リモートワーク時代のチーム術「まず顔を合わせてお互いを知る」

オフィスという場所にはこだわらなくても、顔を合わせる機会はあった方がいい

以前、弊社山口とのリモートワークについての対談で「会社にオフィスは必要か?」という問題提起をした。私自身、2011年に完全リモートワークになってから5年間、常に1人だけ離れた場所で仕事をしている。顔を合わせる機会が少ない分、どうしても「仕事のみ」のコミュニケーションになりがちのため、「考えに行き詰ったときに抜け出しにくい」「プライベートでの出来事や悩みを同僚に共有する機会が少ない」といった面はあるが、仕事を進める上でのコミュニケーションに大きく不自由があると感じたことはあまりなかった。

だからオフィスがなくなっても困らないのではないか…と思っていたのだが、それは、「会社のメンバーとまったく会わなくても困らない」ということと実はイコールではない。普段は、顧客先への訪問やプロジェクトの会議、上司との業務面談などのために、1~2ヵ月に1度は東京へ出張し、必要な相手と対面でのコミュニケーションをとっている。また、そのほかに、毎年恒例の2泊3日の全社合宿で、会社のメンバー全員とみっちり同じ空間で過ごす機会がある。とくにこの合宿が私のリモートワーカー生活に重要な役割を果たしていると感じている。

参考:【合宿レポート】「未来に向けて、変化に強く、しなやかに」ソフィア2016合宿

人々

実は、現在の会社メンバーの中で半数以上は、私が在宅勤務になった2011年以降に入社している。たまに東京のオフィスへ顔を出す日も大抵は日帰りで、顧客先へ直行することも多いため、新しく入社したメンバーと机を並べて仕事する機会はほとんどない。しかし、普段はプロジェクトごとにさまざまなメンバーと仕事をしており、在宅勤務になる前にオフィスで一緒に仕事をしていたメンバーとも、それ以降に入社したメンバーとも、とくに違和感なくやりとりし、仕事を進めることができる。それはやはり、年に1度の合宿で長い時間を一緒に過ごしているからだと思う。

同じ空間でみっちり一緒に過ごす、合宿の効能

もちろん、メールや電話、Skypeなどを使ったビデオ会議やチャット、Yammerなどのエンタープライズ・ソーシャルツールといったオンライン上のコミュニケーションのみで信頼関係を築くことも不可能ではないだろう。いまどきネット上で出会った人と友情を結んだり、恋に落ちて結婚したり、新しいビジネスを始めたりする人も珍しくはない。でもそれは、自分から相手に関心を持って、なんらかの目的をもってアプローチをする場合だ。

会社の同僚となると事情は少しちがう。ある日「採用活動を進めています」「こんな人が入社予定です」というニュースを聞き、そのうちメールや電話の向こうに新しい仲間が現れる。他のメンバーから「こんな人だよ」という噂を聞く、仕事上、メールや電話で本人とやりとりをする…でもやっぱり、直接会うまではどんな人だか実感がわかず、リラックスして話ができる関係にはなりにくいのである。

それが、合宿で2泊3日を一緒に過ごすと、一気に距離感が縮まる。通常の業務の中では仕事の話しかしたことがない相手とも、合宿中であれば仕事以外の話をする時間がたっぷりある。社員全員がそろっているから、新旧メンバー間の人間関係もよく見える。また、各プログラムにおけるディスカッションなどを通して、その人の考え方や価値観、個性や強みも見えてくる。そうすると、合宿が終わって再びリモートで連絡を取り合う関係に戻っても、以前よりお互いにリラックスして、ときには仕事以外の話もできるようになる。

さらにオフサイトで行う「合宿」のメリットを上げるなら、「誰のホームでもない」という点だ。チームの結束を高めるには、「メンバーの誰かにとってはホームで、誰かにとってはアウェイ」という環境よりも、オフサイトで顔を合わせた方が、全員が同じ地平でコミュニケーションできるのではないだろうか

いったん全員が顔を合わせることで、チームの業績は高まる

『職場の人間科学~ビッグデータで考える「理想の働き方」』(ベン・ウェイバー 2014 早川書房)という本にこんな調査結果が紹介されている。

ミシガン大学のエレナ・ロッコは、分散されたチームの業績低下の予防策を検証する実験を行った。「A 全員が顔を合わせて作業をする」「B いったん全員に顔を合わせてもらい、その後別々の場所で作業をする」「C 最初から別々の場所で作業をする」という3つのチームを作り、業績を比較。結果はAのチームの業績が最も高かったが、BのチームはAと僅差、Cのチームはダントツの最下位だったそうだ。

これは実感としてすごくわかる。一度でも会ったことがあれば相手の雰囲気がわかるので、遠隔でやりとりをする際にも、相手の顔を思い浮かべながら、相手のコミュニケーションの特徴を考慮しながら、よりスムーズに仕事を進めることができるのだ。だから、私はお客様企業の担当者や、パートナー企業の担当者が交代したときも、できるだけ時間を作って会いにいくようにしている。会ったことがなくても電話やメールで仕事はできるが、会った後の方がより親しみがわき、やりとりにおける緊張やストレスが少ないように思う。

さまざまなITツールの発達により、地理的に離れた相手と一緒に仕事をする機会は今後ますます増えてくるだろう。場所に縛られずに働けることは、働く人にとっても、会社にとってもさまざまなメリットがある。一方、チームのメンバーが一か所に集まって働く場合と比べてコミュニケーションの質・量を確保しにくいというデメリットを感じたり、うまくチームワークを保てるのだろうかという不安を抱くこともあるだろう。リモートワークに、チームメンバー全員が顔を合わせる機会を組み合わせることで、よりメリットを生かし・伸ばすことができるのではないだろうか。

株式会社ソフィア

コミュニケーションコンサルタント、コンテンツプランナー

瀬尾 真理子

組織内広報の改善やメディア・コンテンツの立ち上げ、運用支援を担当しています。企画・編集・制作はもちろん、コミュニケーションの体制作りやプロセス改善、担当者のスキルアップセミナーなども承ります。

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