
【事例で解説】社内コミュニケーションを活性化するメリットや施策とは?

目次
ビジネスの多様化に伴い、社内コミュニケーションの在り方は変化を続けています。そのような状況下では、多くの企業が社内コミュニケーションに課題を感じつつも、抜本的な改善にいたっていません。社内コミュニケーションが活性化されていないと、生産性の低下や離職率の上昇といった問題を引き起こすでしょう。
ここからは、社内コミュニケーションを活性化させるメリットや具体的なアプローチ方法まで詳しく解説します。社内コミュニケーション活性化に成功した代表的な事例も交えてご紹介するのでご参考ください。
社内コミュニケーションとは
社内コミュニケーションとは、社内で行われている会話や情報共有など社員同士のコミュニケーションを指し、プライベートのコミュニケーションとは異なる性質を持っています。同一組織内における社内報や社内セミナー、対話集会といったインターナルコミュニケーションを通して、社内コミュニケーションは活性化されます。
インターナルコミュニケーションには3つの目的があります。
1つ目は、経営層から社員へトップダウンで行うコミュニケーションです。経営理念やビジョンを共有し、組織風土を形成します。
2つ目は、現場の社員から経営層に課題を定義するボトムアップのコミュニケーションです。現場で実際に起きている現状を経営層が把握し、課題解決のための行動を取ることができます。
3つ目は、部門間、社員間のコミュニケーション活性化です。別の部署でどのような取り組みをしているのかが見えないと、組織の生産性向上の妨げになるだけでなく、新しいアイデアの捻出や気付きを得ることができません。インターナルコミュニケーションで社内の情報共有が活性化していると、会社全体を理解しやすくなるメリットがあります。
多くの企業が社内コミュニケーションに課題を抱えている
日本経済は年功序列、終身雇用、企業内組合という日本的経営のもとに成り立っていました。しかし、グローバル化によりコミュニケーションの対象が国内外に広がったことや、派遣・外注・嘱託など雇用形態が異なる従業員が増えたことを背景に、転職、出向、外部連携がいつでも起こる状態に変化しました。
このような状況下において、「阿吽の呼吸」「以心伝心」といった日本の伝統的コミュニケーションは、通じなくなってきています。HR総研の「コミュニケーションに関する調査」では、7割以上の人が社内コミュニケーションに課題があると答え、9割以上の人が社内コミュニケーション不足は業務の障害になると答えています。多くの企業が社内コミュニケーションに課題を抱えていると同時に、抜本的な改善にいたっていないのが現状です。
社内コミュニケーションの重要性
社内コミュニケーションの不足は、組織全体の生産性の低下、社員のモチベーション低下や離職率の上昇、イノベーティブなアイデアが捻出されない、といった業績にも関わる問題を引き起こす可能性があります。
しかし、現代社会の企業は、社内コミュニケーションが取りにくい環境に置かれています。上記でも解説したように、グローバル化によって、同じ文化や言語でコミュニケーションを取ることが難しくなり、日本独自のコミュニケーション手法は通用しなくなっているのです。
また、企業内でのサイロ化も大きな課題です。部門間で業務が完結し、利用しているシステムが独立している状態では、部門間の連携が取れません。企業内の縦割り構造が社内コミュニケーションを阻害しています。さらに、雇用形態の多様化や遠隔地で仕事をするテレワークの推進も社内コミュニケーションを複雑にしている要因です。
企業がおかれている環境が変化した際には、社内コミュニケーションの在り方を見直し、改善を続けていくことが必要です。社内コミュニケーションが活性化すれば、多くのメリットが得られるでしょう。具体的なメリットは次の見出しで後述します。
多様性を社内コミュニケーションでつなぐことでメリットを産み出す
多様性や複雑性は、外部環境や競争環境からの要求事項であり、これがイノベーションや生産性を産み出します。
しかし、社内コミュニケーションを強化し、多様性をつないでいかない限りは、多様性におけるメリットは享受できません。
つまり、多様性や複雑性と社内コミュニケーションをセットで考えることが重要です。ここからは、多様性を社内コミュニケーションでつなぐことで生み出されるメリットについて解説していきます。
社員エンゲージメントの向上
社員エンゲージメントとは、会社に貢献したいという帰属意識や愛着を表す言葉です。終身雇用であれば勤続年数が帰属意識を産みます。
