データ分析をビジネスやマーケティングで活用するには?

データ分析とは一部の専門家だけが行うものだと思っていないでしょうか。今や「データドリブン経営」「データドリブンマーケティング」という言葉が一般的に使われるようになったことからもわかるように、データ分析は企業の経営やマーケティングにおいて必須のスキルとなっています。データというだけで苦手意識を持つ方も一定数いるかもしれませんが、簡単に言えば「主張にデータで根拠を持たせる」「データから新たな発見を行う」ということです。そして、組織内にデータ分析を定着させることは、データを活用する組織文化・組織風土づくりと同義であるといえます。
本記事ではなぜデータ分析の必要性が昨今になって盛んに叫ばれるようになったのか、そして、データ分析とはそもそもどのようなものかについて解説します。

なぜデータ分析が必要なのか

IT技術の進化とともに、データ分析の手法や精度は著しく進歩しました。生活にはスマートフォンやIoTデバイス、アプリが当たり前に根づき、これらを通して企業は膨大なデータを自動的に取得し、蓄積できるようになっています。これらのデータを活用すれば企業はさらに発展できる可能性がありますが、そのためにはデータを正しく分析し、ビジネスの打ち手へと反映させなければ意味がありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の必要性が高まるなか、企業においてデータ分析は欠かせないものとなっています。
また、方法はさまざまですが、データ分析は現状把握と課題抽出のためにも活用できるというメリットがあります。企業はこの結果をマーケティングだけでなく経営面においても役立てることができるでしょう。そういった側面でも、データ分析をビジネスへ活用する風潮が広まっているのです。

データ分析についてこんな社内課題を抱えていませんか?

突然「データ分析を活用しましょう」ということになっても、これまでデータ分析にあまりなじみのなかった企業や担当者は次々とわからないことや困りごとにぶつかるのが当たり前です。ここからは、データ分析に関してよく挙げられる社内課題について解説します。

社内にデータは溜まっているが、どう使っていいかわからない

よく挙げられる課題のひとつが、「売上データや顧客データはたくさんあるが、どのように『分析』すればよいかわからない」というものです。小中学校で習うような平均値や最大・最小値、割合を算出するだけならすぐにできますが、それだけでは足りません。かといってどのような数式を使えば適切な分析ができるのかがわからず困っている方も少なくないでしょう。

データが社内に分散していて、どう集約していいかがわからない

分析に使うデータは、ひとつのデータサーバに集約するのが本来は理想的です。データを一箇所に集められれば、抽出や集計、加工、そして分析も容易になるというメリットがあります。しかし、企業内のデータはあちこちに散らばっていることがほとんどであり、この場合はデータをまとめる作業が必要になります。しかし散らばったデータをまとめる適切な方法を見つけることも、初めてデータ分析に取り組む際にはなかなかハードルが高いものです。

データ分析が組織に根づいていない

これは組織文化や組織風土の領域になりますが、ビッグデータではなくサンプリングを重んじる企業や、ともすると経営層の独断で意思決定がされる企業も実のところ少なくありません。データ分析を経営や事業に生かそうという意識が芽生えていない組織のままでは、データの活用は困難です。

社内でデータ分析を定着させるためのステップ


データ分析を定着させるための考え方として、「三角ロジック」を用いるとよいでしょう。三角ロジックとは、「主張」と「データ」、「理由づけ」による論理を正三角形の頂点に位置させて表したものです。論理的な主張をするためには、客観的なデータと、そのデータを主張に結びつける理由づけ、すなわち根拠が必要となります。主張に対して「なぜそう主張するのか?」という質問への回答が、データと理由づけ(これらが合わせて根拠となります)で示されます。逆に、根拠があって、「だから何が言えるのか?」という質問への回答が主張になるわけです。まずはこうした思考のロジックを実践してみるとよいでしょう。組織にデータ分析を定着させるためには、こうしたロジカルシンキングが当たり前になる組織文化、組織風土作りが重要です。
データ分析自体は決してそこまで複雑なものではなく、あくまで根拠を作り出すための手段に過ぎません。まずは以下のステップを踏みながら自社やご自身でも試してみてください。

分析の目的を明確化する

データ分析そのものは目的ではなく手段です。なにかしらの仮説を立てそれが正しいものであると立証する際、あるいは生じている問題に対応すべく手がかりを探す際に、データを用いるわけです。はじめにデータありきでデータを整理し、「結果」を出したところで、目的がない以上はその結果から「答え」を導き出すことはできません。何のためにデータを用いて分析を行うのかを明確にしておきましょう。

分析の計画を立てる

データ分析には多くの手法やツールが存在します。適切でない手法で分析を行った場合、目的にそぐわない結果が出てしまうほか、同じ分析手法でも使用するツールによってデータ形式が変わることもあるのです。
分析の計画においては、データアナリストやデータサイエンティストなど、統計学や分析手法に詳しい専門家を交えながら計画を立てていきましょう。また、どのようなデータをどうやって収集し、どう加工してどう渡せば分析が円滑に進むかという過程をしっかりと詰めておくことが重要です。また、データ収集から分析までの期間も明示しておくことで、プロジェクト全体のスケジューリングもできるようになります。

