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チームビルディングに適したワークショップとは?ポイントや開催までの流れを解説!

大企業では部門間・拠点間の距離が広がり、チームの一体感や意思疎通が課題になりがちです。弊社ソフィアの調査でも、職場評価に人間関係が大きく影響する実態が示されています。そこで本記事では、チームビルディングワークショップの設計・進め方・効果測定まで体系的に解説します。

チームビルディングとは

チームビルディングとは、参加メンバーの能力・経歴を活かし、それぞれが実力を発揮することで目標達成できるチーム作りを行うことです。チームビルディングで重視されるのは、チーム力を向上させるため個々のメンバーの個性を引き出すことです。目標達成だけでなく、生産性の向上や人材育成の側面も持っているのが特徴と言えます。

企業・組織においてチームビルディングが必要とされる背景には、労働観の変化・働き方の多様化・人的資本経営の浸透・ビジネス競争の激化などの理由があります。そのため、多くの企業・組織でチームビルディングを取り入れる流れになっています。

チームと似た概念にグループがありますが、グループとは共通の性質・類似するジャンルなどによってまとめられた集団を指します。それに対してチームは目標達成・理想の実現というゴールを目指すために集まった集団であり、異なる概念です。企業・組織の運営・成長のために重要なのは、グループではなくチームです。

ビジネスにおいては、単に集まるだけの目的のないグループは基本的に存在しません。チームを定義する際には、目的を強調しています。つまり、ビジネスでは目的を持った集団が重要であり、目的を持つことがビジネスの要件となります。また、個々人の目標とチームの目標が共有できる部分があることも大切です。この共有された目標は、チームビルディングの一部となります。

高度なチームにおいては、多様性をアイデアに転換する必要がありますが、多様性と共通点はまるで水と油のように異なります。個々人の多様性を完全に許容すれば、チームとは言えなくなりますが、逆に多様性を抑圧しすぎるとチームの本質が失われてしまいます。したがって、チームビルディングには、共通点と差異を適切に認識し合い、距離感を持つことが重要です。

現代のビジネス界や市場では、チームワークの重要性が増しており、さまざまな背景を持つメンバーを統合することがより難しい挑戦となっています。そのため、高度なチームワークを持つ職場は、ビジネスの成功において重要な資産となります。時代の変化に柔軟に対応するためには、内外の境界を越えた多様な人々で構成されるチームを迅速に形成する能力が必要です。この多様性がもたらすのは、メンバー間の互いの交流を通じて、予期せぬ新しい成果やアイデアです。

チームビルディングの過程でのこの予測不可能さと多様性は、未来のビジネスを興味深く、同時に難解にします。チーム構築の結果は予測できないものですが、この不確実性を理解しておけば、予期せぬ出来事が起こった際にも慌てず、むしろそれを問題解決や新しいアイデアの源泉として活用できるでしょう。

チームビルディングワークショップとは

チームビルディングワークショップとは、参加者が”聞く”だけでなく、“体験しながら考え、対話し、合意する”ことで、チームとしての行動を変える場です。上位記事でも、ワークショップは「参加者主体の体験型」である点が前提として扱われています。

ポイントは「盛り上がるか」ではなく、職場で再現される行動様式(会議での発言、情報共有の初動、対立時の対話など)を具体化できるかです。チームビルディングの本質を「行動様式の共有」と捉えるならば、この核心を外さない設計が求められます。

学術的にも、チームビルディング介入はチーム成果に正の中程度効果を持ち、特に態度・プロセス面での効果が相対的に強いことが示されています。

チームビルディングが求められる背景

大企業でチームビルディングが重要になる背景は、組織・働き方・人材が多様化し、自然発生的な共通体験だけでは「関係性」と「合意形成の型」を維持しにくくなっているためです。

弊社ソフィアの調査(2025年10月、従業員1,000人以上、N=623)では、部署間コミュニケーションの必要性を7割以上が感じている一方、部署間の情報共有満足度は評価が拮抗し、会社や立場でばらつくことが示されています。

さらに、社内イベントの実施有無で職場評価に差があり、実施企業では職場を良いと評価する割合が58.0%であるのに対し、未実施は28%に留まります。共通体験の設計が”職場への認識”に影響する可能性があると言えます。

加えて、人的資本経営の文脈でも、研修・組織開発を「企業価値向上につながる投資」として設計することが要請されています。経産省は人的資本経営を、人材を資本として価値を最大化し中長期的企業価値向上につなげる考え方として整理しています。

