データリテラシーって?重要性が高まっているデータを読み解く力とは

昨今のテクノロジーの進化によって企業がビッグデータ(膨大で複雑なデータ群)を扱えるようになり、ビジネスにデータを利活用する機会が増大しました。このような社会背景において、社員にデータを読み取って分析する能力、すなわち「データリテラシー」がなければ企業成長が難しい時代になったといえるでしょう。本記事ではこのデータリテラシーについて詳しく解説していきます。

データリテラシーの概要

「データリテラシー」とは、英語の「データ(Data)」と「リテラシー(literacy)」を組み合わせた言葉です。「ネットリテラシー」や「メディアリテラシー」、「情報リテラシー」や「コンピューターリテラシー」といったように別の単語と組み合わせて使うこともありますが、リテラシーという単語が単体で使われることもあります。

データリテラシーの定義

「リテラシー(literacy)」とは、もともと「読解記述力」を意味する単語でした。これは簡単に言えば「読み書きの能力」です。しかしこの意味において使われることは現代ではもうほとんどなく、今は「(相手の主張や意見、論述などを)的確に理解し、解釈して自分なりに分析する能力」「さらにそれを自分の言葉で表現する能力」という意味に使われるようになっています。

「データリテラシー」は「データを理解し、解釈し、分析する能力」と定義されます。言わば、データを読み、紐解き、利用・活用・応用する能力です。これは決してデータアナリストやデータサイエンティストといったデータ分析の専門家だけが持っておけばいいものではなく、今やビジネスに携わるすべての人が身につけておくべき一般的なビジネススキルとなっています。ただし、彼らと同程度の高度な技術的知識が必要なわけではなく、一般のビジネスパーソンには、どちらかと言えば論理的思考力に近いものが求められます。

データ分析とデータ活用

データリテラシーにはデータを分析して活用する能力が含まれますが、「データ分析」と「データ活用」の違いがわからない人も多いでしょう。

データ分析とは、「今扱っているデータから情報を引き出すこと」です。統計学の知識をもとに多様な分析手法を用いて、データを加工し、可視化するまでのプロセスを指します。一方でデータ活用とは、「引き出された情報をもとに主張の裏付けをしたり新たな発見をしたりすること」を意味します。

データを分析して得られた結果をもとに、次のアクションを行うことで初めて、データが活用されたと言えます。今自分は(自社は)、データの分析が出来ているのか、活用が出来ているのか、現在行えていることを細かく評価することが出来るでしょう。

このように、データを正しく読んで取り扱い、紐解いて解を導き出す力、これこそがデータリテラシーであり、データ活用においては必須のスキルなわけです。

データリテラシーが高いことのメリット

個人または社内全体のデータリテラシーが高いことで、ビジネスにおいてさまざまなプラスの影響が期待できます。

データに基づいた意思決定ができる

データは何かを主張したり、判断・検討したりする際の理由に根拠を持たせるものです。これはビジネスにおいてマーケティングや経営、組織改革の分野でも応用できます。経営層が主観的な意思決定を行うのではなく、しっかりとデータに基づいた信頼に足る意思決定ができるというのは、企業においては大きな強みとなるでしょう。社員からの納得感や共感も得やすくなります。

生産性の向上

データを活用すると、これまで「感覚」や「なんとなく」で行っていた作業の中にいくつもの「ムダ」を発見できます。このムダを減らしていくことで、コストをカットしたり余計なアクションを減らしたりでき、効率や生産性の向上につながります。大手回転寿司チェーンが、流す寿司の種類をビッグデータ化し、廃棄削減に成功した例がわかりやすいでしょう。同社では、客層や時間帯、各商品の売れ行きを全てデータ化、分析し、仕入れ量や回転レーンに流す寿司を調整するように活用することで大幅な廃棄削減に成功しています。

売上の向上

データリテラシーが高ければ、店舗などの売り上げ傾向を分析して、「合わせ買いされている商品」、「この商品を検討している人におすすめすると良い商品」などを知ることができます。それによってWebサイトや店舗で意図的にその商品を提案できるようになります。その結果、売り上げを向上することができるというわけです。

企業価値の向上

米Qlik Technologies社が企業のデータリテラシーに関する「データリテラシー指数(Data Literacy Index)」という研究を行っています。データリテラシー指数は、企業が意思決定を行う際に必要となるデータ、そしてデータの活用能力をどの程度備えているかを数値で評価するモデルです。このデータリテラシー指数が上位3分の1に入っている組織は粗利やROA(資産収益率)、配当や利益率、そのほかの業績指標においても正の相関性が見られ、企業価値が高くなっていることがわかります。

