次世代の育成を成功に導く:職場体験×次世代リーダー育成の進め方
最終更新日:2026.04.23
目次
はじめに
こんにちは。2024年度入社の石黒咲恵です。
今回の職場体験を担当するにあたり、私の学生時代を振り返りつつ職業体験の共通点について簡単にまとめます。
在学中の2023年とある企業と一緒に地域課題に対して提案を行ったり、地域のみなさんと一緒に地域貢献イベントを企画・運営したりといった経験をしてきました。
課題に向き合う際、世代間の交流やお互いに異なる考えを交換し、課題解決に向けて協力し合うことの重みなど、多くのことを学びました。
私にとってこの経験が、コミュニケーションを通じた伴走の原体験になっています。就活中のときに出会ったこの会社の「伴走」という言葉に共感を持ったことが、現在の私がここにいる理由ではないかと思っています。
人を育てると言っても入社したら勝手に成長するような簡単な話ではありません。入社0日退職が珍しくなくなって、雇用する側、される側の双方にとっての職場とは何かを考えさせられます。企業の次世代育成は研修の「内容」以上に、世代を越えて考えを交換し、試行錯誤し、伴走してもらう経験が、成長のエンジンになるのではないかと考えています。
ソフィアとして職場体験に取り組む背景
今回ドルトン東京学園から中学2年生の職場体験プログラムに参加したのには大きなテーマが関係しています。
それは「越境学習」です。簡単に言えば普段の環境を離れ、個を試すことで得られる経験や知識の重要性を多くの人に知ってもら活動を推進しています。
ソフィアでは、越境をカギにして地域を元気にしていくこと、そして地域企業を活力あふれる魅力的な場とすることで、人の行き来を創り出すことをビジョンに掲げ、2021年より「ソフィアクロスリンク」という関連会社が設立されました。
ソフィアで20年培ったインターナルコミュニケーションのテクノロジーやメソッドを活用し、「地域の人と組織を元気にする」というミッションのもと、地域の関係資本をもとに企業と行政、企業と学校、企業同士が繋がり、相互に越境し合うことで新しい価値を生み出す支援を行っています。
大企業の次世代育成でも「越境」は重要なキーワードです。社内だけで閉じた育成は同質性が強まりやすく、多様な視点・価値観に触れる機会が乏しくなりがちです。職場体験の受け入れは社会貢献であると同時に、社員側にも「問い直し」を促す装置になり得ます。
次世代の育成は、若手が「自分の仕事の意味」を腹落ちさせ、挑戦と対話を繰り返すプロセスです。しかし大企業では部署の壁や情報分散で学びが点在しがちです。本記事では、中学生の職場体験の事例をヒントに、企業内の次世代育成プログラムを整える視点をまとめます。
次世代の育成の定義と企業人事が目指すべきゴール
この記事で扱う「次世代の育成」とは、企業内の次世代人材(次世代リーダー、管理職候補、若手・中堅の中核人材)の育成を指します。法律領域で用いられる「次世代育成(子育て支援等)」とは文脈が異なりますので、冒頭で明確にお伝えしておきます。
企業人事が設定すべきゴールは、「研修を実施すること」そのものではありません。次の3点を同時に満たす状態を目指すことが重要です。
・育成対象者が、自分の役割と仕事の意味を「自分の言葉」で語れる(当事者意識の醸成)。
・難度の高い経験(いわゆる修羅場)を、安全に学びへ変換できる(振り返り・対話・支援の仕組みがある)。
・育成後の配置やプロジェクト機会があらかじめ設計されている(学びの「使い道」が存在する)。
この3点を押さえることで、検索上位記事が強調する「定義→求める能力→育成方法→課題→ポイント」という意思決定の階段を、自社の設計に落とし込みやすくなります。
研修だけで次世代の育成が終わってしまう理由
次世代の育成が伸び悩む典型パターンとして、「研修(Off-JT)を実施したが現場が変わらない」「本人が忙しくて学びが継続しない」「上司によって成長機会の質がばらつく」といった事象が挙げられます。多くの先進事例でも、「運営体制・巻き込み」や「研修後の登用・配置」が重要テーマとして繰り返し扱われています。
学術研究では、次世代リーダー育成プログラムを「人材の選抜→研修→戦略的配置」という枠組みで整理しており、研修はアクションラーニング等を通じて個人の成長や組織能力向上の「触媒」になり得ると示しています。平たく言うと、研修は単体で機能するものではなく、選抜と配置をつなぐ設計の中に位置づけて初めて力を発揮するということです。
