【2025年版】組織開発コンサルティングとは?導入メリットと選び方、成功事例を徹底解説
最終更新日:2026.02.13
目次
「組織の縦割りが解消されず、部門間の連携が滞っている」「優秀な個人のスキルはあるのに、チームとしての一体感がない」「経営戦略やパーパスを策定したが、現場に響いていない気がする」——。
こうした悩みを抱えている企業は、決して少なくないのではないでしょうか。人的資本経営の開示義務化や労働市場の流動化を背景に、組織の「関係性」や「風土」に関する課題は、多くの大企業で経営アジェンダの最上位に位置しています。しかし、目に見えない「人と人との関係性」や「組織文化」にアプローチする組織開発は、社内のリソースだけで完結させることが極めて難しい領域であり、多くの人事責任者が頭を悩ませているのが現状です。
そこで注目されているのが、組織開発コンサルティングです。本記事では、組織開発コンサルティングの基本的な役割から、人材開発との決定的な違い、具体的な手法(フレームワーク)、そして2025年の最新トレンドであるISO 30414との連携まで、網羅的に解説します。さらに、弊社ソフィアが実施した最新の「インターナルコミュニケーション実態調査2024」のエビデンスを交えながら、失敗しないコンサルティング会社の選び方を紐解いていきます。
組織開発コンサルティングはどんなことをしてくれる?
組織開発コンサルティングは、企業に対するさまざまなコンサルタンティングサービスの中でも、あまりなじみがなくピンとこない分野かもしれません。戦略系コンサルティングが「事業」や「財務」を扱うのに対し、組織開発コンサルティングは「人」と「関係性」を扱います。組織開発コンサルティングは、組織開発という大きな枠組みの中で、さまざまな役割を担います。コミュニケーション不全の改善や組織風土の変革、場合によっては社内への定着化の企画〜運営〜効果測定といった中・長期的な伴走支援をも含みます。
本記事では、この組織開発コンサルティングがどのようなものかを、詳しく解説していきます。
組織開発コンサルティング会社が行う組織開発とは
組織開発は、1950年代の終わりにアメリカで生まれ、欧米を中心に発展してきた手法で、英語では「Organization Development」(略してOD)と呼ばれています。
ここで言う組織とは、職場・部門や会社組織で「共通の目的に向かって活動している集団」を指します。その組織が例えば「コミュケーションが少ない」「言いたい事が言えずモヤモヤすることが多い」「全体的に元気がない」といった状態から「現状よりも良い状態にできる」という開発の余地があると感じる場合に、組織開発を行います。
組織開発の目的は、組織を健全な状態に導き、組織の構成員それぞれが持つ能力を発揮できるようにすることです。組織開発では、社員個人の持つスキルや経験、ノウハウだけでなく、価値観やコミュニケーションの仕方などに着目し、これらの差異を可視化していきます。そしてこの差異をマネジメントすることで、組織全体をよりよくしていこうと取り組んでいきます。
組織開発自体は、組織内の人間が行うこともできますが、どのような場合に組織開発コンサルティングが有効なのでしょうか。
まず、当事者同士の問題を当事者自身で解決することが難しい問題などにおいては、組織開発コンサルタントのような外部の人間のほうが、客観的で当事者が納得しやすい解決方法を立案し実行することができます。社内の人間関係のしがらみや、過去の経緯にとらわれない第三者の視点は、膠着した状況を打破する強力な触媒となるのです。
また、中長期的に組織が成長するためには、組織文化・組織風土をよりよいものへと変化させ、進化させていく必要があります。それには経営者からマネジメント層、社員一人ひとりの考え方を深く知る必要があります。その際、社内の人間がヒアリングを行うより、ヒアリング対象者と利害関係のない組織開発コンサルタントが行ったほうが、本音を引き出しやすいでしょう。
さらに、「自社の可能性をもっと引き出したい」「優秀なメンバーがいるのにチームとしてパフォーマンスが上がらない」というような漠然とした問題や危機感にもとづいた組織改革にも、組織開発コンサルティングが有効です。課題の洗い出し、解決案の立案、伴走支援、これらを経て組織をありたい姿に変革させていきます。その結果として、業務効率や生産性が向上することもあります。意思決定がスムーズになることや、コミュニケーションが活性化することも、組織開発コンサルティングの目的に含まれています。
組織開発の目的や人材開発との違いは何か
組織開発の目的や人材開発との違い
