インターナルコミュニケーション

見やすい社内ポータルサイトを構築するための完全ガイド

目次

社員に活用されず情報が更新されないまま放置されている社内ポータルサイトも珍しくありません。本来、社内ポータルサイトは多くのメリットをもたらすツールですが、作り方を誤るとただのお飾りツールになりかねません。

社員に活発に利用される社内ポータルサイトを実現するには、とくに「見やすい社内ポータルサイト」であることが重要です。「見やすい」とは単なる見た目の問題ではなく、操作性や社内コミュニケーション設計にも関係する重要なポイントです。本記事では、見やすい社内ポータルサイトを構築する要点と、失敗しないための注意点を事例とともに解説します。

見やすい社内ポータルサイトとは?

見やすい社内ポータルサイトを実現するには、いくつか押さえておくべき条件があります。漠然と作ったのでは達成できないため、まずはその骨子となる条件を理解しましょう。

ブランドイメージが明確である

見やすい社内ポータルサイトを作る上でまず大切になるのが、企業や組織のブランドイメージが明確に打ち出されたデザイン・内容 になっていることです。理由は、自社のブランドイメージが反映された社内ポータルサイトの方が社員には受け入れやすいからです。
たとえば、自社が高級感のある革靴を販売する企業だとして、社内ポータルサイトがポップでカラフルなデザインならどうでしょうか。社内会議では洗練されたビジネス用の革靴について議論しているのに、ポータルサイトでは全く別のイメージが広がり、社員はギャップを感じてしまうでしょう。
こうしたギャップによる違和感は使いにくさにも繋がります。そのため、ブランドイメージとポータルサイトのデザインに統一感を持たせることが重要です。

目的に応じて適切にコンテンツが配置されている

社内ポータルサイトには、自社のノウハウや過去の取引データなど社員が業務で必要とする情報が数多くストックされています。そのため、「サイト内のどこにあるのかわかりづらくて時間がかかる」といった事態を避け、できるだけ1度のアクセスで必要な情報を閲覧し、素早く業務に活かせる ようにコンテンツを配置することが重要です。
具体的には、情報を分類・タグ付けして視覚的にわかりやすく整理しておくことです。社員が直感的に場所を理解できるようデザインし、情報を探す負担を軽減するようにしましょう。凝った作りにする必要はなく、シンプルで構いません。

フォントや文字サイズ、色が統一されている

サイト全体を見やすくするには、文字のフォントやサイズ、色などを統一することも大切です。社内ポータルサイトは業務で使用するものなので、社員が素早く正確に内容を理解できるよう、文章は読みやすさ第一のデザインにする必要があります。
たとえば、アート系やファッション系のWebページのように、文字サイズに強弱をつけたり文字色に多彩なバリエーションを持たせたりするような感性に訴える演出は必要ありません。平易で視認しやすく統一感のあるテキストにすることが、社内ポータルサイトに求められるデザイン です。

余白を上手に使用する

画面上に適度な余白を設けることも、社内ポータルサイトを見やすくするために重要です。文章や画像の間に余白があることで、情報を整理しながら閲覧でき、シンプルで読みやすくなるなど視認性が向上します。
びっしりと文字で埋め尽くされた論文のようなWebページは読みにくいですし、画像と文章、画像同士が余白なく詰め込まれていたら非常に見づらいものです。改行を含め適度な余白を入れることで読みやすさを確保しましょう。また、一行の文章が長すぎると読みづらいため、段組みを工夫して1行の長さを短くすること で理解しやすさが格段に向上します。

ユーザーにとって必要な情報を取得しやすいUI・UXデザイン

社内ポータルサイトは業務効率化のためのツールであり、求められるのは必要な情報に素早くアクセスし、得た情報を業務アクションに活かせる実用性です。より実用的であるためには、社員が必要な情報に辿り着きやすいUI・UXデザインになっていることが重要です。
ただ漫然と情報を羅列しただけでは実用的とは言えません。情報は整理・カテゴリー化され、いま必要な情報がどのページにあるのかすぐにわかるようレイアウト されていなければなりません。また、検索機能を設ける場合には、その検索性能にも配慮する必要があります。UI・UXデザインが悪いと逆に業務効率を下げてしまうため、ポータルの構造設計はとくに注意が必要なポイントです。

