業務改善の事例と進め方 成功するためのポイントとは

働き方改革が叫ばれる昨今、日頃の業務を見直す必要に迫られている企業は多いのではないでしょうか。業務は、計画に基づいて実行、結果を振り返り、改善につなげる、PDCAのサイクルが求められます。この記事では、業務改善の効果・促進要因、目的、好事例や具体的手法について紹介します。

業務改善が必要な理由と背景

今、時代は業務改善に追い風を吹かせています。注目すべきキーワードはデジタル化・働き方改革・補助金の3つです。

デジタル化による業務の変化

現在、AI(人工知能)が急速に発展しています。高速で大量のデータを処理し、複雑なタスクを自動化してくれます。話題となったチャットGPTをはじめ、Catchy、Canva、MicrosoftのCopilot、GoogleのGeminiなど、さまざまなツールが存在しています。このようなツールの活用によって、検索時間や思考時間などを大幅に削減できるでしょう。AIの活用は今後ますます進化し、さまざまな分野での業務効率化に役立つことが期待されます。
AIやロボットなど最先端でなくても、ハード(携帯パソコン・社用スマホ)、ソフト(ERP・BI)両面で、デジタル化は凄いスピードで普及しています。

過去、日本でも中国でも、製造業の工場の機械化・自動化のことであるファクトリーオートメーション(FA)の普及において、「仕事がなくなる」「失業や雇用への不安」が社会的問題化する風潮はありました。しかし、ある程度のファクトリーオートメーション(FA)技術に一定の成果が出た段階で、総額人件費とファクトリーオートメーション(FA)への設備費用を比較し、工場の自動化は促進されました。
工場では働いた人はPCで作業するようになり、今後はAIが作業をサポートしていくことでしょう。それによって、失業率や雇用の問題が社会問題にはなっていません。AIはいまだ技術や法律が未成熟であり、問題部分は存在します。ですが、AIの評価が一般化すれば、自ずと問題はなくなるのではないでしょうか。

なおかつクラウドの登場で、今までは手が届かなかったシステムも導入できるようになりました。今までは面倒だった出張精算も、経路から日当計算までWeb任せ、新幹線の予約もWebで完結する、そのような仕組みが当たり前になりつつあります。

新しいシステムを導入する企業は、導入の際、社員へのノウハウを共有する方法やタイミングなどを、きちんと検討することが大切です。アイディアを出し、共有し、果敢に新しい技術や工夫を加えながら改善していくことが重要であり、労働生産性のポイントです。

補助金の支給

厚生労働省では企業に能率向上を促すため、生産性アップを実現した企業が地域雇用開発助成金などの労働関係助成金を申請した場合、金額を割り増しています。
社員の能力開発や意欲向上のために、働きやすさに対する改革を行うことも、生産性アップに含まれます。こうした制度を利用することで、業務改善にかかるコストを補うことができます。

また、現在の社会における人材は流動的で、労働人口の減少が問題となっています。推計では、総人口および生産年齢(15~64歳)人口は減少の一途たどる可能性が提示されています。このような中でも、前述したようなデジタル化を業務に取り入れることで、生産性の向上促し、助成金を申請してみてはいかがでしょうか。

働き方に関する時代の変化

第2次安倍政権が推進した「一億総活躍社会」の核となるのが「働き方改革」です。目指す目的の一つは、単に残業を減らし早めの帰宅を促すといったものではなく、労働減少社会における生産性の向上で、これは先進諸国すべてが抱える避けては通れない問題です。

OECD(経済協力開発機構)の2021年度の労働時間ランキングによると、日本の年間労働時間は1,607時間で世界28位です。世界平均は1,716時間で、日本は世界の平均より100時間ほど少ない数値となっています。

単純に労働時間が短くなっただけでは、生産性は上がりません。 短い時間でより付加価値を増やしていこうというのが趣旨であり、そのためにも業務改善は必須課題です。実際に業務改善を行ううえでは、社員の理解を得ながら進行することが重要となります。

業務改善とは?