組織開発の目的は、組織における人材の関係や環境を変えることによって、組織のパフォーマンスを上げること、組織をありたい姿へと変革させていくことです。
似たような概念として人材開発コンサルティングが挙げられますが、人材開発コンサルティングは組織の個人に着目し、それぞれの能力をしかるべき水準まで向上させていくことが目的であり、組織全体のコントロールは行いません。
この違いをより明確にするために、以下の比較表で整理します。人材開発が「個」を強化するのに対し、組織開発は「個と個の間(関係性)」を強化する点に最大の特徴があります。
| 比較項目 | 組織開発 (Organization Development) |
人材開発 (Human Resource Development) |
| アプローチ対象 | 組織全体、チーム、部門間の関係性 | 個人 (Individual)、個人のスキル |
| 目的 | 組織風土の変革、プロセス改善、相互作用の質向上 | 個人の知識・スキル・能力の向上 |
| 働きかけの方法 | 対話(ダイアローグ)、ワークショップ、サーベイ・フィードバック | 研修(トレーニング)、eラーニング、自己啓発支援 |
| 期待される成果 | 心理的安全性の向上、ビジョンの共有、一体感の醸成 | 営業力の向上、技術習得、マネジメントスキルの獲得 |
| 時間軸 | 中長期的なプロセス(終わりがない場合も多い) | 短期的・中期的(習得すれば完了) |
| キーワード | プロセス、関係性、自律性、対話 | コンテンツ、スキル、知識、学習 |
このように、組織開発は「個人の能力の総和」以上の成果を組織として生み出すためのアプローチです。例えば、優秀な営業担当者が集まっているのにチームの業績が上がらない場合、それは個人のスキル不足(人材開発の領域)ではなく、情報共有がされていない、あるいは足の引っ張り合いが起きているといった「関係性の問題」(組織開発の領域)である可能性が高いのです。
なぜ組織開発コンサルティングを依頼すべきなのか
組織開発においては社員同士の関係や雰囲気を改善しますが、同じ会社の社員がそれを行おうとすると、どうしても当事者同士の元々の利害関係から不安や反発などさまざまな感情が生まれ、うまくいかない、もしくは遅々として進まないケースがよく見られます。このような場合は外部の人間がコンサルタントとして介入した方が、社内における関係性の影響を受けることなく、当事者の納得感を得ながら組織開発を進めていくことができます。
組織開発コンサルティングは、人材の流動化によって近年需要が高まっています。タレントマネジメントシステムを用いて人の能力や履歴をマネジメントすることが容易になってきましたが、チームや組織の中の相互関係や感情をマンジメントするピープルマネジメントは未だ大部分は人が行うべきものであり、そのノウハウを自社で有している企業は少ないでしょう。組織開発コンサルタントは、その組織に合ったマネジメント手法を提案し、フィードバックまで行います。
組織開発を自社で実行するのは難しい
組織開発は、当事者同士による課題の解決が極端に難しい分野です。そのため、前述のとおり外部のコンサルティング会社に依頼した方がうまく進みやすいと言われています。また、専門的な技術や知識が必要になるため、自社で模索するよりも組織開発コンサルティングが専門分野として有するノウハウを採用したほうが効率的であるという理由もあります。この理由について、以下に詳しく解説します。
組織形態(モデル)が多い
組織はその目的によって「構造」が異なります。経営層を上位として業務内容を職能別に編成するスタンダードな組織が「機能別組織(職能別組織)」です。下位は営業や総務、企画などに分類されます。そのほか、複数の事業を持つ場合には経営層の下にA事業部、B事業部、C事業部…と連なり、その下に職能別の組織が存在することもあります。このほかに、社内分社制である「カンパニー制」、「マトリクス組織」や「プロジェクト組織」といった形態もあります。
組織開発に取り組む際、組織構造や業務のあり方がコミュケーションや関係性の障壁になっているケースもありますが、組織開発という手法は組織構造や業務のあり方自体を変えるものではありません。従って、組織形態の仕組や業務のあり方を深く理解し、考慮した上で、組織の現状に最適な打ち手を考えることができなければ、組織開発は成功しないのです。こういった組織構造の長所短所を考慮して組織を変革するのは、組織開発を専門とするコンサルティング会社が得意とするところです。
組織開発の手法が多い
組織開発の手法もさまざまで、組織開発を専門に行う人員を社内で育成するには時間と労力がかかるため、外部の専門家に依頼するのが現実的です。