チームビルディングの目的

チームビルディングの目的は、チーム内での業務プロセスや成果だけでなく、関係性やシナジーなどの背景にある要素を育むことです。有用なチームを編成し、成果を出すことで企業・組織が利益を獲得し成長することができます。

ただし、その道中には参加メンバーの成長、小さな目標達成、立ちはだかる課題・問題の解決など、さまざまな要素が含まれています。とくにチームビルディングで重視されるのが、他者との関係性の構築や理解といった、人間的な側面に着目した設計です。

だからこそ、チームビルディングワークショップでは「関係性を良くする」だけでなく、成果に向かうための”対話の型”と”意思決定の型”を作ることが重要になります。

チームパフォーマンスの向上

チームとしてのパフォーマンスの向上はチームビルディングの大きな目的の1つです。メンバーの役割の明確化、メンバー同士の相互理解、目標の共有など、チームとして活動する上で重要なポイントを押さえ、目的に合わせてチーム作りを行います。

その結果、参加メンバーそれぞれが互いを尊重し合い、主体性を発揮しながらも、チーム全体を意識して行動するチームが誕生します。また、チームパフォーマンスが向上すると成果も出やすくなるため、個々のメンバーのモチベーションの向上にもつながり、自ら成長しながら役割を担ってくれるようにもなるでしょう。

チームメンバーの関係強化

チームビルディングでは、主に参加メンバー同士の関係性を重視したチーム作りを行います。個々のメンバーの能力・経歴をはじめ、性格・考え方などコミュニケーションを通して相互理解し合うよう努めるため、必然的にチームメンバーの関係強化につながります。

チームの中でコミュニケーションが不足し、互いを深く理解できていない状態では、チームとして望ましい成果を上げることは難しいものです。適切なコミュニケーションによってメンバー同士の関係性が向上していれば、それぞれが役割を認識し、適材適所で力を発揮してくれるため、目標達成に向かって効率的に業務を遂行できるようになるでしょう。

チームビジョンの共有

チームビルディングの目的には、メンバー同士でチームビジョンを共有することも挙げられます。チームビジョンの共有がされていないと、目標達成に向けて足並みを揃えることが難しくなる上、個々のメンバーの能力・経歴を活かした人材配置を行うこともできません。

また、チームビジョンは、チームとしてどこへ向かうのかを明示する地図であるため、仕事のロードマップを作る場合においても重要な要素です。注意しなければならないのは、チームビジョンを決める際は、誰かが決めたビジョンを押し付けるのではなく、メンバー全員で相談して決定することです。

機能的で優秀なチームを作るには、メンバー全員が納得し、腹落ちした状態で協働することがポイントです。そのため、指針となるチームビジョンは必ず全員の意思を反映させるようにしましょう。

優秀な人財が集まったチームが良いチームではない

チーム内の人間関係は業績に大きく影響するため、良好なチームワークの構築が不可欠です。人事部門が人員配置や昇格を決定する際、人間関係の影響はしばしば見過ごされがちです。しかし、経営陣やプロジェクトリーダーは人間関係の重要性を理解しているはずです。

感情や集団心理などの人的要素は、しばしば直接の評価の対象となりますが、これらを定量化し、分析するのは難しいでしょう。現場では個人の経験や能力に頼る傾向が強く、これが職場での重要な課題となっています。

最近では、チームは短期的な成果を求められがちで、専門能力や技術に依存した急造のチームが多く見受けられます。急造のチームでは、チーム内で独自の文化が育たず、関係性もできないまま生産性も一定的で解散ということも少なくないでしょう。このように現代の多様なビジネス環境では、チームとしての生産性を上げることが以前よりも難しくなっています。

しかし、複雑な問題を解決するための専門知識とスキルをすべて持ち合わせたチームを計画的に組成することは実質不可能です。実際には、能力や専門性が不十分だったり、マインドが揃っていなかったりという状態からチームはスタートします。そのため、チーム自体を育成しながら成長させることが重要です。すなわち短期間でのチームの全面的な入れ替えや頻繁な人事異動は、チームビルディングの過程を損なうことにつながるということです。

また、チームビルディングでは、安定性と変化のバランスが重要です。メンバーを全面的に変更すると、信頼関係やシナジーが失われるリスクがあります。企業の業績は、個々の卓越した技量よりも、適度なスキルを持ち、良好なチーム環境で力を発揮する個人によって、より大きな成果が得られます。

