なぜ、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むのか?理由とメリットを解説

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#イノベーション

26.Oct.2020

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性を感じる企業が増え、DXに取り組む企業も確実に増加しています。なぜ企業にデジタルトランスフォーメーションが必要なのでしょうか。企業を取り巻く環境からその理由を知り、DX推進のメリットも合わせて把握することでDXの必要性を理解していきましょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

まずは、デジタルトランスフォーメーションの定義、日本における推進状況を見ていきましょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、IT技術を活用して新しいビジネスモデルを創出したり、デジタル化されていない業務プロセスの効率を上げるためにデジタル化することです。しかし、最先端のITビジネスと、いまだデジタル化すらされていない企業のビジネスを変えることが同じ「DX」として語られるのを奇妙に感じる方もいるでしょう。それは2004年にスウェーデンのウメオ大学の教授が「デジタルトランスフォーメーション」を提唱して以来、多くの機関や人々が「DX」をさまざまに定義しており、「DX」と一口にいってもさまざまな解釈が存在しているからなのです。

この記事ではDXを「ITによるビジネス創出」「既存業務におけるデジタル活用」と定義し、なぜ企業がDX推進に向かうのか、その理由やメリットを紹介します。

日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進状況

2019年に行われた調査によれば、日本では企業規模によりDXの取り組み状況に差が見られます。また、DXを推進している企業の間においても実績差が生じているようです。

ビジネス系メディアの日経BP社のシンクタンク、イノベーションICTラボは、2019年11月に約1万社を対象にデジタルトランスフォーメーション(DX)に関するアンケートを実施しました。この調査から企業のDX推進状況を推し量ることができます。

全体でみると、DXを推進している企業は36.5%、3社に1社の割合でした。ただ、従業員1,000人以上の大企業では半数以上がDXに取り組んでいるのに対し、企業規模が小さいほどDX実施率は低くなっていきます。つまり企業規模とDX推進率に相関があることが見てとれるのです。また、DX推進企業のうち一定の成果を上げられたのは約1/4の企業にすぎません。このことから、DX推進を実行に移せたとしても、まだまだ道半ばの企業が多いことがわかります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む理由

企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組む理由を、現在の世界のビジネス状況などを踏まえて解説します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組まないと市場に取り残される

DXというと、GAFAに代表されるアメリカ企業の他、中国企業の台頭も著しいです。中国の巨大企業アリババの成功事例を見ると、DXの取り組みが遅れることで自社のシェアが思わぬライバルに奪われるリスクがあることに気付かされます。

アリババは2015年にはユーザー数の鈍化が懸念されており、成長を継続するには新事業の創出が急務でした。そんな危機感から、2015年3月にスーパーと生鮮宅配を合わせた新業態を開発、他の追随を許さない事業化に成功しました。

アリババは自社のECと実店舗を融合させ、2018年7月にはオンラインの売上比率が60%超え、坪単位の平均売上は5万元越えと同業他社の3倍以上に成長しました。出店意欲は旺盛で、さらに大都市圏のシェアを取っていきたいとの意向を示しています。巨大市場を抱える中国のEC大手でも自社のIT資産とのシナジーによる他業種への攻勢を進めています。一般の事業会社もDXに真剣に向き合わないと、このような急激な市場環境の変化に対応できなくなる恐れがあるでしょう。

2025年の崖 レガシーシステムからの脱却

日本におけるDXの一つに、企業が抱える古いシステム(レガシーシステム)の刷新があります。2018年に経産省は日本企業が抱えるIT課題を指摘し、なかでもレガシーシステムからの脱却は急務だと提言しています。なかでも「SAP」のサポート終了を象徴的に取り上げ、「2025年の崖」として警告しています。

古いシステムはベンダーのサポートが終了すると、不具合に対応できなくなりセキュリティの問題が起こる恐れがあります。更改のタイミングを失うと、古いシステムに頼り切りになり、いずれ業務に支障が生じることが目に見えています。また、こういった古いシステムで利用されている古い技術を扱えるIT人材は今以上に不足していくことが明らかです。そのため今後はますます運用・保守コストの上昇を招くことでしょう。日本企業にいまだ存在する古いシステムの刷新は喫緊の課題なのです。

ビジネス環境の変化に対応するため

昨今の市場変化のスピードはどんどん加速をしています。それはICTやビッグデータなど、IT技術の進化と活用が進み、ビジネスモデルを一変させる新しいデジタルプラットフォームが次々出現しています。
市場の変化に即応できなくても、IT基盤を整えておくことで、来たるべきタイミングに業務の立て直しを図ることができるかもしれません。

また、さまざまな商慣習がデジタル環境に移行しています。商取引や役所の手続きさえもオンライン完結できるのが一般的になりつつあります。これらに対応できるシステムの導入に努めるのも重要です。

