組織変革

Difyとn8nの違いを徹底比較!機能・選び方・活用例を解説

「業務を自動化したいけれど、Difyとn8nのどちらを選べばいいのか分からない」。そんな悩みを抱える経営層や業務推進担当の方は少なくありません。両者の名前を聞いたことはあっても、具体的な違いが分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、Difyとn8nの違いを機能・料金・使いやすさ・セキュリティの4つの観点で比較し、それぞれの活用例や選び方を整理します。あわせて、自社での導入・運用に迷ったときの選択肢についても解説していきます。読み終えるころには、自社に合った進め方が見えてくるはずです。


Difyとn8nとは?それぞれの特徴と基本的な違い

比較に入る前に、まずは2つのツールの基本的な特徴を押さえておきましょう。Difyとn8nは、どちらもビジュアルな操作を中心に構築できるツールですが、担う役割は異なります。順に確認していきます。

Difyとは|AIアプリを構築できるLLMプラットフォーム


Difyは、大規模言語モデル(LLM)を活用したAIアプリを構築・運用できるプラットフォームです。チャットボットやナレッジ検索、ワークフロー、AIエージェントなどを、ビジュアルな操作で作れます。

プロンプトの管理やRAG(検索拡張生成)の統合など、 AIアプリの構築に必要な機能を幅広く備えている のが特徴です。LLMを活用した処理を組み立てることに強みを持つツールだと考えると、イメージしやすいでしょう。ソースコードが公開されており、クラウド版とセルフホスト版のどちらでも利用できます。

n8nとは|サービスを連携するワークフロー自動化ツール


n8nは、さまざまなサービスやアプリケーションをつなぎ、業務プロセスを自動化できるワークフロー自動化ツールです。ノードと呼ばれる部品を線でつなぐことで、処理の流れを視覚的に組み立てられます。

ビジュアルな操作が中心ですが、必要に応じてJavaScriptやPython※のコードを組み込むこともでき、柔軟な自動化を実現できます。多数のサービスとの連携に対応しているほか、近年はAIエージェントやAIワークフローの構築にも力を入れています。複数のシステムをまたぐ業務フローの自動化に強みを持つツールといえます。
※Pythonは近年仕様が変更になっています。詳しくは公式ガイドをご確認ください。

Difyとn8nの共通点|セルフホストとビジュアル構築に対応

両者は役割こそ異なりますが、共通点もあります。主な共通点は次のとおりです。

  • ビジュアルな操作を中心に構築できる
  • ソースコードが公開されており、セルフホストできる
  • クラウド版とセルフホスト版を選べる

似たツールに見える理由は、ここにあります。ただし得意とする領域は分かれているため、次章から具体的に比較していきましょう。

Difyとn8nの違いを4つのポイントで比較

ここからは、Difyとn8nの違いを4つの観点で比較します。機能・料金・使いやすさ・セキュリティの順に見ていくことで、両者の性格の違いがはっきりしてきます。まずは全体像から押さえましょう。先に要点を整理すると、次のような違いがあります。

Dify n8n
主な用途 AIアプリ・LLM活用 ワークフロー・業務自動化
得意分野 RAGやチャットボット・
AIエージェント
サービス連携・データ処理
操作 ビジュアル中心 ビジュアル中心
(コードによる拡張も可能)
外部サービス連携 豊富 特に豊富

Difyとn8nの機能・できることの違い

最も大きな違いは、得意とする領域です。Difyは文章生成や要約、ナレッジ検索など、LLMを活用した処理の構築に強みを持ちます。RAGやAIエージェントといった、AIに判断や生成を任せる仕組みづくりに向いています。

一方のn8nは、複数のサービスをまたぐワークフローや業務自動化が得意分野です。データを受け渡したり、条件に応じて処理を分岐させたりする用途で力を発揮します。

Difyを「AIの頭脳」、n8nを「業務の神経網」にたとえると、両者の関係をつかみやすいでしょう。なお、n8nもAI機能に対応しているため、どちらか一方だけがAIを扱えるわけではない点は押さえておきたいところです。

