グローバル人材を考える、MALL参加を通じて感じたこと|hirai

気づいてみるとすでに1か月近く経ってしまったのですが、2月に東京大学の中原淳先生が主催されている経営学習研究所(MALL)<が主催したイベント「地に足をつけて、グローバル人材育成を語ろうー現役のグローバルマネージャーのリアルな体験からー」に参加しました。

このイベントのゲストスピーカーは、HOYAでCIOを務める近安理夫さん。新卒でアーサーアンダーセン(現アクセンチュア)に入社し20年間勤められた経歴をお持ちの方です。その間ご自身の海外勤務、グローバル環境での人材育成に尽力されました。その後今のHOYAに移られて、情報システムや業務管理などの世界規模での共通化を進めています。

お話の中で、私なりが面白いと思ったことについて、以下いくつか書いてみたいと思います。

まずは共感ポイントとして、近安さんがまったく英語が得意な人ではなかったということです。そういう中で「完全なる落ちこぼれ」だったとご本人はおっしゃっていましたが、ここでの経験が、近安さんがマネジャーになったときの教訓として生きました。

よく若手をいきなり海外の環境に送り込んで鍛えるというようなやり方をする企業の話を聞いたりしますが、少なくとも若手を海外に送る場合には「鬼軍曹の同行」が必要だと近安さんは言います。日本企業の社員は、海外だけで仕事を全うするということはなく、ほぼ確実に日本に戻ってきます。仮に海外での仕事がうまく回せるようになったとしても、日本に戻ってきたときにやり方があまりに違うため、適応できずに(あるいは嫌になって)辞めてしまうということが往々にして起きています。だから、若手にはしっかりとした監督者をつけて、海外でも日本国内でも通用するような仕事のやり方を身につけさせないといけない。それが彼の得た教訓でした。

それから、特に英語がネイティブの外国人に囲まれると、日本人は発言できずに存在感が薄くなる。別に仕事ができないわけではないのに、よくわからない「謎の」存在になりがちです。語学力不足を補うため、近安さんは徹底した分析に基づく論理立てをしたうえで「一目で分かる資料作り」をやったと言います。自分の意見を聞いてもらえる、受け入れてもらえるための材料を作ったわけです。それは海外であろうが日本であろうが、どこでも通用する能力を発揮するということでしょう。グローバルというとスタンダードがあって、その能力やスキルを身につけると考える人が多いかと思いますが、そうではなく、どこでも通用する力を身につけ、それをきっかけに関係性の中に入っていく。最大公約数では真にグローバルで活躍できないのですね。今では、仕事を一緒にするためには自分自身を売り込む、そのためには仕事以外の部分で興味を持ったもらうことが非常に重要であると言っています。非常に示唆に富むお話ですね。

近安さんのお話のあとにパネルディスカッションがあったのですが、法政大学の長岡先生からのコメントが面白かったです。

彼曰く、会場に来ている方は海外赴任や外国の人と仕事をした経験が豊富な人が多いのに『自分をグローバル人材だと思う人は?』という質問に対して手を挙げる人はいなかった。これは何を意味するのか??それは「グローバル人材」という言葉に「できるやつ」というニュアンスを含めてとらえているということ。自分のことを「できる」と言えないので手を挙げられなかったんでしょう、と。

これには全くもって同意します。自分自身も手を挙げられなかったわけですが、どこかに「それほどのやつではなかろう」と言った控えめの気持ちが働いたことは間違いありません。常々グローバル人材なんて研修で作れるわけはないだろう、だとか、「グローバル人材」と「次世代リーダー」のどこが違うのだろう、だとか、そんな話をしてきましたが、その裏側には上で言ったようなニュアンスを含めて考えていたからなのでしょう。「グローバル人材」と言った時、自分たちはいったいどんな人材を求めているのか。今一度考えてみる価値はあるでしょう。

語学力が必要であることは言うまでもないことです。ただ、その前に日本語で仕事ができない人は、英語がいくら上手でも仕事はできません。もっと自信をもって目の前の仕事を磨いていけばいい。その上で、自分のこと、日本のことを自分なりに語れるようになる。つまりコンテンツを磨くということが重要です。本質は何も変わりません。変わらないことから目をそむけずに、じっくりしっかり行きたいものです。

 

株式会社ソフィア

CHO/Executive Learning Facilitator CHO/Chief LX Designer

平井 豊康

企業内研修をコアにした学習デザインと実践を通じて、最適な学習経験の実現を目指しています。社内報コンサルティングの経験から、メディアコミュニケーションを通じた動機付けや行動変容の手法も活用しています。

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