昨今、日本企業の生産性の低さがよく話題になります。
特に問題視されるのは事務職などのオフィスで働く方々の生産性です。戦後、「カイゼン」活動で生産性が向上した製造業の生産現場と比べて、オフィスワークの業務改善は必要性を認識されながらも、効果的な取り組みが進んできたとは言えません。そこで、業務改善のノウハウを持たない企業がコンサルティング会社に支援を求めることが多くなっています。
ここでは、事務職などのオフィスで働く方々を対象に業務改善を実践するためのコンサルティングサービスについて、内容とそのメリットをご紹介します。

こんなことで困っていませんか?業務改善コンサルが必要となる背景

事務職などのオフィスで働く方々の業務改善にコンサルタントが必要となる背景にはどんなことがあるのでしょうか。業務改善を進める上での障害となっている事柄と併せて説明します。

現在の業務を可視化、改善したい

まず、「現状の業務のどこがどのようにうまくいっていないかがわからない」、または、「それ以前に、業務がどのように遂行されているかが社内で理解されていない」という場合があります。
事務職などのオフィスで働く方々の業務では、同じ部署の人が何をしているのか明確に把握できている方は少ないでしょう。ひとつの業務が複数の部署にまたがって行われ、重複している業務が存在してもそれを認識できないこともあります。
これを解決するためには、日々行われている業務を見える化、すなわち、可視化することが必要となります。誰がいつ何をしているかをフローチャートなどのドキュメントに記述して、明らかにするということです。
業務を可視化できれば、最近進みつつある雇用形態の多様化により、短時間勤務で業務限定の社員が入ってきても、スムーズに業務を引き継げます。また、在宅勤務に展開できるメリットもあります。

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自分たちで業務改善をしたいので支援して欲しい

自社の業務を一番よく理解しているのは自社の社員ですから、社員が業務を可視化する必要性を認識できれば、自社で業務の可視化から業務改善につなげる活動を行うのが難しいはずはありません。しかし、実際は自社で進めようとしてもうまく進まないことがよくあります。その原因の一つは、通常の業務を抱えながら業務改善に労力を割くのは困難だからです。二つ目は、業務を可視化して改善ポイントを見つけ実施するまでに必要な、手法やツール類の使い方がわからないからです。特に、組織が大きくなり、業務が複雑化して、多くの職種によって業務が担われるようになると、フローチャートのような単純なドキュメントだけでは済まなくなり、業務内容を記述しモデル化する技法を学ぶために外部の支援が必要になります。三つ目の原因は人間関係です。人に付いている業務を可視化し改善する事は、心理的なあつれきを生む可能性もはらんでいるため、外部の客観的な視点を必要とする場面も多くあります。

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社内の各部署どうしで連携がとりづらい

さらに自社だけでの業務改善活動を難しくしているのは、社内の部署間の連携が取りにくいことです。自部門だけの業務改善であれば比較的簡単に行えますが、部分最適になってしまい、企業全体の生産性を上げることにつながらない場合があります。通常業務では部署間の連携がうまく取れていたとしても、業務手順の変更を伴う業務改善を行うとなると、抵抗する人が出てきます。人は誰でも変化を嫌う習性があり、部署を越えて業務手順の変更を求めるには、組織の規模が大きくなるほど調整力が必要なりますし、部門間でのコンフリクトは避けて通れません。

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ツール・システム導入が上手くいかない

業務改善を急ぐ企業では、市販されているITツールを手っ取り早く導入して、業務改善を進めようとすることがあります。しかし、こうしたツール類はベストプラクティスと呼ばれる特定の業務手順を前提としており、自社の業務手順をそれに合わせる必要がありますが、これがなかなかうまくいきません。業務手順を変えることへの抵抗がここでも問題となります。

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業務改善コンサルティングを依頼するメリット

そこでこうした問題の解決のために、社外のコンサルティング会社に支援を求めることになりますが、単に「社員の労力がかかる部分を外注するだけ」ではなく、コンサルタントに依頼するメリットには、以下のようなものがあります。

まず、業務改善を行うノウハウを導入できます。具体的には業務改善プロジェクトを進める方法論と、他社で業務改善プロジェクトを行った成功事例・失敗事例です。こうした実務的なノウハウは、コンサルティング会社に蓄積されている場合もあれば、コンサルタント個人が持っていることもあります。業務改善プロジェクトにおいて、どこで何をすべきかを判断する経験値を買うということになります。

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次に、業務の可視化や問題の原因追究を行うためのドキュメント技法を導入できます。ドキュメント技法を解説した書籍は数多くありますが、これらを読むだけでは実践するのは難しく、各技法を実際に適用した事例をコンサルタントに紹介してもらいながら習得するほうが効果的です。

