「問い」を立てることから始める課題解決【後編】 〜ソフィアのメンバーが、問いが生まれる場を再現してみました〜

#イノベーション#ビジネススキル#研修・ワークショップ#組織開発

02.Jul.2020

「『問い』を立てることから始める課題解決【前編】-なぜ、「答え」からではなく「問い」から考えることが大事なのか-」では、これに続く【後編】で“「問い」の立て方について紹介する”と予告していました。そこから「どうせなら、ただやり方を説明するのではなく、実際にソフィアのメンバーで自社の課題解決に向けた『問い』を立ててみよう!」とZoomによる“対話会”を実施する展開に。どんな話から、どんな「問い」が生まれたのでしょうか?
同席したライターの小笠原が、「問い」が生まれるまでの様子をレポートします。

〈目次〉
1. テーマは「明文化されない組織の文化や風土に関してモヤっとすること」
2. 「問い」が生まれるまでのプロセス
①入社5カ月のメンバーのモヤモヤから話がスタート
②「そう、そう!」が増えてくる
③キーワードが整理され、「問い」が決定!
3.振り返り:「問い」は“立てる”もの? “湧き上がってくる”もの?
4.まとめ:「問い」を生みだしやすくするためのヒント
●参加したメンバーが気付いたこと

【参加したメンバー】
・古川 貴啓(ふるかわ たかひろ) :写真右下 2015年度入社 ラーニングデザイナー
・長南 雅也(ちょうなん まさや):写真右上 2019年度入社 ラーニングデザイナー
・瀬尾 真理子(せお まりこ):写真左下 2005年度入社 コミュニケーションコンサルタント/コンテンツプランナー
(取材・文:小笠原 綾子 写真左上)

1. テーマは「明文化されない組織の文化や風土に関してモヤっとすること」

2020年に設立20年目を迎えたソフィア。最近、新しいメンバーが続々と入社するなかで、それぞれが漠然とイメージしているソフィア“らしさ”を明確にして、みんなで共通認識をもつ必要性を感じているそうです。

そこで、現在ソフィアのリブランディングのプロジェクトにかかわる古川さん、長南さん、瀬尾さんの三人が、「明文化されない組織の文化や風土に関してモヤっとすること」をテーマに語り合い、ソフィア“らしさ”を明文化するための「問い」を立ててみよう、ということになりました。

このテーマについて語り合う際に取り入れたのが、「哲学対話」のルールです。

【哲学対話のルール】
1.何を言ってもいい
2.発言せず、ただ聞いているだけでもいい
3.お互いに問いかけるようにする
4.話がまとまらなくてもいい
5.意見が変わってもいい
6.わからなくなってもいい
7.人の言うことに対して否定的な態度をとらない
8.知識ではなく、自分の経験にそくして話す

(※)哲学対話:1970年代にアメリカで、子どもの思考力やコミュニケーション能力などを育成する目的で考案。参加者がみんなで「問い」を決め、「なぜ?」を大切にしながら考え、自由に話し、聴き合う場。

2. 「問い」が生まれるまでのプロセス

①入社5カ月のメンバーのモヤモヤから話がスタート

最初に話題となったのは、三人のなかで最も社歴が浅い、長南さんの心境です。長南さんがソフィアを客観的に観て、どんなことに疑問に感じているのかというのは、ほかの二人にとって関心のあるところ。長南さんが感じているモヤモヤから、ソフィアの課題が見えてきました。

長南:僕は今年の1月に入社して、2月末から新型コロナウイルスの影響で完全在宅勤務になり、緊急事態宣言の解除後も在宅勤務メインに働くなかで、モヤモヤしっぱなしですよね。本来なら今ごろ、オフィスでみなさんとコミュニケーションして、ソフィアの雰囲気や組織風土を感じながら働いているはずなんですけど。

お客さんの新入社員研修をオンラインでしていると、在宅勤務だと、仕事以外の話をしたくてもその時間がほとんどないという話を聞きますね。きっと、その会社“らしさ”みたいなものを知りたいんだと思います。

古川:その話を聞いてちょっと思い出したんですけど。
新入社員研修のとき、新入社員が先輩に、「どんな職場ですか?」と、ザックリした質問をすることがありますよね。これに対して先輩が、「こういう職場です」とか「こんな先輩たちがいます」と答えて、会話が終わってしまうんですけど。

きっと新入社員は、「自分がこの会社に馴染めるのか」とか、「自分はどんな人間関係のなかで働くのか」とか、自分が求めるものとその会社“らしさ”が合っているのか知りたくて、この質問をしているんだと思います。でも、“らしさ”について言語化されることはなくて、結局は、その会社で先輩たちと一緒に過ごすことで、経験から“らしさ”を感じていくことになるのかも。

瀬尾:長南さんが今、心配なことや気になっていることは?

