CSRポータルサイトの構築で社員の意識と行動を変える方法【事例あり】
目次
SDGsの目標年である2030年まで残り5年を切った今、社員一人ひとりがCSRを「自分ごと」として理解・実践できているか、あなたの会社では問題ありませんか?本記事では、社内CSR意識の向上と活動促進を目的としたポータルサイトの構築方法について、実際の企業事例を交えながらご紹介します。社内コミュニケーションの課題を抱える担当者の方に、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
2026年現在、SDGsの目標年である2030年まで残り4年となり、企業内のコミュニケーションにおいても社会への影響や関与が一層重視されています。多くの企業は規模の大小にかかわらず、自社の事業が社会にどのように貢献し、現状どのような取り組みを行っているのかをステークホルダーに向けて積極的に情報発信しています。しかし、それを外部に伝えていくのは企業に所属する一人ひとりの従業員です。社員自身が自分ごととしてCSRの理念や目的を理解していない限り、望ましいコミュニケーションを図ることは難しいでしょう。頻発する企業の不祥事や失言事件が、その重要性を物語っています。実際、ソフィアが2024年に実施した調査では、大企業の従業員の約79%が自社の社内コミュニケーションに課題があると感じていることが明らかになりました。
そこで、より実践的で中身のあるCSRコミュニケーションにするために、社内の具体的なCSR活動事例を共有することが有効です。社員に企業の根本的なマインドを理解させ、共感を醸成するための組織内コミュニケーションに力を入れるとともに、従業員が身近に感じられるロールモデルを発信すれば、CSRが単なるお題目ではなく自分ごととして捉えられるようになります。そのために私たちは、社内における意識の向上と活動促進を目的としたCSRポータルサイトの構築をおすすめします。
会社のCSR方針に対する社員の理解を深めるには
サステナビリティ(持続可能性)やパーパス(企業の存在意義)といったキーワードが経営の重要な要素となって以来、自社のミッションやビジョンについてウェブサイト上で語る企業トップの姿が目立つようになりました。顧客や投資家、社会一般など外部ステークホルダーに向けてこうしたトップメッセージを掲げることは、企業の姿勢を示すうえで非常に大切です。しかし、いくらトップダウンの強いメッセージを発信しても、内部の従業員にとっては「なるほど、そうか」という受け止めに留まり、自分ごととして理解するまでに至るのは難しいものです。実際、ソフィアの2024年調査では、従業員の3割以上が「社内で必要な情報がどこにあるかわからない」と感じていることがわかりました。こうした現状では、社員一人ひとりにCSR方針を自分ごととして理解させるためにも、社内で情報や事例を共有し、必要な情報にアクセスしやすくする工夫が重要だと言えます。
企業としてCSRに取り組む方針の本質を社員に浸透させるには、社内の具体的なCSR活動事例を共有することが有効です。従業員に企業の根本的な考え方への理解を促し、共感を醸成するために、社内コミュニケーションを充実させましょう。また、従業員が強くイメージできる身近なロールモデル(模範事例)を紹介することで、「CSRは自分たち自身が体現できるテーマなのだ」という認識を効果的に広めることができます。
CSR部が積極的に社内へ情報発信すべき理由
CSRは企業の存在意義やミッション、ビジョンと直結する経営上の重要テーマです。マーケティングや広報、IRなどの部署が情報発信を担う場合もありますが、CSR専門の部署がある企業では、そのCSR部門が中心となって戦略的に情報発信することが望ましいでしょう。CSR部門はトップマネジメントに近い立場にあり、社内外のCSR情報を統括しています。ここでは、CSR部が主体となって社内向けに積極的な情報発信を行うべき主な理由をご紹介します。
- 頻繁に発信することで「会社の本気度」が伝わる
- 社内事例を集めることで、多方面に活用できる
- 社内事例を紹介することが、現場の活動を後押しする
それでは、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
頻繁に発信することで「会社の本気度」が伝わる
CSR部門は経営に直接関わるトップに近いセクションです。そのCSR部門が旗振り役となってCSR情報の社内流通を促進することは、会社がそれだけ本気で従業員の理解や参画を求めていることの証明になります。また、単発のメッセージで終わらせず、現在進行形で頻繁にCSR関連情報や社内の取り組み事例をアップデートし続けることが、「会社の本気度」を伝え、従業員の意識変革を促すことにもつながります。
社内事例を集めることで、多方面に活用できる