画像やアイコンが適切に使われている

画像やアイコンを必要な箇所に配置することも、社内ポータルサイトを見やすくする上で大切です。たとえば一般的なWebページやブログでも、文章を補足する画像を挿入して内容を直感的に理解しやすくしたり、アイコンを用いて注意点を喚起したり記憶に残りやすくしたりといった工夫を行っています。社内ポータルサイトでも同様に、画像やアイコンによる視覚的なフォローによってページを見やすくすることができます。

読みやすさに配慮したカラースキーム

カラースキームとは、それぞれの色の持つ性質を活用し、目的に沿った配色を行うための設計のこと です。社内ポータルサイトでは、社員にとって視認しやすく読みやすいデザインにするために欠かせない考え方と言えます。
特定のベースカラーを基調に画面に統一感を持たせることにより、社員が抵抗感や違和感なく社内ポータルサイトを利用し、スムーズに情報を取得できるようになります。

アクセントカラーを活用

先述のように読みやすく平坦な文章が基本ですが、適宜アクセントカラーを入れて要点や注意点を強調することも、社内ポータルサイトを見やすくする上で大切です。アクセントカラーによって内容のジャンル分けやカテゴリー分けを行うことも視認性向上に繋がるため、必要に応じて活用すると効果的でしょう。
また、昨今ではモバイルフレンドリーと呼ばれるスマートフォンで見やすいデザインが求められており、とくにアクセントカラーによる強調や分類は、スマートフォンなどモバイル端末で社内ポータルサイトを利用する上でも重要 です。

見やすい社内ポータルサイトにはコミュニケーションの設計も重要

見やすい社内ポータルサイトを作るためには、目に見えるデザインだけでなく、社員同士や社員と企業が行うコミュニケーションを設計すること も重要です。理由は、社内ポータルサイトを通じて社内の人間関係を構築することが現代ビジネスにおいて業務上避けて通れない課題だからです。

社内ポータルサイトはコミュニケーションの場にもなる

社内ポータルサイトのメリットは、自社の情報を引き出せることだけではありません。社員同士はもちろん、会社と社員がコミュニケーションできる場として機能することも重要なポイントです。
社内ポータルサイトでは、掲示板やチャット機能など社員同士が直接やり取りできるツールや、グループウェアなどコミュニケーションを促進する仕組みを活用できます 。場所や時間を問わず社員同士が頻繁に情報交換でき、社内ニュースも好きなタイミングで閲覧できるため、社員は業務の合間でも必要な情報にアクセスできます。
このように柔軟なコミュニケーションが可能になる結果、社員同士の情報共有や交流が活性化し、業務効率の向上やチーム・部署間の連携がスムーズになるといった効果が期待できるでしょう。

デジタルワークプレイスとしての活用も検討する

昨今ではリモートワークも普及していますが、社内ポータルサイトは遠隔で業務を行う際のデジタルワークプレイスとしても活用できます。デジタルワークプレイスとして活用するメリットは、情報共有が容易になることに加え、コミュニケーションの記録が社内ポータル上に残るため後から必要な情報を確認できること です。
これは社内におけるナレッジの共有・活用を促進し、業務の品質向上や効率化だけでなく、社内外へ価値あるイノベーションをもたらすことにも繋がります 。社内ポータルサイトをデジタルワークプレイスとして活用する際には、ナレッジマネジメントの考え方に則ることも重要です。また、業務に不可欠な知見の共有・管理は各個人だけでなく部署やチーム、ひいては企業全体で行うことが最適であるため、社内ポータルサイトを全社員が利用しやすい形に設計し最適化しておくことが求められます。
デジタルワークプレイスでの活用も含め、ナレッジ共有と運用によって企業全体がより効率的かつ生産的に機能するためには、全社員がアクセスする社内ポータルサイトを使いやすいように設計し、最適化された仕組みを構築することが大切です。

見やすい社内ポータルサイトを作る方法

見やすい社内ポータルサイトを作るためには、押さえておくべき要点があります。これから述べるポイントを作成の手順に組み込み、設計段階からポータルサイトの質を高めておくと良いでしょう。

