ソフィアの社長がワーケーションやってみた ~仕事しながら息子と2人、NY1週間滞在記~

長男をアメリカに連れていきたい、仕事を何日休めるか?

2019年7月25日から8月3日までの間、高校2年生の長男を連れてアメリカに行ってきた。

子どもから大人へと心身ともに揺れ動く時期であり、高校卒業後の進路を考える時期でもある長男とは、いちどゆっくり将来について語り合う時間がほしいと思っていた。英語学習の実践の機会、世界へと視野を広げる機会をつくるためにも、長男と二人で旅をするなら海外に行きたい。また、家族ぐるみで長年の付き合いがあり、先日他界した母が実の子供のように可愛がっていたNYの旧友に久しぶりに会いに行きたい、さらにソフィアの事業のパートナー候補を現地で探して会いに行きたい、などさまざまな動機が重なって、学校が夏休みに入る時期に出かけることにした。

しかし、進行中のプロジェクトは複数あり、通常業務もあり、「社長である自分が何日会社を空けていいのか」は、正直悩ましいところだった。定例のミーティングもあるし、お客様やメンバーとのコミュニケーションを長期間止めてプロジェクトの進行を妨げたくない。フォローしてくれるプロジェクトメンバーにもあまり重たい負担はかけたくない。

そこで、今回は完全な休暇ではなく、最近新聞などのメディアでも取り上げられて話題になっている「ワーケーション」という形をとってみることにした。会社のメンバーの協力を得てプロジェクトは進めつつ、日本とアメリカの時差を生かして仕事をするスタイルだ。まず、アメリカの現地時間で午前中と夜8時以降は仕事をする。そして、午後は出かけて長男との観光や現地の友人との交流に充てる。これなら仕事を止めずに済む、という考えのもと思い切って10日間、往復の移動時間を除いて約1週間の滞在計画を立てた。なお、今回はプライベートの用事がメインで、この時期にアメリカで仕事をすることの必然性は低かったので出張ではなくあくまで自費での旅行であり、旅行先でリモートワークをするという形を取った。

もちろん、滞在中の数日をリモートワーク扱いにし、前後に休暇を入れるというやり方もあったのだが、個人的には、「半日働いて半日休む」というこの形式で良かったと思っている。実際にやってみた感想は「思っていた以上に仕事ができた」ということだ。
以下に、滞在中のそれぞれの日にどんな過ごし方をしたかを簡単に紹介しようと思う。

朝晩は仕事・昼は観光!滞在中の日記

7/26
NYの午前中は、日本の夜。フライトの最中にたまったメールやらTeamsでの仕事を朝7時に起きてから朝食後11時過ぎまで行う。また現地企業のパートナー候補と電話会議を行い、次回のアポイントを取得する。一緒に行った長男も午前中は夏休みの学校の宿題をこなす。

お昼からメトロポリタン美術館を鑑賞。ちょうど世界史を学んでいてギリシャ、古代ローマ時代が大好きな長男は大興奮。なかなか日本では見られない代物ばかりで貴重な体験となった。夕方からはメジャーリーグ・ニューヨークメッツの試合観戦。特別ファンというわけでもないので、あくまでもノリと雰囲気を楽しんだ。

野球観戦から戻り、仕事を開始。ちょうどNYの夜は日本時間の午前中。LINEでの通話やらメールでやりとりをして12時ぐらいに眠りにつく。

7/27
この日も午前中は同じようにお仕事。お昼からセントラルパーク、タイムズスクエアまで散歩してみる。往復で15キロほど歩き、いい運動になる。

夕方に戻り、食材の買い出しに行った後に夕食。日本はすでに土曜日になっているので、メールの返信などもなく、夜のお仕事はじっくり提案書作成に費やして12時ごろに就寝。

7/28
引き続き日本は週末。午前中は提案書作成、資料読み込みなどに時間を費やす。午後から長距離バスへ乗り、ワシントンD.C.へ。夜に到着し、Airbnbで一軒家を借りる。同行した友人の知り合いと夕食。日本は月曜日の朝を迎えており、夜にZOOMで会社のブレインストーミングに参加した後、別の電話会議に出席する。この間、近隣が急に停電するというハプニングが……。なんとかPCのバッテリーでしのぐ。

7/29
午前中はAirbnbで仕事をする。長男は疲れてきたのか、バルコニーで昼寝。

この日、プロテニス選手の試合シティ・オープンがちょうどワシントンD.C.で開かれており、お昼からチケットを取って観戦しに行く。事前情報では錦織選手が出場することになっていたが、直前でキャンセル。錦織選手を見られないのは残念だったが、私はテニス歴30年以上でありながらこれまで一度もプロの試合を見たことがなかったので、とても感動的な経験だった。疲れ気味の長男も間近でプロの練習風景を見て興奮。その夜はホワイトハウスやリンカーン記念館を見て回る。宿に戻って夜は引き続き12時ごろまで仕事を続ける。

7/30
午前中は仕事をこなし、お昼からスパイミュージアムへ。スパイの歴史、建国の際にもジョージ・ワシントンがスパイを使ったお話など、興味深いものばかりだった。長男は世界の陰謀説が好きなのだが、関連する展示がなかったので少々期待はずれだったらしい。一方で、イルミナティのTシャツを購入して上機嫌。夕方に長距離バスでNYまで戻る。バス車内では、長男と将来のお仕事の話や人生観などゆっくりと話をする機会となった。夜は、インタビュー音声などを聞き、取材メモを作るなど仕事をする。

