オンライン研修のメリット・デメリットとは?成功のポイントも徹底解説
最終更新日:2026.05.26
目次
コロナ禍を機に、多くの企業で研修のオンライン化が急速に進みました。オンライン研修は、場所や時間を問わず参加できる利便性が大きな魅力です。しかし一方で、対面とは異なる課題への配慮も欠かせません。本記事では、大企業の人事部門長や研修企画担当者の方に向けて、オンライン研修のメリット・デメリットを運営側・受講側の両視点から整理してご紹介します。さらに、弊社ソフィアの調査結果も交えながら、オンライン研修を効果的に導入・運営するためのポイントを徹底解説します。最後にQ&A形式で皆さまのご疑問にもお答えし、オンライン研修成功のヒントをお伝えします。
オンライン研修の定義と概要
オンライン研修とは、インターネットを通じてパソコンやスマートフォン等で受講できる研修形態のことです。参加者と講師が同じ場所に集まらなくとも、リアルタイム配信(ライブ研修)や録画配信(オンデマンド研修)によって学習が可能になります。

例えば、決められた時間にWeb会議ツール上で講師と双方向コミュニケーションをとる形式を「オンライン研修(ウェビナー)」と呼び、好きな時間に録画教材を視聴する形式を「オンデマンド研修(eラーニング)」と呼びます。それぞれの形式に応じて、リアルタイム性や受講者のペース配分といった特徴が異なります。いずれにせよ、オンライン研修では対面集合研修では難しかった柔軟な学習環境を構築できる点が最大の特徴と言えるでしょう。
オンラインでの学習や研修は大きくわけて2種類の形態があります。ひとつは、受講者が録画データをいつでも視聴できるオンデマンド配信、もうひとつが、決められた時間にリアルタイムで動画を視聴するライブ配信です。オンデマンド配信はDのコンテンツ学習であり、Eラーニングと同種のものです。そして、現在オンライン研修と呼ばれているものの大半はライブ配信であるCのウェビナースタイルで、これは、Aの従来型集合研修をWeb会議システムなど活用してオンライン化したものです。
研修を開催する側にとって、対面の研修とくらべてオンライン研修の難しいところは、「与えられた課題に対する受講者の負担感・負荷など、受講者の反応や状況を把握しにくい」という点です。この問題を解決するために、すでにZoomやTeamsなどのオンライン会議ツールには、参加者を小グループにわけてグループワーク等を行える機能がついています。これらの小グループのそれぞれに講師やファシリテーターがついて、より個人にフォーカスした指導や介入を行う研修も増えています。しかし、Aにあたる従来型集合研修スタイルであれば、グループワークの際にも各グループの状況が一望でき、グループの状況比較等もしやすいのに対して、オンライン研修の場合は、一人の講師が全体の状況を知るには、それぞれのグループを順に巡回したり、各グループに入っているファシリテーターから情報を集めたりする必要があります。そのため、状況把握のためにより多くの人員や時間を必要とする場合も多いのです。
オンライン研修が導入される背景
オンライン研修が近年注目され、導入が進む背景には働き方の多様化と技術革新があります。特に新型コロナウイルス禍で対面研修の実施が困難になり、遠隔でも人材育成を継続する手段としてオンライン研修が脚光を浴びました。また、事業のグローバル化に伴い、地理的に分散した社員に統一的な教育を提供する必要性も高まっています。
弊社ソフィアが2024年に実施した調査では、従業員1,000名以上の大企業の約8割が社内コミュニケーションに課題意識を持っていることが明らかになりました。さらに社内コミュニケーション促進策として「研修・トレーニング」に取り組んでいる企業が51%に上るとの結果も出ています。このように多くの企業が人材育成・組織活性化の施策として研修に注力しており、オンライン研修は場所の制約を超えて全社的に教育機会を提供できるソリューションとして広まっているのです。
オンライン研修のメリット【運営側】
まず、研修を企画・運営する企業側の視点で、オンライン研修にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主な利点を整理します。
開催場所を問わない柔軟性