業務改善とは、組織や企業の業務プロセスや仕組みを見直し、効率化や効果的な運営を図ることを指します。無駄な作業や手間を削減し、生産性の向上や品質向上を目指す活動です。生産性は、生産過程で発生するコストに対する成果量の比率を意味します。であれば、生産性は現状維持のまま、無駄や手間のかかる業務を減らし、プロセスを効率化していくことが、業務改善につながります。それによって組織全体のパフォーマンス向上や競争力を強化し、経営戦略の実現にも大きく関わっています。 以下、業務改善について、詳しく見ていきます。

トップダウンでの業務改善はうまくいかない

業務改善において、トップダウンによる意思決定ではうまくいかない一面が存在します。

最近の業務は、専門性が高く複雑化しています。そのため、上層部が現場の業務の無駄を詳細に把握することが非常に難しく、適格な改善策を見つけることは至難の業です。トップが声をあげ、発破をかけることも必要ではありますが、それだけで業務改善を行うことはできません。 にもかかわらず当の現場では、「不満があっても問題として提案するほどのものではない」と思われてしまいがちであり、結局何も改善できないといった状態に陥ってしまうのです。

一例として、とある企業で行われた営業の業務改善についてご紹介します。
営業部長と営業幹部の合意形成をもとに、システム導入のため、顧客管理情報の入力や提案書のナレッジなどを可視化し、多種多様な業務改善のポイントがあげられました。しかし、現場や営業などの通常業務で忙しく、自分のやっている業務内容を可視化・言語化ができていなかったため、現場の実態を把握することに困難を極めます。
ある営業から「会社に戻らなくても営業日報を作成できるようにしてほしい」という声があり、営業部長は移動時間にスマホで入力できるようにしました。その後、営業日報と顧客管理に入力する情報の差がほぼなかったため、すべて一緒にスマホで入力できるよう設定し、会社からもスマホを支給する運びとなったのです。

このように、ほんのちょっとした不満や問題を改善することで、数百人、数千人の企業の場合、数億ものコスト削減につながります。

業務改善という業務が増える

業務改善が進まない職場では、「業務改善という業務が増える」といった障壁にぶつかってはいないでしょうか。日々の業務をいったん止めることは難しいため、業務改善と日常業務を同時進行で行うことが必要となってしまいます。そのため、実務担当者が業務改善の目的や改善後の状態・成果が腹落ちしていなければ、業務改善は心理的抵抗でしかありません。 また、改善すべきポイントは企業によって異なるため、他社の例を参考に施策を行おうと試みても、なかなかうまく進まないのが現状です。 ここでは、実際に業務改善が進んでいない職場でありがちな悩みごとをいくつかご紹介します。

業務改善は面倒だから現状のままでもよいのでは…

自分の業務に「改善の余地がある」と考える社員はあまり多くありません。自分が行っている業務に対して「非効率なため改善が必要」と言われてもピンとこないのではないでしょうか。そのため「面倒なだけ、現状のままでいい」と思われがちです。
業務改善をすることで、社員自身がより気持ちよく働ける職場づくりにつながるということの認知が必要となります。

チームでの業務がうまくいっていない

複数の人々が携わっているチームの場合、業務に対する解釈や見方は人それぞれバラバラです。そのためトラブルが発生しやすく、解決には時間がかかり残業続き…といったことも。そのうえ業務改善について考える時間を作れない。
そういった場合こそ、業務に対する人それぞれ複数の見え方を可視化し、客観的に捉えることで、「改善サイクル」をきちんと回すことができ、悪循環を断ち切れるはずです。

社員のモチベーションが下がり気味

業務改善は感情に作用するものではなく、合理的に考えるものであるため、モチベーションの低下は必然的におこります。そのため、業務改善することで、社員一人ひとりに対するインセンティブなメリットなどの提示が必要となります。たとえば、「2時間かかっていた業務が、改善後1時間に短縮される」といった明確でわかりやすいものが、よりモチベーション向上につながるでしょう。

業務改善と業務改革(BPR)、業務プロセス改善(BPM)の違い

業務改善と混同されがちな、業務改革(BPR)と業務プロセス改善(BPM)について解説します。

業務改革(BPR)との違い

BPRとはビジネス・プロセス・リエンジニアリングの略称で、人・システム・プロセスを抜本的に改革するため、組織横断的に行われる改革方法です。 BPRと業務改善の大きな違いは、「組織的な活動であるか、そうでないか」です。BPRは「コスト削減や業務フローの見直しなど、より組織横断的な活動を基本とし、業務プロセス全体の改革」を目指しています。それに対し業務改善は、「個人やチーム、各部署・事業所単位などの活動において、業務の部分的な課題を発見・解決」していくことが可能であるという点で異なっています。

業務プロセス改善(BPM)との違い

BPMはビジネス・プロセス・マネジメントの略称であり、業務プロセス全体の俯瞰的な可視化と要員・時間・コストの抽出を通じて、業務のボトルネックを明らかにしていこうとする手法です。 BPMと業務改善の大きな違いは「プロセスを変えるか、変えないか」です。BPMが業務の流れを可視化して、プロセスを最適化することを目的としているのに対し、業務改善は現状の業務プロセスに問題がないという前提で、現状の業務をより良くするために働きかける方法を指します。