長南:僕は、モヤモヤを抱えずに気持ちよく仕事をするためには、「社会」と「会社」と「自分」がしっかりつながっている環境をつくる必要があると思っています。会社のビジョンやミッションと自分の方向性が重なっていると、フィット感というか、前に進んでいる実感を得られると思います。

そこで、「自分にとってソフィアはどうなのか?」と考えてみると、曖昧でモヤっとしているところがあるんですよ。ソフィアは個々に判断を委ねていることが多く、かなり自由度が高くて、感覚的には“フリーランスの集団”。もうちょっと制約があって、メンバー共通の価値基準が明確だったら、自分とソフィアの関係をクリアにできるのかも。

古川:確かに、“フリーランスの集団”みたいなところはあるかもしれませんね。ソフィアは「個」が尊重されている会社で、言い方を変えると、「個」を尊重したい会社なんだと思います。

②「そう、そう!」が増えてくる

開始から20分ほど経過したところから、「そう、そう!」と相づちが聞かれるようになりました。

瀬尾:ソフィアが形を変えてきたなかで、“変わらないもの”もあると思うんですよね。

古川長南:そう、そう!

瀬尾:それって、何でしょう?

長南:そう!実は僕もそこが気になっています。“変わらないもの”は、伝統やその会社“らしさ”だと思います。ソフィアの“変わったもの”と“変わらないもの”をしっかり区別しておかないと、変えてはいけないものまで変えてしまいそうな気がします。

〜中略〜

瀬尾:ソフィア“らしさ”って何だろう? 
ソフィアには「人と組織を元気にします」というミッションがあって、みんなそこに共感しているということは、前提としてありますよね。

私が新卒で入社した会社は、そういう信念みたいなものがなかったんですよ。今と同じように、ウェブサイトの管理や広報誌の制作を担当していたんですが、扱っていたのは美容系の商材でした。雇用条件は悪くなくて、ものをつくる仕事にも面白味は感じていたんですが、自分自身はその商材に思い入れがなく、人のコンプレックスを刺激して消費を促すクリエイティブを日々考えることにモヤモヤしていました。

やっぱり、お金だけのために、ほかのすべてに目をつぶって働けるものではないよなって思いましたね。

古川長南:そう、そう!

瀬尾:さっき長南さんが話していたことにつながりますが、自分がその組織で役に立つことができていて、自分の仕事が社会につながっていて、しかも社会に貢献できていると実感できることが大事なのかなと思います。

③キーワードが整理され、「問い」が決定!

開始から約45分経過したころ、長南さんが、「そろそろ『問い』を出してみませんか?」と提案。そこから、これまで話してきた内容が整理されていき、「問い」が生みだされました。

長南:なんか、話がすごくつながってきたような気がします。
テーマの「明文化されない組織の文化や風土」のなかに、“変わるもの”と“変わらないもの”があると思うんですけど。それが何なのか、言語化して区別していないからモヤっとしている気がします。

古川瀬尾:はい、はい!

長南: 「ソフィアのなかで、“変わったもの”と“変わっていないもの”は何か?」
という「問い」について話してみるのはどうでしょう? 

古川瀬尾:いいですね!

古川:「これは変わってるね」「これは変わってないね」と話していった結果、「変えてもいいこと」と「変えてはいけないこと」が見えてきたら、面白いかも。

3. 振り返り:「問い」は“立てる”もの? “湧き上がってくる”もの?