また同研究は、育成プログラムが「場」になることで、世代間継承(縦のつながり)と候補者同士のソーシャルキャピタル形成(横のつながり)が促進される点も示唆しています。大企業ほど「部署の壁」「拠点の壁」が強くなりやすいため、場の設計が育成の成否を左右すると言えるでしょう。
まとめると、次の2点が核心です。
・研修は「独立施策」ではなく「選抜→研修→配置」の真ん中に置くべきものである。
・育成の価値は、スキル獲得だけでなく「ネットワークと継承」 にもある。
職場体験の設計思想を企業の次世代育成に活かす方法
一見すると「中学生の職場体験」と「企業の次世代育成」は別物のように思われるかもしれません。しかし、育成の設計思想は驚くほど共通しています。
たとえば文部科学省は、総合的な学習(探究)の時間について、変化の激しい社会に対応し、探究的な見方・考え方を働かせながら、課題解決と「自己の生き方」を考える資質・能力の育成を目的に掲げています。これは企業の次世代育成で重視される「問いを立てる」「多様な他者と協働する」「不確実性の中で納得解を作る」という姿勢に直結します。
また、職場体験の運用面では、ねらい・目的を明確にし、事前・事後の指導(企業でいえば事前課題と振り返り)を充実させることの重要性が繰り返し整理されています。企業研修に言い換えると、「研修前に問いを持たせる/研修後に現場で使わせて振り返らせる」ことが肝になります。
ここからは、職場体験レポートをケースとして参照しながら、企業の次世代育成についてお話していきます。
ソフィアの中学生職場体験から企業育成が学べること
実際の職場体験では、将来の職業選択や社会生活に向けて必要な態度やスキルを身につけることを促しつつ、実際の職場での仕事のあり方や人間関係を学び、自身の興味や適性を身に見つける機会を設けています。
また、職場体験は教育と現実の社会をつなぐ懸け橋として機能し、普段の座学だけでは知りえない実践的な知識や経験を身につけることができる場でもあります。
学校としてはそれによって生徒たちの目を勤労観や職業観に向け、将来の自己実現や社会貢献への意識を高めることにつなげようとしています。
とりわけ仕事に対する姿勢や価値観については、自己理解を深めるため、このプログラムの本分ともいえるのではないでしょうか。キャリア形成は、自分の将来を見据えて計画的に進めるために欠かせない要素です。中学生の年齢では漠然とした目標であったとしても、キャリア形成を意識することで、将来の目標や希望を明確にし、そのために必要なことは何か、将来のシナリオを考えるための準備を始めることができます。
この準備期間は働くことにフォーカスするだけでなく、社会のトレンドや技術の動向に注視し、自己の可能性を広げる重要な時間です。自己理解の機会を得るだけでなく、社会とのつながりや責任感、将来どのような社会の一員になるのか、その人物像を描くために十分に時間をかけて構想を練ることが狙いです。
職業観・キャリア観の意味
職業観とは一般的に、自分の将来における仕事やキャリアに対する考え方や価値観を指します。これは、自己理解や自己表現の基盤となる重要な要素であり、将来の進路選択やキャリア形成に影響を与えるものです。
またキャリア観は、自己表現や成長に向けた目標や計画を立て、自己啓発やスキルの向上につながります。
では、なぜ今の教育現場でこのような取り組みに力を入れているのでしょうか。以下のような社会的背景が関係しています。
教育現場で職業観を重視する理由
- 少子高齢社会の到来、産業・経済の構造的変化や雇用の多様化・流動化
- 就職・就業をめぐる環境の変化
- 若者の勤労観、職業観、そして社会人・職業人としての基礎的・基本的な資質をめぐる課題
- 精神的・社会的自立が遅れ、人間関係をうまく築くことができない、自分で意思決定ができない、自己肯定感を持てない、将来に希望を持つことができない、進路を選ぼうとしないなど、子どもたちの生活・意識の変容
- 高学歴社会におけるモラトリアム傾向が強まり、進学も就職もしなかったり、進路意識や目的意識が希薄なまま「とりあえず」進学したりする若者の増加
このような状況を踏まえ、文部科学省は「今、求められる力を高める総合的な探究の時間の展開」という高等学校向けの取り組みの中に、学習指導要領等の改善として以下のように記しています。
・人間は感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え出すこと
・答えのない課題に対して、多様な他者と協働しながら目的に応じた納得解を見いだすことができること
