システム導入 失敗の原因とは?回避のための対策を解説

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援

14.Jul.2020

多くの企業において、ITシステムの導入と活用は生産性向上のために必要不可欠であり、業績を左右することもあります。しかし、システム導入に失敗しているケースも多く見られます。なぜ、企業がITシステム導入に失敗する事例が後を絶たないのでしょうか。ここでは、システム導入における失敗の原因とその対策を解説します。

システム導入の5割は失敗に終わってしまう

かつて主流だった、自社で機器もソフトも抱えるスタイルから、既存の製品を導入してクラウド上でシステムを運用するスタイルへと、企業におけるシステム導入の形態はこの20~30年で大きな変貌を遂げました。システム導入のコストは下がり、手間も少なくなっている一方で、2018年の日経コンピュータによるシステム開発プロジェクトに関する調査によるとシステム導入の5割は失敗に終わるという結果が出ています。

よくある失敗例として、導入したシステムの一部の機能だけが利用され、大部分は使われないままになっている、または、システム導入によってかえって業務負担が増えてしまった、などがあります。

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システム導入は事前準備が肝心!そのプロセスを一から解説します  

システム導入に失敗する原因

システム導入の失敗における代表的な原因を見ていきましょう。

導入後の体制が整っていない

システムは導入しさえすれば勝手に動いて業務をサポートしてくれるわけではありません。導入したシステムに合わせて、業務の進め方を変えていかなければなりません。そして、業務の変更に伴って組織の体制を整え、システム運用の仕組みを利用者に浸透させる必要があります。
しかし、これができていない事例が多いのが現状です。その主な原因は、システムを導入するベンダーやSI会社、導入されたシステムを使うユーザー部門、この二者の間に立つシステム部門による意思疎通がうまくできていないことです

体制が整わないままシステムの運用を開始すると、利用者に混乱が生じます。具体的には、新たな業務フローが十分に定義されておらず手順書の内容も不十分なため、手順書に明文化されていない事象が生じた際に現場が勝手にシステムを操作してしまい、導入時に意図していた効果が得られなくなるといったケースがあります。混乱を避けるには、システム導入によって業務がどのように変わるのかを導入前に明確にしておき、運用開始後に判断に迷う事象が生じた場合には当初の目的に立ち返ることが重要です。

自社に合ったベンダーを選んでいない

この失敗には2つのパターンがあり、1つ目は、自社の業務に適していないシステムを選んでしまうケースです。業界で評判の良かったシステムを導入し、実際に使い始めてからデータ項目や処理手順が自社の業務の進め方とそぐわないと判明することがあります。情報システム部が介在せず、部門独自で導入する場合に特によく発生します。

もう1つは、ベンダーがシステム導入だけを請け負うのか、導入後に業務の進め方を変える支援まで行ってくれるのかの見極めを間違うケースです。業務の変更を伴うシステム運用を自社だけでやり切る体制が整っているのであれば、導入だけを依頼すれば良いでしょう。しかし社内の体制が不十分であれば、業務変革を進めるためのツール類を提供しているなど導入後のサポートが充実しているベンダー、業務変革を支援する外部のコンサルタントを起用する必要があります。

基本的には、外部のベンダーやコンサルタントに依存しすぎずに、しっかり自社でシステム導入の目的と効果を見極めて運用すべきです。しかし、自社の運用体制を過信したり、システム運用にかかる社内の工数を甘く見積ったり、またはシステムの導入にかかるコストの削減を重視しすぎるせいで運用がうまくいかなくなる場合がありますので、注意が必要です。

専門的な知識を持つトップが企業側にいない

日本企業の経営層には、システム導入に関する専門的知識を持つ人材が少ない傾向があります。ITに関する意思決定をできる人が経営層にいないために、ベンダーやパートナーに検討の段階からシステム導入を丸投げせざるを得ない状況になり、自社の目的に合致しないシステムの導入がなされてしまう、ということがよく起こっています。

企業全体の業務を広く見て、システム導入をどのように行うべきか判断できる専門的知識を持つCIOやCTOなどが企業側にいることが理想ですが、そうでない場合はできるだけ中立的なコンサルタントを外部から起用し、現状業務の分析から業務ニーズに合ったシステムの選定、導入作業の管理までを依頼することが有効です。

参考記事:
これからのIT部門は何をするのか?