CSRというテーマはその性質上、概念として理解できても「自分たちの業務でどう取り入れればいいのか」イメージしにくいものです。そのため、社内の各部署・事業所、従業員グループや職位層ごとの取り組み、地域社会や協力会社・取引先との協働事例など、具体的で多様な社内CSR事例を収集することが活動の旗振り役であるCSR部の重要な役割となります。集めた多様な事例は、企業のウェブサイトやサステナビリティ報告書に掲載したり、社内報で記事化したりと、適切な媒体を通じて発信することで社内外に向けて企業の本気度を示すことができます。具体的な事例が十分に蓄積されていれば、社内で表彰制度を設けて推薦する、あるいは外部のCSRアワードに応募するなど、活用の幅もさらに広がるでしょう。
社内事例を紹介することが、現場の活動を後押しする
前例のない取り組みを進める際に最も難しいのは、最初の一歩を踏み出すことです。そのため、現場におけるCSR活動を効果的に促進するには、まず「身近で簡単な事例」を紹介しましょう。そこから「その程度のことでも良いのか」「こんな視点があったのか」という新たな気づきが生まれ、現場での次の一歩を後押しすることができます。意外な人物の活動や部署の取り組みを知ることで、「あの人がこんな取り組みを?」「これなら自分たちにもできそうだ」という前向きな動機付けにもつながるでしょう。このようにロールモデルとなる事例を示せば、CSRが単なるお題目ではなく自分ごととして体現できるテーマであることを効果的に浸透させることができます。
CSR部が社内へ情報発信するメリット
CSR担当部署が社内に積極的・戦略的に情報発信していくことは、CSR活動自体の推進にとどまらず、組織全体に以下のようなメリットをもたらします。
- 従業員の満足度が向上する:CSR活動への理解や共感が深まることで、自社への誇りや仕事の意義を実感しやすくなり、従業員のエンゲージメント(愛着心)や満足度の向上につながります。社内で社会的意義のある活動が評価・共有されることで、社員は自分の会社や仕事により誇りを持てるようになるでしょう。
- コンプライアンス違反の防止につながる:CSRの理念や企業倫理が社内に浸透すると、従業員一人ひとりの倫理観や責任意識が高まります。その結果、不正行為や法令違反などのリスクを低減する効果が期待できます。日頃からCSRやコンプライアンスに関する情報発信を行うことで、従業員に対する継続的な注意喚起となり、未然防止につながります。
- コミュニケーションの活性化につながる:CSRをテーマにした情報共有や社内事例の紹介は、部署を超えたコミュニケーションのきっかけになります。社員同士が自社のCSR活動について話題にしたり意見交換することで、社内の横のつながりが強化されます。そうしたオープンな対話が生まれることで、組織全体のコミュニケーションが活性化し、新たなアイデアや協働も生まれやすくなるでしょう。
CSRポータルサイト構築の基本ステップ
もちろん、CSRポータルサイトを効果的に活用するためには、ツールやサイト構築に対する正しい理解が欠かせません。ここでは、社内向けポータルサイトを構築するにあたって押さえておきたい基本的な手順を確認し、以下のステップで成功を目指しましょう。
ステップ1:サイトの目的を明確にする
サイトを構築するにあたって、まず主たる目的をどこに定めるのか明確にしましょう。社内の現状が基礎的なレベルから始めなくてはならない場合は、企業としてのCSR理念・方針や、SDGsの理解促進・浸透を目指します。
具体的に行動した事例が少ない中、活動の活性化を促すならば自社リソースをCSRに結び付ける提案や、他社事例の紹介などを行いましょう。事例があるにも関わらず社員に周知できていない場合は、担当者インタビューなどで共有化を図るのも良いでしょう。
このサイトを利用することで、社員にどのような意識・行動を期待しているのか、マイルストーンを決めておくことが効果測定の面でも有効です。
ステップ2:目的達成のために必要なコンテンツを洗い出す
設定した目的に合った社員に使ってもらう社内ポータルを作成するためには、必要なコンテンツを洗い出すことが重要です。CSR部の視線で書かれた記事だけでなく、関係者への取材、実際の活動をレポートした動画、可視化した従業員の意識調査などを活用しましょう。自分たちに欠けている要素は何か、どのようなコミュニケーションスタイル、媒体が望ましいか、企画を十分練って効果を狙ってください。
ステップ3:コンテンツに優先順位をつけて、トップページの構成を決める
使ってもらうサイトにするためにはトップページの構成が大切です。複数のコンテンツを組み合わせたり、全体の解説から始めて具体論に導くなどの構成の工夫を意識しましょう。CSR意識が未成熟な組織では、FAQなどニーズがありそうなコンテンツを最も目に付くように配置するなど、優先順位を決めて臨むことがおすすめです。先入観や定型にとらわれず、ユニークで話題になるようなトップページを、外部リソースなども活用して構成していきます。
ステップ4:必要な機能を洗い出す
上記のニーズに合致したポータルサイトを構築するには、どのような機能が求められるかを把握しましょう。サイトに搭載する機能、ユーザーインターフェース、リモート環境での操作性、外部システムとの連携などが不十分なままだと、せっかく作ったサイトも認知度・利用度が低いまま誰にも使われず、結果的に徒労に終わってしまいかねません。必要な機能要件を洗い出し、実際の利用シーンを想定しながら検討を重ねてください。
