SDGsウォッシュとは?表面的なSDGs経営を避けるためのポイント

SDGsへの注目が世界的に高まっています。潮流に乗り遅れないよう、SDGsを意識した経営に舵を切ろうと検討している企業も多いのではないでしょうか。
SDGsを経営に取り入れる上で特に注意したいのが「SDGsウォッシュ」です。事業におけるSDGsの推進は大切ですが、うわべだけのものになってはいけません。

この記事では、「SDGsウォッシュ」を防いで効果的なSDGs経営を行う方法を解説していきます。

SDGsウォッシュとは?

SDGsウォッシュとは、実態が伴っていないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけている状態を指します。実際にはエコではないのにかかわらず、環境に配慮しているイメージを与えて消費者を誤解させることを「グリーンウォッシュ」と言いますが、この言葉がもとになってできた造語です。

グリーンウォッシュは、20世紀の後半ごろから指摘されるようになりました。人々の環境意識が高まったことで、環境への配慮を打ち出すことが資金獲得やイメージアップにつながるようになった結果、一部の企業や活動団体でグリーンウォッシュが行われるようになったのです。

同様に、SDGsへの関心が高まっている現在、実態が伴っていないのにSDGsへの貢献を発信する企業が出てきています。また、取り組みが不十分であったり方法が間違ったりしているせいで、SDGsに貢献する意図はあるにもかかわらず、SDGsウォッシュだと批判されてしまう事例も生じています。

SDGsウォッシュが企業に与える影響

企業がSDGsウォッシュをしていると批判されてしまったらどのような影響が出るのかを具体的に見ていきましょう。

世界中のさまざまなステークホルダーがSDGsの理念に共感を寄せている現在、SDGsウォッシュであると批判されてしまうことは、企業にとって大きな痛手です。実態が伴わない状態でSDGsに貢献しているように見せかけることは、結果的に、SDGsにまったく貢献していない状態よりも企業の評判を低下させる可能性すらあるでしょう。

SDGsは、「貧困を終わらせ、地球を守り、地球上のすべての人々が平和と豊かさを享受することのできる社会を目指す」という目的を持っており、この大義は誰にも否定できるものではありません。これこそがSDGsの最大の特徴と言えます。

だからこそ、SDGsウォッシュは多くの人からの強い批判にさらされるのです。消費者に自社商品をボイコットされてしまったり、取引先との関係を打ち切られたりするなど、企業イメージの低下にとどまらない直接的な損失を被ることもあり得ます。
せっかくSDGsに沿った経営を進めようとしているのに、やり方を間違えてしまったせいで批判されたら元も子もありません。SDGsウォッシュであると指摘されないような取り組みを行う必要があります。


SDGsウォッシュと批判されている具体的な事例

では、SDGsウォッシュにはどのような事例があるのでしょうか。
『グリーン・ライ エコの嘘』というドキュメンタリー映画があります。環境に優しいとうたわれている商品が実際にはどのように生産され消費者のもとに届けられているのか、その舞台裏を解明しようとした映画です。エコの認証を受けているはずの商品でも、実は環境に悪影響を与えて気候変動を加速させているかもしれない、という現実が描かれています。巧妙に隠されていたり気が付いていなかったりするだけで、SDGsウォッシュの事例は実は身近にもかなり存在するのです。

具体的な日本の企業の例も見てみましょう。

三菱東京フィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ

三菱東京フィナンシャルグループや三井住友フィナンシャルグループは2019年、新規の石炭火力発電所向け融資を原則として中止することを公表しました。二酸化炭素の排出を削減し、地球温暖化の防止に寄与することが目的です。これは環境保全にもつながり、歓迎されるべき決定であるはずです。

けれど、批判の声が上がりました。なぜなら、現段階で投融資中の石炭火力発電所については投融資を中止しないという経営判断が、地球温暖化の防止を目指したパリ協定への取り組みに不十分だと考えられたからです。もっと踏み込んだ決断をしなければSDGsを推進しているとは言えない、ということです。

批判を受けた両グループは、2020年に、石炭火力発電所への融資残高を2040年度に向けて段階的にゼロにする方針を新たに発表しました。この方針は一定の評価を受けましたが、もっと迅速な脱炭素の取り組みを進めることができるのではないか、という意見も根強く残っています。