7/31
午前中はお仕事、午後からグラウンドゼロ ワンワールドトレードセンターを視察。同僚に進められて来たが、月日の流れをあらためて実感。9.11は長男が生まれる前の出来事だったので、当時のころの話を長男に説明。

8/1
午前中は、仕事。だんだんとルーチンになってきた。午前中の仕事は、日本の夜にあたるため、メールや電話の返信はなし。ある意味、効率的にお昼までには仕事が終えられる。午後からマンハッタン一周クルーズに。夜はダンスパフォーマンスを観に出かける。その後、長男・友人と、パフォーマンスを観た感想やそこに込められていたメッセージについて語り合い、お互いの感性や感じ方の違いを理解する。

夜もルーチン的に夕食後に仕事をして、12時ごろに就寝する。

8/2
最終日。午前中は初日に取得したアポイント、現地企業のパートナー候補先へ訪問。エンプロイーエクスペリエンスを向上させるクラウド製品の開発会社。日本での展開はまだこれからとのことで、ソフィアのプレゼンテーションを行う。今後、協議を進めるということで乞うご期待。

この滞在期間中は、NY在住の友人であるRobinの自宅に、長男とともに宿泊させてもらった。長男は仲良しになったRobinと暮らす猫ラッキーと、お別れの挨拶。夕方のフライトで無事日本に帰国した。

人生と経験を豊かにする、ワーケーションの可能性

今回の旅をあらためて思い返してみると、時差をフルに利用することで、思った以上に仕事がはかどり、プライベートの時間もしっかりと確保することができた。一方で、時差がある分、お客様とのオンラインミーティングや電話連絡の時間をうまく調整することは難しく、プロジェクトメンバーに代行を頼んだり、打ち合わせ日程を帰国後にしてもらうなどの不便さはあった。このスタイルで仕事をするには、プロジェクトがある程度安定運航していて緊急対応がないこと、ある程度他のメンバーに任せられる状態になっていること、という前提が必要かもしれない。

「休むべきときにはしっかり休みをとるべき」という意見もあり、自分でもこの期間が休みだったのか勤務中だったのか判然としないところもある。しかし、仕事をしている普段の父親として長男に向き合うことで、対話の密度も高くなり、お互い「遊び」じゃない雰囲気で語り合うことができたように思う。結果として、午後いっぱいは観光や試合観戦を楽しみつつ、長男とも今後の進路や悩み事、将来の仕事など語り合う時間をたくさんとることができた。また、今回は対外的には「海外出張」という扱いにしていたこともあり、あまり後ろめたさもなく、大掛かりな引継ぎも必要なく、気軽に出かけることができた。

長男からは「社長だからこういう働き方ができるんでしょ」という一言があり、それも事実だと思った。たしかに、ソフィアのメンバーにはフレックス勤務とはいえコアタイムがあり、何時から何時まで働いたか、月に何時間働いたかを申告する義務がある。社員の健康を守るために労務管理は必要だ。しかし一方で、ソフィアではできるだけ場所や時間にとらわれない柔軟な働き方ができるように、社員全員が希望するときにリモートワークをできる環境を整えている。外出の予定と合わせて出先で仕事をしたり、個人作業に集中したいときに在宅勤務にしたり、ということは日常的に行われているし、パートナーの出産や家族の看病、実家の手伝いなどの予定に合わせて、休暇とリモートワークを組み合わせて長期間出社しない働き方をする例も出てきている。

家族や自分にとっての緊急事態や、仕事におけるチャンスなど、マネジャーだけでなくあらゆる働く人にとって、人生の重要な局面は思いがけないときに訪れる。そうした機会に対応するためにも、ワーケーションを活用してフットワーク軽く働いたり休んだりするスタイルが、これからの働き方として大いに意味がありそうだと感じている。
多くの企業にとってはまだまだハードルは高いかもしれないが、海外出張や旅先で普段は味わえない豊かな体験をしたり、適切なタイミングで大切な人と過ごすなど、機会を生かす選択肢の一つとして、仕事とプライベートを柔軟に組み合わせた働き方をうまく取り入れていけるといいと思う。
 

株式会社ソフィア

代表取締役社長、チーフコミュニケーションオフィサー

廣田 拓也

異なる世界にある共通項を見つけて分断をつなぐことが得意です。最近ではソフィアがこれまで培ってきたノウハウやテクノロジーを活用し、地域の教育分野に力を注いでいます。思考回路と判断基準は、それが面白いかどうか。そして指示命令は、するのも、されるのも嫌いです。だけど、応援を要請されたら馬車馬のように動きます。

株式会社ソフィア

代表取締役社長、チーフコミュニケーションオフィサー

廣田 拓也

異なる世界にある共通項を見つけて分断をつなぐことが得意です。最近ではソフィアがこれまで培ってきたノウハウやテクノロジーを活用し、地域の教育分野に力を注いでいます。思考回路と判断基準は、それが面白いかどうか。そして指示命令は、するのも、されるのも嫌いです。だけど、応援を要請されたら馬車馬のように動きます。

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