組織開発には大きく分けて「診断型」と「対話型」の2つの潮流があり、さらにその中に無数のフレームワークが存在します。
診断型組織開発 (Diagnostic OD): 組織を「機械」のように捉え、どこが壊れているか(問題点)を調査・分析し、修理(解決)するアプローチです。サーベイ調査やインタビューを行い、客観的なデータに基づいて介入を行います。
対話型組織開発 (Dialogic OD): 組織を「意味づけのネットワーク」として捉え、メンバー同士の「対話」を通じて新しい意味や物語を生成し、変化を生み出すアプローチです。ワールド・カフェやAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)などがこれに該当します。
これらの手法を、組織の成熟度や課題の性質に合わせて適切に選択・組み合わせる高度な判断力が求められます。例えば、関係性が冷え切っている組織でいきなり「本音で対話しよう」と呼びかけても、心理的安全性が確保されていなければ逆効果になりかねません。コンサルタントは、こうしたリスクを見極め、最適なプロセスを設計します。
人事や介入者に求められるスキルが多い
組織開発を行う際、実施者(人事や介入者)には高度なスキルが求められます。例えば、組織内の情報を取集する能力、コーチング能力、ファシリテーション能力など、日常業務で常に必要とされるとは限らず、意識しなければ修得できないスキルばかりです。とくに、対話の空気を読んで個人の特性を見抜く力や、関係性を察知する力といったスキルセットは、身に着けるために多くの経験が必要なため、組織開発のプロでなければなかなか持ち合わせていないものです。
特に、近年注目されている「プロセス・コンサルテーション」の視点では、コンサルタントは答えを与えるのではなく、クライアント(組織)が自ら問題を解決できるよう、そのプロセス(過程)を支援する役割を担います。これには、ただ会議を進行するだけでなく、場の感情の機微を読み取り、適切なタイミングで「問い」を投げかける高度な介入スキルが必要です。
成果が見えにくい
会社として何らかの施策を展開する際には、実施前後で効果を測定しその成果を測るものですが、組織開発は目標とすべき指標の設定が難しいものです。そのため、ぼんやりと始まってぼんやり終わってしまうこともあります。目に見えない成果があったとしてもそれを感じられなければ成功とはいえません。組織コンサルティング会社が介入することにより、正しく目標設定を行い、効果測定、改善施策の立案・実行までを一貫して依頼できるので、組織開発の成果が可視化しやすくなるでしょう。
組織開発コンサルティング会社に依頼できることとは
組織開発コンサルティング会社には、大きなプロジェクト以外にも依頼できることが多くあります。細かな施策を積み重ねて大きな変革をもたらすことも可能ですので、自社の状況に合わせて検討するとよいでしょう。
職場の人間関係・コミュニケーション・組織風土における課題の解決
人間関係やコミュニケーションの不全は、表面化していないものも含めるとほとんどの企業において存在します。またこれらが深刻化すると、組織風土にもよくない影響が出る可能性があります。組織開発コンサルティングを専門とする会社は、コミュニケーションが健全に機能しているかどうかのチェックも行います。「もしかしたら」の段階から相談したほうが重症に至らずに済みますので、気軽に依頼してみましょう。
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションの課題解決において、単なるツールの導入や制度設計だけでは不十分であることが明らかになっています。「インターナルコミュニケーション実態調査2024」によると、社内コミュニケーション促進のために多くの企業が実施している取り組みの第1位は「1on1(個人面談)」(23.4%)でした。しかし、衝撃的なことに、「促進に効果的でないと感じる取り組み」としても1on1が上位に挙げられるという矛盾した結果が出ています。
これは、「形だけの1on1」が横行し、質の高い対話が行われていないことを示しています。組織開発コンサルティング会社は、こうした「手段の目的化」を防ぎ、管理職へのコーチング研修や対話ガイドラインの策定などを通じて、施策の実効性を高める支援を行います。
研修やイベント・ワークショップの依頼
組織内のコミュニケーション改善や組織風土の改善に向けた研修を行いたい、社内活性化のためにイベントやワークショップを行いたいという場合も、組織開発コンサルティング会社に相談することができます。
