リモート研修を行う具体的な方法やポイントを解説
最終更新日:2026.06.02
目次
大企業においてリモート研修を成功に導くための具体的な方法を解説する完全ガイドです。まず、従来型の集合研修とリモート研修の根本的な違いを整理し、リモートでは成果が出にくいテーマを明示します。コミュニケーションを重視した社内研修の成功事例を通じて、自律的な人材育成を実現するための具体的なアプローチを紹介します。
リモート研修の成功を左右する「記事構成」の重要性
リモート研修を成功させるためには、場当たり的なオンライン化ではなく、全体像を見据えた緻密なカリキュラムの設計が不可欠です。検索上位に表示される競合企業の取り組みを分析すると、ゴールに向かう”道筋”を明確に設計し、階層構造を持たせていることがわかります。
リモート環境における研修では、受講者が迷わず学習を進められるよう、情報が体系的に整理されている必要があります。研修の目的(ゴール)から逆算して、各セッションの「見出し」や「テーマ」を設定し、段階的に理解を深められる構成を作りましょう。
また、弊社ソフィアの調査では、2025年10月に従業員数1,000人以上の企業に勤めている現場およびコーポレート部門の方623名を対象に実施した「フル_IC実態調査2025」において、働き方の多様化により「ナレッジの分散や活用不足」が新たな課題として顕在化していることがわかりました。
散在するナレッジを体系化し、リモート環境でもアクセスしやすい形式に再構築することが、現代の研修企画担当者に求められる重要な役割です。この構成力を高めることが、受講者の理解度を最大化する第一歩となるでしょう。
従来型の集合研修をリモート化すれば良いわけではない
リモート研修は、従来型の集合研修を単純にオンライン化したものではありません。まずは集合研修とリモート研修におけるスタイルの違いを説明していきます。
また、リモート研修についての詳細については、こちらの記事をご覧ください。
従来の研修とリモート研修の違い
以下の表をもとに、従来の研修とリモート研修の違いについて説明していきます。
| 研修スタイル | 主な特徴 | 研修の主体 |
| A:従来型集合研修スタイル | 会議室等に集め、対面で直接指導を行う | 講師や事務局 |
| B:OJTスタイル | 実際の業務を通じて実践的に学ぶ | 受講者 |
| C:ウェビナースタイル | Web会議システムを活用し、遠隔で講義を行う | 講師 |
| D:コンテンツ学習スタイル | 動画教材やEラーニングを個人のペースで視聴する | 受講者 |
従来の研修とリモート研修の最も大きな違いは、集合研修と比べると、リモート研修は空間や環境の制限がないという点です。リモートに適した研修は、従来の集合研修をオンライン化したCや、Eラーニングや動画教材などを個人が自由に視聴するDです。Aの従来型集合研修では、会議室や研修会場など同じ空間に受講生たちを集め、講師が受講者と対面する形で、直接研修を行います。
一方、CのウェビナースタイルやDのコンテンツ学習スタイルでは、受講生は自宅などのインターネット回線・パソコン・モバイル・Web会議システムなどを活用して遠隔で研修に参加します。
Cのウェビナースタイルで使用する、ZoomやGoogle Meet、TeamsなどのWeb会議システムには、同時に大人数が参加できるというメリットがあります。研修の内容としては、CはAと同様に、「これを学べばこの業務ができるはず」という、受講者に必要なスキルをインプットする発想から指導内容が組まれています。
Dのコンテンツ学習スタイルでは、Web上にあるすべてのものが教材になる点が大きなメリットです。また、Dにおいて受講生に何らかの問題解決タスクを与えることで、「できるための方法を自ら学び、実践にいかす」というB(OJTスタイル/実践学習)へ変化させていく流れを作ることもできます。
また、A、B、C、Dは以下のように、研修の主体に違いがあります。
– A(従来集合研修スタイル) →講師や事務局が主体の研修方法
– B(OJTスタイル) →受講者主体の研修方法
– C(ウェビナースタイル) →講師が主体の研修方法
– D(コンテンツ学習スタイル) →受講者主体の研修方法
厚生労働省が指摘するリモート研修の課題
多様な働き方が広がる中、厚生労働省のガイドラインでも、テレワーク下における人材育成の課題が指摘されています。同省の報告によれば、テレワークは非対面の働き方であるため、出社時と比較して労働者個人の業務遂行状況や、成果を生み出す過程での能力発揮を把握しづらいという側面があります。
