具体的には、伝統的な農業において農業機械と人員を2倍にしても、必ずしも収穫が2倍になるとは限りません。耕作面積の質や気候などの外部要因の影響が大きいからです。一方でITサービス創出に必要な生産要素は限定されており、先進国であれば生産やサービス普及に致命的となる外部要因は比較的軽微です。つまり、IT活用による新事業創出(DX)においては、人員・設備の質が担保されている場合、規模化による生産性の向上と収益増加効果は他事業に比べて高いと言えるでしょう。

新商品・サービス創出による売上増

ITを活用した画期的な新商品やサービスの創出(DX)により、うまくいけば売上を積み増すことも可能です。ITを活用した事業の生産性は旧来型の事業より高い傾向にあり、既存事業とのシナジーがあれば利益増も期待できるでしょう。

また、プラットフォーム型のサービスであれば、シェアを上げれば上げるほど利益だけでなく顧客の利便性も向上し、さらなる事業拡大につなげられます。なぜなら、プラットフォームサービスにはネットワーク効果のメリットがあるからです。規模化できれば幾何級数的な利用者の増加と、安定的な収益源になることが期待できます。

企業ブランディングの向上

新事業創出のDXに成功すれば、社会的な影響力が高まります。サービスの市場浸透に伴い、自社の知名度アップも見込めるでしょう。さらには、DXによる業務効率化や働き方改革が実現すれば、学生や転職希望者に「働きやすい職場」として認知され、優秀な人材の確保にもつながるはずです。

DXによる成功は、あらゆる方面で自社の競争優位を確立し、さらなる飛躍の礎となってくれるに違いありません。

デジタルトランスフォーメーション(DX)がうまくいかない理由

DXの推進がうまくいかない主な理由は、社内でDXの重要性が十分に理解されず、DXが名ばかりとなり浸透していかないためです。あなたの職場でも、「DXと言われているが何をすればよいかわからない」という状況はありませんか?

DXには「ITによるビジネス創出」と「既存業務におけるデジタル活用」の2つがあります。前者の典型的な事例として、新興企業のUberによる既存サービスを塗り替えるデジタルサービスの展開が挙げられます。Uberは、既存のタクシー業界とは異なる「ライドシェアサービス(ライドヘイリング(配車)」、つまり自家用車への相乗り希望者をマッチングするオンラインサービスを提供し、世界規模のサービスに成長しました。後者の事例としては、下着メーカーのグンゼが開発した「着るだけで姿勢や活動量(消費カロリー)、心拍数などの生体情報を計測できる下着」という画期的な新商品が挙げられます。

画期的なサービスの事業化によってDXを実現しようというベンチャー企業は数多く存在しますが、大半の企業にとっては既存事業や社内業務のデジタル化がDXにあたります。DXを阻害する要因の多くは、ベンチャーでは競合など外部環境に関わることなのに対し、既存の企業にとってはほぼ社内に起因します。DXによって自身の業務が変化することを不安に思う従業員は、DX推進に積極的な姿勢を持てない場合があります。

DXは伝統的な産業と違い、生産性を大きく左右するのは人材と設備です。設備・システムに関しては適切な選定と導入・運用体制の構築が必要です。そして、スムーズにDXを推進するには、従業員の理解と協力が最重要です。DX推進には何よりも社内のコミュニケーションがカギとなると言えるでしょう。

まとめ

まとめると、デジタルトランスフォーメーションとは、ITによる「ビジネス創出」と「既存業務のデジタル化」を指し、特にITシステムの刷新が日本企業の喫緊の課題となっています。また昨今の市場環境の変動は著しく、自社の事業分野が画期的なITサービスによって陳腐化するリスクもはらんでいます。DXをすみやかに推進するには、従業員の理解と協力が不可欠です。

さらにDXによる事業創出に成功すると、売上増に加えて他の産業より優位な利益率を手にできます。一般的な企業にとっては、業務のデジタル化による働きやすさの向上や、優秀な人材の獲得につながるのが大きなメリットだと言えるでしょう。

今までDXについてそれほど必要性を感じていなかった方も、この記事を通じて自社のIT環境をアップデートする必要性について考えるきっかけになれば幸いです。自社のDX実現に向けた取り組みに迷っている場合は、ぜひ弊社にご相談ください。

お問い合わせ

  • DX推進の最初のステップは何ですか?
  • まず自社の現状分析から始めます。既存業務の課題や社員のデジタルリテラシーを把握し、目的とゴールを明確化します。その上で経営層を巻き込みつつ、小規模な試行から成功体験を積み重ねるのがポイントです。 

  • DX導入にかかるコストを上回る効果は本当に得られる?
  • DXの効果は中長期的に出ます。最初は投資が必要ですが、生産性向上や業務効率化によるコスト削減、新規事業による収益増加、税制優遇措置などのメリットを総合すると、大きなリターンが期待できます。

  • 社内でのDX浸透が進まないときの対策は?
  • 社員理解を得るために、トップメッセージ発信や成功事例共有、DX教育(研修)を実施します。また、部門横断プロジェクトを組むことで「部門間の壁」を解消し、全社協力体制を醸成します。弊社調査でもコミュニケーション不足の解消がDX成功の鍵とされています。

株式会社ソフィア

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ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。