組織コンサルタントのメリットとは?大企業の課題別活用と選び方
目次
組織課題が複雑化する大企業ほど、施策を「やっただけ」で終わらせず成果につなげる設計が欠かせません。一方で、部門間の利害調整や現場への浸透、効果測定までを社内だけでやり切るのは簡単ではないのが実情ではないでしょうか。本記事では、組織コンサルタントに依頼するメリットと注意点、課題別の活用法、選び方を体系的に整理してご紹介します。
組織コンサルタントに相談するまえに
組織コンサルとは
組織コンサルとは、組織にまつわる企業課題への解決策の立案や、実行を支援するコンサルティングを指します。具体的には、組織改革や人事採用・評価制度の構築などが一例として挙げられるでしょう。ここでは、コンサルを依頼する前に知っておきたい「組織コンサルの仕事の進め方」についての基礎的な情報をお伝えします。
この記事では、上記の定義を踏まえつつ、大企業の人事部門長/研修企画担当者が「いつ・何を・どこまで」外部に任せると効果が出やすいのか、判断基準を具体化していきます。
組織コンサルの業務範囲
組織コンサルは、コンサルに依頼した業務を将来的に社内で担えるようにする「内製化」を見据えた支援か、あくまで外部の専門家として一時的な施策提案やプロジェクト支援を行うのかによって、業務範囲が異なります。
広告などでは「組織コンサルを入れることで組織が変わる」としばしば謳われますが、コンサル会社によって得意・不得意はありますし、依頼する業務範囲や介入の程度、関係性によってできること・できないこともあります。
いくらコンサル会社側が多くの成功事例やメソッド・ツールを持っていたとしても、結局のところコンサルタントは社外の人間なので、社内の人間のように権限や影響力を持つことはできません。
平たく言うと、コンサル会社だけで組織を変えることは実質不可能であるということです。コンサルを入れることで組織が変わるかどうかは、結局のところコンサルタントが組織内にいかに介入することができるか、ひいては社内の人間がコンサルタントをどう生かすことができるかにかかってくるのです。
業務範囲を整理すると、一般的には次のように
「診断」「設計」「実行」「定着(内製化)」の4領域に分かれます。
診断:
アンケート/インタビュー/既存サーベイ再分析、現場観察、課題仮説の整理
設計:
目標・KPI設計、施策ロードマップ、制度・研修・コミュニケーション施策の設計
実行:
運営体制づくり、関係者合意形成、研修運営、社内展開、メディア制作・イベント運営
定着(内製化):
推進メンバー育成、運用マニュアル化、効果測定の仕組み化、継続改善(PDCA)
組織コンサルタントに依頼するメリット
ここからは、メインキーワード「組織コンサルタント・メリット」の観点で、大企業の人事・研修担当が得やすい価値を、現場の実務に落とし込んで整理していきましょう。
社外の専門家の知見が得られること
組織開発・人材育成・社内コミュニケーションなどは、正解が一つではなく、かつ社内政治や慣習の影響も受けやすい領域です。第三者の視点が入ることで、現状の「当たり前」を相対化し、課題を言語化しやすくなります。あなたの職場でも、「なぜこうなっているのか」と疑問を感じながらも、慣習として続いていることはありませんか。
足りない自社内のリソースを補えること
組織課題のプロジェクトは、調査設計、分析、合意形成、施策設計、運営、効果測定まで工程が多く、繁忙期の人事部門だけで回し切るのは難しくなりがちです。外部支援を活用することで、計画倒れや遅延のリスクを下げられるでしょう。
「課題の見える化」を短期間で進められること
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションに「多少問題がある」「大いに問題がある」が合計79%に達しました。さらに、問題を感じる対象は「部門間」58%、「部門内(上司と部下)」51%、「経営陣と社員」42%と、縦横に分散しています。こうした複合課題は、部署別の声を集めて全体像に統合するだけでも難易度が高く、外部の調査・分析支援が効果を発揮しやすい領域だと言えるでしょう。
施策を「やった」で終わらせず、実行と定着まで伴走できること
組織コンサルは「伴走型」であることが重要
基本的に組織コンサルは、関わる業務範囲をあらかじめ決めて契約します。