また、対面でのOJTを行わずにオンラインのみで必要な研修や教育を行うことは困難であると明記されています。意識的に対面での状況下でOJTを行うなどの工夫が必要とされる一方で、オンラインの特性を活かした人材育成が可能となる場合もあり、状況に応じてオンラインと対面を組み合わせる「ハイブリッド型」の実施が有用であるとされています。
弊社ソフィアの調査では(「フル_IC実態調査2025」)、リモートワークの普及に伴うコミュニケーション機会の変化が、関係性構築に新たなハードルを生んでいることが確認されました。特に大企業においては、組織の多層化や部門間の分断が依然として存在し、リモート研修を通じていかに社内の分断を乗り越えるかが問われています。
リモート研修では扱いにくいテーマもある
大手から中小企業までリモート環境が整いつつある一方で、やはりリモートでは行いにくい研修もあります。例えば、会社の理念教育や選抜研修など、参加者の共感醸成を目的としたプログラムや、社員同士のコンフリクトを生み出す可能性のある教育プログラムは、リモートで実施しても十分な成果につながらないリスクがあります。
また、活躍中の社員に対するリーダーシップ研修や営業力向上研修など、より高度なコミュニケーションが必要な研修プログラムも、リモート研修では扱いにくいものの一つです。ほかにも、上司と直接会話したことがない、新入社員同士が一度も顔合わせをしていないなど、主催する会社側と参加者の人間関係や信頼関係が構築される前の状況であれば、集合研修を先に行うのが理想です。
一方で、リモート研修は従来の集合研修よりも空間や環境の制限がなく、好きな時間に受講できるなど多くのメリットを持っています。そのため、上記のようなリモートでは扱いにくい研修プログラムも、できればリモート研修に移行したいというニーズ場合もあるでしょう。そこで、次の章からは「リモート研修を成功させる方法」についてを解説します。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した2025年のデジタル人材育成動向
大企業がリモート研修を戦略的に位置づける上で、国が推進するデジタル化の動向を把握することは欠かせません。経済産業省が発表した「DX動向2025」などの調査報告書によれば、経営陣がデータを重要な資産として認識し、全社的な取り組みとしてデジタル技術を活用することが強く求められています。
同報告書では、ビジネスモデルの変革を支えるため、「DXを実現するためのデジタル人材の育成・確保」が企業の最重要課題の一つとして位置づけられています。しかし、現状では多くの企業において、レガシーシステムの保守・運用に依存し、スキルが属人化しているという問題が深刻化しています。
リモート研修は、こうした全社的なデジタル人材育成を、場所の制約なく一斉に推進できる強力なツールとなります。公的な学習プラットフォームを活用したり、社内外のスキル動向を把握した上で、自律的な学びを促進する仕組みづくりが、今後の企業競争力を左右すると言えるでしょう。
大企業におけるリモート研修成功のポイントと事例
競合他社や大企業の成功事例を分析すると、リモート研修を成功させるためには「企画」「実施」「終了後」の各フェーズで、オフラインとは異なる独自のアプローチが必要であることがわかります。以下に、失敗しないための具体的なポイントを詳述します。
企画段階での4つのポイント
リモート研修の企画では、「何を学ぶか」だけでなく、「リモートという環境下でどう働くか」をテーマに組み込むことが重要です。
– 主体性・自律性を高める設計:
人の目がないテレワーク下では、自らを律する力が求められます。研修自体も、受講者が主体的に参加できるような動機付けが不可欠です。
– オンラインコミュニケーションの習得:
対面とは異なる、画面越しでの関係構築やチャットを用いた非同期コミュニケーションのスキルをプログラムに盛り込みます。
– テレワークでの仕事の進め方:
孤立感によるモチベーション低下を防ぎ、トラブル発生時に適切にエスカレーションする手順を学ばせます。
– タイムマネジメントの徹底:
仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすいため、長時間のダラダラとした労働を防ぐ自己管理術を教育します。
実施段階での7つのポイント
当日の運営においては、参加者のストレスを排除し、集中力を維持する工夫が求められます。
– 通信環境の徹底整備:
映像や音声の乱れは致命的です。企業によっては、自宅のネットワーク環境を整えるための通信手当を支給する事例もあります。
– トラブル対応専用の窓口設置:
ログインできない、音が聞こえないといったトラブルに対し、講師が対応すると進行が止まります。必ず専任のサポート担当者を設けてください。
– 余裕を持った事前準備:
開始前の接続テストや機材チェックに十分な時間を割きます。
– ディスカッションは4人以下で実施:
大人数でのブレイクアウトルームは、発言しない「フリーライダー」を生みます。全員が参加せざるを得ない「4人以下」の少人数制が効果的です。
– 一方通行の講義を避ける:
ただ動画を見るだけの時間は極力減らし、双方向(インタラクティブ)のやり取りを増やします。
– コミュニケーションルールの事前設定:
ミュートのオンオフや、リアクションボタンの使い方、質問のタイミングなどのルールを最初に明確にします。
– 動画やライブ配信の効果的な使い分け:
知識のインプットは事前の動画視聴(オンデマンド)で行い、ライブ配信ではアウトプットや議論に集中する「反転授業」の形式が推奨されます。
終了後の2つのポイント
研修効果を定着させるためには、アフターフォローが欠かせません。
– 詳細なフィードバックの実施:
アンケートやテストを通じ、理解度や満足度を測定し、次回への改善に繋げます。
– 関係性構築のための時間を確保:
リモート研修の最大の弱点は、休憩時間や終了後の「雑談」が失われることです。あえてスケジュールの中に、質疑応答や受講者同士が交流できる時間を意図的に作り出してください。
弊社ソフィアの調査では(「フル_IC実態調査2025」)、社内イベントや雑談などの非公式なコミュニケーションが、関係性構築の多様な手段として重要な役割を担っていることが確認されています。研修後の交流時間は、この非公式なつながりを生み出す絶好の機会となります。
リモート研修実施のポイント
ここまで企画・実施・終了後の各フェーズでのポイントを整理してきました。では、C(ウェビナースタイル)やD(コンテンツ学習スタイル)などを融合させて、リモート研修をさらに深掘りして成功させるための方法には、どのようなものがあるでしょうか。ここでは3つに絞ってご紹介します。
ラーナーエクスペリエンスの設計
ラーナーエクスペリエンスとは、「学習者の体験」という意味で用いられます。リモート研修では受講者がどのような学習体験をするかが、受講者のモチベーションや研修の成果を左右します。
受講者が「研修前→研修中→研修後」というプロセスをたどる中で、どのような心理になるのかを考え、それぞれの段階にマッチしたコンテンツを設計しましょう。
そのためには、担当者や研修事務局は、研修者に何を学んでほしいのか、そのためにはどのような学習体験がマッチするのかを吟味しなければなりません。効果的なラーナーエクスペリエンスの設計は、次の流れに沿って行ってください。
- – 研修者に何を学んでほしいのかを決定する
- – 研修者の年代・背景を調査する
- – 目標達成に最適なアイデアとコンセプトを考える
- – 既存または独自の学習コンテンツの基本形を作成する
- – 上記を検証し、修正を加える
- – 再検証したのち、完成品を学習教材として使用する
このプロセスを通じて、受講者の状況に寄り添った、実践的で効果の高い学習体験を構築することが可能になります。
コンテンツを提供する専門スタッフの配置
学習段階にマッチしたコンテンツを必要なタイミングに提供するためには、そのための専門スタッフ(キュレーター)を配置するのが効果的です。コンテンツを提供するキュレーターには、Teamsなどのプラットフォームを活用し、アクセスログなどのデータを追いながら受講者の変化を察知・管理する能力が求められます。研修を受けた人材などの情報をデータで一元管理できる「タレントマネジメントシステム」などを利用するとなおよいでしょう。
また、リモート研修時に使用する資料などはクラウドサービスに格納しておくと便利です。あらかじめ、研修者に格納先URLを伝えておけば、資料の送付に費やすコストも時間も軽減できます。
リモート研修では、「共有するコンテンツや資料のURLにアクセスできない」、「音声・映像がうまく作動しない」といったトラブルも少なくありません。キュレーターには、トラブルに素早く対応できるスキルや、研修者が不安にならないような対応力も必要です。
動画コンテンツの視聴しやすい長さの設定
リモート研修を成功させるポイントのひとつとして、「コンテンツは視聴しやすい長さにする」ということが挙げられます。仮に6時間かかる研修であれば2時間ずつ3回に分け、その間に反復学習ができるようにすることで、より効果的なリモート研修方法となります。
研修者が求める適切な長さのコンテンツを配信することで、集合研修にも負けない効果が得られるかもしれません。さらに、理解力の向上や集中力を維持するためにも、コンテンツの長さは重要なポイントです。