さらに、ただ優秀な人材を集めただけでは成功しないこともあります。具体的には、中国企業が日本や台湾の技術者を引き抜いても、技術移転がうまくいかなかったり、スポーツチームが高額な年俸を支払っても勝率が上がらなかったりするケースが当てはまるでしょう。つまり、個々人の能力だけでは成功は保証されないということです。一方で、チーム全体を買収すると成功率が高まるケースがありますが、それは既存の人間関係が維持されるためです。企業にとって既存の人間関係は大きな価値を持ち、慣れ親しんだメンバーを維持することが重要なのです。

チームビルディングワークショップのメリット・デメリット

チームビルディングを行う目的は、新たなチームを発足することにより、業務や事業で良い成果を上げたり、課題・問題をチーム力で適切に解決したりするためです。言い換えると、目的に合わせて機能するチーム作りを行うことであり、そのためにはチームメンバー同士の関係性の構築、適材適所に人材を配置することが必要事項です。

チームビルディングでワークショップを実施するメリットは、これらに対してレクチャーを行うことであり、内容が適切であれば優れたチーム作りが行えるようになる点が挙げられます。

逆に、デメリット部分としては、企業・組織としての根本の目的を見失った状態でワークショップを行い、階層研修や行事として実施することで満足してしまうケースがあることです。定例会議や、形だけの階層研修システムなどと同じように、チームビルディングのワークショップも実施することが目的化し、職場のチーム作りや実務にスキルが転移しないまま、コストだけを消費するといった事態も少なくありません。

チームビルディングをワークショップで実施してメリットだけを享受したいのであれば、職場やプロジェクトチームにワークショップのファシリテーターとして入り込み、その職場やそのチームの課題や状況に合わせて業務遂行の中に関係性や風土に着目した介入策としてワークショップを実施するのが良いでしょう。つまり、リアルな現場の問題をテーマにしてワークショップを行うと一番効果が出るのです。

経済的な成長期にあった日本であれば、このような形骸化されたワークショップを続けていても、さほど問題にはならなかったでしょう。なぜなら時代の後押しもあり、多くの企業が順調に業績を伸ばしており、チームビルディングなしでも一定の成長を続けられていたからです。また、その当時の企業は組織構造としても人材が階層的に配置され、システマチックに業務が最適化されていました。そのうえ各人材の能力・スキル・メンタリティは画一的な状態で良く、多様なメンバーでチームを編成する意味もありませんでした。

しかし、現代のビジネスはテクノロジーの進歩や価値観の変容もあり、より複雑で多様な業務・人材で構成されています。その流れに合わせて顧客のニーズも多様化し、オンライン上のレコメンド機能にも表れているように、よりニッチで個別最適化された商品・サービスを提供することが求められています。さらに、超情報化社会の煽りを受け、日進月歩ならぬ秒進日歩の速度で日々時代が変化していることも、現代の企業・組織・ビジネスパーソンは意識しなければなりません。

このような複雑化したビジネスに対応するため、近年ではとくにチーム作りが重要視されるようになりました。参加メンバー各自がそれぞれの能力・経験を持ち寄り、専門的な役割をこなしながら、顧客のニーズに柔軟に対応する必要があるのです。

チームビルディングを多くの企業が取り入れるようになったのは、こうした時代的な背景が大きな理由です。つまり、チームビルディングでワークショップを実施するのは、現代ビジネスに対応できるチーム作りを行うことが本質的な意義なのです。その本質的な意義を見失わず、ただ実施するだけの形骸化したワークショップにならないよう注意しなければなりません。

昨今では、事業部や社内横ぐしチームなど現場単位の問題解決をする支援も増えています。

これは、現場は非常に複雑な課題と多様性を抱えている中で、関係性やシナジーを発揮することは容易ではないということを物語っています。

チームビルディングワークショップ開催までの設計ステップ

ここまでチームビルディングの基本と目的を整理してきました。では、実際にワークショップを開催するには、どのような流れで設計すれば良いのでしょうか。

上位記事で標準になっているのは「目的→内容→準備→実施→振り返り」のステップ化です。大企業で実務に落とすなら、さらに「現場ヒアリング」「関係者合意」「効果測定設計」を前に足すと失敗確率が下がります。ここでは、企画担当者が社内稟議・調整でそのまま使える流れとして整理します。

設計ステップ(例):現状診断 → 目的(行動目標) → 体験設計 → 事前準備 → 実施 → 振り返り → 現場実装 → 効果測定

現状診断(実施4〜6週間前)

まず、チームの状態を把握します。チームの発達段階モデルとして、タックマンが提案したグループ発達の枠組みは参考になります。形成期なのに高度な課題解決をさせる、機能期なのにアイスブレイクのみで終える、といったミスマッチが”意味ない”を生みます。