業務改善による効果とメリット

業務改善をすることで、得られる効果やメリットを見ていきます。

コスト削減

業務改善を行うことで、人件費やオフィスコスト、エネルギーコストなどの削減につながります。人員の配置を見直し、無駄な待ち時間や手戻りの削減、作業時間の短縮によって人件費を削減し、またオフィススペースや設備の規模に無駄がないかを確認することで、オフィスコストの削減にもなります。省エネルギーの設備や照明を導入し、エネルギーコスト削減の取り組みを行うことで、社内全体が省エネルギー化することも期待できます。
業務の中で大きなコストを占める部分を優先的に見直し、効果的な改善策を実施することがポイントです。

生産性向上

業務改善は、現状の業務プロセスを改善することで、非効率な作業やムダを排除し、より効率的な業務遂行を実現する手法です。具体的には、業務のムリ・ムダ・ムラを洗い出し、それらを改善することで、生産性の向上が期待できます。
ただ、業務改善と生産性向上は異なる概念です。生産性向上は成果を重視する一方で、業務改善は時間や費用のコストを削減するなど、業務の改善に焦点を当てています。両者は相互に関連していますが、それぞれ異なる目標を持っています。

従業員のスキル、モチベーションの向上

業務改善によって新しいスキルや知識を習得する機会が増え、業務効率化のために導入したシステムやツールについても学ぶことができます。知識が更新することで、新たなアイデアが生まれやすくなり、新規事業の展開や新商品の販売が促進され、結果として企業の売上向上につながることもあります。それによってモチベーションが高まり、従業員はより充実感を得ることができるでしょう。また、労働時間の削減、パフォーマンスの向上も期待でき、さらなるモチベーションUPにつながります。

労働環境の改善

業務改善は、企業がより効率的に業務を遂行するための取り組みであり、その結果として労働環境の改善が期待されます。業務プロセスの見直しや効率化、不要な工程の削減などが行われ、従業員が働きやすい環境を提供できます。それにより、従業員の定着率や生産性の向上にもつながり、企業の利益を拡大することが可能となります。労働環境の整備には時間と努力が必要ですが、その結果は経営に大きな影響を与えることでしょう。

業務改善に成功した事例

業務改善に成功した事例を2つご紹介します。

働き方の多様化を目指した取り組み

サイボウズはクラウドによるグループウェア提供や企業の業務プロセス改革支援など、社会のチームワーク向上を目指す比較的歴史の新しい企業です。
そのサイボウズは、かつて最悪と呼ばれる離職率に苦しんでいました。同社は、「会社を変える・働き方を捉え直す・クラウドへと舵を切る」という3つの覚悟のもと、働き方の多様化を目指した改革に取り組みます。
「覚悟」からはじまった同社の業務改善は、次のような形で実を結びました。

  • 「制度」を見直して多様な働き方をルールとして受け入れる
  • 「風土」を変える(働く場所・時間・働き方を自分で決める、自立・変化を重んじる、モヤモヤを溜めない・嘘をつかない)
  • わくわくできるオフィス環境を自分たちで作る、問題解決メソッドを学ぶ

一時は28%に達した離職率も現在は5%を切り、企業として大きく生まれ変わりました。働き方改革が生産性向上につながることを体現しており、業績も右肩上がりを続けています。

(参考:サイボウズの働き方改革

RPAを導入した業務の自動化における取り組み

ある企業で、財務部門の自動化に向けRPAを導入することになりました。そこで外部のコンサルタントから、「RPAは24時間365日稼働し、不正なく業務を実行するシステム」であるという説明がありました。それに対して現場は「24時間働けということ?」「わたしたちに不正の可能性があると?」といった不服な意見が多く発せられたのです。
そこで、「嫌な仕事」と「夢中になれる仕事」に仕分けてもらい、そのうちの「嫌な仕事」で、RPAができる業務にだけ取り入れることにしました。結果、嫌な仕事の中で自動化できなかった仕事は調整業務だけでした。
RPAにおける理論や理屈も重要ですが、社員の問題意識から自動化の導入を行った方が、有効性の高いITツールをより有効活用できるのではないでしょうか。

