DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の成功事例12選

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援

25.Sep.2020

近年、多くの企業が取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)。今や全世界で叫ばれているこの言葉は、単なるデジタル化を意味するのではなく、もっと大きな変革として捉えなくてはなりません。

今回はこのDXの定義と成功事例、自社のDXを成功へ導くポイントについて解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

2018年に経済産業省が提唱したDX(デジタルトランスフォーメーション)は、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

つまり、既に普及した技術を取り入れて周囲に追いつくための改善を行う(例:電卓からエクセルへ、切符からICへ)のではなく、デジタルが可能にした事を概念的に捉えながら、ユーザーへの提供価値向上と長期的な収益性・成長性の向上を両立させる大きな変革(例:CD販売からサブスクリプションの音楽配信サービスへ・・・消費者の利便性を大きく高めながら、利益も向上させている)が求められています。それに取り組むには当然ながら、そのサービスを動かす組織と社員の行動や考え方も変えていかなければなりません。
経済産業省が推進を進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、現在の日本の推進状況はどうなのでしょうか。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される理由を解説していきます。

日本のDX推進状況

日本のDX推進企業は3社に1社程度と、4割にも満たない状況です。
業種別では、情報・通信サービス業と建設業が上位を占めています。
2018年に提唱された概念ということもあり、これからさらに取り組みが加速していくであろうことが伺えます。

DXが注目される理由

経済産業省は、DXを実現していく上での課題や対策を明らかにするために研究会を設置し、研究会で行われた議論を「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~(以下、DXレポート)」という報告書にまとめています。

本レポートで取り上げられている『2025年の崖』について触れておきましょう。
2025年の崖とは、多くの経営者がDXの必要性を理解しているにもかかわらず、レガシーシステム(※)の問題や業務自体の見直しといった課題を克服できなければ、DXが実現できないだけでなく、2025年以降に最大12兆円、現在の約3倍の経済損失が生じる可能性があるというものです。

※レガシーシステムとは、老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化したシステムを指します。

開発コストは大きいものの、DXを実現できれば変動費がスリム化できます。
そして損益分岐点を超過すると利益が拡大し、一気に収益逓増の法則が当てはまることになります。

また、新しいデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革することがDXの目的であることから、新たなビジネスモデルが創造されることも大いに考えられます。

これらの理由から、変化する消費行動や社会経済に対応すべく、昨今になってDXが注目されるようになったというわけです。

DXを成功させた企業事例

DXの事例は以下の2つに大別されます。

・ベンチャー・スタートアップ等新規企業が既存市場をデジタル化するもの
・もともとシェアを獲得していた企業が、デジタル技術を獲得して既存市場のシェアをさらに拡げる、もしくは大きく変えるもの

前者は、もともと存在するビジネスの、今までに無かった未来を、デジタルの力で実現するものと言い換えられ、実現するプロセスにおいて周囲の人にビジョンや世界観を訴え、巻き込んでいきます。
一方、デジタルと関わりのなかった企業がデジタルを活用したビジネスに参入する後者は、今までのビジネスに依存している人たちを納得させながら進めていく必要があるため、前者の活動より難易度が上がります。
その点に留意しながら事例をご覧ください。

Uber(配車のデジタル化)

2009年3月に創業したUberは、デジタルトランスフォーメーションの先陣を切った企業としてたびたび紹介される、自動車配車サービスです。
日本では「Uber Eats」が有名なのでこちらで例を挙げます。
ユーザーはスマートフォンでUber Eatsアプリを立ち上げ、飲食店からメニューを選ぶ際、すでに配送手数料や到着時間が表示されます。
メニューを選んで決済を完了すると、ドライバーには届け先の情報が伝わっており、説明をしなくても目的地へたどり着くことができます。
また、料金はUber Eatsアプリ上で決済が済んでいるため、現金の受け渡しをする必要もありません。
これらの仕組みは、スマートフォンをはじめデジタルテクノロジーの活用が前提であり、これらなくしては実現不可能なビジネスです。
デジタルトランスフォーメーションによって配車をデジタル化した好例といえるでしょう。