一人ひとりが持つ本質的な価値について触れ、人の力で未来を築くべきだということが書かれています。このことから、急速に進む情報化やグローバル化といった社会の変化に直面しながらも、経験したことのない課題に果敢に立ち向かうたくましい人材を育てることが、今後の教育・育成において求められると考えられます。
職業観とキャリア観を育むことは、自己を理解し自己実現を果たすための必要不可欠なステップです。適切な職業観を持つことで自分の興味や能力に合った道を見つける手がかりになり、キャリア観を持つことで将来の目標や夢を実現するための計画を立て、自分ごととして社会課題に向き合い、革新的なアイデアを生み出す可能性も広がります。
学校教育の中で職業体験に取り組む意義
現代のような目まぐるしく変化する世界において、小中学校の教育現場でこのような取り組みに力を入れることには大きな意義があります。
子どもたちの気づきや知的欲求は一人ひとり異なるため、これまでの画一的な学習ではキャッチアップしきれないのが現状です。
極端に言えば、興味のないことを10知るよりも、興味のある1を深掘りすることで得られる価値もあります。これまでも小さな気づきが技術革新によって優れたAIを生んだように、人間の感性を磨くことこそがこれからの子どもたちの目指すべき方向性ではないでしょうか。
では、どのようにすれば多くの子どもたちの知的欲求を満たすことができるのでしょうか。
知識のインプットとアウトプットにおける子どもたちの変化
学校段階が上がるにつれ「学習への肯定的回答が低下」し、インプットをアウトプットすることが苦手だと感じる割合が増える傾向があります。これは企業でも同様で、「学んだだけ」では成果に直結しません。学びをアウトプットへ接続するために、設計者(人事)が「問い」「実践」「振り返り」「フィードバック」を用意する必要があります。
現代の若者の特徴
現代の若者は周囲に対して極端に気を使うと言われており、「悪目立ち」という言葉があるように、なるべく目立たないよう行動する傾向があります。
たとえそれが優れた結果であっても、褒められることは本意ではないのだということが『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち』(金間大介著)に書かれています。
著書の中では、
・成功しても目立ちたくない
・周囲からどう思われているか不安
・徹底的に個性を消す、常に平均を全力で取りに行く
・とにかく自信がない
というように、周囲の評価はどうであれ、自己の評価によって自信喪失に陥ってしまっている若者の姿が描かれています。
根本的に自信のない状況を改善するためには、自分が納得できる何かしらの方法で自己肯定感や自己効力感を満たすほかありません。自分の存在を肯定できたり、自分のやっていることは社会の一部だと自然に考えられるようになるために、今まさに若年層に対する教育支援が求められています。次の章では、中学生を対象に行った職場体験の具体的な取り組みを見ていきましょう。
中学生が職場体験を行うねらい
中学生が職場体験やキャリア形成をすることは、将来のキャリア選択や人生設計において重要な意味を持ちます。職場体験の目的は、働くことに対して一人ひとりの子どもたちが考えるきっかけを作ることにあります。
企業の次世代育成でも「目的の言語化」が最重要です。目的が曖昧だと研修がイベント化し、本人の納得感も育ちにくくなります。
1日目:職業観を育てるためのテーマ設定
今回の職場体験の目標は「職業観を育てる」ことです。
2名の中学生が選んだテーマは「働く人の興味関心と仕事はどう繋がっているのか?」これは私自身にとってもとても気になる内容です。2日間かけてソフィアの社員に対して調査を行い、このテーマを解明するとともに、中学生から見た職業のあり方を考える、というものです。
つまり企業の次世代育成でも「何のために育てるのか(どの役割で価値を出す人材を増やすのか)」を先に決めることが、設計の起点になります。
職場体験を通した目標設定
目標設定を最初に行うことで、全体の見通しを持ち、インタビューにも明確な目標を持って臨むことができます。この構造は、企業研修でも同様です。研修を「受ける」のではなく、「問いを持って参加する」状態を作れるかどうかが、学習転移を左右します。
1日目を終えた感想
「仕事をするということに対してイメージが少し変わった」
「アンケートやインタビューの中で質問を投げかける際には、どんな言葉でどう質問するかで受け取り手の感じ方が変わってしまうと感じた」
2日目:さらに掘り下げるためのインタビューと結果分析