オンライン研修なら会場手配が不要で、物理的に参加が難しい社員にも研修を提供できます。場所の制約なく実施できるため、全国・海外の拠点社員にも同じ研修を同時提供可能です。またオンデマンド配信を活用すれば、受講者側のスケジュール調整も容易になります。弊社ソフィアの調査でも、オンラインイベントを活用する企業の約73.7%がセミナーや研修をオンライン実施していると回答しており、地理的ハンデを超えた教育の実現にオンライン研修が広く役立っていることがわかります。
コスト削減効果
従来の集合研修では受講者や講師の交通費・宿泊費、会場費など多大なコストが発生しますが、オンライン研修ならそれらを大幅に削減できます。初期準備に一定の投資は必要なものの、長期的には研修運営コストの圧縮につながります。移動に伴う業務時間のロスも減らせるため、人材リソースと時間を有効活用できる点もメリットです。
研修品質の均一化
オンデマンド型であればすべての受講者が同じ録画教材を視聴するため、研修品質を均一に保てます。ライブ配信型でも、一度に多拠点の社員に同じ講師が講義することで教育水準を平準化できます。地域や部署ごとに研修内容・質がばらつかず、公平な研修機会を提供できるのはオンライン研修ならではの強みです。
受講状況の一括管理
オンライン研修では学習管理システム(LMS)等を用いて、各受講者の視聴ログやテスト結果をデータで蓄積・可視化できます。誰がどの程度学習を進め理解しているかをリアルタイムに把握しやすく、未受講者へのフォローや研修効果の分析・改善に役立ちます。集合研修では困難だった詳細な受講履歴の管理も、オンラインなら自動的に記録でき、運営の効率化に貢献します。
教材修正・資料配布の容易さ
紙の配布資料を用いる従来研修では訂正時の差し替えや部数調整が手間でしたが、オンライン研修ではデータを修正して即共有するだけで対応可能です。参加人数の増減にも柔軟に対応でき、資料もワンクリックで一斉送付できます。教材管理の面でも効率的で、無駄な印刷コストや環境負荷の削減にもつながります。
受講者の表情・反応の把握
ウェビナー形式で少人数の場合、受講者にカメラONを促せば対面研修より表情が見やすい場合もあります。講師は受講者の顔色を確認しながら進行でき、チャットでの質問受付なども組み合わせることで双方向のコミュニケーションがとりやすくなります。
理解度に応じた柔軟な対応
オンライン会議システムの投票機能やチャット・クイズ機能を活用すれば、受講者の理解度を随時チェックできます。ライブ研修中に理解度テストを挟んだり、理解が不十分な場合は内容を補足するなど、その場で研修内容を調整する運営も可能です。必要に応じてブレイクアウトセッション(小グループ討議)を入れて個別フォローをするなど、オンライン環境下でも受講者一人ひとりに合わせた対応がしやすくなっています。
オンライン研修のメリット【受講者側】
次に、研修を受講する社員側の視点でオンライン研修の利点を見ていきましょう。受講者にとっては主に以下のようなメリットがあります。
スケジュール調整のしやすさ
オンライン研修はインターネット環境さえあればどこからでも参加可能です。オフィスや自宅から移動時間ゼロで受講できるため、研修のために予定を大きく空ける必要がありません。特にオンデマンド型研修なら好きな時間に視聴できるので、業務の合間や都合の良いときに受講でき、自由度が高まります。
教材・資料管理の手軽さ
オンライン研修では教材配布や提出もデータで行われるケースが多く、紙資料のように紛失・破損の心配がありません。必要な資料もキーワード検索ですぐ見つけられるため、研修資料の保存や参照が容易です。受講後の復習もしやすく、学習効率向上につながります。
均等な受講環境
オンライン研修中は基本的に受講者側のマイクをミュートにするため、他の受講者の物音や周囲の雑音で集中を妨げられることがありません。また対面研修のように「後ろの席でスライドが見えにくい」「会場によって声が聞き取りづらい」といった差もなく、全員が平等に視聴しやすい環境で研修に臨めます。質問もチャットで気軽に送れるため、挙手して発言するよりハードルが低く、積極的に質問しやすいでしょう。
自分のペースで学べるオンデマンド受講
録画提供される研修の場合、一度で理解できなかった箇所を後から繰り返し視聴できます。途中で止めてメモを取ったり、難しい部分を巻き戻して再生することも可能です。自分の理解度に合わせて学習の進行を調整できるのはオンデマンド研修ならではのメリットです。
学習状況の自己把握