マネーフォワード(経理業務の自動化サービス)

経理・財務部門では定型化したルーティンワークが多い一方、業務フローやデータフローが確立してしまっていることから、なかなかデジタル化に手をつけられない部分なのではないでしょうか。
マネーフォワードでは、既存の業務フローに合わせてシステムを作るのではなく、確立されたシステムに合わせて業務フローを最適化できます。
これは、マネーフォワードが細かい業務にまで柔軟に対応できる機能を備えた網羅的なツールでなくては実現しません。
マネーフォワードはその点をしっかり踏まえ、バックオフィス業務に関わるさまざまなデータを連携し、業務をオートメーション化できるように設計されています。

大塚デジタルヘルス(カルテのデータベース化)

大塚デジタルヘルスの提供する電子カルテサービス「MENTAT」は、電子カルテのデータを解析し、医療現場や病院経営に役立つ情報を配信できます。
数値化しにくい症状や病歴などが含まれるテキストデータを自動的に統合・分析してデータベース化することで、患者さんの医療データを活用し、よりよい医療を提供するという目的で生まれました。
具体的には、患者さんの情報をサマリー化、検索や一覧表示、院内の入院患者状況の把握などです。
これまで電子カルテ自体はありましたが、その電子カルテをデータ化して分析し、新たなサービスへつなげるという例はDXの典型でしょう。

エムスリー

医療従事者向けインターネットサービスを提供するエムスリーでは、製薬会社のMRが医療従事者とコミュニケーションを図り、自社製品の情報をリモートで提供できるプラットフォームサービス「my MR君」を展開しています。これは大手コンサルティングファームのマッキンゼーとヘルスケア業界に長く関わってきたエムスリーとが共同で立案した新規事業が発端になっています。
これらもかつてはオフラインが主流だったMRの活動を、オフラインとオンラインを組み合わせたプラットフォームを提供することによって効率化・最適化するものです。

日立グローバルソリューションズ(単身高齢者向けの見守りサービス)

日立グローバルソリューションズは、離れて暮らす単身高齢者の部屋での様子や変化をスマートフォンでいつでも確認できる見守りサービス「ドシテル」を2019年5月よりスタートしています。
単身高齢者の増加という社会的課題を解決するため、子供が親の様子をスマートフォンで確認できるだけでなく、変化の様子もチェックして詳しい様子を知ることのできるものです。
専用の活動センサーから無線LANを通じてサーバーに情報を蓄積し、スマートフォンアプリへ配信します。
これらはIoT技術が進化して創出された新たなサービスであるといえるでしょう。

ベネッセコーポレーション(タブレット学習)

子供の通信教育で有名なベネッセコーポレーションは、タブレット化したテキストを教材として提供しています。単にテキストをデジタル化しただけでなく、受講するお子さんの能力や目標、レベルに合わせて最適なコンテンツがサジェストされる仕組みとなっています。また、進捗に応じて学習計画を調整したり、自動採点や解説、解き直しまでもセットになっており、持続しにくい家庭学習を効果的にサポートしています。

グンゼ(着るだけでわかる生体情報)

グンゼは日本電気の技術協力のもと、着るだけで姿勢や消費カロリー(活動量)、心拍数などの生体情報を計測でき、しかも肌着として日常的に着用できる衣料型ウェアラブルシステムを開発しました。
肌着メーカーが作るからこその伸縮性や通気性、着用感に加えて、着用中の姿勢を測定できるものとなっています。
取得した情報はスマートフォンなどを経由してクラウド上で管理し、姿勢のゆがみ、癖など身体の状態を見える化することで姿勢改善や肩こり予防に役立つアドバイスを提供、利用者間の比較や傾向分析など、美容・健康に関する付加価値の高い新たなサービスの提供を実現しました。

家庭教師のトライ(映像学習サービス)

家庭教師のトライが運営する中学生・高校生向け映像授業サービス「Try it」は、マイクロラーニング化した4000本もの映像授業を空き時間で学習できるものです。
通学時間などのすきま時間を利用してテスト前の復習をすることができるというわけです。
いつでもどこでも勉強ができるという新たな可能性を秘めたサービスといえるでしょう。