例えば財務系のコンサルであれば「経費を5億円削減する」という目的で契約ができますが、組織コンサルが行う業務は具体的な指標化が困難なものも多くあります。たとえば、「従業員エンゲージメントを高める」といった指標は可視化しにくいものです。
そのため、組織コンサルは「現状の組織状態の調査」「人事評価制度の見直し」「研修の実施」など、施策ありきで契約することになります。しかし、課題解決という目的ではなく、施策(手段)ベースで契約してしまうと、おのずと組織コンサルの業務範囲が決まってしまい、それ以上の介入は見込めません。
本気で組織の課題解決を図るために組織コンサルを入れるのであれば、「伴走型」のサービスを提供しているコンサル会社を選ぶべきです。伴走型のサービスとは、解決すべき課題をベースに調査や目標設定、施策提案を行い、施策の実施や社内への浸透など、状況に応じて方向修正を行いながら、コンサルタントが組織に深く介入して担当者に伴走しながらあらゆる手段を用いて課題解決に向けた支援を行います。
そのため、外部の専門家に組織コンサルを依頼しているというより、企業運営に必要な業務を外部委託(BPO)しているイメージに近いといえます。また、会社としてのノウハウを残しておくためには、一時的な外部委託の支援ではなく、ゆくゆくは内製化することを前提に、社員のトレーニングやマニュアル化なども含めた支援を受けたほうがベターです。
特に大企業では、施策そのものよりも「現場が動ける設計」「部門横断での合意形成」「継続運用の仕組み」が成果の分かれ目になります。伴走型は、この”実行の谷”を埋めるのに向いているのではないでしょうか。
組織コンサルタントに依頼するデメリットや注意点
ここまで、組織コンサルタントに依頼するメリットについて見てきました。では、デメリットや注意点にはどのようなものがあるでしょうか。
組織コンサルタントが社外の人間であることは、メリットとデメリットの両面があります。メリットとしては、社内のそれまでの経緯や既存の人間関係に左右されずに「〜すべき」「〜であるべき」という提言ができるという点が挙げられます。
一方で、これまでの文脈への理解不足や社内情報の不足、社内のコネクションがないために根回しや情報共有の不足が生ずるなどのデメリットもあります。
デメリットを最小化する実務ポイントは次の通りです。
- 目的(なぜ今やるのか)とゴール(何が変われば成功か)を、発注側が言語化する
- 経営・人事・現場の”意思決定者”と”推進者”を明確にし、会議体と権限を整える
- 「提案して終わり」にならないよう、実行フェーズの体制・工数・RACIを最初に合意する
- 成果の指標(先行指標/遅行指標)を決め、短いサイクルで検証・修正できる設計にする
組織コンサルを利用する上で注意しなければならないのは、コンサルと企業が「依存関係」に陥らないようにすることです。
契約更新を前提にせず、フェーズごとに「内製化の到達点」を置くことで、依存を防ぎながら成果を積み上げやすくなるでしょう。
大企業の人事・研修担当が組織コンサルタントを検討すべきタイミング
次のような状況では、組織コンサルタントのメリットが出やすい傾向があります。みなさんの組織におきかえて一緒に見ていきましょう。
- 組織課題が複数部門にまたがり、当事者だけでは整理できない
- エンゲージメントや風土改革を掲げているが、施策が点在し成果が見えない
- 研修を実施しているが、現場で活用されず行動変容につながらない
- 社内コミュニケーションの分断(部門間・上司部下・経営と現場)が顕在化している
- デジタルツール導入後の”使われない問題”が続いている
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーション問題の具体例として「業務に関連する情報が共有されない」46%、「共有が遅い」39%、「欲しい情報がどこにあるかわからない」33%が上位でした。情報流通の詰まりは、制度や研修の前提となる”共通理解”を崩しやすいため、早めのテコ入れが有効だと言えるでしょう。
課題別に見る組織コンサルタントの支援
前述のとおり、組織コンサルは「組織の課題解決」という目的を達成するために活用すべきものであり、施策(手段)ありきで選ぶべきではありません。
