SDGsへの世界の取り組み方は?ランキング上位国の取り組み事例を紹介

#サステナブル#SDGs#グローバル

12.May.2020

2015年に国連で採択されたSDGsは、持続可能な社会に向けて世界中のすべての国が取り組むべき目標です。しかし、その取り組み方は国によって大きく異なっています。また、SDGs目標の期限である2030年に向けた現在の達成度も千差万別です。

それぞれの国で、SDGsはどのように推進されているのでしょうか。この記事では、各国の達成状況と達成度ランキングの上位に入っている国々で行っているSDGsへの取り組みをご紹介します。自社でSDGsの取り組みをはじめようとしている方は、日本国内の事例だけでなく海外事例も参考にしてみてください。

参考記事:
SDGs(持続可能な開発目標)とは ~企業が取り組むべき理由と事例~  

SDGs各国の達成状況は?

 

「誰一人として取り残さない」ことをスローガンに、SDGsはより良い社会を目指すための17の目標と169のターゲットを定めています。しかし、その具体的な取り組みは国によってさまざまで、達成度にも差があります。

そこで、それぞれの国の状況を把握するために、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)とドイツのベルテルスマン財団が、各国におけるSDGsの取り組みについて年に一度報告書を作成しています。

では、2019年に発表された各国のSDGs達成状況の概要を見てみましょう。
全体の達成度ランキングで1位となったのは、デンマークです。デンマークは前年の2位から順位を上げました。前年トップだったスウェーデンが今回も健闘し、2位にランクインしています。
3位は、2年連続でフィンランドでした。上位3か国を北欧が占めていて、そのあとにはフランス、オーストリアそしてドイツが続きます。
上位10か国までにランクインしたのは、すべてヨーロッパの国でした。このことから、ヨーロッパでSDGsへの取り組みが特に進んでいる傾向であることがわかります。

しかし、ヨーロッパの国々がSDGsのすべての項目で達成度が高いわけではなく、いくつかの項目ではあまり良い成果が挙げられていません。特に、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の4項目については、世界的に取り組みが遅れていると指摘されています。中には、多くの国でほとんど進展が見られなかった項目もありました。

さらに目標14については、積極的に推進できていると評価された国は1つもありませんでした。SDGsに積極的に取り組んでいるヨーロッパの国でも、17の項目すべての実現に向けて順調に進めることはできていないのです。

SDGsへのコミットメントを打ち出している国は、ヨーロッパに関わらず増えてきています。影響力の大きいG20と人口1億人以上の43か国の中では、2018年1月時点で33か国が、国としてSDGsの達成に向け取り組むことを公言しています。

ただし報告書によると、その中で国家予算にSDGsの推進費用を盛り込んでいるのは18か国しかありません。言葉だけでなく、実行の伴う施策を進めることが大切でしょう。

参考:Sustainable Development Report 2019

SDGsの達成状況 日本のランキングについて

SDGsへの注目度が世界中で高まる中、日本の取り組みはどの程度評価されているのでしょうか。

SDGsに向けた日本の達成状況

2019年に発表されたSDGsの達成度ランキングで、日本は前年と同じ15位となりました。これはアジア諸国の中では最も高い順位で、ヨーロッパを除くとニュージーランドに継ぐ順位です。日本のSDGsの達成度は、一定の評価がなされていると考えてよいでしょう。

項目ごとに見ると、目標4「質の高い教育をみんなに」と目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」で高い評価を受けていることがわかります。100%を誇る日本の初等教育就学率やその後の高等教育への高い進学率、それに科学技術の水準の高さやインターネットの普及率などを考えると、納得感のある評価ではないでしょうか。

一方で、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、そして目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、まだ多くの課題があると指摘されています。

特に早急な解決が求められるのは、ジェンダーに関する項目です。日本では、国会の女性議員の比率がかなり低い状態にとどまっていることや男女間に依然として賃金格差があることなど、社会的な男女平等が道半ばです。諸外国と比べても女性の社会的な地位の向上は大きな課題となっているため、目標5は低い評価が付けられているのです。

参考記事:
SDGsで社会における女性活躍を推進 女性活躍を実現する企業例もご紹介  

また、目標12や目標13は大別すると環境に関する指標と言えます。日本は消費エネルギーのうち再生可能エネルギーが占める割合の低さが指摘されているほか、人口一人当たりの二酸化炭素排出量の多さも課題となっています。環境に優しい製品を製造する技術力は高いものの、個人の意識がヨーロッパ諸国と比べると高くないというのも課題の1つでしょう。