目的(行動目標)設定(実施3〜5週間前)

「一体感を高める」ではなく、「会議で全員が最低1回発言する」「部門間依頼の初動を24時間以内にする」など、測れる行動に落とします。こうすると、後述の効果測定も作れます。

体験設計(実施2〜4週間前)

ワークショップは”楽しい”だけではなく、狙う行動が出るように課題・問い・制約条件(時間、役割、情報量)を設計します。研究知見でも、チームビルディングは目標設定・対人関係・問題解決・役割明確化など複数要素の組み合わせで効果が期待されます。

事前準備(実施1〜3週間前)

参加者への目的共有、心理的安全性を損なわないルール設計、当日の段取り(会場/オンライン環境/備品/タイムテーブル/役割分担)を固めます。大企業では、関係者が増えるほど「誰が決めるか」が不明瞭になりやすいので、意思決定者と当日責任者を明確化しておきます。

実施(当日)

体験→対話→共有→合意→次の行動宣言(Small Win)まで行い、“現場に戻った翌日”にやることを参加者の言葉で決めます。写真・ログを残し、振り返りの材料にします。

振り返り(当日〜1週間以内)

アンケートだけで終わらせず、行動目標に対して「何ができた/できない」を言語化し、次の実装策(会議の型、情報共有ルール、定例ふりかえり)に落とします。

チームビルディングワークショップ開催のポイントとファシリテーション

ワークショップを開催する際は、進行役となるファシリテーターが不可欠です。ここでは、チームビルディング内のワークショップで、ファシリテーターがどのように立ち回れば良いかについて解説します。

目的の明確化と共有

チームビルディングのワークショップでは、目的を明確にして参加メンバーと共有することが大切です。進行役のファシリテーターは、ワークショップを開催する目的の確認やゴール設定はもちろん、開催日の日程やプログラムの構成、時間配分などを準備し、必要な項目を参加メンバーと共有するようにしましょう。

その際、ワークショップを開く理由や参加メンバーに提供できる価値について考え、ワークショップ全体を適切な形にデザインするよう、気を付けながら準備することが重要です。

プログラム管理

ファシリテーターの役割には、プログラム管理も含まれます。プログラム内容をしっかりこなすことはもちろん、時間配分の管理を行いながら、ワークショップの意義をメンバーに伝え、議論のきっかけを提供してメンバーが発言しやすい環境を整えることも役割です。

また、全員参加がコンセプトでもあるチームビルディングの理念に合わせ、発言が少ない人には積極的に意見するよう促すほか、要約などで時間調整をし、発言者が偏らないようバランスを取ることも大切です。状況に合わせて、プログラムを進行することも求められます。

場の状況の見極め

ファシリテーターは、場の状況を見極める観察力も求められます。ワークショップでは、参加メンバーが説明を理解しきれず作業が止まる、または一部の参加メンバーだけで議論が進むといったケースが多々あります。

そのような状況では、ファシリテーターが状況を見極めて介入し、必要に応じて説明を追加したり、課題やディスカッションの内容自体を変更したりするなど、適宜その時の状況に合わせた判断・対応をすることが求められます。

テーマに関する知見

ワークショップには目的があり、言い換えればテーマというものが設定されています。このテーマに対し、参加メンバーから質問された場合や、議論の中で一部のメンバーしかわからない専門用語などが出た際、ファシリテーターは説明しなければなりません。

そのため、ファシリテーターは一定の知見を持っている必要があるのです。ファシリテーターが十分な知識や経験をもとに回答ができないと、参加メンバーから信頼を得ることができず、役目を果たすことが難しくなります。言い換えると、テーマに対して適切な能力・経験を持つ人材をファシリテーター役にする必要があるとも言えるでしょう。

介入と放任のバランス

ワークショップでは、何かある度にファシリテーターが介入すれば良いというわけではありません。時には参加メンバーに状況を委ね、自助解決によって成長を促す放任という対応をする必要もあります。

介入と放任のバランスを取るためには、事前に行うワークショップのシナリオの作成がポイントです。個々の参加メンバーの役職・テーマへの知識をある程度把握し、ワークショップ上の課題・議論に必要な合意形成の段階を細かく用意しておき、多少のイレギュラーな事態が起きても対応できるよう、計画を立てておくようにしましょう。