弊社ソフィアの調査では(「フル_IC実態調査2025」)、コーポレート部門からの情報発信において、従業員が情報を消化しやすいフォーマットの重要性が高まっていることが示唆されています。マイクロラーニングと呼ばれる数分単位の短い動画を活用することも、集中力の維持と知識の定着に極めて有効です。
2025年版・リモート研修ツールの比較と選定
効果的な学習体験を提供するためには、目的に応じた適切なツールの選定が不可欠です。2025年現在、リモート研修を支えるツールは多機能化・統合化が進んでおり、企業の規模やセキュリティ要件に合わせて慎重に比較検討する必要があります。
| ツール種類 | 主な目的と特徴 | 具体的なサービス例 |
| Web会議システム | リアルタイムの講義、顔を見ながらのディスカッション。対面に近い臨場感を提供。 | Zoom, Microsoft Teams, Google Meet |
| LMS(学習管理システム) | 動画教材の配信、受講履歴の追跡、テストの実施などを一元管理。 | Schoo for Business, 各種クラウドLMS |
| コラボレーションツール | 研修前後の非同期コミュニケーション、ファイル共有、質問対応。 | Slack, Microsoft Teams, Lark |
| エンゲージメントツール | 研修後の定着度測定や、アンケート収集を通じた効果測定。 | 各種パルスサーベイツール |
特に大企業においては、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ(エンドツーエンド暗号化やアクセス権限の細かな設定)と、ITリテラシーに依存しない直感的な操作性がツール選びの最重要基準となります。また、これらをバラバラに導入するのではなく、ツール間の連携をスムーズに行うことで、受講者のストレスを最小限に抑えることが求められます。
【事例紹介】リモート研修を効果的に実施するカギはコミュニケーション
リモート研修を効果的に実施するカギは、コミュニケーションです。なぜなら、受講者同士・受講者と講師間のコミュニケーションが活発化すると、受講者のモチベーションが高まるだけでなく、学びに前向きな組織風土の醸成へとつながるからです。コミュニケーションを促進するために、社内SNSツールや社内報などのインターナルコミュニケーションツールも積極的に活用しましょう。
ここではソフィアによる、リモート研修の支援事例を紹介します。
ラーニングエクスペリエンスデザインの手法を生かした社内研修の内製化支援
医薬品開発のプロセスにかかわる業務受託事業を展開する(当時)医薬品開発のプロセスにかかわる業務受託事業を展開していた「株式会社EPクロア」(現:イーピーエス株式会社に統合)の階層別研修のオンライン化をソフィアが支援した事例です。
動画サービスの法人向けプログラムを提供する「Schoo」と提携し、階層別研修に動画コンテンツを取り入れました。同社の目的である「自ら考えて行動でき、挫折や悩みを成長の糧にできる新人の育成」に合った研修内容となるよう、ソフィアがSchooの教材に肉付けしました。
ソフィアでは、体験型オンライン研修として、一連の体験が1カ月の研修における学習体験の流れを次のように設計しました。
– 方法を学ぶ
– 業務で使う
– できたという達成感を得る
リモート環境に適した研修プログラムとして階層別研修を再設計する作業は、クロアとソフィアで行いました。「受けたら終わり」という従来の研修スタイルとは異なり、学びを業務の中で実践できる研修内容だったため、ソフィアの担当者は受講者に丁寧に趣旨の説明を行いました。結果として、研修事務局とソフィア、研修講師、受講者を含む、当事者全員で作り上げた研修プログラムとなりました。
まとめ
従来の対面スタイルの集合研修に加え、空間・環境面で自由度が高いリモート研修を導入する企業が増えつつあります。リモート研修の導入により、場所や人数の制限が取り払われるだけでなく、働き方の多様化にも対応し、安定した質の高い研修が可能になります。つまり、リモート研修は単なる「集合研修の代替」ではなく、人材育成の幅を広げる戦略的な選択肢と言えるでしょう。
リモート研修の方法や設計などを一から作るのが難しい場合は、組織活性化のプロに問い合わせることもおすすめです。具体的なリモート研修の導入・実施にあたり、限られた担当者数で手が回らないなどの困りごとや、情報提供のご要望などがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。