ステップ5:ページのプロトタイプを作成する
構成や初期コンテンツが揃ったら、一般的なウェブサイト構築と同様にプロトタイプ(試作品)を作成してみましょう。最初から完璧を目指すのではなく、ひとまず形にした上で要件や機能の見直し、デザインのブラッシュアップを図ります。思わぬ見落としや新たな発見が生まれることも少なくありません。リリース(社内公開)→反響の収集→改善というサイクルを繰り返し、コンテンツや機能を充実させていきましょう。
ステップ6:完成したら社員に周知する
ポータルサイトのローンチ(公開)前から、社内への告知を始めましょう。サイトの開設目的と利用方法を社員に周知し、積極的な活用を促してください。デジタル・アナログ両方の社内チャネル(メール、社内報、掲示、説明会など)を駆使すると、より多くの社員に情報が行き渡ります。社員に利用を促した後は、アンケートを取るなど双方向のコミュニケーションも活用し、得られた意見をサイトの改善に役立ててください。
CSR部門サイト構築の企業事例
ここまでCSRポータルサイト構築の基本ステップを解説してきました。では、実際にどのような形で運用されているのでしょうか。ここでは、ソフィアが実際に構築を支援したCSR部門ポータルサイトの企業事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
CSR部門サイト立ち上げの背景や目的・用途
大手化学メーカーとして知られるA社は、企業全体でCSR活動に積極的に取り組んできました。外部社会に対しては一定の情報発信を行っていましたが、一方で社内における理解や共感の醸成が課題だったのです。そこで、会社として取り組んでいるCSR活動を社内に広く周知し、各従業員がそれぞれの現場でCSRを意識しながら行動できるように、ポータルサイトを活用した働きかけを行いました。
これにより、「自社にとってCSRとは何か」が社内に周知徹底され、同時にCSRに関する教育コンテンツもあわせて発信することができました。社内にCSRやサステナビリティに関する共通認識の土壌が醸成され、社員一人ひとりがCSRを自分事として捉えるきっかけとなりました。
発信したコンテンツやウェブパーツ・機能
- CSR基本方針:企業としてCSRにどう向き合っていくのか、活動の中核となる考え方を経営理念やビジョンと関連づけて解説しました。これにより、CSRへの取り組みが自社の企業価値向上にどのようにつながるのかを社内で共有でき、CSRに関する共通言語が社内に醸成されました。
- CSR情報室:CSRを正しく理解し、対外的に説明する際にも活用できるよう、会社で取り組んでいるCSR活動の具体的な事例を紹介しました。また、社外からの評価結果も共有できるようにしています。
- 他社事例紹介:CSR活動について世間でどのような期待やニーズがあるのか、実際の市場動向を紹介しました。概念の説明に留まらず、他社の取り組み事例なども解説し、実践的なコンテンツ発信を心がけました。
- リスト機能の活用:社内外のCSR関連の最新トピックをリスト形式で発信しました。主にテキストベースで簡潔に概要を説明し、添付した詳細資料に誘導することで、ビジュアルな資料を用いて具体的な内容を分かりやすく示しました。
- ドキュメントライブラリ機能:会社から対外的に発信しているCSRレポートや社外からの評価結果などの資料をPDFファイルとしてライブラリにまとめてアーカイブ化しました。発信文書の種類ごとに整理し、必要とする部署や社員がすぐに参照できるよう社内で共有しました。
まとめ
皆さんもご承知のように、SDGsが掲げるゴールである2030年まで残された時間はあとわずかしかありません。日本政府だけでなく国際社会も、サステナブルな社会の実現を目指して多くの取り組みを行っています。その中で企業は、「パーパス(存在意義)の表明」や「ステークホルダー資本主義の重視」といった新たな姿勢が問われる時代を迎えています。
企業を取り巻くステークホルダーは、顧客や投資家、求職者、取引先、地域社会などあらゆる方面に存在します。外部向けの情報発信が盛んに行われる一方で、重要なのは従業員やその家族、サプライチェーンを構成する協力会社といった内部ステークホルダーです。自社が社会課題の解決において価値を発揮しているという自覚を社員が持つことで、従業員の誇りや仕事のやりがいも向上していきます。
なお、社内ポータルの活用は既に多くの企業で進んでおり、ソフィアの調査では約4割の企業が社内コミュニケーションにポータルサイト(イントラネット)を活用していることがわかっています。もし貴社がMicrosoft 365を利用しているのであれば、SharePoint Onlineを活用することでポータルサイトの構築にかかる手間やコストを大幅に削減できます。
SharePoint Onlineの導入や活用方法でお困りの際は、ぜひ私たちソフィアにご相談ください。