しかし、転職が常態化し、人材の流動性が高まる中で、社員エンゲージメントを向上させるためには、より社内コミュニケーションの活性化に注力しなければなりません。派遣や外注、嘱託など雇用形態が違う社員同士が、同じ職場で働くことも増えました。
このような多様な人材を社内コミュニケーションでつなぐことができれば、社内の情報共有が活発になりインプットする情報量が増加します。
会社が目指しているビジョンや部署を越えた取り組みを知ることで働く意味を自分の中で確立できるようになるでしょう。主体的に業務に取り組むようになり、業績向上にも期待ができます。
離職率の低下
会社を辞める理由の多くは人間関係によるものです。相談したいことがあっても言い出しにくい雰囲気があり、会社で孤立をしていれば会社を辞めたくなります。
とくに人材の流動が激しい現在において、複雑なコミュニケーションを求められるも、それがうまくいかない場合、社員にとってはストレスが溜まりやすくなります。
そのため、企業内において多様な人材をつなぐことができるような、社内コミュニケーションが重要です。コミュニケーションが活発な組織では良好な人間関係を築くことができるでしょう。仕事の悩みがあればすぐに相談でき、ストレスを溜め込むことがありません。
また、離職率を低下には同僚とのランチや飲み会を通して、リフレッシュすることも有効です。社内コミュニケーションの活性化によって良好な人間関係を築くことで、良好なメンタルだけでなく、エンゲージメントにも影響します。そのためには、企業における社内コミュニケーションの取り組や、上司と部下における双方向のコミュニケーションの活性化を行うことが大切です。
生産性の向上
多様性を社内コミュニケーションでつなぐと生産性が向上します。社内コミュニケーションの活性化で部署間での連携が円滑になり、これまでなかったイノベーティブなアイデアが生まれるかもしれません。トラブルが起こった際にも、部門間で連携して対応することができるでしょう。
社内でコミュニケーションが取れることで、業務上で生じる課題をスムーズに解決することも可能です。顧客からの要望を自分だけで解決するのは限界があり、上司に報告をして会社としての対策を取ることが求められます。報告、連絡、相談、が活性化されると、提供するサービスの品質や業務スピードが向上します。
社内コミュニケーションを解決する一般的アプローチ
社内コミュニケーションが活性化することでさまざまなメリットが得られることがわかりました。ここからは、社内コミュニケーションを解決する一般的なアプローチについて紹介します。
社内コミュニケーションの現在地を可視化
社内コミュニケーションの課題を解決するためには、社内コミュニケーションの現在地を知るところから始めます。感覚的に知るのではなく、可視化することが重要で、客観的な知見を活用できる状態にします。
サイロ化している業務やシステムは何か、部門間の壁はあるのか、生産性は低下しているのか、社員のエンゲージメントにはどのような変化が起きているのかなど、定性的でなく定量的な情報を可視化します。
「社員と組織のコミュニケーションの状態を可視化するコミュニケーション調査」
何が問題であるのか?課題定義
社内コミュニケーションの課題の要因を探ります。課題定義をしてから解決策を導き出すようにし、PDCAサイクルを回しながらブラッシュアップしていくことが大切です。
課題は目先に見えているものだけではなく、その背景に要因が潜んでいることが大半です。「誰もが意見を言い合える会社を目指しているが、コミュニケーションが活性化されない」という問題の要因は、思いの浸透度かもしれませんし、コミュニケーションツールの力不足かもしれません。
課題が定義されないと解決策を生み出すことができず、解決に動いた結果どう変わったのかを知ることができなくなってしまいます。
「女性社員の生の声に耳を傾ける。本音アンケート&フィードバック対話会」
情報の接点の問題解決
会社の経営理念や進むべき方向性、ビジョンが社内に共有できていなければ、社内コミュニケーションが機能していないと言えるでしょう。社内の浸透活動の中で、情報が伝わりにくい、共有がなされていない場合、情報の接点部分が問題であり解決策を考える必要があります。
社内にあるイントラネットや社内報、メディアコミュニケーションなどを見直し、課題を明確化させます。社内広報の現状を調査した上で、社内広報ツールの活用方針やコンテンツの改善プランを作成しましょう。
「社員意識調査分析、社内メディア分析から改善シナリオを策定」
情報を共有する場やメディアの問題と解決
社内コミュニケーションが活性化されていない原因として、情報を共有する場がないケースでは、場所と提供するメディア問題を解決する必要があります。コミュニケーションを取りたい社員が多くても、発信する場所や連絡を取り合う場所がなければ、コミュニケーションは活性化されません。