研修後の理解度テストやアンケートがオンライン上で行われる場合、自分の成績や進捗を即座に確認できます。自動採点によりテスト結果がその場で表示されたり、LMS上で自分の学習履歴が視覚化されたりするため、自身の習熟度を把握して次の学習計画に活かしやすいです。
普段交流のない人との接点
オンライン研修は一度に参加できる人数の上限が高いため、社内外を問わず多数の参加者が集まる場を作りやすいです。例えば研修内でランダムにグループ分けしてディスカッションを行えば、部署を超えた社員同士や他地域の社員とも交流できます。普段接点のないメンバーと協働学習することで新たな刺激や社内ネットワーク構築につながる点もメリットと言えるでしょう。
オンライン研修のデメリット【運営側】
便利なオンライン研修にも、運営側から見ると注意すべき課題があります。主なデメリットを挙げ、それぞれ対策のヒントも考えてみましょう。
ツール・システム導入の必要性
オンライン研修を実施するには、Web会議システムやLMS(学習管理システム)など適切なITツールの選定・導入が不可欠です。社内にその知見がない場合は外部ベンダーの力を借りる検討も必要でしょう。また、ツール導入に伴うアカウント発行や操作法の周知など初期設定にも手間がかかります。こうしたIT基盤整備のコストはあらかじめ見込んでおく必要があります。
導入初期の時間的・人的コスト
新しい仕組みを導入する際には、ツールの習熟や運用フロー整備のために当初多くの時間と人手を要します。運営担当者自身がオンライン研修ならではの進め方に慣れる必要もあり、場合によっては外部専門会社のサポートを受けるケースもあります。その際は追加費用も発生するため、オンライン化によるコスト削減効果と天秤にかけて慎重に検討しましょう。
従来の集合研修とは異なる運営スキルの必要性
対面の集合研修に比べ、オンラインではコミュニケーションが希薄になりがちです。受講者のカメラがOFFの場合、受講態度の把握や集中度の維持が難しいという課題があります。講師側にもオンライン特有のファシリテーションスキルが求められ、これまでと同じ方法では効果が上がらない可能性があります。対策として、チャットで適宜問いかけを行う、アイスブレイクを増やす、休憩を挟むなどオンライン向けの設計に工夫が必要です。
システム・通信環境の不具合リスク
オンライン研修はインフラへの依存度が高く、システムトラブルや通信不良が発生すると研修そのものが中断・中止に追い込まれるリスクがあります。参加者側・講師側双方のネット接続状態に左右され、特にライブ配信では回線障害によって研修進行が乱れる恐れがあります。予期せぬ技術トラブルへの備えとして、代替手段(録画配信への切り替えなど)を用意したり、事前に接続テストを行うなど万全の準備が求められます。
オンライン研修のデメリット【受講者側】
受講者の立場から見ると、オンライン研修には次のようなデメリット・負担も指摘できます。企業側はこれらへの配慮やフォローも検討しましょう。
受講環境の自己整備負担
オンライン研修を受けるには、各受講者がカメラ・マイク付きPCや安定したネット環境を準備する負担があります。新たに機材を購入したり通信環境を改善したりと、研修開始前に手間や費用がかかる場合があります。こうした負担が大きいと受講意欲に影響するため、企業側で必要機材を貸与したり、接続サポートを行うなどの対策が望まれます。
ツールのインストール作業
資料閲覧や演習のため、事前に専用アプリやプラグインを各自のPCにインストールしなければならないケースがあります。ITリテラシーに不安のある受講者にはこの操作自体がハードルになる可能性があります。事前案内でインストール手順を丁寧に説明したり、テスト接続会を設けるなどして受講者の不安を解消するサポートが必要です。
コミュニケーションの取りにくさ
オンライン研修ではその場の空気感や相手の様子が分かりづらく、質問するタイミングも掴みにくいため、対面よりコミュニケーションに消極的になりやすい傾向があります。結果として受講者同士・受講者と講師の交流が不足し、学習効果が下がる懸念があります。この課題に対しては、チャットで気軽に発言できる場を用意したり、小人数のブレイクアウトセッションを取り入れるなど、意図的に対話を促す設計で補っていくことが重要です。
実技系研修への不向きさ