業務改善の進め方

いきなり業務改善の具体策検討から入っても、良い結果は生まれません。まずは最初のステップとして、可視化のフェーズが欠かせません。

可視化するフェーズ

可視化フェーズとは「業務の棚卸」であり、業務の流れや問題点を把握・共有するプロセスです。可視化するポイントを下記に例を挙げてご紹介します。

①フローチャートを作成

フローチャートとは、業務の流れを明らかにするためのチャートで、基本処理は長方形といった具合に一定のルールで作成します。

②可視化のポイント

業務棚卸といっても、網羅的に行っては時間がかかり過ぎます。可視化のポイントは、業務の問題点洗い出しにあります。下記に例を挙げて紹介します

  • 担当者間で業務量がばらついていないか
  • 業務が属人化され、特定の担当者に依存していないか
  • 業務ルールが体系的に整備されているか、共有されているか
  • 時期による業務繁閑のばらつきが大き過ぎないか
  • 業務遂行に必要なインフラ(IT端末と環境、資料スペース等)が確保されているか

改善するフェーズ

場当たり的に思いついたことを改善しても、長続きはしません。まず「誰が・何を・いつまでに・どうやって」を改善計画表に落とし込み、実行に移します。途中で活動をモニタリングし、場合によっては見直すことも大切です。

たとえば、「部署メンバーの残業時間を10時間/月減らす」を改善目標とする場合、下記のように計画を立てます。

  • 改善計画表の記載項目:個人別目標、具体的施策(定時退社日の設定等)とスケジュール
  • 実行時のチェック項目:個人別残業時間、施策の実施状況

業務改善のフレームワークとロジカルシンキング

フレームワークとは、広義には論理的に思考する過程を手助けしてくれる「枠組み」のことであり、ビジネスで必要とされる思考法・発想法などを体系的にまとめたものです。
フレームワークは業務を可視化するための下敷きとなります。そのフレームワークを作る際に必要となるのが、ロジカルシンキングです。ロジカルシンキングとは、物事を論理的に捉え、矛盾なく考える思考方法です。これは「筋道」や「体系的」という前提や基礎的な条件下で行われます。
ロジカルシンキングによって、自分が行っている業務を論理的に分解し仕分け、業務の全体像を可視化することで、より効率的に、かつ容易に業務改善を行うことができるでしょう。

ここでは、代表的なフレームワークをご紹介します。

MECE

MECEとは、ロジカルシンキングの基本概念といわれ、モレやダブりがないよう並べ立てるフレームワークです。あるテーマについて、総合的な視点から再考・分類し、適切なアプローチ手法を導き出します。
MECEは、ビジネスにおける重要な要素をすべて網羅し、それらが重複しないようにすることで、効率的な課題解決につながります。しかし現実問題、変化の激しいビジネスにおいて、完璧にMECEで整理することは難しく、必ずといっていいほどモレやダブりが生じてしまいます。
従って、MECEの目的は結果ではなく過程にあります。モレ・ダブりのない状態に並べ立てようと思考することに意味(価値)があるのです。

ECRS(イクルス)

イクルスは、業務フローを可視化するフレームワークではなく、業務改善するフレームワークとして使われます。業務のムダやロスをなくすために「排除」「統合」「組み替え」「簡素化」の4つの観点を提供します。このフレームワークを使うことで、企業は業務の課題を洗い出し、解決策を見つけることができます。 イクルスの目的は、業務のムダを排除することです。不要な手続きや作業を見つけ出し、それらを削減し、業務の効率を向上させます。また、似たような作業や手続きを統合することで、重複や無駄をなくします。 さらに、業務の組み替えや簡素化することもでき、業務の手順やプロセスの見直しや、複雑な手続きや作業をシンプルにすることで、業務の効率化が期待できます。

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)をサイクル化して繰り返すことで、業務を継続的に改善する手法です。このサイクルは、継続的に業務の品質や効率を向上させるために使用されます。
Plan(計画)では、目標を設定し、それを達成するための具体的な計画を立てます。次に、Do(実行)では、Planで立てたアクションプランに基づいて実際に行動を起こします。Check(評価)では、実行した結果を評価し、目標達成度や課題を明確にします。最後のAction(改善)では、Checkで得られた情報をもとに、業務の改善策を立案し実行します。 このように、計画から改善、そしてまた計画から改善を繰り返し行うことで、業務の継続的な改善を実現します。そのため、PDCAサイクルは終わりがなく、常に改善を続けることが求められます。組織や企業は変化に対応し、競争力を維持・向上させることができます。
PDCAサイクルは、業務の改善において重要な手法であり、組織や企業の成長に貢献しています。継続的な改善を通じて、効率性や品質の向上を実現し、競争力を高めていくことが求められています。

ロジックツリー(決定木分析)