データ収集・可視化

目的と計画にそって、必要なデータをどのような形式で蓄積し抽出するかを可視化した上でデータを収集していきます。もし、一からデータ収集を行うようであれば、データを収集する場所は一箇所にまとめたほうが取り扱いが簡便になります。そのため、データサーバーを管理するシステム部門との調整も事前に行っておいてください。

データを加工する

収集・蓄積したデータを、分析ツールで扱えるように抽出、加工していきます。データを抽出し加工するためのツールやサービスも世の中に存在しているので、社内で抽出・加工の方法を模索するよりも、外部の専門家の協力を仰いだほうがスムーズかもしれません。

分析・施策の実行

ここでデータの分析に入ります。データアナリストやデータサイエンティストといったデータ分析の専門家が作業を行います。データアナリストはデータ分析を専門に扱うプロフェッショナルであり、データサイエンティストはデータアナリストの業務に加えて、経営的な視点から提言を行うまでを業務の範疇としています。自社にとってどちらの人材が適切かを判断し、確保しましょう。
データを分析できたら、「なぜそう主張するのか?」「だから何が言えるのか?」を明らかにするための議論を行い、目的に応じた施策を策定し、実行します。
ここではバイアス(認知の歪み)が発生しやすく、分析結果を都合よく(あるいは都合が悪いように)解釈してしまいがちです。分析するにあたってバイアスを取り除かなければ判断を誤ってしまうため、ここでも社内の関係者のみで進めるのではなく、外部に協力を仰ぐことを推奨します。

1〜5を繰り返して精度を上げる

マーケティングで「PDCAサイクル」と呼ばれるものだといえばわかりやすいでしょうか。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」のステップを経て、施策の結果をより効果的に効率よく高めていきます。このステップは「データドリブン」ともいわれます。
決して一度きりで終わらせるのではなく、長期的な視点を持って取り組むことを忘れないようにしましょう。

ビジネスで使えるデータ分析手法をご紹介

最後に、ビジネスで使えるデータ分析の手法を紹介します。分析をデータアナリストやデータサイエンティストに任せきりにするのではなく、データを活用する側も、それぞれの分析手法が何のために行われ、どういった内容の手法なのかの概要を把握しておきましょう。分析手法は彼らとの共通言語にもなるため、意見交換や議論が円滑に進むようになります。

クロス集計

クロス集計は、設問と設問をかけ合わせて集計する分析手法です。回答結果を細分化し、絞り込むことができます。Excelでも実施できる基礎的な分析手法のため、普段から日常的に表計算で関数を利用しているような方であれば、実務で利用したことがあるのではないでしょうか。

ロジスティック回帰分析

クロス集計もそうですが、多くのデータ分析手法が複数のデータを取り扱います。しかし、ロジスティック分析では「はい」あるいは「いいえ」の2択でデータを収集します。例えば「社員の満足度を下げている要因は何か?」ではなく、「社員の満足度は下がったか?」というものです。この分析によって、事象の発生確率が推測できます。

アソシエーション分析

アソシエーション分析では複数の事象の関連性を見つけ出す分析手法で、まったく関係がないように見える事象の関係を調べることができます。例えるなら「社員研修の実施直後」と「離職を申し出る数が多くなる」との間に相関やなにかしらの関係があるかどうかといったものです。

決定木分析

「回帰木」や「分類木」とも呼ばれる分析手法です。「もし〜なら、〜になるだろう」という仮説を繰り返しながら予測の精度を高めていきます。さらにこの予測はどんどんと枝分かれして最終的には樹木型のモデルとなることから、「決定木」と呼ばれます。

クラスター分析

クラスター分析とは、異なるものが混ざりあった集団の中からお互いに似たもので集まり(クラスター)を作り、対象を分類していく分析手法です。例を挙げると、飲食店においてお客様にメニューの好き嫌いを5段階評価してもらうアンケートを行ったとします。その上位、下位のみを見るだけでなく、価格帯や、料理のジャンルなど似た特性のクラスターで分類することができます。その分類をもとに、人気のメニュー同士、あるいは人気の商品と人気ではないが売りたいメニューを組み合わせるなど、同じクラスターの商品群をセットで販売したり、各クラスターから商品を選んで幅の広いセットにしたりといったメニュー設定の施策を行うことができるわけです。

主成分分析

主成分分析は、たくさんの量的な説明変数を、少ない数の指標や「合成変数(複数の変数を合体した変数)」に要約するデータ分析の手法です。要約した合成変数のことを「主成分」と呼ぶため、主成分分析という名前となっています。例えば、身長と体重、年齢、体脂肪率、筋肉量といった情報(説明変数)を「体年齢」に要約するという手続きに似ています。

まとめ

データ分析というと敷居が高く思えるかもしれませんが、分析手法への理解はトレーニング次第で身につきます。
不確実性の高い時代において、多くの企業では、これまでのようにトップダウン偏重で、経営層の決定を現場が着実に遂行するという事業計画から、現場側が自律的に意思決定を行うことを前提にするビジョン経営へと、徐々に変化し始めています。これを実現するためには、全社を通して、データを正しく取り扱い、エビデンスをもとにした判断によって、生産性の向上や競争優位性を獲得する必要があります。企業レベルでも、個人レベルでも、主張を語ったり主張すべきことを探したりする際にデータを用いる思考力は常に持っておきましょう。ソフィアでは、こうした組織文化、組織風土への改革を支援しています。もしこうしたデータ分析を用いた経営体質への変革に関心があれば、お問い合わせください。

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