システム導入を失敗しないための対策

システム導入に失敗しないためには、何をすべきなのかを具体的に見ていきましょう。

自社に合った適切なシステムを選定する

システムの導入を検討している企業は、専門家であるベンダーにすべてお任せしたいと考えがちです。しかし、ベンダーは自社が提供するシステムを中心にビジネスをしていますので、ニーズに適合したシステムを他社製も含め幅広く検討した上で導入してくれるとは限りません。ベンダーに丸投げするのではなく、企業が自社のニーズに応じてベンダーとシステムを選定しなくてはなりません。
ニーズの取りまとめやシステムの調査・選定ができるノウハウを持った人材が社内にいない場合は、システム導入時の支援までしてくれるベンダーを選ぶのが良いですが、そうでない場合には、専門知識を持った外部のコンサルタントに支援を依頼することをおすすめします。

業務を可視化したフローチャートを作成し要件定義を進める

利用企業のニーズに合ったシステムを導入するためには、ニーズそのものを特定する必要があります。そのための第一歩が、現行の業務を可視化することです。業務の流れをフローチャートなどに書き表し、その進め方を具体的に記述します。そして、可視化した業務のどの部分をシステム化したいかを、優先順位を付けて明文化するのです。これが要件定義と呼ばれる作業です。要件定義は、ベンダーの支援を受けるとしても、企業の責任のもとで行わなければなりません。業務において考えられる行動・処理パターンを洗い出し、すべてのパターンにおけるシステム要件を定義しておくようにしましょう。

参考記事:
業務改善で活用できるフレームワークとは?種類と活用方法をご紹介  

システムに業務を合わせるつもりで導入する

自社のニーズに最もよくマッチしたシステム製品を選んだとしても、すべてのニーズが実現できるわけではありません。製品の追加開発やカスタマイズを行ってシステムを変える必要があるのか、それとも自社の業務を変える必要があるのか、本来の目的をもとに精査することをおすすめします。もともと効率の悪い業務をそのままオンライン上のやりとりに置き換えるだけであれば、業務効率は向上しないまま開発費やメンテナンス費ばかりがかさみ続ける、まったく生産性に寄与しないシステムになってしまうリスクもあります。

失敗しないシステム選びのポイント

導入に失敗しないために、具体的にどんなシステムを選んだらよいのか具体的に見ていきましょう。

現場の運用に適したシステムか

どんなに優れたシステムでも現場で使えなければ宝のもち腐れです。とはいえ現場のニーズを聞いてそのまま要件定義をしても、単に元々の業務を新しいシステム上に置き換えただけになり、生産性向上にはつながらない場合があります。
システムの調査段階では、導入の目的を念頭に置きながら導入候補のシステムを実際に触ってみて、そのシステムを使った業務をイメージする作業が欠かせません。またその際に、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)に関して社員がどのような印象を持ち、どのように使用したのか、観察し、ヒアリングすることも欠かせません。システムの入れ替えに対する利用者の心理的な抵抗感は、運用の初期の段階で形成されます。だからこそ、新しいシステムに対する利用者の感情や行動について、予想される反応を事前に把握しておくことが必要なのです。

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どうして「デジタルトランスフォーメーション(DX)」にワクワクしないんだろう? 

カスタマイズに頼らない

日本でシステム導入の核となる製品の多くは海外ベンダーが開発したもので、各業種で最も成功した企業の業務を前提として作られています。日本で販売するにあたって、日本の商習慣に合わせた改変はされているものの、利用者が今までできていた業務の一部が新しいシステム上で実現できない可能性はあります。

システム製品を業務に合わせるカスタマイズを行えば、追加のコストがかかります。また、それだけではなく、将来ビジネスを取り巻く制度変更やシステム製品自体のバージョンアップが発生した際に、カスタマイズした製品がバージョンアップに対応できなくなる恐れがあるのです。

自社のニーズに対応して柔軟にシステムの変更を行えるオンプレミス運用のメリットを否定はしませんが、システム製品の中身に手を加えるのではなく、現場の業務をどう変えればシステムに合わせられるかを考えることが成功のポイントです。

コストに見合ったものか

システム導入には、システム製品の購入費、導入に携わるベンダーの人件費だけではなく、要件定義や導入テストに携わる社員の人件費もかかります。それらのコストに見合うだけの期間、そのシステムを使い続けられるかも重要なポイントです。

システムの選定にあたっては、将来予想される業務の変更、処理量の増大にどこまで柔軟に対応できるかをチェックしましょう。これは核となるシステム製品に備わったもので、導入作業の中で変えられるものではありません。業務処理量の最大値、導入当初にはない処理ロジックを具体的にシステム会社に示して、これらを行えるか、行えないのであれば、改変のためのコストはどのくらいかかるのかを尋ねてみるのが良いでしょう。

まとめ

これまで見てきたように、システム導入が失敗する原因はさまざまですが、それらを知ることで失敗を回避する方策を立てることは可能です。しかし、それの方策を実行できるか否かは経営層とシステム管理部門にかかっています。経営層がシステム導入とは業績を左右するものと認識した上で、システム管理部門が企業全体の業務を俯瞰し、全体最適となるシステムの導入を主導すること。これらが、システム導入成功の鍵となるのです。

参考記事:
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