日本政府

日本政府にも、SDGsウォッシュとの批判があります。
日本政府はSDGs推進本部を設置し、SDGsへのコミットメントを打ち出しています。しかし、2018年にカナダで開催されたG7シャルルボワ・サミットでは、「海洋プラスチック憲章」に署名しませんでした。

現在、廃棄されるプラスチックごみの影響で海が汚染されて海の生態系や人々の健康に被害をもたらしている問題が、国際的に注目されています。海洋プラスチック憲章は、各国内におけるプラスチックの規制強化を進めることでこの問題に対処しようとするグローバルな合意ですが、SDGsを推進しているはずの日本政府がこの憲章に署名しなかったのです。その背景には国内規制の課題などさまざまな理由があったのですが、結果としてSDGsウォッシュだとの批判を受けてしまいました。

なぜSDGsウォッシュが起こるのか

意図的にSDGsウォッシュを行うのは言語道断ですが、そのつもりがないのに結果としてSDGsウォッシュと批判される可能性もあります。なぜSDGsウォッシュが起こるのか、主な3つの要因をご紹介します。

自社の事業とSDGsを結びつけることができていない

よく見られる失敗が、自社の事業とSDGsを結びつけることができていないケースです。SDGsを企業の経営に統合させる指針として、SDGコンパスというものがありますが、そのSTEP4である「経営への統合」がうまくできていない企業が多いのです。

自然環境や社会に配慮したサステナブルな資源や原材料を使うと、費用が高くなってしまいがちです。そのため目の前のコスト負担を嫌って、事業に深く関係する事柄には手を付けず、直接的には事業と関係のない社会貢献活動などを進めようとしてしまうことがあります。もちろん社会貢献活動にも意味はありますが、SDGsを経営に統合させて事業の一環として推進していることにはなりません。

SDGsの理念を組み入れた事業を進めることができていたら、短期的な収支がマイナスになる可能性はあったとしても、長期的にはメリットの方が大きいはずです。「サステナブル」や「エコ」を強みとして売り出すことで、固定客が増えたり企業の評判が高まったりするからです。また、同じ価値観で経営しているほかの企業との協働なども進めやすくなるでしょう。

重要なのは、事業の特性を活かしてどのようなSDGs戦略を立てるか、ということです。自社独自のSDGsの目標を設定するようにしましょう。

サプライチェーンを管理しきれていない

サプライチェーンの管理ができていない場合も、SDGsウォッシュの批判を受ける可能性が高くなります。自社内では環境配慮や労働条件の改善などといったSDGsの理念に合う取り組みを進めていても、サプライチェーンが長く複雑になればなるほど、その上流から下流までをすべて正確に把握するのは難しいからです。

たとえば、委託先が環境配慮に無頓着だったり劣悪な労働条件を放置していたりすることがあるかもしれません。すると、その委託先だけが批判されるのではなく、委託元の企業も批判を受けるリスクがあります。取引先が海外にある場合などは、物理的な距離に阻まれて状況を把握できないこともあるでしょう。また、国や地域が違うと法制度が異なり、労働条件や文化的な背景も変わってくるため、適切な管理が難しくなるという事情もあります。

SDGsは自社の中だけでコミットすればいいというものではありません。委託先なども含めて、事業にかかわるすべての部分でSDGsの理念に合うように企業活動を行う必要があります。サプライチェーンの全体を適切に管理する手腕が問われているのです。

社内のSDGsへの取り組みへの理解が足りていない

社内におけるSDGsの理解が追い付いていないために取り組みが計画通りに進まず、SDGsウォッシュとなってしまうこともあります。

社内でのコミュニケーションが足りていなければ、全社的な取り組みにはなりません。経営層やSDGs戦略を取り扱う部署ではSDGsの価値観が浸透していたとしても、その他大勢の従業員には「本部がまた面倒ごとを押し付けてきた」と捉えられてしまう可能性もあるでしょう。面従腹背のような状況となり、上辺では納得しているように見せかけつつも日々の業務の中では取り組まないといった状況も起こりえます。

また、理想を語るのは大切なことですが、語られるのが綺麗事ばかりで会社や社員にとってのメリットが伝わらなければ、実際に現場で働く従業員のエンゲージメントがむしろ低くなってしまうこともあります。SDGsは新たなビジネスを開拓するチャンスなのだ、ということを社内で適切にコミュニケーションしなければいけません。どのようなストーリーを用意して社内の共感を得るのか、というのが重要なポイントとなるのです。