情報の整理整頓を行う

情報が整理されていない状態で社内ポータルサイトを作っても、使いにくく十分な効果を得られません。また、すでにポータルサイトが存在していたとしても、共通の言葉の定義や前提が社内で共有されていなければ、ポータルは機能として不十分だと言えます。
情報そのものだけでなく、実務上の問題も考慮が必要です。たとえばフォーマットに問題がある場合、各種申請書や社内の届け出がポータル上のデータとPDFやExcel、紙の書類で重複管理されていることがあります。また、契約書の雛形についても顧客向けと仕入先向けが区別されていない場合、似たようなデータがポータル上で重複してしまうこともあるでしょう。
このように情報や共通言語などが整理されないまま社内ポータルサイトを構築すると、さまざまな不具合が起こります。混乱を招く前に、まず社内ポータルサイトの基礎となる情報や共通言語の整理を社内で行うことが重要 です。

社員にとって最適な情報設計になっているか

経営者(オーナー)と現場の社員では立場が異なるため、それぞれ必要とする情報も異なります。たとえば経営層はビジネスの成長や経営戦略といった情報に関心を持ちますが、社員は目の前の業務や局所的なプロジェクトに必要な情報を求めています。そのため、企業が社内ポータルサイトを設計する際には社員にとって必要な情報を収集し、業務に活かせる情報を提供する必要があります
また、社員が直近の業務に活用できる情報と同じくらい興味を持つのが人事関連の情報です。配属先の変更や転勤などは社員自身の生活にも関わるため、多くの社員が社内ポータルサイト上で定期的にチェックしています。社員それぞれのプライベートな状況は千差万別であり、収入や責任の面でも経営者とは異なる距離感で企業と関わっているからです。
一方で、社内ニュースなどトップダウン型のメッセージには、それほど社員の関心が集まりません 。これらの多くは経営者目線の内容が中心で、社員が本当に必要としている情報とはずれているためです。そのようなメッセージは基本的に社員に聞き流されがちですが、社員の会社へのコミットメントが高まれば徐々に関心も強まっていきます
このように、社内ポータルサイトに掲載する情報は社員にとって役立つ内容を中心にすることが不可欠で、そうでなければ意味がありません。また、社内で使われる用語は定義を明確にし、文章は平易でわかりやすくすること、さらに人事情報については適宜アップデートを行う必要があるでしょう。

華美なデザインや抽象表現は避ける

社内ポータルサイトは社員が使う業務ツールです。そのため社員が使い慣れるまでは、華美なデザインや抽象度の高い表現はサイトに盛り込まない方が賢明です。自治体の公式サイトや企業のコーポレートサイトのようにデザイン性を重視した凝ったUI/UXは、利用する社員を困惑させ、使い勝手の悪さから業務に支障をきたす可能性があるからです。
社内ポータルサイトのデザインやレイアウトは、見た目の良さよりシンプルで分かりやすいことを重視することが重要です。さらに、シンプルで分かりやすいことに加えて、社員全員が共通の言葉の定義や情報の置き場所を理解し、利便性を最大限発揮できることが望ましい姿です。

見やすい社内ポータルサイトを作る際に失敗しないための注意点

見やすい社内ポータルサイトを作るにあたっては、失敗に繋がるアプローチに注意しなければなりません。バランス感覚が求められる抽象度の高い領域でもありますので、落とし穴に陥らないよう意識しておく必要があります。

現場目線で作ると今のサイトとほぼ変わらないものとなる

社内ポータルサイトの構築にあたり、社員が求める情報を意識することは必要ですが、現場の社員目線だけで作ると現行のポータルサイトとほとんど変わらないものになる恐れがあります
なぜなら、現場の社員は自分の業務において変化がないことを望む傾向が強く、ツールの操作が複雑になったり新しい手順を覚えたりすることを好まないからです。社内ポータルサイトについても同様で、多くの社員は最新の業務ツールに関心がなく、中長期的なデジタル運用について深く考えていません。そのためとくに問題がなければ「変更しなくてもよい」と考える社員が多く存在するのです。
現場の声に耳を傾けること自体は大切ですが、社内ポータルサイトを作成するにあたっては一部の声に偏らず、全体の使いやすさ向上のために何を採用し何を捨てるか取捨選択する必要があります