2日目は、ソフィアの社員に対して30分程度のインタビューを実施するところからスタート。インタビュー実施前に回答してもらったアンケート結果を眺めながら、インタビューする人の回答をチェックします。
インタビュー係とメモ係の役割分担をしながら、計4名の社員への聞き込み調査を行いました。
アンケート結果から見えてくる共通点と違い
1日目に準備した質問内容をベースに、実際に質問していく中で詳しい内容の説明を求めたり、その場で出た疑問を質問したりしながら、1人30分ずつそれぞれの職業観を聞きました。
アンケート結果とヒアリングした内容をもとに、ソフィア社員の職業観について分析を進めていきました。アンケートから得られた結果として「仕事に就くということは思った通りにいかないこともあるが、それぞれの興味関心をもとに職業についていることが考えられる」「ソフィアでは自分自身にのびしろを感じている人が多く、それぞれの興味があるところへ前進するためにソフィアにいるのではないか」「仕事を見ていく上で自分自身の関心のある方向を見据えて行動していくことで、選択肢を広げていくことに繋がる」などが挙げられました。 一人ひとりの回答結果から感じたことを書き留めて発表に備えます。
2日目を終えた感想
「職業体験に来る前までは仕事を早く決めてそこに向かって走っていきたいという焦燥感があった。目標が決まらないと日々の時間が意味のあるものにならないのではないか、という気持ちがあったものの、多くの人の職業観に触れて、ゆっくり決めていってもいいと思えるようになった。むしろゆっくり構えて、ぼんやりとこの先を見据えることで選択肢と可能性が増えるのではないかと思う。」
「学校で学んでいく中で本当に必要な教科なのか?と考えることが多く、勉強するモチベーションがなかなか持てないことが多かった。でも、自分がやりたいことや意味が分かるだけでなく、実際にやってみたり行動することで視野が広がり、自分の興味関心が見えてくる。長い目で見て多くのことに触れて学びながら自分自身の進路を決めていくことが重要だと改めて感じた。」
私にとっての2日間の学び
今回、自分自身がはじめてソフィアのメンバーとして関わる中で、ドルトン東京学園から来た中学生がアンケート設計をする様子や、慣れないインタビューをする姿を見て「自己分析が上手で、自分のことをよく考えているのだな」「将来を見据えて常に生活しているのだな」ということを感じて刺激を受けました。
一番最初に参加した職場体験の詳細を詰めるミーティングの中で「ソフィアに来たからこそ学べた、といってもらえるような時間を作りたい。」という話をしていたので、参加者の方にもそれが伝わっているように感じられてとても嬉しく思うと同時に、そのことに関われたことを幸せに思っています。
今後仕事をしていく中でも、多くの幸せな瞬間、困難な瞬間に立ち会うことがあると思いますが、どの瞬間も大事にできるように働いていきたいと思っています。
このケースから企業人事が持ち帰るべき学びは、「問いを立てる→調査する→対話する→まとめて発表する」という経験の流れが、人の成長(内省・言語化・視野拡張)を生むという点です。これは、次世代リーダー育成で重視されるアクションラーニング(実務に近い課題で学ぶ手法)と構造的に共通しています。
企業が設計すべき育成プロセスの全体像
ここまで職場体験の設計思想を見てきました。では、これを企業の次世代育成に落とし込むには、どのようなプロセスが必要でしょうか。
上位記事に共通する「企業向け」の骨格は、育成をプロセスとして設計することです。学術研究の枠組み「選抜→研修→戦略的配置」をベースに、実務へ落とし込むと、次の4ステップに整理できます。
・ステップ1:ゴールと人材要件(次世代像)の定義
・ステップ2:候補者の選抜と本人合意(Willの形成)
・ステップ3:学習(研修+実践課題)と「場」づくり(横のつながり)
・ステップ4:戦略的配置と登用(学びの使い道)
このとき重要なのは、研修企画担当者が「研修の中身」だけを抱え込まないことです。運営体制(経営・人事・現場上司の役割分担)を先に設計することが、成功要因として繰り返し強調されています。
次世代の育成を支えるインターナルコミュニケーションの整え方
次世代の育成は、研修室の中だけで完結するものではありません。日常業務のコミュニケーション品質(情報共有・対話・関係性)が、育成の「地盤」になります。
弊社ソフィアの調査(2025年10月、従業員数1,000人以上企業勤務者を対象)では、職場満足の要因として「人間関係・上司部下関係」が53.8%と最多でした。育成の土台は、制度よりもまず「関係性」であることが示唆されています。