そして、もうひとつ重要なことは、外部の第三者が業務改善プロジェクトに関与することで、改善策に客観性を持たせられるということがあります。業務改善を実施するには、業務改善のゴールやあるべき状態が、各部門や個人に腹落ちしていることが重要です。そのゴールやあるべき状態が、社内の有力者に忖度する必要もなく組織のしがらみもない外部のコンサルティング会社が作って経営者の承認を得ているものであれば、信頼度が高まるということです。

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業務改善コンサルティングでできること

外部のコンサルティング会社は業務改善プロジェクトをどのように行うのでしょうか。コンサルティング会社が具体的に何をしてくれるのかをフェーズごとに見ていきましょう。

業務の可視化

コンサルティング会社は最初に行う業務の可視化にあたり、ノウハウを提供し、取り組みを推進をしてくれます。
例えば、BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記法)です。BPMNは、仕事の始め方、役割分担、各担当の業務内容、顧客や取引先など外部とのやり取りといったフローを記述する手法で、国際標準(ISO19510)にもなっています。見る人すべてが共通理解を得られるように、記号やその表記方法が細かく定められています。
コンサルティング会社のプロジェクトメンバーが社員にヒアリングを行い、この手法に基づいたドキュメントを作ってくれる場合と、社員がコンサルティング会社の研修に出て、アドバイスとレビューを受けながら自らドキュメントを作成する場合とがあります。

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業務問題の特定

次に、可視化した業務全体を見渡しながら、どこが生産性を悪化させているのかを特定します。ここでは、コンサルティング会社が過去に同様の業務改善プロジェクトを行った実績が活かされます。
特定した業務が改善によってどのような結果を得られたか、観察した経験が多いほど、問題を特定する精度が上がります。また、業務のどこに問題があるかは当該業務に関与している社員がうすうす感じている場合もありますが、コンサルティング会社は企業全体で問題点を共有できるように、客観性を持ったロジックで組み立てられた説明資料を作ります。

原因追及

コンサルティング会社は原因追及のための手法も提供します。例えばロジックツリーは、一つの問題からいくつも枝分かれした原因を追及し、より深く原因を追求することで複数の原因を特定します。
また、バリューチェーン分析は、顧客に商品やサービスが届くまでのプロセスを一つの鎖にたとえ、鎖のどこで大きな価値が生み出されているか、どこが同業他社よりも優れているのか、または劣っているのかを分析し、それをもとに業務改善案を考える手法です。

改善案の立案(ツールの導入支援など)

社員とコンサルティング会社が協力して改善案を作り、経営者の承認を受けます。そして、コンサルティング会社は最適なツールを選定し、その導入支援を行います。

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社内の抵抗への対応

業務の改善や変更を行うと、ほとんどの場合社内に何かしらの抵抗が生じます。業務改善において社内の抵抗への対応は避けては通れない課題です。日本の企業ではとくに、経営陣の承認のもと導入された施策に対して表面上は好意的な社員も、実際は導入に対して納得しておらず施策が浸透しない例が多く見られます。コンサルティング会社は、業務改善やツール導入といった見える問題だけではなく、見えない問題、つまり社内の抵抗に関しても、「社員にとってどんな役に立つことなのか」を伝え、共感をうみ出す支援も行っています。俗にチェンジマネジメントといわれており、この分野に特化した支援会社も存在します。

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効果測定

改善案を実施するだけで業務改善が終わるわけではありません。一定期間における効果を測定し、業務改善の成否を評価する必要があります。効果は定量的に測定するのが望ましく、顧客満足度、製造リードタイム、クレームの削減率などが指標として設定されます。
コンサルティング会社は、適切な指標の選定から実績数値を集めて集計する手法を提供します。評価の結果、望んだ成果が得られていれば業務改善は成功であり、現場に定着していきますが、結果がかんばしくない場合は、その原因を突き止め、改善をめざすPDCAサイクルをまわしていくことになります。

まとめ

業務改善を行うことが自社だけでは難しい場合があり、外部のコンサルティング会社にはさまざまな業務改善の支援が期待できることをご理解いただけたでしょうか。ここで重要なのは、業務改善の主役はコンサルティング会社ではなく、あくまで自社の社員であるということです。ツールやコンサルティング会社が作成するドキュメントをどのように社内に浸透させていくかは、経営層のリーダーシップとともに、業務改善プロジェクトのメンバーに選ばれた社員による社内コミュニケーションにかかっています。業務改善の価値を多くの社員に理解してもらい、共感を得ながら進めていくことが重要なのです。

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