そもそもSDGsの推進に関わるような大がかりで長期的な目標というのは、現場レベルにまで落とし込むのは難しいものです。全員が理解し共感できるようなコミュニケーションを行わなければいけません。情報発信と言うと社外に目を向けてしまいがちですが、自社がSDGsという現代の価値観にどう対応していくのか、まずは社内での理解形成を進めてみましょう。

SDGsウォッシュを回避するために

SDGsウォッシュが生じてしまう理由がわかったところで、SDGsウォッシュを回避するためのポイントを再度確認してみましょう。

自社としての解釈を持ち、理念やビジョンにあった取り組みを行う

自社の価値観と親和性の高いSDGsの目標を選択するのが、SDGsウォッシュを回避するためのもっとも大切なポイントです。SDGsが目指す未来を、まずは自社としての解釈に落とし込んでみましょう。経営方針や事業内容と照らし合わせ、自社に合う形で取り組みを進めることで、企業活動に余計な負荷をかけることなくSDGsの推進ができるのです。

SDGsの19の目標すべてに均等にコミットしなければいけないわけではありません。むしろ、SDGsを盲信して何の戦略もないままに促進しようとする方が危険です。必ずしもSDGsのために、今までとはまったく異なる新しいことを始める必要はないのです。企業理念や経営ビジョンに沿った取り組みを選択しましょう。

サプライチェーンを適切に管理する

SDGsウォッシュを回避するための次のポイントは、サプライチェーンの適切な管理です。先述の通り、サプライチェーンが管理できていなければSDGsウォッシュの批判リスクも高まります。それを避けるためには、サプライチェーン上でSDGsに反した活動が行われないような仕組みづくりが必要なのです。

コミットするSDGsの目標に合わせて達成すべき項目を書き出し、取引先とも共有しましょう。定期的に監査を行い、サプライチェーン上で各項目が守られているかを確認する体制を構築しなければいけません。また、取引先が自社の価値観と共鳴するかを見極めるためにも、コミュニケーションを継続しましょう。
SDGsウォッシュの批判を避けるためには、SDGsに反した活動は自社内だけでなくサプライチェーンのどの部分においても許容しない、というコミットメントを示すことが求められています。

社員の理解を得るための社内コミュニケーションを行う

すでに述べた通り、経営方針を社内全体に浸透させるためには社内コミュニケーションが重要です。経営層だけでなく、現場レベルで働く社員まで含めた全員がSDGsを推進する必要性を理解していなければいけません。組織の内部で共感を生み出せていない価値観が外部に正しく伝わるはずがないからです。

経営方針を明確に定めて具体的な目標に落とし込み、社内に対して情報を発信しましょう。社内コミュニケーションが適切に行われている企業ほど、社内でのSDGsへのコミットメントも高くなるものです。反対に、理念が社員に正しく伝わっていなければ、現場の社員に反発心が生まれて面従腹背の状態となり、SDGsウォッシュにつながるリスクもあります。
社内における共通目標が明確で、社内全体としてのコミットメントが高いほど、SDGsウォッシュは発生しにくくなります。社員の理解と共感を得られるようなコミュニケーションを心がけましょう。

消費者視点でSDGsへの取り組み貢献度が評価されている企業

ここまで、SDGsウォッシュの問題点と原因、その回避方法を見てきました。

それでは、具体的にどのような企業が、消費者にSDGsウォッシュと批判されず、その取り組みを高く評価されているのでしょうか。ここからは、消費者視点で企業のSDGsへの取り組みを評価した、株式会社ブランド総合研究所の「企業版SDGs調査2021」を参考に、消費者から高い評価を受けている企業をご紹介します。

1位 トヨタ自動車:トヨタ環境チャレンジ2050

2020年度の調査から2連続の1位に輝いたのは、世界的な自動車メーカーのトヨタ自動車です。同社は2015年、地球環境問題に向き合い取り組むための「トヨタ環境チャレンジ2050」を打ち出しました。「新車CO2ゼロチャレンジ」など、重点的に取り組む事柄を6つ選出し、それぞれに2025年と2030年のマイルストーンを定めています。それがどの程度達成されているか、毎年進捗を確認しているのです。具体的な目標と、進捗確認を行っているという点で、実態を伴うSDGsへの取り組みであるように見えます。

また環境への取り組み以外に、技術革新を通じて交通事故死傷者や移動弱者をなくすこと、人権やダイバーシティを尊重することなども、同社のSDGsに対する取り組みの一部です。同社ホームページには多くの取り組み事例が情報開示されており、同社の意欲が感じられます。