日本が今後SDGsの達成度をさらに向上させるためには、女性の社会進出をより一層進めることや企業や個人の環境意識を高めることなど、「ジェンダー」と「環境」によりフォーカスすることが重要となってきます。

参考:外務省「日本政府の取組」
Sustainable Development Report 2019

参考記事:
日本企業がSDGsに取り組むメリットは?企業の事例とともに紹介  

SDGsの達成度が高い国々がやっていること

では、SDGsの達成度を高く評価されている国々ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。いくつか事例を見てみましょう。

ランキング3位 フィンランドの取り組み事例

フィンランドはSDGs達成度3位の国で、82.8ポイントを獲得しています。特徴的なのは、行政が中心となって持続可能な社会構築への取り組みを進める中、社会的にもSDGsの考え方がかなり浸透してきていることです。

首都ヘルシンキの取り組みを見てみましょう。ヘルシンキの観光情報を紹介するウェブサイトには、「サステイナビリティ」に焦点を当てた情報を発信するページが設けられています。このページを訪れた市民や観光客は、どの施設がサステイナビリティの基準を満たしているのか知ったり、ヘルシンキでのサステイナブルな1日の過ごし方について情報を得たりすることができるのです。行政が中心となって積極的に持続可能性に関する情報発信を続けることで、人々にとってもSDGsの考え方が身近なものとなってきているのです。

そもそもフィンランドで持続可能性という考え方が注目されるようになったのは、国連でSDGsが採択されるよりもずっと前のこと。「持続可能な開発に関する国家委員会」が設置されるなど、国としても持続可能な社会を活発に推進しています。「コミットメント2050」というシステムを利用することで、企業や個人など社会を担うさまざまなアクターが持続可能性を推進する行動を目標化することもでき、SDGsの概念はかなり一般的なものとなっています。

時間をかけて国を挙げた取り組みを進めることで人々の意識を変えることができるという例として、参考にできるのではないでしょうか。

参考:ヘルシンキ観光情報
コミットメント2050

ランキング2位 スウェーデンの取り組み事例

前回のランキングでは1位だったスウェーデン。今回はトップの座こそ譲ってしまったものの、85.0ポイントと高いスコアを獲得して2位に選ばれています。SDGs達成度ランキング上位の常連国であるスウェーデンも、国が主体となり持続可能な社会の推進を長年行ってきました。その結果、企業のSDGsに向けた意識が高まっているのが特徴です。

たとえば、ラグンセルスという企業を見てみましょう。ラグンセルスは、企業や家庭などから出た廃棄物を処理する会社であり、断熱材のリサイクルに力を入れています。気候の厳しいスウェーデンでは断熱材は必需品ですが、リサイクルすることで繰り返し利用することができ、埋め立て処理される量を減らしています。これは、SDGsの目標12「つかう責任 つくる責任」に沿った行動です。
また、ラグンセルスは断熱材のリサイクル事業をデンマークの企業と共同で行っています。目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の精神に基づいた活動で、国境を超えた企業のパートナーシップとしても参考になります。

スウェーデンでは、企業におけるSDGsへの取り組みがかなり活発です。ラグンセルスのほかに、スウェーデン発祥の企業で世界的に有名な家具量販店のイケアも、SDGsの実現に力を入れていることで知られています。たとえば、製品の60%以上に再生可能な素材が利用されているほか、エネルギー利用効率の高い家電製品を展開するなど、環境を意識した製品づくりをすることで循環型の社会を目指しています。また、食材は認定を受けたものを使用したり、女性や移民など多様性に富んだ職場環境を実現させたりと、自然環境、労働環境、ジェンダーなどの様々な側面からSDGsを推進しているのです。

SDGsへの取り組みに関心がある日本企業にとっても、スウェーデンの企業の取り組みは参考になるはずです。

参考:JETRO「欧州のSDGs実践に関する調査」
IKEA「サステナビリティレポート」

ランキング1位!デンマークの取り組み事例

では、最後にSDGs達成度で85.2ポイントを獲得して1位となったデンマークを見てみましょう。ほかの北欧諸国と同じく、デンマークも国全体として環境に対する意識が高いのが特徴です。また、以前は日本のように男女の社会的な格差があったものの、現在は少しずつ改善に向かっています。管理職になる女性が増える一方で、家事や育児に進出する男性も増えるなど、男女の格差が縮小しているのです。このような背景にも助けられ、国や自治体によるSDGs推進の取り組みは功を奏しており、組織や企業も更なる取り組みを進めています。

