「指導」から「学習」へのシフト。社員が主役の人材開発へ ~ASTDにみる人材開発のトレンド~|hirai

#ラーニングデザイン#研修・ワークショップ

13.May.2014

平井@ワシントンDC(実は今はNY)です。 
「ASTD2014インターナショナルコンファレンス&エキスポ」に参加し、4日間の日程を終えました。 

今回はさまざまなニュースも含めて、今のアメリカにおける人材開発のあり方について、いくつかの明確な示唆があったように思います。 
>>前回の記事はこちら 

① 指導者主体のトレーニングから、学習者主体のラーニングへ 

② 個別でバラバラに提供されてきた学習機会を統合し、トランスメディアとして展開 

個別に参加したセッションについてはまた後日書きたいと思いますが、今回は、私が感じた上記の2つのポイントについてご紹介します。 

指導者主体のトレーニングから、学習者主体のラーニングへ 

この流れについては以前から感じていましたが、今回は特にその傾向が強くなったように感じました。ここ数年取り入れられてきているニューロサイエンス(神経科学)系のセッションが増え、そのどれもが満員御礼の状況。ここでいえるのは、神経科学の発達によって解明されつつある学習者の脳の働きに関するデータをベースにラーニングデザインを考えるという動きです。いわゆるEvidence Based LearningでいうEvidenceを神経科学が提供し始めているということです。神経科学以外でも、さまざまな実証実験によるResearch結果などを基にする考え方が広くセッションのテーマとして取り上げられていました。このように受講者=学習者を主体とした考え方は今後ますます強くなっていく妥当路考えられます。 

 

また、この観点から象徴的だったは、このイベントの主催者であるASTD自身がその名前をASTD(American Society for Training and Development)からATD(Association of Talent Development)に変えたことでしょう。 

 

今回のイベント中に名称変更の発表がありました。70年前にこの組織が設立された際、組織の趣旨は、トレーナーの育成開発だったそうです。その役割の重要性は今でももちろんあるものの、時代が大きく変わる中で人材開発の役割も大きく変わり、現在は、組織の中のタレントを発掘しその潜在力をフルに生かすことが最大の使命となっているとのこと。 

 

もちろん組織の課題を解決することが主たる問題認識であることには変わりありません。しかし、トレーナーというよりも学習を促進するファシリテーターとしての役割や技法、そしてその環境を作るためのラーニングテクノロジーやその活用方法など、組織側からの一方的な押し付けではなく、学習者の視点でどうあるべきかに焦点が移ってきていることが明確に示されたと感じました。 

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個別でバラバラに提供されてきた学習機会を統合し、トランスメディアとして展開 

集合研修、e-Learning、組織の戦略に関する情報提供、成功事例の共有、社員間のコミュニケーションなど、組織における学習機会は本来同じような目的のために設けられていながら、相互の関連性が省みられていませんでした。これらをトランスメディア(メディア横断的なコンテンツ)として捉えて展開していくような方向性が示されています。いつでも、どこでも、誰とでも学ぶことが出来る環境づくりの実現に向けて、ソーシャルメディアの活用、バーチャルラーニングツールの導入やそれに必要なファシリテーション手法など、さまざまな企業体がさまざまなツールや仕組みを提供しようとしています。これは、先に紹介した「学習者主体のラーニング」というポイントとも大きく関連しています。 

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実はこれらの考え方は、ソフィアが普段からご提案しているインナーブランディングそのものだともいえます。従来型の集合研修といういわば公式な学習を中心とする考え方から、さまざまなコンテンツを統合できる情報接点を作りながら、バーチャルにも提供していくという姿にシフトしつつあることが見えてきます。 

また、研修(正しくは学習のといった方がいいかもしれません)の内製化という考え方にもつながってきます。ここで言う内製化とは、単純に社内講師を養成するということではなく、現場で実践されるために必要な学習の仕組み、仕掛け作りを意味しています。 

学習のゴールはあくまでも日ごろに仕事における意識・行動変革です。そうした変革を起こす上での集合研修の重要性は否定しないものの、それがインパクトとして占める割合は決して大きいものではありません。 
あるセッションのタイトルにもなっていましたが、リーダーシップ開発でよく言われる「70:20:10の法則」では、実際の仕事上の経験のインパクトが7割で、上司のアドバイスなど他社からの薫陶が2割、研修やセミナーなどによる学習のインパクトは1割といわれています。  

実際の仕事における経験と、研修などでの学びをいかに結び付けていくか? グローバル化の大きな流れの中でこのイシューを解決するためには、ITの活用が不可欠となります。ここに、将来の学習現場のあり方の一端が示されているような気がしました。 

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この記事を書いた人

平井 豊康

お客さまの人材育成面での課題解決に取り組んでいます。おもに集合研修の企画、開発、実施およびフォローアップを行っています。