オーナー目線で作ると業務効率は上がらない

オーナー(経営者)目線で社内ポータルサイトを作る場合も注意が必要です。オーナーは社員とは異なり積極的に変化を促す傾向がありますが、高度で最先端の機能やトレンドを取り入れたデザインのツールを採用したくなる傾向があり、業務効率アップに必要な本当に重要な機能がなおざりになりがち です。
たとえば、従来の社内ポータルサイトをより見やすいサイトにリニューアルする際に、オーナー視点で導入した新しいシステムやデザインに社員がついて行けず、情報システム部門への問い合わせが増えるなど混乱が生じる事態も考えられるでしょう。
また、オーナー目線でのテコ入れは費用面でも注意が必要です。最新のツールを導入してポータルサイトを改善しようとするあまり、無駄な費用を投じてしまう可能性が出てくるからです。
最新のツール自体が悪いわけではありませんが、費用対効果を考慮しつつ、緩やかな変化になるよう段階的に変更を加えていくことが適切だと言えます。

ユーザーとオーナーの間を行き来しながら社内ポータルを育てていく

社内ポータルサイトを作る際の注意点として、社員(ユーザー)とオーナー(経営者)がコミュニケーションを取りながらポータルサイトを成長させていく設計が求められます 。社員側・オーナー側の目線を交互に行き来するように意見を収集し、双方の視点を尊重することが大切です。時にはオーナー側が社員からのフィードバックを受け取り、必要に応じて社内ポータルサイトを改善するような中長期的な計画でポータルを育てる戦略が必要になります。
変化・最新ツール・費用といった要素のバランスを考えながら社内ポータルサイトを作成・改善していくことが望ましいでしょう。

見やすい社内ポータルサイトのデザインは段階的に変化させていく必要がある

定期的に少しずつ変化を加えていくことで、見やすく使いやすい社内ポータルサイトへとアップデートしていくことができますが、急激な変更は厳禁です。社内ポータルサイトに関するあらゆる変更は、利用者である社員のことを考えて段階的に行う必要があります。

中長期的な戦略の設計

社内ポータルサイトを導入・刷新する際、最初は社員に馴染みのある3カラムのシンプルなデザインで始めるのが望ましい でしょう。その後、徐々に変化を加えていき、社員が違和感や抵抗感を覚えないものから順次導入していきます。
また、事前に共通認識(共通の用語や前提)を社員に浸透させておくことで、導入時の摩擦やコミュニケーションコストを下げておくことも大切です。デザイン面では、文字のフォントや使用するマーク、操作性の微細な改善などを通じて、社員の目が違和感を覚えないようマイナーチェンジする意識で変更を加えていくと良い でしょう。
変化を加えた後は毎回社員からフィードバックを収集し、意見を聞きながらさらなる改善につなげていきます。中長期的な戦略として、より情報密度の高い社内ポータルサイトへとアップデートさせていくことが重要です。

コミュニケーションを段階的に設計する

社内ポータルサイトを作成・変更するにあたって、新しいツールに適応できない社員からのクレームや問い合わせが多発するような事態にならないよう、ポータルサイトの変化を段階的に設計することも大切 です。
人は基本的に変化を嫌う生き物であり、急激な変化には強いストレスや抵抗感を抱きがちです。慣れない操作や手順を強いられるポータルサイトを一度に実装すると、不満や反発を抱く社員も出てくるでしょう。
ポータルサイトに変更を加えるたびに社員から問い合わせや不平不満が出ていては、業務にも支障が出かねません。極力そうした事態を招かないよう、段階的に変化させる中長期的な計画が重要になります。

ログの取得

社員が社内ポータルサイトにアクセスした際にどのような情報を閲覧しているのかログを取得して確認し、アクセス数や閲覧時間から社員の行動パターンを分析・把握することも重要 です。
社内ポータルサイトの「情報」を活かして業務効率や生産性を向上させるには、ポータルを利用する社員に関する「情報」も活用することが大切です。アクセス数からは社員の興味対象や業務上重要な情報の傾向 が見え、閲覧時間からは社員がアクセスする時間帯の傾向がわかります
ログからは社員の具体的な利用動向が把握できるため、社内ポータルサイトに変化を加えていく上でもログの取得・分析は欠かせない手法となります。