料金体系・費用の違い

どちらも無料で試せる範囲やセルフホストの選択肢がありますが、クラウド版の料金の考え方は異なります。
クラウド版の料金体系には違いがあります。Difyではプランに応じてAIアプリ数やメッセージクレジット、ナレッジの保存容量などに上限が設けられています。一方、n8nの有料プランでは、主にワークフローの実行回数を基準とした料金体系が採用されています。1回のワークフロー実行は、途中の処理が何ステップあっても1回として数えられます。
n8nは実行回数が基準になるため、定期実行やWebhookなど、ワークフローが頻繁に動く業務では、利用量を事前に見積もっておくことが大切です。

Difyとn8nの使いやすさ・操作画面を比較

どちらもビジュアルに操作できますが、画面の設計思想が違います。Difyは「AIアプリを作る画面」に特化しており、AIの応答を確認しながら設定を調整できるため、AIアプリを素早く構築したい場合に向いています。

一方のn8nは、処理フロー全体を俯瞰する画面が中心です。条件分岐やデータ処理など複雑なロジックを視覚的に組めるので、複数サービスをまたぐワークフローを構築したい場合に適しています。

どちらも一定の学習は必要ですが、目的によって扱いやすさの感じ方は変わってくるでしょう。

セキュリティ・運用面の違い

セキュリティ面では、どちらもセルフホストに対応しており、自社のインフラ上で運用する選択肢があります。

Difyとn8nは、いずれもセルフホストに対応しており、自社の管理するインフラ上で運用できます。また、企業向けプランでは認証・アクセス権限管理などの機能も提供されています。ただし、セルフホストすれば自動的に安全になるわけではありません。認証や権限管理、APIキーの取り扱い、ログ、バックアップ、アップデートなどを、自社で適切に設計・管理する必要があります。
利用できる機能はプランによって異なるため、導入時には各製品のセキュリティ仕様や第三者認証の状況、データの保存場所、運用体制を確認する必要があります。機密データを扱う業務ほど、こうした運用面の設計が重要になってきます。

Difyの活用例|AIチャットボットや文章生成

比較の観点を押さえたところで、それぞれが活きる場面を見ていきましょう。まずはDifyから、AIを活用した処理を軸にした活用シーンを紹介します。

社内ナレッジ検索・FAQチャットボット

Difyの得意分野のひとつが、社内に散らばった情報を活用するナレッジ検索ボットです。マニュアルや議事録、各種ドキュメントを取り込み、自然言語での質問に回答できます。

「あの手続きの方法はどこに書いてある?」といった問い合わせに、AIが該当資料を参照して答えます。新人研修や社内FAQ対応の効率化にも役立ち、情報を探す時間を減らせるでしょう。


文章生成・要約などのコンテンツ業務

文章を扱う業務も、Difyが力を発揮する領域です。タイトルや訴求ポイントを入力すれば下書きを自動生成でき、担当者はゼロから文章を組み立てる負担を軽減できます。
議事録や商談メモの要約にも活用でき、決定事項や次のアクションを短時間で整理できます。広報やマーケティング業務の生産性向上につながる活用方法です。

n8nの活用例|業務自動化やSaaS連携

続いて、n8nが得意とする「つなぐ・実行する」用途を紹介します。複数のシステムをまたぐ定型業務や、バックオフィスの処理を自動化する場面で強みを発揮します。代表的な例を見ていきましょう。

SaaS連携・定型業務の自動化

n8nは、複数のサービスをつないで一連の業務を自動化するのが得意です。たとえば営業の場面では、次のような流れを自動で回せます。

  • 問い合わせフォームから新規リード情報を受信する
  • 内容をCRMに自動登録する
  • 担当者にSlackで通知する
  • 一定時間後にフォローメールを送る