多数の実績を有している会社に相談すれば、自社でやみくもに取り組むよりもコストも時間もかかりません。さらにこちらも一般企業では難しい効果測定まで行ってくれるので、経営層への実施報告もしやすくなります。
具体的には、以下のような実績あるフレームワークを用いたワークショップの設計・運営を依頼できます。
| 手法・フレームワーク | 特徴と活用シーン | コンサルタントの役割 |
| ワールド・カフェ | リラックスした雰囲気で、席替えを繰り返しながら多くの人と対話する手法。「知の結合」を促し、全社的なテーマでの相互理解やアイデア出しに最適です。 | 「問い」の設計、安心安全な場の設定、全体共有のファシリテーション |
| アプリシエイティブ・インクワイアリー (AI) | 組織の「問題」ではなく「強み」や「成功体験」に焦点を当て、それらが最大限発揮された未来を協働で描くポジティブ・アプローチ。4Dサイクル(Discover, Dream, Design, Destiny)を用います。 | ポジティブな核(Positive Core)を引き出すインタビュー設計、未来像の統合支援 |
| タックマンモデル | チームの成長段階を「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」「散会期」に分類し、現在のステージに応じた介入を行う手法。特に「混乱期」の対立を乗り越える支援に有効です。 | チーム状態の診断、対立を建設的な議論に変えるための介入、共通目標の再設定支援 |
| フューチャーサーチ | ステークホルダーを一堂に集め、過去・現在・未来を探求し、共有ビジョンとアクションプランを作成する大規模会議手法。 | 多様な利害関係者の意見調整、時間管理、合意形成プロセスのリード |
これらのワークショップは、単に実施するだけでなく、その前後の文脈設計(なぜやるのか、結果をどう活かすか)が重要であり、ここにコンサルタントの知見が活かされます。
組織開発の取り組みの社内定着と内製化支援
組織開発は一度行えばそこで終わりではありません。組織文化も組織風土も、人材も移りゆくものですから、定期的に状況を確認し、軌道を正していく必要があります。そのため、ただ実践するのみでなく、自社にとって必要不可欠なものとして社内に定着させることが重要です。
そういった定着の支援も組織開発コンサルティングが担います。同時に、長きにわたって自社を支えてくれるよきパートナーとなってくれるでしょう。
近年では、外部コンサルタントに依存し続けるのではなく、「社内ファシリテーター」や「社内コーチ」を育成するプログラムを提供するコンサルティング会社も増えています。社内メンバーが組織開発のスキルを身につけることで、日常的な会議の質が向上し、現場レベルでの自律的な課題解決が進むようになります。コンサルタントは、初期の立ち上げや難易度の高い局面でのみ介入し、徐々に黒子役に徹していく「伴走支援型」の関わり方がトレンドとなっています。
2025年の組織開発トレンド:人的資本経営とISO 30414
2025年に向けて、組織開発コンサルティングの重要性はさらに増しています。その最大の要因は、「人的資本経営」の潮流と、それに伴う情報開示の国際規格「ISO 30414」への対応です。
ISO 30414と組織開発の密接な関係
ISO 30414は、人的資本に関する11領域・5869指標のガイドラインですが、その中には以下の項目が含まれています。
組織文化 (Organizational Culture)
エンゲージメント (Engagement)
リーダーシップ (Leadership)
ダイバーシティ (Diversity)
これらは従来の数値管理だけでは改善が難しい、まさに組織開発が取り組むべき「ソフト」な領域です。投資家やステークホルダーは、単なる従業員数や給与データだけでなく、「その組織が健全な文化を持っているか」「従業員が主体的に働いているか」といった非財務情報を重視し始めています。
組織開発コンサルティングは、これらの指標を向上させるための実質的なアクションプラン(組織文化の変革プロジェクトやリーダーシップ開発など)を実行し、その成果をエビデンスとして蓄積する役割を果たします。
戦略の浸透不足という深刻な課題
経営環境の変化に伴い、多くの大企業が「パーパス(存在意義)」や「新中期経営計画」を策定しています。しかし、立派な戦略を作っても、それが現場の行動変容に繋がっていないケースが多発しています。
弊社ソフィアの調査では、自社の経営目標や戦略に「共感している」と回答した社員は、わずか約1割(10%)にとどまるという衝撃的な結果が出ています。