工場作業や接客スキルなど実技を伴う研修はオンラインでは進めにくい場合があります。画面越しでは細かな動作指導が難しく、受講者同士で実践し合うことも制約があります。そのため、実技研修をオンライン化する際は事前に練習用の教材や機材を送付し動画で手順を示す、難しい部分だけ対面講習にするハイブリッド型にするなどの工夫が必要です。近年ではVRや3D映像技術を活用し、オンライン上でも実物に近い体験ができる手法も登場しており、適切な組み合わせによってオンラインでも実技研修の効果を高めることが可能です。
主体的な学習意欲の必要性
オンライン環境では受講者の姿勢を企業側で細かく管理しづらく、極端な話「画面の前にいるだけ」で消極的に受講することもできてしまいます。そのため、受講者自身に主体的に学ぼうとする意欲がないと十分な成果が得られません。実際、弊社ソフィアの調査でも研修に対する不満として「受講しても実務に役立たない/活かし方がわからない」と感じる人が25.8%いたことがわかっています。その主な理由は「研修内容が現場のニーズに合っていない」(46.9%)、「内容がつまらない」(22.4%)などで、学習者の関心を惹く内容設計の不足が浮き彫りになりました。オンライン研修では特に受講者の興味を引き、自発的な参加を促すような工夫が求められます。
通信環境の不具合による受講支障
オンライン研修中に受講者側のネット接続が途切れたり不安定になると、研修についていけなくなる恐れがあります。途中でストリーミングが停止して内容を聞き逃したり、最悪の場合は研修を完了できないリスクもあります。企業側は「通信状況が悪い場合は音声のみ利用に切り替える」「後日録画を提供する」といったフォロー体制を用意し、誰もが最後まで受講できる環境作りに配慮する必要があります。
オンライン研修サービス・ツールの選び方
オンライン研修を実施・運営するには、目的に合ったサービスやツール選定が重要です。自社で研修コンテンツを用意するのか、既存の研修サービスを利用するのかによって選ぶべきツールも変わってきます。いくつかの観点からツール選びのポイントを整理してみましょう。
汎用性の高いツールを選ぶ
社内で講師や教材を用意し、幅広いテーマで研修展開したい場合は、多用途に使える汎用的なオンライン研修ツールが適しています。具体的には、ZoomやMicrosoft Teamsといった一般的なWeb会議システムを活用する方法があります。これらは手軽に講義配信や画面共有、ブレイクアウトセッションが可能で、社内にITリテラシーがあれば比較的スムーズに導入できます。ただし自社開催の場合でも、ツールのサポート体制や研修効果の測定機能(参加ログ取得やアンケート集計など)が充実しているかを確認しましょう。自社の研修ニーズや予算に合わせ、必要に応じて複数ツールを組み合わせるのも一案です。
必須研修向けの専門サービスを活用する
コンプライアンス研修や情報セキュリティ研修など、内容が専門的かつ定期的に実施する必須研修については、外部の研修サービスを利用するのも効率的です。例えば、富士通のeラーニングサービスでは既製のコンテンツを必要な分だけ受講でき、定額制(サブスクリプション型)で一定期間、複数コースを自由受講で無駄なく研修を実施できます。最新の法改正や業界知識に対応したプログラムが提供されるため、自社でコンテンツを開発・更新する手間を省けます。社会情勢に左右されやすい研修テーマは、このような専門サービスの活用で質と効率の両立を図るとよいでしょう。
教材作成・管理機能に優れたツールを選ぶ
自社独自の研修教材をオンライン化し、長期的に運用・蓄積していきたい場合は、教材開発や管理に強みを持つLMSを検討しましょう。例えば「KnowledgeDeliver」のようなツールでは、手持ちの教材データをアップロードするだけでなく音声や動画、テロップやアニメーションを追加してオリジナル教材を簡単に制作できます。さらに受講者への教材割り当てやテスト・アンケート集計といった運用管理機能も充実しており、3,000以上の導入実績を誇り、数十万名規模の大規模運用にも対応しています。このように、教材開発から効果測定まで一元管理できるタイプのシステムは、社内研修を戦略的に運用したい企業にとって強力なプラットフォームとなるでしょう。
なお、ツール選定にあたっては自社のセキュリティポリシーとの適合も確認が必要です。クラウドサービス利用時のデータ保護やアクセス制限機能など、ITガバナンスの観点からも信頼できるサービスかを評価しましょう。また最終的には複数の候補を実際にトライアル利用してみて、操作性や社内ユーザーからのフィードバックを確認した上で決定すると安心です。