社員のデータリテラシーを高めよう

社員のデータリテラシーは、職能に関係なく、経営層から一般社員まで同程度のレベルに到達していないと、ビジネスにおける意思決定がスムーズに進みません。個人の裁量に委ねるのではなく全社を挙げて、自社の組織風土としてデータリテラシーを高めていくことが望ましいでしょう。ここからは、社員のデータリテラシーを高める方法について解説します。

データを読む力を高める

まずは、データを「読む」力を高めていきましょう。ビジネスで統計学が用いられるようになったことから、統計学の基礎的な部分を学べる書籍も多数発刊されています。平均値だけでなく中央値や最頻値について、相関や偏差値などを押さえておくと数値が読めるようになるため、データリテラシーを高めるには必須です。また、量的なデータ(身長、年齢など)と質的なデータ(性別、血液型など)の違いも押さえておくと分析手法の選択や結果の読み解きが捗るようになります。

データを分析する力を高める

簡単なデータ分析ツールの使い方を修得して自分で分析を行い、そこから解釈を行うまでを実際に体験してみるとよいでしょう。Googleアナリティクスを使ったWebサイトのアクセス解析や、Googleオプティマイズを使ったA/Bテストなどは無料で誰でも試すことができます。また、A/Bテストは実店舗などでも有用な方法です。例えば店舗のレイアウト、気象条件、競合他社との距離感などの違いによって、売り上げに対してどんな影響が出るのかといったことを同時期に検証することで、効果測定ができるようになります。

データを使う力を高める

分析はあくまで現状の数字を知るためのものです。データを使ってビジネス上の課題を解決したり、新たな価値を創造したりするには、データを読み解いて洞察を得るための訓練も必要です。まずは関連のありそうな2つのデータを取り上げてみるとよいでしょう。データを読む際にやってしまいがちな誤りとして、「相関関係(Aが増えるに伴ってBも増える、もしくは減る)」と「因果関係(Aが増えることでBが増える)」における不適切な解釈があります。「犯罪者の98%は朝にパンを食べているので、パンを食べると犯罪を起こす」というのは有名なジョークですが、相関関係や因果関係に、他の因子が影響していることはないか、たまたま同じ動きをしているだけでないか、批判的に検討することを忘れないようにしましょう。

データがすべてではないことを理解する

ローデータ(まっさらな状態の生データ)を加工し、分析するということは、人あるいはツールの手が加わるということです。ここで誤謬やバイアスが生じることは多々あり、そのために正しい分析が行われないことも少なからずあります。そのため、データ分析の結果を100%信じるのは危険です。また、「意思決定に必要なデータが全て完全に揃っている」というのも、実は稀です。あくまでデータから立てた仮説をもとに、行動し、検証していくという認識を持つことが必要です。
例として、Amazonの「ロングテール戦略」を挙げます。従来は一部の売れ筋商品を売ることに注力するのが小売店の販売戦略でした。そのために使われるデータはPOSの売れ行きに関するものであったはずです。しかしインターネットの台頭によってより高度なデータ分析ができるようになると、細く長く売れる商品こそが売上を支えていることが明らかになりました。そこでAmazonは豊富な品揃えのECサイトへと舵を切り、現在のように大成功を収めています。
また、コンビニエンスストアも同様です。コンビニエンスストアが売れ筋ランキング上位の商品しか置かなくなってしまうと、「何か足りないものがすぐに買える」というブランドが失われ、全体的な売上や来店客数はむしろ減ってしまうでしょう。

バイアスや誤謬の罠にかかるのを防ぐためには、データ以外のもの、例えば現場の判断やこれまでの経験なども尊重し、意思決定していきましょう。データに力を持たせすぎず、人間の思考には偏りや歪みがあること、データではわからないものがあることも踏まえてみてください。

まとめ

今やデータリテラシーは個人ではなく企業単位で求められるビジネススキルです。DX推進が進んでいる昨今、データを活用できない企業は生き残りが難しいでしょう。もしデータリテラシーを向上させたいのであれば、組織の風土を変え、社内の意識を変えることから始めるべきです。社員のデータリテラシーにお悩みの場合は、組織改革を得意とするソフィアにまずはご相談ください。

株式会社ソフィア

デザインエンジニア

長南 雅也

主に研修の設計・講師・オンライン研修対応などを担当していますが、デザインリサーチ経験を活かしたインタビュー調査、データ組織づくりの経験を活かしたピープルアナリティクス領域の事業も検討しています。

株式会社ソフィア

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長南 雅也

主に研修の設計・講師・オンライン研修対応などを担当していますが、デザインリサーチ経験を活かしたインタビュー調査、データ組織づくりの経験を活かしたピープルアナリティクス領域の事業も検討しています。

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