ここでは、競合記事に多い”領域整理(採用/組織/育成)”も踏まえつつ、実務で発注しやすい形に再整理してご紹介します。
(課題)従業員の満足度を高めたい
従業員の満足度を高めることが課題であれば、下記のようなサービスを活用するとよいでしょう。
コミュニケーション調査
社員満足度調査
社員インタビュー調査
調査結果を”施策に変換”する際は、課題を「構造(制度・役割)」「関係(上司部下・部門間)」「情報(共有・検索・意思決定)」に分解し、優先順位をつけると実行しやすくなります。
(課題)自社内のブランディングを強化したい
社員ペルソナ分析
経営方針・ビジョンの浸透シナリオ構築
弊社ソフィアの調査では、経営目標や戦略を「十分把握している」が8%にとどまり、理解・共感のギャップが示唆されました。浸透施策は”発信量”ではなく、“受け手が行動に移せる翻訳”が鍵になると言えるでしょう。
(課題)部門間連携を強化したい
部門間の摩擦は、施策が部門最適に陥ると深刻化します。弊社ソフィアの調査でも、問題を感じる対象の最多が「部門間」58%でした。
横断テーマの再定義(目的・KPI・優先順位の共通化)
対話設計(タウンホール、職場対話会、ワーキンググループ)
情報設計(誰に何をいつ伝えるか/検索・ナレッジ設計)
(課題)研修を”現場で使える”形にしたい
研修に対する問題意識として、弊社ソフィアの調査では「受講しても実務に役立たない/役立て方がわからない」が25.8%で最多でした。理由としては「現場の具体的ニーズに合っていない」46.9%、「インプット中心で実践のイメージがわかない」40.6%などが上位に挙がっています。
現場課題から逆算した研修設計(ケース・演習・職場実践の設計)
反転学習/コミュニティ運営など”学びの継続”の仕組み化
上司巻き込み(現場での実践支援・フィードバック)
(課題)社内コミュニケーション施策の効果測定を回したい
社内広報の効果測定について、弊社ソフィアの調査では「十分実施している」は15%にとどまりました。アクセス解析だけでなく、定性ヒアリングや行動変容指標を組み合わせる設計が重要です。
KPI設計:認知→理解→共感→行動の段階に沿った指標化
定量(アクセス解析・サーベイ)+定性(ヒアリング・自由記述分析)の併用
施策別の”先行指標”を置き、短サイクルで改善する

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組織コンサルタントの選び方
上位記事では「第三者視点」「専門知見」がメリットとして挙がりやすい一方で、リライト対象記事は”伴走・内製化”の強みが明確です。ここでは、その強みを活かしつつ、選定基準を実務レベルに落として解説します。
- 伴走の定義が明確か(会議体、現場介入、推進支援、定着支援まで含むか)
- 調査・分析の設計力があるか(定量+定性、自由記述の扱い、部門別比較など)
- 施策の”実行”に強いか(研修運営、社内浸透、制作・イベント運営など)
- 内製化の設計があるか(移管計画、育成、マニュアル、ツール整備)
- 成果の測り方に合意できるか(短期KPI/中長期KPI、検証サイクル)
- 大企業のステークホルダー調整経験があるか(縦割り・多層構造への対応)
RFP(提案依頼書)を作る場合は、目的・スコープ・想定期間・意思決定者・制約条件(労務/個人情報/IT)を最初に明記すると、提案の品質が上がるでしょう。

組織や仕事の変革に「伴走者」が求められる理由 ~シリーズ「変革する人には伴走者が必要だ」①
いまビジネスの世界や教育や行政などににおいて注目されている「伴走」という概念。創業以来、顧客企業の課題解決や…
組織コンサルタントに依頼する前にしておくべき準備
発注前の準備で、成果の8割が決まると言っても過言ではありません。最低限、次の”5点セット”を用意しましょう。
背景:何が起きていて、何が困っているか(事実ベース)
目的:何のためにやるか(部門間連携を改善し意思決定を速くする)
成果像:何が変われば成功か(行動・プロセス・指標)
体制:意思決定者・推進者・現場協力者、会議体・頻度
制約:予算、期間、対象範囲、データ取り扱い(個人情報等)
可能であれば、直近のエンゲージメントサーベイ、人事KPI(離職・異動・採用など)、研修の受講/満足/実践データ、社内メディアのアクセス指標など”既存データ”も整理しておくと、診断が加速します。