オンライン研修の導入手順
では、オンライン研修を自社で導入するには具体的にどのようなステップを踏めばよいでしょうか。基本的な導入までの流れを押さえておきましょう。
研修の目的・全体像の明確化
まず「なぜ研修をオンラインで行うのか」「何を達成したいのか」を定義します。対象者や研修テーマ、到達目標を設定し、ライブ型とオンデマンド型のどちらが適しているか、研修後に身につけてほしいスキルや知識は何かといった全体設計を固めます。目的が明確になれば研修の形式や内容も方向付けしやすくなります。
研修方式・使用ツールの選定
目的に沿ってリアルタイム配信(ウェビナー)か録画配信(eラーニング)か、適切な提供形態を決めます。合わせて使用するWeb会議システムやLMS、必要な周辺ツールを選びましょう。前述の「ツールの選び方」を参考に、自社の規模・ニーズに合ったソリューションを選定します。参加者管理や資料配布、双方向機能など必要な機能が備わっているかをチェックします。
研修コンテンツの準備と環境整備
実施内容の詳細を詰め、資料やスライド、動画教材など研修コンテンツを作成します。同時に研修担当者・講師側の操作訓練も行い、選定ツールの使い方を習熟しておきます。受講者が使用するマイク・カメラやソフトウェア動作も事前に確認し、必要な事前インストールや設定案内を行います。研修当日に備えて環境面のチェックリストを作成し、入念にリハーサルすることが重要です。
受講者への案内・リハーサルの実施
研修日時や接続方法、当日のスケジュールを受講者に連絡します。必要な機材や推奨環境も明示し、可能であれば事前接続テストやチュートリアルを実施しておきます。受講者が当日あわてず研修に参加できるよう、不安点を解消しておきましょう。講師や運営スタッフも含めて、本番さながらのリハーサルを行い、トラブル発生時の連絡手段や対処フローも確認します。
研修の実施と効果測定
計画・準備した内容に沿ってオンライン研修を実施します。研修後にはアンケートやテストで理解度を確認し、LMSに蓄積された受講ログやテスト結果を分析して効果を評価します。受講者からのフィードバックを収集し、次回以降の研修改善につなげましょう。効果測定まで行って初めて研修PDCAが完結するため、実施後のフォローアップまで含めて導入手順に組み込んでおくことが大切です。
以上が基本的な導入の流れです。自社の状況に合わせて柔軟に調整しつつも、「目的の明確化→環境整備→周知→本番→評価」のサイクルを意識して進めると、スムーズにオンライン研修を定着させられるでしょう。
オンライン研修を成功させるポイント
オンライン研修を効果的に運営し、研修目的を達成するためにはいくつかのポイントがあります。ここでは研修担当者が押さえておくべき成功のコツを、弊社調査結果も踏まえながら解説します。
ウェビナーは、受講者がそれぞれの業務に必要とされるコンピテンシーを獲得して、企業の求める人材像に近づくことが目的とされます。一方でオンデマンド研修では、企業が実務に基づいた課題を受講者に与え、課題解決のために必要な要素を、受講者が自ら選んで身につけていくものです。先に課題やニーズがあり、それを解決することが目的とされるのです。
つまり両者はKPIが異なります。ウェビナーのKPIは受講者が学習を通じて知識・技術を実務に役立つレベルまで高めることにあるのに対し、オンデマンド研修のKPIは、学習内容を身につけ、実際の業務に活かすことにあります。
だからこそオンデマンド研修では、受講者が「学びを実務に活かそう」という姿勢を持っているかどうかが重要になります。また、姿勢だけでなく、学びを活かせる業務環境が実際に整えられているかも問われるでしょう。
受講者視点での研修設計
オンライン研修成功の鍵は「ラーナーエクスペリエンス(受講者の学習体験)」を意識した設計です。研修内容や進め方が受講者にとって理解しやすく、実務に活かしやすい流れになっているかを検討しましょう。特にオンデマンド研修では受講者が主体的に学べる課題設定や動機づけが重要で、ライブ研修ではリアルタイムなQ&Aや討論の機会を設けて飽きさせない工夫が必要です。弊社ソフィアの調査でも、研修効果が上がらない理由として「内容が現場のニーズに合っていない」が最多に挙がりました。研修企画時には必ず現場の声を拾い、学んだことをすぐ業務で活用できる具体的な内容に落とし込むようにしましょう。
入念な事前準備