ロジックツリーは、問題解決の際に非常に有効なフレームワークとなります。問題や課題はしばしば複雑で、一見すると何から手を付けていいかわからないことがあります。そこで、ロジックツリーを用いることで、問題をより具体的に分解し、原因を特定することができます。
問題や課題をツリー状に書き出し、それぞれの要素を細かく分解していきます。問題の要因を階層的に整理することで、根本的な原因を見つけ出すことができます。また、問題の全体像を把握しやすくなります。 ロジックツリーの作成には、問題解決に関わる人々の意見や知識を集めることが重要です。それぞれの要素について、関連する要因や影響を考慮しながら分解していくことで、問題の真因を特定することができます。さらに、議論のズレや重要な要素の見落としも見つけやすくなります。問題をツリー状に整理することで、関連する要素や影響関係を明確にすることができ、解決策の模索や議論の進行をスムーズに行うことができます。

KPT

KPTとはKeep、Problem、Tryの頭文字であり、このフレームワークは「成果を維持するための取り組み(Keep)」「改善すべき課題(Problem)」を洗い出し、「具体的な改善策として次に取り組むべきこと(Try)」を考えるという流れで行われます。
まずKeep(維持すること)によって、成功した取り組みや効果的な方法を明確にし、継続してよい結果を出すための方針を見つけることができます。次に、Problem(改善すべき問題)よって問題点を明確にし、改善策を見つけることができます。最後にTry(試すこと)で、問題解決や成果向上のための具体的なアクションプランを作成します。
KPT法は、個人やチームの振り返りと改善に役立つ有用なツールです。このフレームワークを活用することで、良い点を維持し、問題を改善し、次に取り組むべきことを明確にすることができます。また、KPT法は進行中のプロジェクトや日常の業務にも適用されるため、効果的な進め方や改善策を見つけるための手がかりとなります。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、事業を主活動と支援活動に分け、ビジネスの工程においてどのような付加価値が生まれているのかを分析するためのフレームワークです。この分析手法を用いることで、企業は自社の強みや競争優位性を把握し、事業戦略を練ることができます。
まず、バリューチェーン分析では、事業を主活動(直接的に付加価値を生み出す活動)と支援活動(主活動を支えるための活動)に分類します。そうすることで、各活動の役割と関係性を明確にすることができます。次に、各活動においてどの工程でバリューを創出しているのかを分析します。たとえば、主活動にあたる製造工程では、効率的な生産方法や高品質な製品の提供によって付加価値を生み出します。販売工程では、効果的なマーケティングや顧客満足度の向上によって付加価値を生み出します。支援活動にあたる人事活動では、適切な人材の確保や育成によって付加価値を生み出します。
各工程でのバリューの創出を明確にすることで、企業は自社の強みを把握し、競争力を高めることができるのです。 さらに、競合他社との比較も可能です。自社のバリューチェーンを他社と比較することで、他社が持つ競争優位性や差別化ポイントを把握することができます。他社との差別化を図ることで、競合優位性を獲得する戦略を立てることができます。

業務改善のポイントは社内でのコミュニケーション

業務改善を進めるうえで欠かせないのは、横のつながり、社内のコミュニケーションです。

インターナルコミュニケーションとは

インターナルコミュニケーションとは社内の意識醸成・情報共有を目的とした活動であり、社内報・イントラネット・部会・朝礼などをツールとして活用します。社内イベントなどで企業の目指すビジョンへの取り組みをした社員を表彰するなど、社員の組織への参画意識を高める方法として有効とされています。

インターナルコミュニケーションのメリット

業務改善活動の情報共有を通じ、お互いの活動に「Good job!」と言い合える風土も促され、連帯感を醸成します。同時に他部署活動の横展開で、自部署の課題も浮き彫りになります。 他部署との相互理解促進や企業理念・価値観の浸透を通じ、業務分担の円滑化やコンプライアンス意識の向上といった直接的なメリットも期待できます。

【まとめ】最後に

時代は「業務改善丸」に追い風を吹かせています。「うちの職場はまだまだ」と思うなら、今すぐ船を出港させましょう…もちろん乗組員の意思の疎通は欠かさずに。

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よくある質問
  • 業務改善の背景にはどんなことがありますか?
  • ・デジタル化による業務の変化
    ・働き方に関する時代の変化
    ・補助金の支給

  • 業務改善のポイントは何ですか?
  • 社内の意識醸成・情報共有を目的としたコミュニケーションです。
    社内報・イントラネット・部会・朝礼などを活用し、コミュニケーションツールをとることも有効です。

株式会社ソフィア

コミュニケーションコンサルタント

宇佐美 草太

組織風土や企業理念浸透などの視点からコミュニケーション調査を設計・分析し、改善施策をご提案します。また、ITツール活用支援や業務フロー改善など、業務プロセス最適化のご支援も行っています。

株式会社ソフィア

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