組織コンサルタント依頼の進め方
競合記事では”ステップを踏んで発注”が強調されています。大企業向けには、次のプロセスが現実的でしょう。
ステップ1:現状整理(課題仮説、関係者、制約条件)
ステップ2:候補選定(実績、伴走範囲、体制、費用)
ステップ3:提案比較(ゴール/KPI、実行計画、リスク設計、内製化計画)
ステップ4:契約(成果物、役割分担、会議体、データ管理)
ステップ5:診断→設計→実行→定着(短いサイクルで見直し)
ステップ6:振り返りと移管(内製化、運用ルール、次フェーズ判断)
組織コンサルタントの費用相場と契約形態
費用は”何をどこまでやるか”で大きく変わるため、相場だけで判断しないことが重要です。一般的には次の契約形態が多く見られます。
プロジェクト型:診断〜施策設計まで、または研修設計〜運営まで等、範囲を切って見積もる
月額(リテイナー)型:伴走支援として、会議参加・資料作成・運用支援を一定工数で継続する
成果物+実行支援の組み合わせ:設計物(ロードマップ等)に加え、実行フェーズの運営を含める
見積比較では、金額よりも「稼働するメンバーの役割」「現場への介入方法」「内製化の到達点」「効果測定の設計」が含まれているかを確認してください。
組織コンサルの活用事例
最後に、組織コンサルであるソフィアが支援を行った事例について紹介します。組織コンサルを活用する際の参考にしてみてください。
なお、コンサルを選ぶ際は伴走型で施策の推進などの実務にも関わり、その中で手法や施策を柔軟に変えてくれる会社を選ぶとよいでしょう。
最後に、組織コンサルであるソフィアが支援を行った事例についてご紹介します。組織コンサルを活用する際の参考にしてみてください。
なお、コンサルを選ぶ際は伴走型で施策の推進などの実務にも関わり、その中で手法や施策を柔軟に変えてくれる会社を選ぶとよいでしょう。
組織風土改革施策の事例
ある中堅企業では、収益基盤となっていた自社商品の販売が途絶え、業界でも統廃合が進みつつあり、自社独自の戦略を打ち出し、生き残りを図ることが求められている状況でした。また、マネージャーと現場社員が一体となって事業変革を進めていくために、マネジメント間の一体化やマネージャーと一般社員の信頼関係強化が課題となっていました。
そこでソフィアでは、マネジメント層と現場社員の対話を促すとともに、現場社員からマネジメント層の信頼を損なう一つの要因となっていた意思疎通の悪さを改善するため、マネジメント層の組織開発を実践しました。
さらに、社員のエンゲージメントや関連の度合いを高めるため、事業変革に向けた価値観やテーマを検討し、実際に改革を進めていくプロジェクトを立ち上げ、推進し、行動指針や理念ビジョンの見直しも行いました。
風土改革は”施策の数”ではなく、対話と行動の積み上げで変わります。プロジェクト運営(会議体・意思決定・情報発信)まで支援できるかが成否を分けるでしょう。
インナーブランディング施策の事例
あるグローバル部品メーカー企業では、国内外の競合メーカーが台頭してきたことにより、事業環境が厳しさを増す一方、自社ブランドの強みを社員が十分に理解していない状況でした。そのため、全社のブランド力や営業力、バリューチェーンの強化のために、インターナルブランディングの推進が課題となっていました。
そこでソフィアは、コミュニケーションを阻害する要因を明らかにし、改善施策につなげるためのオリジナル調査を実施しました。アンケート結果の社員属性別分析、ハイパフォーマー分析、自由記述回答のテキストマイニングを行い、その結果をもとにしてインターナルブランディング推進のための具体的施策リストを提案しました。
まとめ
まとめると、組織コンサルタントのメリットは、専門知見と第三者性によって課題を短期間で可視化し、設計から実行・定着までを伴走できる点にあります。
一方で、目的が曖昧なまま施策ベースで発注すると、期待した成果が得られず依存関係に陥るリスクもあります。
大企業ほど課題は縦横に分散しやすいため、調査・合意形成・情報設計・研修設計・効果測定まで横断できるパートナーを選び、内製化の到達点を合意したうえで進めることが重要だと言えるでしょう。
組織コンサルタントの活用に迷われている場合は、まずは現状整理(課題仮説とデータ棚卸し)からお気軽にご相談ください。