実際に「問い」を立ててみた三人は、振り返りで次のように話していました。

古川:哲学対話の8つのルールを改めて見てみると、よくある会議と真逆ですよね。「発言せず、ただ聞いているだけでもいい」とか、「話がまとまらなくてもいい」とか。

瀬尾:何も意見が出てこないのが一番よくないので、まとまらなくてもいいから、とにかく思ったことを言葉にしてみるのが大事ですよね。それに、気の利いたことを言おうとすると、人の話を聞けなくなるんですよね、自分が話すことを考えるのに精一杯で。

長南:ところで、僕が途中で立ち上がったのに気づきました?  僕は、動いたりしてからだを開いたほうが、自分を出しやすいと思いました。それと、寛容さ。からだを開くと、ほかの人の話を受け入れやすくなる気がします。

瀬尾:そう考えると、会議室でかしこまってやるよりは、飲み物を取りに行ったりしながら、ゆる〜くやるのがいいのかも。

古川:スタンディングバーとかで、「お酒を片手にちょっと話そうよ」くらいの感じが、ちょうどいいのかもしれないですね。社内でお酒を飲むことはできないですけど(笑)。あとは青空の下で、たとえば芝生の上で車座になってやってみるとか。

長南:実は、僕は「問い」を“立てる”とか“つくる”ということに、ちょっと違和感をもっていたんです。それで今日、実際にやってみて、問いは“立てよう”“つくろう”と思ったときほど、出ないのかもしれないと思いました。

瀬尾古川:あっ、確かに!

長南:散歩しているときなどの何気ない瞬間に、自然に出てくるものなのかなって。「問い」は“立てる” ものというより、“湧き上がってくる” ものなのかもしれませんね。

4.まとめ:「問い」を生みだしやすくするためのヒント

ソフィアの三人の振り返りからわかった、「問い」を生みだしやすくするためのヒントは、

①哲学対話の手法を取り入れてみる

結論を出そうとせず、気づいたこと・思っていることをとにかく口に出して、お互いの意見を受け止め合う。大事なのは、その場にいる人みんなが話したいと思える「問い」を見つけること。

②みんなで場をつくる・一人ひとりが場をリードする気持ちで

参加者一人ひとりが、「対話しやすい場をみんなでつくる」という気持ちをもつことが大事。ファシリテーターのような進行役はいたほうがいいが、場を仕切ろうとすると研修会のような雰囲気になるので、その点に気をつける。

③心をオープンにして、リラックスして語れる場所でおこなう

普段仕事をしている場所とは違った環境のなかで、“仕事をしている”という感覚から解き放たれると、思っていることを発言しやすい。たとえば、青空の下で車座になってやってみるなど。また、からだを動かしながらやってみると、オープンな気持ちになれるかも。

みんなで話したい「問い」が決まってからが、本当の意味での「哲学対話」のスタートです。ソフィアの三人が考えた「問い」からどんな対話が展開されるのかも、興味深いところですね。

●参加したメンバーが気付いたこと

 
問いを生み出せる場を作ることと、対話ができる場を作ることは同じ状況を目指しているのだなと、あらためて再認識しました。オンライン上でこの対話を行いましたが、話しにくさを感じることもなく自分の感じたこと・思い浮かんだことをその都度、言葉にできましたし、他の人の話を聞いて、また思い浮かべることが増えるという循環が生まれ、あっという間に時間が過ぎていきました。ちょっと不思議な方法かもしれませんが、対話を通して、今、自分たちに必要な「問い」が見つかる機会になります。ぜひ一度、仲間を募ってやってみてはいかがでしょう。(古川貴啓)

哲学対話のような自由に語り合い・自由に問い合える場をつくることで、語り合いの中から自然と問いが湧きだしてきます。
問い自体は日頃の素朴な疑問から生まれることが多く、様々な経験をすることで語り合いの中で湧き出る問いに幅を持たせることができます。
日常の中では様々な問いが湧きだしているが、意識しないと捉えられない問いが多いです。より多くの問いを捉えるためには、自分の身体と心に耳を傾けることも必要かと思います。(長南雅也)

レポートしてくれた小笠原さんを含めた4名の中で「哲学対話」未体験だったのは私のみ。やや身構えていたのですが、始まってみると誰もがうんうんと頷いて受け止めてくれる中で、思いついたことを気負わずに話すことができました。ただ、今回はある程度の信頼関係があり、対話の方法にも理解が深いメンバーだったからスムーズに行ったものの、もし、もともと参加者の中に仕事上の強力な上下関係があったとしたらどうだったか? 対話をする上での「ルール」と、そのルールに沿って場を進行するファシリテーターの存在が重要かもしれないと感じました。(瀬尾真理子)
 

 

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