チームビルディングワークショップの効果測定

ここまでワークショップの開催方法を整理してきました。では、実施後の効果をどのように測れば良いのでしょうか。

効果測定がないワークショップは、経営への説明責任が弱くなり、継続投資が難しくなります。測定の基本は、「望ましい行動パターン」を定義し、実施前後で”どれだけ増えたか”を見ることです(例:発言率、情報共有の初動、部門横断支援の申し出回数など)。

さらに、人的資本の観点では、インプット(研修実施)だけでなく、アウトプット・アウトカム(行動変容・成果)を意識した可視化が重要になります。内閣官房の人的資本可視化指針(改訂)も、経営戦略と連動した人材戦略・投資の好循環を目指す考え方を示しています。

測定設計の例(大企業向け)

・レベル1(反応):満足度/納得度/心理的安全の体感(当日)

・レベル2(学習):共通言語の理解度(ミニテスト/振り返り記述、当日〜数日)

・レベル3(行動):会議運営・情報共有・対話の型の定着(1〜3か月)

・レベル4(結果):部門間の手戻り削減、意思決定の速度、離職・エンゲージメント等(3〜12か月)

(※社内の評価体系に合わせ、追跡可能な範囲から始めるのが現実的です。)

リアルな課題を取り扱う重要性

チームビルディングのワークショップを実際に企業・組織で行う場合は、実践的でリアルな課題を取り扱うことが大切です。理由としては、自社の持つ課題の解決ではなく、一般的なビジネス上の課題をチーム作りのコンセプトに掲げてしまうと、事業や経営上で成果を上げるために必要なチーム作りが行われなくなることがあるためです。

チームは業務や事業で良い成果を上げるためや、課題・問題をチーム力で適切に解決するために発足させるものであり、チームビルディングはそのための手段です。自社の持つ課題、つまり実践的でリアルな課題を取り扱わなければ本質的な意味をなさないため、出発点として課題の設定をする際には注意しましょう。

チームビルディングにおすすめのワークショップ

ここからは、チームビルディングに適しているワークショップをご紹介します。どのようなワークショップも効果はありますが、チームビルディングと親和性の高い手法を選んだ方が、その効果はより大きくなります。

専門性が高くないチームにおすすめのワークショップ

まず、企業・組織の中で発足されるあまり専門性が必要でないチームにおすすめのワークショップについて解説します。あまり専門性が必要でないチームとは、専門性や特殊なスキル等が必要なプロジェクトのチームとはまた別に、その企業・組織で行っている通常業務などを担う集団を指します。

チェックイン

チェックインは、参加者が「今の気持ち」を一言ずつ共有するアイスブレイクです。最初に全員が発話することで、その後の議論の心理的ハードルが下がります。上位記事でも導入ワークとして頻出します。短時間でできるため、キックオフや会議の冒頭に”習慣化”する設計にも向いています。

Where I’m from ポエム

Where I’m from ポエムは、「私は〇〇から来ました」という形式の流れで、自身の趣味嗜好、価値観、家族や友人などについて、ポエム形式で表現して発表するワークショップです。たとえば、以下のようなテーマについてポエム形式で文章を作成し、参加メンバー同士で発表し合います。

・自身の性格
・価値観や主義について
・家族、友人、恋人など関わる人について
・所有物や愛着のある場所や物などについて
・これまでの経験

およそ30分以内で人数は3名以上、ホワイトボード・紙・筆記用具などを用意して行います。

Where I’m from ポエムの効果としては、自分自身が大切にしている感情や物事を思い出して現在の自分を形作った要因に自覚的になれることです。行動の理由になっている価値観や、自分を安心させてくれ、成長を促してくれる人間関係など、自分とはどのような人間かを振り返り、内省やこれからの行動につなげることが目的です。また、他のメンバーの発表を見てその人の人生や人となりに共感し、理解を得られるのも大きなメリットです。

WIND&ANCHOR

WIND&ANCHORは、自分がポジティブになる環境(WIND)とネガティブになりやすい行動/環境(ANCHOR)を共有するワークです。上位記事でも、相互理解の定番として紹介されています。大企業の部門横断チームでは、”暗黙の前提”がズレやすいため、最初に相互理解を可視化すると衝突コストを下げやすくなります。

陽口(ひなたぐち)ワーク

陽口ワークとは、参加メンバーがいないところでその人を褒めたり、承認の言葉を発表したりするワークショップです。尊敬できる部分や、能力や成果についてなど、仲間として良い側面を話していきます。