アンケート

社内ポータルサイトの変更を段階的に設計する際には、アンケートによる社員への調査を活用することが有効です。使いやすさや視認性に関する質問、変更前とのデザイン比較、社員目線での改善案の募集など、複数の質問項目を設定してフィードバックを集めます
アンケートを実施する際の注意点としては、できるだけ多くの社員に回答してもらえるよう回答方法や実施期間を明確に案内することが挙げられます。回答締め切り後は速やかに集計を行い、回答者の立場や属性、回答傾向といった結果を分析して次の施策に活かします。

デザインの改善案の策定

ログ分析やアンケート結果を基に、社内ポータルサイトの変化に活かせるデザイン改善案を策定します。十分に検討され決定した改善案をベースに、社員が求める情報をスムーズに探せるよう社内ポータルサイトのデザインやUI・UXに変更を加えます。

サイトの改修と運用を行う

改善を目的として策定した新しいデザインやUI・UXを、実際の社内ポータルサイトに実装し運用する段階に入ります。運用中は社員からフィードバックを収集し、必要に応じてさらなる変更を加えます。改修と運用を同時に行いながら社内ポータルサイトをアップデートしていきます。
注意点としては前述のとおり、デザインやUI/UXをマイナーチェンジした社内ポータルサイトに社員が適応しやすいよう段階的に変化を加えること です。また、社員の反応やフィードバックを観察しながら変化のペースを適宜調整し、タイミングを見計らって実施するようにしましょう。

見やすい社内ポータルサイトの成功例

では、社内ポータルサイトに段階的な変化を加え続け、使いやすくアップデートした2社の成功例を見ていきましょう。ここでは「三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社」と「株式会社東横イン」の事例をご紹介します。

三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社

三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社(以下、同社)は、社内ポータルサイト「GlobalPortal」に社内情報を集約し、いつでもアクセスできるようにすることで「情報の探しやすさ」を実現しています。
同社の社員は出社後すぐに「Global Portal」を立ち上げ、メールチェック、経費処理、社内決裁といった業務に入ります。複数のツールを個別に起動するのではなく、1つの社内ポータルサイトだけで業務をスタートできることは、業務効率や情報集約の点で優れている と言えます。
また、「Global Portal」では会社からの一方通行の情報発信ではなく、各部門が自発的に必要な情報を取得する「プル型」の情報共有の仕組み を取り入れています。プル型の情報共有により、社員が意識的に「アクセスしよう」と思える社内ポータルサイトになっている点も成功に大きく寄与しているでしょう。
同社は「Global Portal」の運用により、社内規定に関する問い合わせや管理部門への問い合わせ工数の大幅削減を実現しています。

株式会社東横イン

ホテルチェーンを運営する株式会社東横インは、2016年にクラウドを活用した社内ポータルサイトを中心とする社内情報共有基盤の全面刷新を行いました。社内公募によって命名された「T-net」と呼ばれる社内ポータルサイトは、全社員のPCブラウザで起動時に最初に表示されるよう設定 されています。
「T-net」では、業務に必要な各種申請書類を全文検索できるほか、ワークフロー、リンク集、新入社員向けトレーニング動画コンテンツや接客マニュアルなど、業務に必要な情報データを集約・一元化し、社員が誰でもアクセスできるようになっています。
また、毎月600~700件もあったFAXを全て廃止し、大容量の動画コンテンツも容易に全社で共有できる ようになりました。その結果、ホテルチェーン全体としても以前より効率的な運営が行えるようになっています。

まとめ

社員に利用される「見やすい社内ポータルサイト」を作るには、サイト上の視覚情報や操作性だけでなく、社員と企業の間のコミュニケーション設計も重要になります。デザイン性の高い凝ったページ作りは不要で、大前提として文章が読みやすく、画像が見やすく、操作しやすいUI・UXであることが大切です。
また、社員は急激な変化を望んでいません。社内ポータルサイトに変化を加える際は、期間を空けながら小さな変更を積み重ね、社員がストレスや抵抗感を抱かないよう少しずつアップデートしていく必要があります。
社内ポータルサイトは企業に多くのメリットをもたらす優れた社内ツールです。しかし、ただ作れば良いというものではなく、利用者である社員に寄り添った設計をしなければ本来の機能を発揮できません。本記事でお伝えした「見やすい社内ポータルサイト」のポイントを意識して、ぜひ効果的なポータルサイトを設計・構築してください。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。