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むメリット

DXに取り組むべき理由がわかっていても、経営層が納得するだけの明確なメリットを提示できなければ、DXの推進は後回しになってしまうかもしれません。次に、DXに取り組むことで得られるメリットをご紹介します。

生産性の向上による収益増

新事業創出のDXにおいては、質の良い人材さえ投入できれば生産性と収益の向上が見込めます。それはITを活用した産業において以下の仕組みが効いてくるからです。

スタンフォード大学のブライアン・アーサー教授は1997年に、大量生産・大量消費の古い産業形態においては「収穫逓“減”」、ハイテク産業では「収穫逓“増”」の特徴が見られると指摘しました。

たとえば、伝統的な農業においては農業機械と人員を2倍にしても、必ずしも収穫が2倍になるとは限りません。他の生産要素の存在、たとえば耕作面積の増分と質(肥沃であるか)や、さらに気候などの外部要因の影響が大きいからです。一方ITサービス創出に必要な生産要素は限定されており、先進国であれば生産やサービス普及に致命的となる外部要因(ITインフラの整備問題など)は比較的軽微です。したがって、IT活用による新事業創出(DX)において、人員・設備の質が担保されている場合、規模化による生産性の向上、収益増加効果は他事業に比べて高いといえます。

新商品・サービスの創出による売上増

ITを活用した画期的な新商品やサービスの創出(DX)により、うまくいけば売上を積み増すことも可能です。ITを活用した事業の生産性は、旧来型の事業より高い傾向にあり、もし既存事業とのシナジーがあれば利益増も期待できるでしょう。

また、プラットフォーム型のサービスであれば、シェアを上げれば上げるほど利益だけでなく顧客の利便性が向上し、さらなる事業拡大にもつなげられます。なぜならプラットフォームサービスにはネットワークのメリットがあるからです。もし規模化できれば幾何級数的な利用者の増加と、安定的な収益源になることが期待できます。

企業ブランディングの向上

新事業創出のDXに成功すれば、社会的な影響力が高くなります。サービスの市場浸透に伴い、自社の知名度アップも見込めるでしょう。さらには、DXによる業務効率化、働き方改革が実現すれば、学生や転職希望者に働きやすい職場として認知され、優秀な人材の確保につながるはずです。
DXによる成功は、あらゆる方面で自社の競争優位を確立し、さらなる飛躍の礎となってくれるに違いありません。

デジタルトランスフォーメーション(DX)はなぜうまくいかないのか

DXの推進がうまくいかない主な理由は、社内でDXの重要性が理解されず、DXが名ばかりとなり浸透していかないためです。

DXには、「ITによるビジネス創出」「既存業務におけるデジタル活用」の2つがあります。前者の典型的な事例として新興企業のUberによる既存サービスを塗り替えるデジタルサービスの展開です。Uberは、既存のタクシー業界とは異なる「ライドシェアサービス」、つまり自家用車への相乗り希望者をマッチングするオンラインサービスを提供し、世界規模のサービスに成長しました。後者の事例としては、下着メーカーのグンゼの画期的な新商品「着るだけで姿勢や活動量(消費カロリー)、心拍数などの生体情報を計測できる下着」の開発があげられます。

画期的なサービスの事業化によってDXを実現しようというベンチャー企業は数多く存在しますが、大半の企業にとっては既存事業や社内業務のデジタル化がDXにあたります。DXを阻害する要因の多くは、ベンチャーでは競合など外部環境に関わることなのに対し、既存の企業にとってはほぼ社内に起因します。DXによって自身の業務が変化することを不安に思う従業員は、DX推進に積極的な姿勢を持てない場合があります。

DXは伝統的な産業と違い、生産性を大きく左右するのは人材と設備です。設備・システムに関しては適切な選定と導入・運用体制の構築が必要です。そして、スムーズにDXを推進するには、従業員の理解と協力が最重要です。DX推進には何よりも社内のコミュニケーションがカギとなると言えます。

まとめ

デジタルトランスフォーメーションとは、ITによる「ビジネス創出」と「既存業務のデジタル化」を指し、特にITシステムの刷新が日本企業の喫緊の課題となっています。また昨今の市場環境の変動は著しく、自社の事業分野が画期的なITサービスにより陳腐化するリスクもはらんでいます。DXをすみやかに推進するには、従業員の理解と協力が必要なのはいうまでもありません。

さらにDXによる事業創出に成功すると、売上増に加えて他の産業より優位な利益率を手にできます。一般的な企業にとっては業務のデジタル化による働きやすさ向上や、優秀な人材獲得につながるのが大きなメリットです。

今までDXついてそれほど必要性を感じていなかった方も、この記事を通じて自社のIT環境をアップデートする必要性について、考えるきっかけになれば幸いです。自社のDX実現に向けた取り組みに迷っている場合は、ぜひ弊社にご相談ください。

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