方法としては、まずは参加メンバーがZoomなどのビデオチャットツールにログインし、陽口を言われる対象者を決定します。その後、対象者のみカメラ・音声をオフにし、1人あたり3分〜5分程度、その人を褒めたり承認したりする発表を行います。この陽口の発表を参加メンバー全員に行うことで、ワークショップは終了します。

陽口ワークは、褒められることで自分の強みが発見できるほか、自己肯定感の向上といった気づきのきっかけになる側面があります。また、他者が褒められているポイントを知ることで、そのポイントを真似し、自分自身の成長につなげることもできます。とくに手痛い失敗をしたメンバーや、チームの業績があまり奮っていない時に効果を発揮することでしょう。

マシュマロ・チャレンジ

マシュマロ・チャレンジは、短時間で試行錯誤と役割分担が発生し、PDCAの体験学習になりやすいワークです。上位記事で定番化しています。「まず作ってみる→失敗する→改善する」を安全に回せるため、新規プロジェクトの立ち上げ時に向いています。

ペーパータワー

ペーパータワーは、チームメンバーで協力し合い、紙を用いてどれだけ高いタワーを作れるかを競うゲーム方式のワークショップです。

ゲームのルールの一例としては、1チーム5〜6人に分かれ、制限時間は1〜2時間、A4用紙を20〜30枚用意します。紙は折り曲げることも切ることもOKで、とにかく時間内に高いタワーを作成したチームが勝利となるシンプルなルールです。

ゲーム自体は、5分間の作戦タイムと5分間の組み立てタイムに分け、タワー完成後は10秒間の手放しタイムがあり、その間に崩れなければ組み立て成功となります。この作業を繰り返し、制限時間内にどのチームが1番高いタワーを作成したのかを競い合います。

ペーパータワーの効果としては、コミュニケーション能力やチームワークの向上が期待できます。また、PDCAサイクルの重要性を再認識し、目標達成を強く意識できるようになるなど、シンプルなゲームながら、さまざまなポジティブな効果を得ることができます。

ブレストカード

ブレストカードは、面白法人カヤックが提供しているカードゲームで、アイデア出しやコンテンツの創造に役立つワークショップです。ルールとしては、以下の流れになります。

「準備運動」では、参加メンバーそれぞれが発想カードを2枚ずつ引き、架空の「昨日見た夢」をテーマについて話します。
「お題設定」では、投資家役のメンバーがお題を決定します。
「発想」では、1人ずつ発想カードを1枚引き、カードに描かれたイラストから連想し、30秒以内にアイデアを発表します。
「乗っかり」では、参加メンバーが出揃ったアイデアの中から好きなものを1つ選び、一斉にチップを乗せ、アイデアを膨らませます。
「投資」では、2・3を踏まえ、投資家が一番心が動いたアイデアを選び、ポイントを参加メンバーに割り振ります。

メンバー内の投資家役を変えながら、1〜4までを繰り返し、最後にもっとも多くのチップを獲得していた参加メンバーが優勝となります。

チームビルディングにおいても有効なワークショップで、楽しみながらチームワークを向上させ、実践的に活用できるレベルの会議・発想力の訓練にもなるゲームです。

おえかきワークショップ

おえかきワークショップは、バツグリが提供しているワークショップで、参加メンバー同士の相互理解を深めることができるゲームです。おえかきという多くの人にとって非日常的な体験により、参加メンバーをリラックスさせ、本当の気持ちや素の反応を引き出すことができます。

まずは、参加メンバーに1分間の短時間で絵を描いてもらい、アイスブレイクを行います。その後、線や色を用いて自由な絵を描いてもらい、自身の感情や考えを、絵を通して表現してもらいます。言葉ではなく、絵として表現することで、言語化しにくい感情・思考をアウトプットすることができます。

最後に対話ドローイングという、テーマをもとに描いた絵を参加メンバーでシェアし合いながら行う対話を実施します。テーマの例を挙げると、「自分にとっての成長とは」「理想の社員像」「数年後の自分について」などです。

おえかきワークショップの効果としては、あるテーマに対して抱く言語化しにくい感情・思考を可視化することができ、それを他の参加メンバーに伝えられることです。自分自身について再発見するきっかけにもなり、他者を理解し、他者から理解されることも期待できます。

ある惑星からのSOS

ある惑星からのSOSとは、株式会社IKUSAが開発・提供する、オンラインで楽しめるSDGsと謎解きをかけ合わせたゲームです。PC・スマートフォン・タブレット端末で行うことができます。ゲームのルールは以下のとおりです。