2位 ユニクロ:一時ニュースを騒がせたが、消費者の評価は高い

なんと2位は、ユニクロです。先にSDGsウォッシュの事例として取り上げたユニクロが、なぜ2位にランクインしているのでしょうか。これについては後ほど議論をいたします。

3位サントリー:水の課題に優先して取り組む

サントリーは、「人と自然と響きあう」「Growing for Good」の理念の下、SDGsに取り組んでいます。同グループは、同グループとステークホルダーにとっての重要課題を分析し、水・衛生、健康・福祉、責任ある生産・消費、気候変動対策の4つを、優先目標として特定しました。なかでも同グループの重要な原料である水の課題については、最優先で取り組むとし、持続的な水利用に関する認証制度の推進などを行っています。このほか、コーヒーやカシスといった原料についても、持続可能な農業を通じて確保できるよう、取り組みを進めています。

また、各項目に対し方針やビジョンを定めるほか、取締役直下にグローバルサステナビリティ委員会を設置することで、SDGs達成に向けた社内体制の構築を進めています。国連グローバル・コンパクトなど、SDGsに関する国際的なイニシアティブにも参画をしています。

4位日清食品:エシカル消費は事業拡大の好機

カップヌードルなどの食品ブランドを展開する日清食品グループは、2020年に代表取締役社長・CEOを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設立し、サステナビリティ向上を目指した社内体制を整えました。SDGsに関しては、災害発生時のインスタントラーメンの無償提供などを通じた「目標2:飢餓をゼロに」に対する貢献や、健康志向に応える製品の開発を通じた「目標3:すべての人に健康と福祉を」に対する貢献などを掲げて、食品メーカーとしての独自の貢献を狙っています。

また、環境や社会に配慮した製品を選択的に購入する「エシカル(倫理的)消費」の流行を、同グループの事業拡大のチャンスととらえ、認証を受けた材料の利用や、プラスチック使用量の削減、植物代替肉の使用などを通じ、幅広くSDGsに貢献するとしています。同グループは国連グローバル・コンパクトにも参画しています。

5位イオン:ハートフル・サステナブル

大規模商業施設を展開するイオンは、「ハートフル・サステナブル」のスローガンの下、SDGsに対する取り組みを進めています。同社の取り組みの一つは、同社の商業施設を、地域の防災拠点・復興拠点とする活動です。商業施設で定期的な防災訓練を行うだけでなく、地域が広く被災した際に電力や飲料水を提供できるように備え、地域に貢献することを目指します。

また、2050年の「脱炭素社会」の実現を見据えて同社が推進しているのは、「次世代スマートイオン」構想です。商業施設に電気自動車充電器や太陽光発電システム、LED照明などの、環境負荷の低い最新技術の導入を進めています。環境と調和したまちづくりを通じて、SDGsへの貢献を狙います。

なぜユニクロが2位にランクインしているのか

さて、先ほど「企業版SDGs調査2021」から上位5社をご紹介しましたが、2位にユニクロがランクインしていました。

同調査は、先ほど紹介したユニクロの柳井会長の発言が報道されたのと同じ月に行われています。ウイグル問題の記者会見の翌日に株価を下げた、あのユニクロが、なぜ2位にランクインしているのでしょうか。これには2つの仮説があげられます。

仮説①:SDGsに関するニュースが一般の消費者に広まらない

まず、「そもそもSDGsに関するニュースが一般の消費者にあまり知られていない」、という仮説が考えられます。SDGsの認知度は年々上がっており、SDGsウォッシュを批判する意識的な消費者が現れているといえど、残念ながら多くの消費者はSDGsに対していまだ無関心です。

2021年の調査に参加した消費者のうち、SDGsを「知らない」と答えたのは25.9%、「SDGsという言葉は知っている」と答えたのは37.7%でした。これらSDGsに対する関心の低い消費者が全体の6割超を占め、ユニクロに関する報道に敏感に反応しなかった、ということが考えられます。

仮説②:企業のイメージ戦略が効果を発揮している

次に、「企業のイメージ戦略が効果を発揮している」という仮説も十分に考えられるでしょう。SDGsウォッシュは、さもSDGsに貢献しているようなふりをしながら、もしくは貢献しているつもりでも、実態が伴っていないために批判をされます。そのため、企業がSDGs推進企業としてのブランドイメージを確立していれば、実態が具体的に明るみになるまでは、「SDGsに対して積極的に取り組んでいる」と評価をされます。