トップダウンで戦略を「伝達(インフォメーション)」するだけでは、社員の心には届きません。組織開発のアプローチを用いて、戦略を自分事化するための「対話(コミュニケーション)」の場を作り、納得感を醸成するプロセスが不可欠です。コンサルタントは、経営と現場の間の「翻訳者」として、この深刻な断絶を埋める役割を担います。
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組織開発コンサルティング会社を選ぶポイント
組織開発コンサルティング会社は戦略コンサルティング会社や採用コンサルティング会社と比べると数は少ないものの、それでもいくつかの企業が存在します。最後に、組織開発コンサルティング会社を選ぶポイントについて解説します。
課題にあったソリューションを持っているか
組織に関する課題は企業によってさまざまです。前章で「依頼できること」をまとめましたが、それぞれ得意とする分野は異なります。自社の課題感と、各企業が得意とする分野を見極めて依頼をしましょう。
例えば、以下のような強みの違いがあります。
- 診断・分析特化型: 大規模なサーベイツールとデータ分析に強みを持ち、客観的な現状把握が得意。
- ワークショップ・研修特化型: 講師のファシリテーション力が高く、現場の熱量を上げて一体感を作るのが得意。
- 制度・構造改革連動型: 人事制度や組織構造の再設計とセットで、ハード・ソフト両面から変革するのが得意。
- インナーブランディング特化型: 社内広報やクリエイティブを活用し、ビジョン浸透や意識改革を行うのが得意。
実績
やはり実績は重要です。ここでは、クライアントの企業規模ではなく「どのような指標で効果測定を行い、クライアントにどういった成果をもたらしているか」を重視しましょう。ここがはっきり見えるかどうかも選定のポイントのひとつです。
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーション活性化には「対話・教育・ツール」の三本柱が必要であることが示唆されています。特定のツール導入や、一過性のイベント実施だけを提案するのではなく、これらを統合的に設計し、複合的なアプローチができる実績があるかを確認しましょう。
デジタルに強いか
組織開発の手法の多くはデジタルツールを利用しません。しかし、現実的には企業組織の情報の大半がデジタル上に存在しています。
例えば、給与管理システム、出退勤管理システム、タレントマネジメントシステムなどには、数値で可視化された従業員の情報が蓄積されています。また、業務をクラウド上で管理することが一般化していることや、社員同士のコミュニケーションがチャットツールなどのデジタルツールに依存していることからも、組織の情報を得るために、それらのデジタル上のデータを分析・活用できるかどうかが、これからの組織開発コンサルティングにおいて重要であることがわかります。
特に2025年以降は、生成AIを活用した業務プロセスの変革や、AIによるエンゲージメント分析なども視野に入れた提案ができるかがカギとなります。
長期的に伴走できるかどうか
組織開発は「定着させるもの」と解説したとおり、長期かつ定期的な実施が必要となります。そのため、タスクの遂行だけでなくメンテナンスのプロセスまで伴走してくれる会社を選ぶべきでしょう。また、社会の状態や状況の変化、組織のあり方の変化に合わせて、組織開発の手法も刻々と変化していきます。その変化に対応できる能力を持ったコンサルティング会社であることも重要です。
さらに、中長期的に組織風土や文化の変革に取り組んでいく際は、社内へのノウハウ蓄積や人的コストの面でも、外部のコンサルティング会社に全面的に依存するのではなく、社内ファシリテーターの育成が必要となる場合もあるでしょう。その際には、組織開発の内製化に理解があり、社内ファシリテーターの育成も依頼できるかコンサルティング会社かどうかが重要になってきます。
組織開発コンサルティングの費用対効果(ROI)の算出方法
組織開発コンサルティングの導入を検討する際、経営層から必ず問われるのが「費用対効果(ROI)」です。目に見えない関係性を扱うため測定は困難と思われがちですが、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することで効果を可視化できます。
ROIの算出ロジック例
一般的に、ROI(投資利益率)は以下の計算式で算出されます。
ROI (%) = (効果金額 – 投資金額) ÷ 投資金額 × 100