「問題発生」では、ストーリーを読み、惑星のどこの都市でどのような問題が起きているか状況を把握します。
「謎解きパート」では、送られて来る謎を解き明かすことで、キーワードを導き出し、入力します。
「情報整理パート」では、キーワードに関連する情報がわかり、獲得した情報を整理して問題点を明らかにします。
「解決方法の表示」では、穴埋め形式で回答した情報整理が正しい場合、ストーリーが進みます。

上記のゲームの流れを、参加メンバーが役割分担しながらこなしていき、ゲームクリアを目指します。

ある惑星からのSOSの効果としては、SDGsの知識が身に付き、社会問題を知るきっかけを得ることができます。また、参加メンバー同士が協力しながらゲームを進めるため、コミュニケーションの活性化も期待できるため、チームビルディングのワークショップとしても有用です。

複雑で専門的なチームにおすすめのワークショップ

次に、専門性や特殊なスキルが必要なチームにおすすめのワークショップを解説します。この内容は、ファシリテーターを外部に依頼した方が効果的です。業務効率を考慮の上で、複雑で専門的なチームの場合は、専門性のある外部の人間を活用して実施した方が良いか判断しましょう。

NASAゲーム

NASAゲームとは、「宇宙船の故障によって月に不時着した宇宙飛行士たち」という設定のもと、320km先にある母船に辿り着くため、参加メンバー同士が合意形成を行いながらゲームを進めるワークショップです。ルールとしては、15個あるゲーム進行に必要なアイテムを、重要度の高い順に並び替えクリアを目指します。

NASAゲームの目的は成績を競うことではなく、合意形成のトレーニングです。参加メンバーを納得させるための意見の伝え方が必要で、チームが納得できる答えを出せるかがポイントです。

たとえば、ある参加メンバーの成績が優秀であれば、他のメンバーが萎縮して意見を言えなくなる状況もありますし、逆に自分の意見を押し通そうとするメンバーがいるかもしれません。合意形成という点において、ビジネスでも通ずる状況をシミュレートできるのがこのゲームの肝になります。

合意形成は、最終的には、各個人の考え方や価値観に依存します。論理や合理的な方法による合意形成は、実際には比較的容易ですが、考え方や価値観を含めて合意形成を行うことは難しいとされています。とくに不確実な未来に対しては、より考え方と価値観の共有と合意形成が重要です。ここにしっかり着目してワークショップを実践すると、ゲームがリアルに変化します。

効果としては、合意形成のプロセスの学習、それに伴って対話・会議・コミュニケーションなどの質を向上させることができます。チームビルディングにおいても、合意形成に関連する要素は大切になりますので、ワークショップとしても有意義です。

ワールドカフェ

ワールドカフェは、まるでカフェでお茶をしているかのようなリラックス空間を作り、その中で会議・ディスカッションを行うコミュニケーションの手法です。ビジネスライクな固い雰囲気ではなく、あえてインフォーマルな砕けた場にすることで、本音に近いオープンな意見・感想を引き出すことが目的です。

ワールドカフェのポイントとしては、テーマ・議題に対し、無理に結論を出そうとしないことです。結論を求めると参加メンバーはプレッシャーを感じ、自由に柔軟に意見することが難しくなるためです。あくまでも意見・感想の共有の場であり、楽しくリラックスした対話形式で会話することが大切です。

テーマ・議題は、ポジティブでオープンな内容を設定すると良いでしょう。具体的には、YES・NOでは回答できない問いが当てはまります。二者択一の回答で終わる問いは、そこで会話が終了してしまい、発展性がありません。リラックスして誰でも話せる空間作りを意識し、ネガティブで閉じた問いを設定することは避けるようにしてください。

効果としては、参加メンバーから自由な意見・感想を引き出し、プライベートに近い空間にすることで、お互いの距離が縮まるといったことが挙げられます。また、普段は関わりが少ない人ともコミュニケーションが取りやすい、といったメリットもあるでしょう。

ワールドカフェはワークショップと異なり、ファシリテーター(進行役)が全面的に出ないかわりに会話を促す特徴がありますが、チームビルディングにおいても有用な方法です。

OST(オープン・スペース・テクノロジー)

OSTは(オープン・スペース・テクノロジー)は、参加メンバーが主体となってテーマ・議題を提案し、進行やプログラムの流れなどもすべて参加メンバーが行うディスカッションの方法です。自らの意思で問題提起し、問題に対して興味を持つメンバーが集まり意見し合うため、参加メンバーの自主性・積極性を引き出すことも目的としています。