従来は担当者が手作業で行っていた転記や連絡を減らせるうえ、対応スピードの向上にもつながります。適切に運用すれば、営業時間外にも処理を実行できる点も自動化ならではの利点でしょう。

請求書・契約書などバックオフィス処理

経理や総務のバックオフィス業務も、n8nの自動化が効く領域です。たとえば、請求書PDFを受け取ったことをきっかけに、OCRやAIで必要項目を抽出し、会計ソフトへ登録したうえで、承認が必要な場合は担当者へ通知するといったワークフローを構築できます。

人手による転記や通知の作業を減らし、処理のスピード向上や入力ミスの削減につなげられます。同様の仕組みは、契約書の更新リマインドなどにも応用可能です。


Difyとn8nはどちらを選ぶべき?用途別に解説

ここまでの違いを踏まえ、自社にはどちらが合うのかを判断する基準を整理します。どちらか一方を選ぶことにこだわらず、自動化の目的から検討することが重要です。ポイントを2つに分けて解説しましょう。

AIアプリ開発ならDify、業務フローの自動化ならn8n

選定でまず考えたいのは、自動化したい対象は何かという点です。AIアプリやLLMを活用した処理が中心ならDify、複数サービスをまたぐ業務フローの自動化が中心ならn8nが向いています。

「業務のどの部分を、どう自動化するのか」を最初に明確にすることが、ツール選びの出発点になります。目的が定まれば、選ぶべきツールも自然と絞り込めるでしょう。


Difyとn8nは併用できる?連携による活用方法

Difyとn8nは、どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。実際、n8nがメールを受信し、Difyがその内容を分類・生成し、再びn8nが結果を各システムへ渡すといった連携も可能です。

両者を組み合わせれば、AIによる判断・生成と業務フローの自動化を一体化できます。ただし、複数のツールを連携させるほど、設計と運用の難易度が上がる点には注意が必要です。

Dify・n8nを内製するときの注意点

ツールの違いや選び方が分かっても、いざ自社で構築・運用しようとすると、別の難しさに直面します。ここでは、Difyやn8nを内製する際に押さえておきたい注意点を整理します。事前に知っておきましょう。

そもそも「何を自動化すべきか」の設計が難しい

ツールを選べても、どの業務をどう自動化すれば効果が出るのかを設計するのは簡単ではありません。自社の業務プロセスを分解し、自動化の効果が大きい部分を見極める作業には、一定の知識や経験が求められます。

ツールを導入するだけで実際の業務改善につながるとは限りません。この段階で設計を誤ると、せっかく導入しても成果に結びつかないおそれがあります。

安定運用・AIの精度・セキュリティ対策が課題になる

デモとして動く仕組みを作るだけなら、それほど時間はかかりません。難しいのは実務に耐える精度や安全な権限設計まで引き上げることです。

生成AIには、事実と異なる内容をもっともらしく答えてしまうリスクもあります。総務省の調査「令和7年版 情報通信白書」によると、日本企業が生成AI導入で抱える懸念では「効果的な活用方法がわからない」が最も多く、次いで「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」が挙げられています。こうした課題への備えを欠くと、運用の途中で行き詰まってしまいます。


設計・運用を担当する専門人材が不足している

「ツールは導入したが、何をすればいいのか分からない。」これは業務効率化ツールを取り入れた企業でよく聞かれる声です。自社の複雑な業務をどう変えるべきか、その設計を担える人材が社内にいないという課題は、多くの企業に共通しています。ツールを入れるだけでは、この壁を越えるのは容易ではありません。


Difyかn8nか、どのツールが自社に合うかまずは相談してみましょう

Difyかn8nか、そもそも内製すべきか外部の力を借りるべきか。最適な進め方は、会社の状況によって変わります。ここでは、迷ったときの現実的な進め方を紹介します。

Difyとn8nどちらが自社に合うのか、あるいは内製と外部支援のどちらを選ぶべきか。その答えは自動化したい業務の内容や社内の体制によって変わってきます。自社だけで判断することが難しい場合は専門家との壁打ちが有効に働きます。

