未来小説2118 ~2.宇宙初の新サービス、ついに始動!~

#コミュニケーション#メディア&コンテンツ

22.Feb.2018

100年後の日本を舞台に、コンサルティング会社「ネオソフィア」が組織の課題に挑む!
ソフィアの若手メンバー発案・執筆により、本業の枠を越えて、SF小説の連載を始めてしまいました。今回は第2回、どうぞお楽しみください。
※続きはメンバーの気が向いたら公開されます

2.宇宙初の新サービス、ついに始動!

2118年1月。コンサルティング会社「ネオソフィア」に勤めるゲンキはそわそわしていた。かかわってきたプロジェクトについて、今日、社長から重大発表があるのだ……。
連載第1回はこちら

「新年好!」

そのとき、陽気な中国語で叫びながら、壮年の男が入ってきた。
仕立てのよさそうなスーツ姿で、荷物はひとつも持っていない。ネクタイがやたら派手なのは、おおかた旅行先の中国で買ってきたのだろう。名前負けしない程度には元気なゲンキ以上に元気そうな顔で、ダリオとハイタッチをしている。あいかわらず楽しそうな人だ。

「おはようございます、瀬又社長」

「おはよう、ダリオ!」

今年55歳になる彼は、業界の中でも新進気鋭の経営者と言われている。定年は80歳、平均寿命が106歳といわれる現代、会社の代表は多くが80代や90代だ。瀬又社長はかなり若い部類に入るだろう。一見能天気だが、年上の経営者たちにも引けをとらない度胸と大胆さは、ゲンキを含め社員たちの憧れの的だ。

瀬又社長は近くにいた社員にも挨拶をしながらオフィスの真ん中にあるテーブルまで進んでいくと、その上に手を置いてさっと周囲を見渡した。それを合図にしたようにテーブルから光が伸び、社長の頭上に大きく3次元画像で彼の顔が映し出される。社員たちが社長のほうへと注目し、3次元画像をオフにしていたリモートワーカーたちも、全員が顔を出した。大事な話のときは、リアルでもデータでもFace to Faceで、というのがこの会社のルールだ。

「みんな、おはよう。そして、あけましておめでとうございます」

よく通る瀬又社長の声が広いフロアに響く。社員からも口々に「あけましておめでとうございます」と声があがった。

「めでたく2118年になりました。こうしてみんなが元気に新年を迎えられたことを嬉しく思います。今年の仕事に取り掛かってもらう前に、少しだけ私に時間を使わせてほしい」

いよいよだ。
ゲンキははやる心臓をおさえようと、小さく息を吸った。

「昨年――2117年は私たちネオソフィアにとっても特別な年になりました。それは、火星への本格的な事業進出を果たすことができたからです。『地球の組織を元気にします』を理念に掲げて、コミュニケーション活性化コンサルティングに取り組んできたネオソフィアですが、昨年でついに『地球と宇宙の組織を元気にする』企業になったのです。

私たちを含め、ここ数十年の変化は本当にめまぐるしい。みんなもそう感じるでしょう?

ほんの100年前、私たちはまだIoTという言葉を作り出したばかりでした。まだ家の鍵を鍵穴に差し込んで開けていたし、多くの家電製品はインターネットにはつながっていなかった。AIも簡単な質問に答えたり、囲碁やチェスのチャンピオンになる程度のことしかできませんでした。聞くところによると、パソコンやタブレットと呼ばれる重たい機器を毎日持ち運んでいたらしい。
そして何より、日本では多くの人が会社で朝から晩まで働いていました。電車にぎゅうぎゅうに詰め込まれている人たちの写真をみんなも見たことがあると思います。当時は週休2日、1日8時間労働が法律で定められていたそうですが――それでも多いですよね――その時間をきっちり守っている企業はほとんどなかったそうです。当時それを『ブラック』と呼んでいたというのは、日本の教科書にも載っているとおり。これは、私が生まれる半世紀ほど前の出来事です。

さて、もう少し時代が進むと、どうなったでしょうか。
まずIoTが急速に進みました。いまやインターネットにつながっていない電子機器なんてガラクタ同然です。70年くらい前には、ロボットもAIも世の中で当たり前の存在になりました。そうやって電子化が進む一方で、人間のほうにも大きな変化が起きました。2060年代の『人類の波』という現象を知っている人は? 

ああ、結構いますね。2070年以降に生まれた人たちも学校で習ったかもしれない。
世界的に入国審査が緩和されたことで、人口爆発が起きていた途上国から、人口減少が進んだ先進国に大量の移民流入が起きました。世界は一気に混じりあい、混乱しましたが、時間をかけて少しずつ今のような国境のゆるい地球になってきたのです。このとき、日本は本当の意味でインターナショナルになりました。

そして、2080年代になると人類はもはやグローバリゼーションの枠には収まりきらなくなりました。プラネタリゼーション、つまり惑星レベルでの進出を始めたのです。そこから今日にいたるまでに人類は火星への着陸を成功させ、基地をつくり、移住を進めました。私たちの会社にも、火星在住者はたくさんいる。まだ人類は出会っていないけれど、何ならそのうち他の惑星にいる生命体が私たちと一緒に働くようになるかもしれない。

こうやって、私たちをとりまく環境は変わってきた。そうしたらもちろん、働き方も変わりました。そして新たな問題も生まれてきました。近年もっとも大きな問題、それは『組織の元気格差』です。
私たちは長年の経験とデータの蓄積から、組織の『元気』を数値化する方法を持っています。その数値を比較していくと、ここ十数年の企業にはある特徴が見えてきたのです。非常に数値の低い企業と、逆に大変数値のよい企業が増えてきた――つまり二極化が進んできたのです。

数値の低い企業は、たとえば歴史もあり新しい技術もきちんと導入されているのに、求心力が極端に低く、不祥事が絶えない。むしろ徐々に能率が下がっている。
一方、同じような歴史を持つ企業でも非常に生産性が高く、週3日勤務で数年連続過去最高益を上げている企業もある。このような企業で働く社員は、出社回数は非常に少ないのに会社への忠誠心が高く、もはや仕事場というより勉強とライフワークのコミュニティと捉えているのです。

この差はいったいなんでしょうか。分析を重ねた結果、私はひとつの仮説にたどり着きました。それは現状よりももっと前の段階、企業が転換期を迎えた際の企業風土が関係しているのではないか、ということです。企業風土が悪いまま転換期をすぎてしまった企業は、ある一点から急速に『元気』を失っていくことが、データから見えてきたのです。確認できたのは我々がサービスを提供し始めた2051年からのクライアントのみですが、その傾向は疑いようがありません。ならば、いま『元気』のない企業も、すべては過去に迎えていた転換点を正しく乗り越えることでよりよい企業に生まれ変わることができるのではないか。私はそう考えました。

そこで、火星への事業進出と平行してこれを解決するためのプロジェクトを進めていました。皆さんもご存知の通り、今年、ようやくそれを形にすることができます。
私たちネオソフィアは、本日2118年1月4日より、NASTA(国際時空管理局)監修のもと、時空を超えて組織を元気にする『タイムリープ風土改革プログラム』の提供を開始します!」

つづく

※このストーリーはすべてフィクションであり、現在各機関で発表されている未来予測にもとづくものではありません。

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