日本通運(RPA導入で生産性向上と働き方改革)

日本通運は、定型化された業務をRPA(Robotic Process Automation; ロボティック・プロセス・オートメーション)へ代替することを発表しました。
2021年度末までには累計500台のロボットを導入し、作業時間を100万時間削減する目標を掲げています。また同社ではAIやシステムを導入して業務効率化を図るとのことです。
ロボットに置き換わった仕事の分、人間にできることが増えるため、より創造的な業務を効率的に行えるようになるでしょう。

クラウドサイン(電子契約サービス)

クラウドサインは「紙と印鑑」を「クラウド」に置き換え、契約作業をパソコンだけで完結させた画期的なサービスです。
働き方改革とテレワークで障壁となっていた印鑑文化・書類文化に一石を投じ、クラウド上で契約を締結できるという可能性に満ちたサービスといえるでしょう。
契約のスピード化やコスト削減、コンプライアンス強化にもつながります。

AI-CON(AIによる契約書チェックサービス)

こちらも画期的な、AIによる契約書チェックサービス「AI-CON」です。
「法律の専門家ではなくても契約書に関わるシーンは多く、誰もが安心して契約を結べる体験を届けたい」というミッションのもと、法務知識がない人でも契約業務をより正確に早く安価で行うことを実現しています。
こちらもやはりテクノロジーの進化がなければ生まれなかったサービスのはずです。

スマートHR(労務関連書類作成の機械化サービス)

マネーフォワードと似ていますが、こちらは人事・労務の業務効率化ツールです。
ルーティンワークが多く、DX推進の余地がある人事・労務部門に対して提供するサービスで、各種手続きに紙面と印鑑が不要になるほか、従業員の一元管理、外部サービスとの連携や人事レポート機能も充実しており、新たな気づきを得ることも可能となるでしょう。

DX推進を成功に導くポイント

最後に、DX推進を成功に導くポイントについて解説します。

DX評価指標で現状を把握

経済産業省が、「デジタル経営改革のための評価指標」をまとめています。

DX推進は単なるデジタル化ではなく、従来の業務フローや企業文化の変革までをも求められます。
したがって、その実行のためには「どのような価値を創出するか」「なぜその改革が必要なのか」「経営の仕組みをどう作り変えるのか」などの認識を経営者層や関係者間で共有し、統一することが必要です。

こうした変革を後押しするため策定された「DX推進指標」によって、各企業が自社のDX推進状況について簡易な自己診断を行うことを可能とします。
また、このデータをIPA(独立行政法人情報処理推進機構)に提出することで、診断結果と全体データとの比較が可能となるベンチマークが作成されることもポイントです。
定量的データで客観的分析ができるという強みを生かすため、ぜひ活用してください。

既存システムを調査

前節のDX推進指標結果に基づいて、課題となった部分のDXを推進していくためには、既存のシステムの状況を調査する必要があります。
また導入にあたってはシステムそのものだけでなく、そのシステムを利用した業務フローについても把握しておく必要があり、業務フローの調査が必要な場合もあるため注意しましょう。

現場の意識改革(チェンジマネジメント)

現場の業務を刷新する場合、現場スタッフの同意と納得、理解を得る必要があります。
せっかくDX化を推し進めていっても、DXとはシステムの導入だけでなく、それによって業務そのものが変わる可能性があることから、現場スタッフの協力は不可欠です。
「自分の仕事がなくなってしまうのではないか」と不安に思わせないよう、DX の本来の意義についてしっかりと伝えておくことが重要といえます。

まとめ

DX(デジタルトランスフォーメーション)は今後の働き方改革推進や、企業のグローバル化に伴って企業が存続していくために切り離せない改革です。
先に解説したとおり、DXは単なるデジタル化ではありません。業務や事業、組織風土までも変革しうる大きな取り組みです。組織全員の理解を得て、協力しながら推し進めていきましょう。

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