スマホでeラーニングを行うメリットは?導入ポイントや企業事例をご紹介

#Eラーニング#ラーニングデザイン#働き方#研修・ワークショップ

29.Jul.2020

従来のeラーニングは、パソコンでの受講が一般的でした。
しかし、ICT技術の革新とデジタルデバイスの進化とともに、eラーニングも大きく変化しています。

現在は、企業が社員以外の不特定多数に対し、あるいは個人が別の個人に対して、学習コンテンツを提供する多種多様なeラーニングが続々と増えてきました。
前者は「グロービス学び放題」、後者は「Schoo」などです。
そして、これらのeラーニングが急速に普及した大きな要因として、「スマートフォンで時間や場所を問わず受講できるようになった」という背景が挙げられます。

eラーニングのこうした変化に伴って、これからは企業研修などのeラーニングにも必然的にスマートフォンへの対応が求められるでしょう。
そこで本記事では、スマホでeラーニングを行うメリットについて解説するとともに、自社に導入する際に把握しておくべきポイントと、実際の活用事例も紹介します。

スマホのeラーニングとは?

スマホのeラーニングとは、スマートフォンを介して研修や学習コンテンツの受講ができるeラーニングの形態を指します。
株式会社デジタル・ナレッジの調査によれば、およそ4社に1社の割合で「自社の研修はスマートフォンでも受講できる」との回答があり、企業研修や人材育成のマルチデバイス化が着実に進んでいることがうかがえます。

スマホでeラーニングを行うメリット

ではなぜ、スマートフォンでeラーニングを受けられることがメリットになるのでしょうか。
その理由を、大きく5つに分けて解説します。

社員が業務時間を有効活用できる

これまでオフラインで実施されてきた企業研修は、会場や講師を押さえている関係上、決まった日時に決まった場所で受講しなければならないものでした。
しかし、スマートフォンで学習できるようになると、業務終了前や在宅勤務時の待機時間(就業時間中)、飲食業であれば来客のないアイドルタイムなど、スキマ時間を有効活用して研修を受講できるようになります。

なお、eラーニングのコンテンツを5分未満に細分化した「マイクロラーニング」がスマホ受講と高い親和性を持っているため、スマホ対応時にはコンテンツをマイクロラーニング化する企業も多いようです。

場所を選ばない

スマートフォンは端末自体がインターネットに接続できるので、どこにいてもオンライン通信が可能であり、場所を選ばず学習できます。
極端に言えば、全社員が自宅にいても研修を提供できてしまうのです。

テレワークの推進によって、一部の企業では本社機能を縮小する動きもあります。
また、全国に支社が多く存在する企業もあり、これらの企業にとって、全社員に一律のコンテンツを配布できるスマホでのeラーニングのメリットはさらに大きいと言えるでしょう。

操作が簡単

スマートフォンのブラウザからeラーニングを行う場合もありますが、スマートフォンのアプリで行うこともあります。アプリは、Webサイトよりもボタン配置などの画面設計が柔軟で、直感的に操作できるようになっています。
どこをタップすれば何が表示され、どのように画面が遷移するかをユーザーが理解しやすく、ITリテラシーが高くはない受講者であっても簡単に使いこなせます。

従来のPC版のeラーニングでは、ログイン方法やログイン後の操作方法に関する問い合わせがシステム担当者に殺到していました。
アプリの導入により受講者側の操作をより簡単にすれば、システム担当者の業務負担を削減できるというわけです。

研修機会の拡大

「時間や場所を問わない」ため、スキマ時間にも受講できることから、研修を提供する機会が増大します。
最初は、毎週の業務スケジュールの中に研修を受講する時間を確保するよう、全社に周知しても良いかもしれません。
マイクロラーニング化した豊富なコンテンツをジャンルごとに分類してコース化し、各社員に適したコースをアプリの通知機能で自動的にサジェストすることも可能です。
研修内容が実業務に即したものであり、かつ自身のスキルアップにつながると実感してもらうことができれば、あとは大きなテコ入れをしなくても、能動的に受講してもらえるようになるでしょう。

受講率アップ

eラーニングアプリのプッシュ通知機能を利用すれば、うっかり受講期限を忘れてしまってもリマインドを受けられます。
従来はメールでの通知が主流でしたが、受信するメールの数が膨大になると、人は本当に重要なメール以外はノイズだと感じたり、件名だけ確認して中身を見ずにゴミ箱へ捨ててしまう場合もあります。
プッシュ通知はマーケティングでも多用される機能なので、大いに活用していただきたいところです。

スマホでeラーニングを行うことの課題

一見するとメリットばかりに思えるスマホのeラーニングですが、まだこれから改善していくべき課題も存在します。

セキュリティに関する課題

「BYOD(Bring Your Own Deviceの略)」という概念をご存知でしょうか。
これは、社員が自分のデバイスを社内に持ち込んで、業務に使用することを指します。
大企業においてはパソコンやタブレットの社内への持ち込みや利用が禁止されていることも多いようですが、スマートフォンに関しては個人所有のものをまだ業務に利用しているケースがしばしば見受けられます。

eラーニングの学習コンテンツも、企業が管理すべき機密情報のひとつです。
そのため、個人所有のスマートフォンにアプリをインストールして使用させるのは、決して好ましい状態とは言えません。

また、セキュリティの問題とは離れますが、社員にとっても仕事用のアプリをプライベートな端末に入れることは、総じて拒絶反応が起きやすいものです(公私の棲み分けの問題と、利用時の通信料など費用の問題)。