これら2つの仮説は、ユニクロ以外のほかの企業にも言えることです。消費者の評価を得ているからといって、必ずしもその企業がSDGsに貢献しているとは限りません。また、企業のサプライチェーンは複雑で、いくら管理を徹底するといっても、どうしてもミスや漏れが発生してしまいます。消費者にとっても、企業にとっても、企業のSDGsの貢献度合いを評価するには、ブラックボックスがつきまとうのです。

投資家や消費者の目は厳しくなっている

本記事の冒頭で、SDGsウォッシュと批判を受けることで、企業の評判の低下や、直接的な損失が生じうることを指摘しました。しかし、消費者の反応が薄いのであれば、どちらにせよブラックボックスを避けられないのならば、そうした批判は少数派からの一時的なもので、そう気にする必要はないのでは、と思われる方もいるかもしれません。

しかし、「企業版SDGs調査2021」では、以下のような興味深い点も明らかになっています。

回答者のSDGsの認知度は、前年度の結果から急上昇しているのです。2020年時はSDGsを「知らない」という回答が61.0%だったのに対し、2021年には25.9%へと急速に減少しています。また、「SDGsという言葉は知っている」という回答は、2020年時の15.1%から、37.7%へと大幅に増えています。このように、消費者の意識が変容しつつある中、SDGsウォッシュに対する消費者の目は、今後厳しくなっていくと考えられます。

また、日本の消費者のSDGsに対する関心が低いままであったとしても、投資家の見方は変化しています。ESG投資のように、投資家が社会的責任を果たそうとするトレンドは、すでに世界的なムーブメントとなっています。さらに、グローバルに展開する企業であれば、ユニクロの製品がアメリカで輸入差し止めに合ったように、海外の規制やトレンドを無視することはできません。SDGsやCSRといった企業が果たすべき責任を軽視していると、海外の取引先から取引停止を求められる可能性もあります。

そしてブラックボックスの問題に関しては、現在NGOなどによって、企業のSDGsウォッシュを見逃さないために、詳細な企業調査がさかんに実施されています。SDGsウォッシュと批判を受けないためには、普段からSDGsに対して取り組むだけでなく、ブラックボックスをできるだけ小さくする試みを重ねることが重要です。

また同時に、現在多くの企業で内部通報制度や第三者監査の体制構築が進むなど、できるだけブラックボックスを小さくする取り組みが行われています。内部通報制度や第三者監査に取り組んでいたはずの、ユニクロ柳井会長の「ノーコメント」発言が批判を浴びたのは、実態はどうあれ、ブラックボックスをそのままにしたいという「姿勢」を、会長自らが示してしまったためではないでしょうか。

さらには、何か問題が起こってしまったときに、迅速に解決に向けて動けるように備えることも、ユニクロの例を見ると、重要であると考えさせられます。

このような理由があるからこそ、SDGsに真剣に取り組む必要があるのです。

まとめ

SDGsウォッシュとは何か、そして回避するために大切なことは何か、というポイントがおわかりいただけたでしょうか。企業のSDGsへの取り組みは、多くの人々から注目されています。対外的な見せ方と社内での取り組みを使い分けるようなダブルスタンダードは長続きしません。企業として、明確な方針と目標を持っておきましょう。
利益だけを追求するのではなく自然環境や地域社会にも配慮しようというSDGsの理念は本来、多くの日本企業の価値観との親和性が高いものです。自社なりにSDGsを解釈し、事業内容や経営理念に沿った方法でSDGsに貢献していけるよう、検討してみてください。

よくある質問
  • SDGsとは何ですか?
  • “DGs(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)は2015年の国連サミットで採択された目標で、「持続可能性」が重要なテーマとなっています。それまで、世界では経済成長に重きが置かれていて、20世紀には各国が大幅な経済発展を遂げることに成功しました。しかしその裏では、自然環境の破壊や格差の拡大など、多くのひずみもあったのです。
    そうした世の中の負の状態を正すため、将来の世代から搾取することなく現在の世代のニーズを満たす「持続可能な開発」という考え方のもと、国際社会が一丸となって取り組みを進めることになりました。このような背景からSDGsが採択され、世界各国でさまざまなステークホルダーがSDGsを推進するようになったというわけです。

  • SDGsウォッシュとは何ですか?
  • SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組んでいるように見せかけて実態が伴わないことを揶揄した言葉です。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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