ファシリテーター(進行役)が強く介入しないという点では、前述したワールドカフェに近しいものがありますが、決定的な違いは、ワールドカフェのように意見・感想を共有する場ではなく、テーマ・議題に対し、話し合いで結論を出すことも目的としている点です。

OSTの効果としては、ボトムアップの意見を聞き取れることや、主体的な話し合いによって参加メンバーの当事者意識を引き出し、自走できる組織作りが可能となる点です。各個人が組織やチームについて考え、連携を意識して行動できるようになることが期待できるでしょう。この部分はとくに、チームビルディングのワークショップで有用な要素です。

ディベート

ディベートとは、会議などの公共の場においてテーマ・議題に対して複数の発言者によって議論がなされ、議論を聞いていた第三者の投票によって勝敗が決定される討論ゲームです。あえて対立する立場を取り、その立場から主張を展開し、相手の主張をいかにロジックや説得力で上回るかを競い合います。近年、メディアなどで「論破」というワードを目にしますが、ディベートでは論証構築・反駁・比較衡量・説得を目指して討論を進めていきます。

類似する言葉にディスカッションがありますが、大きな違いは優劣・勝敗の有無です。ディスカッションは意見を交わし、合意形成やすり合わせを行いながら結論を導き出すといった対話ですが、ディベートはゲームとしての討論なので、優劣・勝敗を最後に決定します。

ディベートの効果としては、論理的思考力(Logical Thinking)・批判的思考力(Critical Thinking)を養い、素早く主張を展開する発信力が身に付けられます。これらの能力はビジネスパーソンにとって重要なため、チームビルディングのワークショップにおいても有用になります。

ただし、ディベートはあくまでゲームです。普段のコミュニケーション・会議などで「論破」を目指してはいけません。相手の尊厳を傷つけるほか、下手をすると人間関係に亀裂が入る恐れがあります。ディベートは行う場を限定し、参加メンバー同士で了解が得られている状況だけで用いるようにしましょう。

上位記事では人狼ゲーム/謎解きゲーム/タニモク等も頻出のため、目的(相互理解・合意形成・課題解決)に応じて追記候補です。

まとめ

本記事では、チームビルディングに適したワークショップについて、メリット・デメリット、開催のポイント、おすすめのワークショップについてお伝えしました。優れたチームを企業・組織内に作ることは、経営や社員の成長にポジティブな効果をもたらします。

そのためには、まずはチーム作りの根幹であるチームビルディングの質を高める必要があり、ワークショップの開催が有効です。この記事を参考に、チームビルディングにおけるワークショップについて、理解を深めていただければと思います。

大企業では、部門間の壁やハイブリッド勤務の定着により”意図的な共通体験”が価値を持ちます。弊社ソフィアの調査でも、社内イベントの有無で職場評価に差が見られ、関係性構築の仕掛けが重要である可能性が示されています。

チームビルディングワークショップを「現場課題への介入策」として設計し、目的(行動目標)と効果測定まで一体で組み込むことで、研修を”コスト”ではなく”投資”として説明しやすくなります。

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チームビルディングに適したワークショップについてよくある質問
  • 大企業でチームビルディングワークショップが"形骸化"しやすいのはなぜですか?
  • 関係者が多く、目的が抽象化しやすいからです。目的が「実施すること」になると、現場行動に接続しないまま終わります。先に行動目標を定義し、現場実装と効果測定まで一体で設計するのが有効です。

  • オンラインでもチームビルディングワークショップは成立しますか?
  • 成立します。ただし偶発的コミュニケーションが起こりにくい分、チェックインや小グループ対話、役割分担などを”設計で補う”必要があります。雑談頻度が職場評価と関連する可能性が示唆されている点からも、設計の重要性は高いと言えます。

  • 効果測定は何から始めればよいですか?
  • まずは「観測可能な行動」を1〜3個に絞って、前後比較することから始めるのが現実的です(例:会議での発言率、情報共有の初動、部門間支援の申し出)。

  • 外部ファシリテーターを入れる判断基準は?
  • 利害調整が難しいテーマ(部門間対立、方針浸透、変革)や、専門性が高いチームほど外部の方が効果的です。中立性が高く、対話の設計と場の修復に集中できます。

  • 社内イベントとチームビルディングワークショップの違いは?
  • 社内イベントは「共通体験」そのものに価値があります。一方ワークショップは、共通体験を通じて”行動様式”を作り、日常業務に接続することが目的です。社内イベントの有無で職場評価に差が見られることからも、共通体験の設計は重要ですが、成果に繋げるには振り返りと実装が鍵です。

株式会社ソフィア

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人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。