そこで、業務用端末を貸与するといった対応が企業に求められる場合もあるでしょう。
ちなみにこれはeラーニングアプリに限らず、これからの働き方において重要な観点です。

スマホに適したコンテンツ開発が必要

eラーニングアプリは、「LMS(Learning Management System; 学習管理システム)」の一部として提供されています。

完全なるスマホでのeラーニング導入には、自社で保有している学習コンテンツをLMSで使用できるように最適化する必要があります。
スライド資料、動画コンテンツともにデータの形式が多様なため、社内に有識者がいない場合は、スマホのeラーニングに対応しているLMS提供会社にどのような流れで進めていくべきかを相談するのもひとつの手段です。

社内への周知と理解を得ること

eラーニングによる企業研修は業務の一環であり、本来は就業時間中に受講すべきものです。
しかし日本企業では、就業中にeラーニングを受講していると周囲から「仕事をしていない」と見なされる風潮があるため、通勤時間中やお昼の休憩時にアクセスが集中するという傾向が明らかになっています。
スマートフォンでeラーニングが受講できる環境整備を行った際には、就業中に学習時間を設けることが「正当」であるとしっかり周知しておくことが重要です。
ちなみに、派遣社員や業務委託のスタッフ、アルバイトなど、受講者に該当しない人からも理解を得られるよう、全社に漏れなくアナウンスしてください。

スマホのeラーニング 活用のポイント

スマホでのeラーニングを最大限に活用するには、コンテンツをスマホに対応させるだけでなく、いくつかの関連したポイントを押さえておく必要があります。

MDM(モバイルデバイス管理)の導入

スマホでのeラーニング導入の有無に関わらず、業務用端末と個人所有の端末とは分けるべきであると解説しましたが、業務用端末を一元管理するシステムがMDMです。
MDMの導入には以下のようなメリットがあります。

  • 社員が端末を紛失、または盗難に遭った際の情報漏えいの防止
  • 悪意ある第三者による不正利用の防止
  • 端末情報・所有者・利用状況を把握し、管理コストを効率化

企業規模が大きくなればなるほど、端末管理は複雑化します。
貸与する端末も、スマートフォンだけとは限りません。
コーポレート部門が主導となる分野ですので、あわせて検討すべき事柄です。

マイクロラーニング

スマホでのeラーニングにおける「スキマ時間を活用できる」メリットを活かすためには、学習コンテンツのマイクロラーニング化が重要です。
スキマ時間はほんの数十分である場合がほとんどなので、視聴が終わるまでに長い時間を要するコンテンツはスマホでのeラーニングに適していません。
マイクロラーニングの目安は「5分以内」とされています。
自社のeラーニングコンテンツの内容量が多い場合、スマホでのeラーニングに適したボリュームへと細分化しましょう。

eXラーニング

eXラーニングとは、特定の知識や情報を伝えるセミナーのような聴講形式の学習ではなく、受講者が実際に「体験」をする形式の学習方法です。
体験学習の特長として、受講者がより主体的に関わることができ、現場の業務に即した実践的なスキルを身に付けられたり、学習した内容から広がりのある気付きを生み出せる、という効果が期待できます。
主に、ロールプレイング形式、ディスカッション形式、ゲーミフィケーション形式、最近ではAIとの対話、VR(AR・NRも含む)などのコンテンツが挙げられます。

現場の業務に直結する学習

研修内容は「現場の業務に直結するもの」「現場ですぐに生かせるもの」であることが、しばしば現場社員から求められます。
端的に言えば、現場で使えない知識やスキルは求められていないのです。
豊富なコンテンツを取り揃えることも重要ですが、それらが現場で実践しやすいものであるかどうかという視点も忘れないようにしてください。

スマホのeラーニングの企業事例

最後は、実際にスマホでのeラーニングを人材育成に取り入れている国内企業の事例を紹介します。

株式会社ユナイテッドアローズ

アパレル業界で最大手の株式会社ユナイテッドアローズが、スマホでのeラーニングを導入しています。
同社では「従業員が学習したくなる」コンテンツの開発に重点を置き、それらを短時間で無理なく受講できる長さに収め、豊富なコンテンツを定期的に配信することで、学習の成果や習慣化の向上を実現しました。
自発的に受講したコンテンツの中で、受講率の高いものは90%を超えたとのことです。
オフィスワークだけでなく店舗スタッフも多く在籍する企業の特性をきちんと理解した上で人材開発を行った好例と言えます。

株式会社ローソン

株式会社ローソンは、「ローソン大学」と称した、社長が学長を務めるリーダー育成フレームワークを数年前に開発し、人材教育を行っています。
同社では、これまでの集合型研修と数十種類のeラーニングとを内容ごとに使い分けて提供しているそうです。
「Microsoft Office」のノウハウや「クレーム対応の極意」、マネージャー層には「お店の数字(小売業改編)」や「MBAマネジメント養成講座シリーズ」など、専門書を購入せずとも学べる機会が提供されることは、社員にとっても喜ばしいと言えるでしょう。

まとめ

昨今は生活様式から働き方に至るまで、ヒトを取り巻く環境の変化が目まぐるしいほどに速く、人材育成・開発の分野においてもそのスピードに追い付いていかなければなりません。
eラーニングのスマホ対応もその潮流におけるひとつの変化であり、企業は柔軟に取り入れていく姿勢が重要です。

ただし、スマホ対応はあくまで手段であり、目的ではありません。
スマホ化する理由、企業として解決したい課題、そのためにどういった教育の手法が最適かを考えることが先決です。
まずは現場にニーズのヒアリングをするなど、自社の状況をしっかりと見極めてから導入を検討するようにしてください。

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