同調査では、情報共有の施策として「チームメンバーとの定期面談・ミーティング」が54.1%、「1on1」が50.1%、「研修・トレーニング」が49.6%と続きます。つまり大企業でも、研修と同等以上に「対話」が情報共有の主流となっているのです。
また、上司との1on1は「義務+推奨」で6割強が実施している一方、頻度は「半年に1回以上」「3カ月に1回以上」が中心で、月1回以上は2割弱にとどまります。次世代の育成を本気で機能させるなら、1on1を「やっている」から「育成に効く運用」へ再設計する余地が大きいと言えるでしょう。
部署間連携も同様です。調査では部署間コミュニケーションの必要性を7割超が感じています。次世代人材に「全社視点」を持たせるには、部署を越えた情報流通の設計(横断プロジェクト、交流会、発表会など)が欠かせません。
さらに注目すべき点として、関係性構築に最も役立つものとして「一緒に仕事をする経験」が40.1%で突出していることが挙げられます。次世代の育成において、部門横断の実務経験(「一緒に仕事をする」設計)が、学びと関係性を同時に強化します。
育成プログラムのKPIと効果測定の設計方法
「効果測定と継続的改善」は重要な論点ですが、現場では「測れない」が最大の壁になりがちです。測定を次の3層に分けると、設計しやすくなります。
第一に短期(研修直後)は、理解・納得・行動意図(問いが言語化できたか、次の行動が具体化したか)を確認します。職場体験でも「事前に目標を持たせ、事後に振り返る」ことの重要性が整理されており、企業研修でも同型の設計が有効です。
第二に中期(3〜6カ月)は、行動変容(1on1での相談・提案回数、部門横断の巻き込み、修羅場経験の振り返り頻度など)を指標に置きます。
第三に長期(1〜2年以降)は、配置・登用結果(重要プロジェクトへのアサイン、後継者プール充足、離職率、エンゲージメントスコア等)を確認します。
ここで「コミュニケーション指標」を組み込むと、育成を組織変革とつなげやすくなります。弊社ソフィアの調査では、偶発的な雑談(Web会議前後など)が業務に良い影響があるとする回答が過半数で、関係性・協働への寄与が示唆されています。次世代育成を「孤独な挑戦」にしないために、対話の設計をKPIに入れることが有効でしょう。
社外連携で次世代の育成を加速させる取り組み
次世代の育成は社内施策だけでなく、学校・地域との連携(職場体験、探究支援など)によって「問いの源泉」を広げることができます。文部科学省のガイドでも、職場体験の充実には学校と地域・関係機関、事業所との連携・協力が重要論点として整理されています。
企業側の実務として、次の3点を整備すると、受け入れが単発で終わりにくくなります。
・受け入れ目的(教育支援/採用ブランディング/社員の学び直し)を明文化する
・現場受け入れ担当の負荷を前提に、タスク・安全・コミュニケーション手順を標準化する
・事前・事後(企業での発表会、社員側の振り返り)までをプログラム化する
次世代育成を明日から始めるための最初の一歩
最初の一歩は、「次世代の育成」を「研修企画」としてではなく、「事業と人材配置の設計」として捉え直すことです。学術研究が整理する「選抜→研修→戦略的配置」の枠組みに沿って現状の施策を棚卸しすると、打ち手の優先順位が明確になるでしょう。
次に、職場体験の設計思想から学び、育成プログラムへ「ねらいの明確化」「事前課題」「実践」「事後の振り返り」「対話」を埋め込みます。これは公的資料でも繰り返し重要性が示されている考え方です。
最後に、育成を支えるインターナルコミュニケーション(1on1、部署間連携、場づくり)を整えます。弊社ソフィアの調査でも、関係性や対話が職場評価と深く関係することが示唆されており、育成とインターナルコミュニケーションは切り離せないものです。
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まとめ
次世代の育成を「選抜→学習→戦略的配置」の一連として捉え直し、職場体験の設計思想(ねらいの明確化、事前・事後の指導、問いを立てる学び、振り返り)を企業の次世代リーダー育成・若手育成に転用する方法を解説してきました。
弊社ソフィアのインターナルコミュニケーション調査から見えてきた1on1・部署間連携・「一緒に仕事をする経験」の価値を踏まえ、育成が回る組織の土台づくりを具体化について詳しくはこちらからお問い合わせください。