スムーズな研修を実施するためには、入念な事前準備が欠かせません。 インターネット環境やパソコンの設定、必要なソフトウェアのインストールなどを事前に確認し、オンライン研修を受講するために必要な環境を整えるほか、研修の内容やスケジュールを事前に把握しておくことも重要です。研修の目的やテーマ、参加者への事前資料提供など、受講者が研修について理解しやすいように準備してきましょう。
さらに、オンライン研修ではコミュニケーションツールや学習プラットフォームの使い方も把握しておく必要があります。受講者がスムーズに参加できるよう、操作方法や注意事項などを事前に共有しましょう。その他にも、受講者の参加意欲を高めるために、研修の目的やメリットを明確に伝えることも重要です。受講者がなぜこの研修に参加する必要があるのか、具体的な成果や効果を示すことでモチベーションを高めることができます。
オンライン研修の効果を最大限に引き出すには、受講者の参加意欲を高める事前の準備が鍵となるのです。
メリハリある研修進行
オンラインでは長時間画面を見続けるため集中力が続きにくくなります。そこで、講義と演習・発言の時間を交互に設けるなどテンポよい進行を心がけます。例えば講師の講義を10分行ったら、次の10分は受講者にクイズへ回答してもらう、チャットで意見を書いてもらう、簡単な課題作業をしてもらうといった具合にリズムを作ります。長時間の研修になる場合は、1時間ごとに小休憩を挟むなど適度にリフレッシュできるよう配慮しましょう。
また、講義中に質問やディスカッションの時間を設けることも有効です。これにより、受講者は積極的に参加することができる上、受講者同士で意見交換を行うことで学びの共有や他者との視点の交換ができ、研修の内容に対して深い理解を得ることができます。
双方向コミュニケーションの促進
一方的な話だけでは受講者は受け身になりがちです。Web会議システムのチャットや投票、挙手機能など双方向機能を積極的に活用し、受講者からのフィードバックを随時引き出しましょう。質問タイムを設けたり、小グループでのディスカッションを途中に入れるのも有効です。参加者どうし、参加者と講師のコミュニケーションが活発になると学習意欲が高まり、理解も深まります。弊社の調査でも「質疑応答の機会が少ない研修」は不満要因の一つとされています。意図的に対話を生み出す工夫で、オンラインでも臨場感のある学びを実現しましょう。
研修後のフォローと効果測定
研修は実施して終わりではありません。終了後にアンケートで感想・意見を集めたり、一定期間後に定着度テストを行うなど、研修効果のフォローアップを行いましょう。オンライン研修では受講ログやテスト結果といったデータが残るため、それを分析して次回研修の改善につなげることが可能です。また、上司との面談で研修内容の活用状況をヒアリングするなど、職場で実践する支援も行えば研修効果が定着しやすくなります。PDCAサイクルを回し研修内容・運営を継続的に改善していくことが、オンライン研修を成功に導くポイントです。
以上の点を意識することで、オンライン研修のメリットを最大限に引き出し、デメリットを補完することができます。受講者の立場に立った設計と、データに基づく改善を繰り返しながら、効果的な研修プログラムを構築していきましょう。
双方向コミュニケーションが実現すると、受講者が受講内容から置いていかれることがなくなるので、受講意識が高まり、より効果的に学びを得ることができるでしょう。
研修の一元管理で運用も効率化
従来の集合研修では、会場の予約や参加者のスケジュール調整に時間と手間がかかりましたが、オンライン研修では場所や時間にとらわれず、会社の支社が地方にある場合でも同じ録画教材を使用することができるため、全社員に均等に研修を提供することが可能です。さらに、オンライン研修の一元管理により、研修の進捗状況や受講者の評価を簡単に把握することもできます。研修の受講状況や成績などをデータとして蓄積し、分析することで、研修の効果を客観的に評価することができます。
まとめ
この記事では、オンライン研修のメリット・デメリットや、成功のためのポイントについて解説してきました。オンライン研修は利便性が高く、メリットの多い教育方法です。そのため、対面の集合研修に代わるものとして今後も広く取り入れられていくことでしょう。
オンライン研修を成功に導くためには、「ラーニングエクスペリエンス」の設計が重要です。受講者目線で研修内容を組み立て、学習体験をデザインしましょう。