AIを活用した業務改善を検討する際には、NTTデータと日本電子計算が共同で提供する「つなぎAI」も選択肢の一つです。つなぎAIはDifyをベースとしたAIエージェント基盤サービスで、日本企業のセキュリティ要件に配慮した環境でAIアプリやワークフローを構築できます。

また、研修やアプリ作成支援などのサポートも用意されているため、社内に専門人材が不足している企業でも導入を進めやすくなります。自社の業務に合ったツール選定やシステム連携については、導入支援の範囲を事前に確認することが重要です。設計を担う人材が社内にいなくても着手できる点が特徴です。

進め方としては、効果の大きい業務をひとつに絞って小さく始め、現場の声を集めながら改善していきます。いきなり全社へ広げるのではなく、成果を確かめながら対象を広げるため、導入後の手戻りや運用負担を抑えやすくなります。次のような悩みがあれば、一度相談してみる価値があります。

  • Difyとn8nのどちらが自社に合うか判断できない
  • 何から自動化すべきか、優先順位がつけられない
  • ツールは導入したが、現場で使われず終わってしまった

失敗してから軌道修正するより、始める前に方向性を固めるほうが、時間もコストも少なく済みます。まずは自社の業務課題を整理したうえで、相談してみるとよいでしょう。



まとめ

DifyはAIアプリやLLMを活用した処理の構築に、n8nは複数のサービスをまたぐワークフローの自動化に強みを持つツールです。どちらが優れているというより、自動化したい業務に応じて選ぶことが大切になります。

また、両者を組み合わせれば、AIによる判断・生成と業務フローの自動化を一体化することも可能です。導入時は、ツールの機能だけでなく、自社の業務課題やセキュリティ、運用体制まで含めて検討しましょう。

自社だけで進めるのが難しいと感じたら、要件定義から定着まで伴走できるつなぎAIという選択肢もあります。まずは自社の課題を整理し、導入に向けた第一歩を踏み出してみてください。

  • Difyとn8nはどちらがAIに強いですか?
  • AIアプリの構築やRAG、LLMを活用した処理を中心に考えるなら、Difyが向いています。一方でn8nもAIエージェントやAIワークフローに対応しており、外部サービスとの連携を含めた業務自動化に強みがあります。AIそのものの機能だけでなく、AIを業務フローのどこで使うのかによって選ぶとよいでしょう。

  • Difyとn8nは併用できますか?
  • はい、併用できます。n8nが外部サービスとのデータのやり取りを担い、Difyがその内容をAIで処理するといった役割分担が可能です。両者を連携させることで、単体では難しい高度な自動化も実現できます。ただし、複数ツールをつなぐほど設計・運用の難易度は上がる点に留意しましょう。

  • Difyとn8nは無料で使えますか?
  • Difyとn8nは、いずれも無償で利用できるセルフホスト版を提供しています。ただし、ライセンス条件や利用できる機能には違いがあり、企業での商用利用や外部向けサービスへの組み込みには注意が必要です。また、セルフホスト版でもサーバーの維持管理や外部AIモデルのAPI利用などに費用が発生する場合があります。導入前に公式の利用条件を確認しましょう。

  • AIやツールに不慣れな場合、どちらが向いていますか?
  • AIアプリを素早く構築したいならDify、複数システムの連携が目的ならn8nが向いています。どちらもビジュアルに操作できますが、本格運用には知識が必要です。不安がある場合は、伴走支援を活用する方法もあります。

  • つなぎAIの導入を相談したい場合はどうすればよいですか?
  • 自社の業務課題や現在の状況を整理したうえで、専門家に相談するのがおすすめです。何から始めるべきか、どの業務から着手すると効果が大きいかを一緒に検討することで、失敗のリスクを抑えられます。まずは自社の課題整理から始めてみるとよいでしょう。