組織開発における「効果金額」は、以下のような要素を金額換算して推計します。
離職防止によるコスト削減: 離職者が1名減るごとの採用コスト・教育コストの削減額。 (例:採用単価100万円 × 離職抑制人数 5名 = 500万円の効果)
生産性向上による利益創出: 会議時間の短縮や、意思決定スピードの向上による人件費の効率化、またはプロジェクト成功率向上による売上増。
エンゲージメント向上による業績連動: エンゲージメントスコアと営業利益率の相関関係を分析し、スコア上昇分を利益換算する(高度な分析が必要)。
KPI(重要業績評価指標)の設定例
費用対効果を測るための中間指標として、以下のようなKPIを設定することが推奨されます。
- エンゲージメントスコア: eNPS(Employee Net Promoter Score)や組織診断サーベイの総合スコア。
- 1on1実施率と満足度: 形骸化していないかを確認するため、「実施率」だけでなく「部下の満足度」をセットで測定。
- 経営理念・戦略への共感度: 弊社ソフィアの調査で課題となっていた「共感度」を定期的に測定し、浸透施策の効果を確認。
- 心理的安全性スコア: チーム内で率直な発言ができているかを測る指標。
- 社内公募制度への応募数: 社員の主体性(自律的キャリア形成)の表れとして。
組織開発コンサルティング会社は、こうしたKPIの設計から、データの収集・分析、経営層へのレポーティングまでを支援します。ISO 30414への対応においても、これらのデータは人的資本レポートの重要なエビデンスとなります。
組織開発コンサルティングの失敗事例と原因
組織開発は魔法の杖ではありません。コンサルタントを入れたからといって、必ず成功するわけではありません。典型的な失敗パターンを知っておくことで、リスクを回避できます。
1. 経営層・トップのコミットメント不足
最も多い失敗原因です。「現場が元気ないから、君たちで何とかしてくれ」と人事部門に丸投げし、経営層自身が変わろうとしないケースです。組織開発はボトムアップのアプローチも重要ですが、トップが変革の意志を示し、心理的安全性を担保しなければ、現場は「また一時的なイベントか」と冷めてしまいます。
2. 手段の目的化(「1on1」や「研修」をやることがゴールになる)
弊社ソフィアの調査でも明らかになったように、1on1を実施していても効果を感じていないケースが多々あります。これは、「なぜやるのか」という目的(パーパスの浸透、信頼関係の構築など)が共有されず、回数をこなすこと自体がKPIになってしまっているためです。
3. 現場の課題感との乖離(ズレ)
現場は「業務過多で疲弊している」のに、経営側が「イノベーションが足りない」と言って新しいプロジェクトを課すようなケースです。組織開発コンサルタントが入る意義は、この経営と現場の認識のズレを客観的な診断によって可視化し、対話のテーブルに乗せることにあります。このプロセスを飛ばして施策を打つと、現場の反発を招きます。
4. 短期的な成果を求めすぎる
組織文化の変革には時間がかかります。タックマンモデルでいう「混乱期(Storming)」では、本音が出ることで一時的に対立が表面化し、雰囲気が悪くなったように見えることもあります。これを「失敗」と捉えて施策を止めてしまうと、変革は頓挫します。コンサルタントは、この混乱期を乗り越えるための伴走支援を行いますが、クライアント側も中長期的な視点を持つ必要があります。
まとめ
「コンサルティング会社へ依頼する」というとそれだけで敬遠される企業もありますが、外部の人間が介入するからこそ成功する分野があることはぜひ理解していただきたい部分です。組織開発はまさにその典型例といえるでしょう。その上で自社の課題感に合わせてうまくコンサルタントを活用し、長期的には内製化も視野に入れて考えることが、組織開発を成功させる秘訣です。
社内の人間関係や過去のしがらみに縛られない第三者が入ることで、本音の対話が生まれ、組織の「澱み(よどみ)」が解消されます。特に2025年は、人的資本経営の実践段階として、組織のソフト面への投資が企業の競争力を左右する年になります。
「戦略が浸透しない」「1on1が機能していない」「部門間の壁が厚い」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ実績豊富な組織開発コンサルティング会社への相談を検討してみてください。ソフィアも組織開発の支援を行っておりますので、ぜひお問い合わせください。
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