デンマークには、SDGsの達成度世界1位の名にふさわしい特徴的な取り組みが行われています。世界でも類を見ないような興味深い活動なので、今回はそちらをご紹介しましょう。

デンマークで行われているのは、「UN17 Village」という取り組みです。これは、SDGsの17の目標をすべて達成できるようなビレッジを建設するプロジェクトです。一般に都市部では多くの二酸化炭素が排出されているという現状がありますが、快適な暮らしは守りつつも「サステイナビリティ」の考え方と両立させることを目指し、このプロジェクトが立ち上がったのです。

ビレッジは、2023年に完成する予定です。広さ35,000平方メートルほどの中に、リサイクルされた建材などを使用した5棟の建物が建てられ、800人以上が居住できる街になります。ビレッジ内で利用されるエネルギーは、100%再生可能エネルギー。屋上にはソーラーパネルが設置され、自家発電が可能となるのです。雨水を貯水するシステムが導入され150万リットルもの雨水が利用できるほか、多様な生物の住みかとなるよう、屋上庭園もつくられる予定となっています。

このビレッジは、自然環境という側面のみから持続可能性を目指しているわけではありません。居住地は多様な世代の人々が近隣と関係を築きながら暮らせるようにデザインされ、住人が精神的に健康な暮らしを営むことができるという点も考慮されています。社会的な持続性が生まれるのです。単に再利用した材料やエネルギーのみを使った街づくりではなく、新しい持続可能なライフスタイルを目指すことが目的なのです。

近年、SDGsの複数の項目に取り組む企業や組織は増えてきています。しかし、17の項目すべてをまとめて達成しようとする取り組みは世界にも例がありません。地球上で最もサステイナブルな居住地づくりを目指す野心的な取り組みとして、デンマークの「UN17 Village」のプロジェクトに注目が集まっています。
参考:UN17 Village

参考記事:
SDGsの必要性って?取り組みを進めるコンサルティングサービスをご紹介

国ごとの達成度の差も目立ってきている

SDGsは、すべての国が取り組むべき目標です。けれど国ごとにその達成度は大きく異なり、上位層の国々と下位層の国々ではスコアに倍以上の差がついています。地域的な隔たりが大きく、トップ層の北欧を初めとして、上位20か国に入っているのはほとんどがヨーロッパ諸国です。ヨーロッパ以外では11位のニュージーランドが最上位で、そのほか20位までにランクインしているのは日本、18位の韓国、20位のカナダのみ。反対に、ランキングの下位にはアフリカを中心とした貧困国が並んでいます。

情勢の不安定な地域では、紛争や災害で居住地を追われる難民が発生する事例が近年になっても絶えず、SDGsの理想とする世界とはかけ離れた暮らしが続いているのです。また、貧困国でなくても、経済格差の広がりや男女不平等などの様々な課題があり、すべての国が高いレベルでSDGsを実現するにはまだ時間がかかるでしょう。

経済的な余裕のある国は、環境保全やパートナーシップの実現などの高いレベルでの取り組みも進めつつあります。一方で、極度の貧困や初等教育の欠如など、より基本的な課題に直面している国も多くあります。今後は、国と国とのいっそうの協力や企業による社会的責任の実現などが、ますます重要となってくるでしょう。

まとめ

SDGsの達成状況とランキング上位の国の取り組み事例を見てきました。SDGsへの取り組みが進んでいる北欧諸国には、いくつかの共通点があります。たとえば、SDGsが採択されるよりも前から国や行政が持続可能な社会の実現に向けた活動を進めていたこと、国主導の取り組みにより徐々に企業や個人に「サステイナビリティ」という考え方が浸透してきていることなどです。
SDGsをすべて実現するためには、長い時間がかかります。けれど、小さな活動を継続することで、社会は少しずつ変わっていくものです。北欧諸国をお手本に、時間をかけても地道にSDGsの達成を目指していくのが大切です。

参考記事:
SDGsへの取り組みを加速するための研修方法とは 実施のメリットをご紹介  

また、国の状況によって取り組み方には差が出ざるを得ない中、他国との積極的な協働も重要となります。「パートナーシップ」は、SDGsの目標の1つにもなっていますね。SDGsの17の目標を実現するためには、ランキング上位国の取り組みも参考にしながら、広い視野で世界を眺める視点が必要です。

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