理想的なコミュニケーションを取るために、社内のコミュニケーションツールを1から作成しようと思うと、時間と手間がかかります。そのため、コミュニケーションのあるべき姿に合わせるのではなく、すでに用意されているコミュニケーションサービスに合わせる施策を取ると、解決までのスピードも早くなります。
「デジタルワークプレイス導入(Microsoft 365)とコミュニケーション変革」
組織風土の問題解決
組織風土により、社内コミュニケーションが取りにくい状態になっている場合は、組織変革から取り組みます。マネジメント層と一般社員層の意思疎通が取れていない場合、マネジメント層の組織改革を実践しなければなりません。
現場で働く社員のエンゲージメント向上に向けて、全社の改革につながる価値観やテーマを検討しましょう。そして、実際に改革を進めていくプロジェクトを組成し、推進していきます。
「組織風土を強みに転換し、生き残りをかけた事業変革に挑む」
個々人の関係性の問題と解決
個々人の関係性が薄くコミュニケーションが取れていない場合は、社内イベントやクラブ活動といった施策が有効です。人間関係が良好になることで、社内コミュニケーションも活性化されていきます。
個々人の関係性を良化させるためには、全社員を対象とした参加型のイベントが適しています。イベントの準備段階から社員を巻き込むことで、普段は関わることがない人と拠点や部署を越えて関わることができ、共体験を通じてモチベーション向上につながります。
「社員参加型キックオフイベントの開催」
個々人のコミュニケーションスキル問題
個々人のコミュニケーションスキルが低く、コミュニケーションが取れていない場合は研修やワークショップを行います。
まずは研修に参加する動機づけから始めましょう。ワークショップの目的を明確にして、時間を捻出する動機づけをすることで、研修の成果が出やすくなります。
お客様インタビューvol.15「株式会社NTTデータ:議論できる文化を醸成する中堅社員向け研修」
社内コミュニケーション活性化の事例を紹介
社内コミュニケーションの活性化に取り組んでいる企業の事例を紹介します。ソフィアでは大小さまざまな企業で、生産性向上や社員のモチベーションアップのため、社内コミュニケーションへの取り組みを実施しています。企業内でどのような問題が起こり、どのような解決策を取ってきたのか、自社の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
株式会社ニチレイフーズの事例
冷凍食品やレトルト食品の製造・加工・販売を手掛ける株式会社ニチレイフーズでは、「ハミダス(とらわれず、明るく)」を従業員のモットーとして、社内・社外問わずに活動しています。生活者向けの営業活動支援、全国の工場での地域社会貢献活動や食育活動に始まり、従業員同士のコミュニケーションを良くするためのバーベキュー大会や社員旅行まで、さまざまな活動の運営・支援に取り組んでいます。
そんな中、社内システムが「Lotus Notes」から「Office365」に移行することになり、これまでNotesで発信していた内容がOffice365のSharePointで実現できるのか不安を感じていました。社内インフラの構築方針によって、社内基盤が変わることは良く起こります。これまでに蓄積していた社内コミュニケーションの経験値を新しいインフラ環境でも活かすためには、具体的な完成イメージを持つことが大切です。
株式会社ニチレイフーズでは、Webサイトを通して相互にコミュニケーションが取れるような場所にしたいという想いを実現しました。今後は、情報発信すると同時に今までの情報を蓄積していく場にすることを目指しています。
お客様インタビューvol.8「社員のハミダス気持ちをカタチにする 株式会社ニチレイフーズ SharePoint Onlineサイト構築」
株式会社ユーグレナの事例
ユーグレナでは、年に2回、グループ各社が一堂に会するグループ総会を開催し、グループ総会の場で、ユーグレナの考え方や方針、これからのビジョンなどを発表しています。しかし、総会を「点」として捉えるのではなく、今後の活動を踏まえた「線」にしていく必要がありました。グループ内に考え方を浸透させるためには、継続的に会社に対する想いをつなげていかなければなりません。そこで、MicrosoftのSwayという簡易的なWebサイトを作れるアプリケーションを使って、総会の内容を発信するコンテンツを作成しました。
お客様インタビューvol.14「株式会社ユーグレナ:インターナルコミュニケーションの視点に立ったグループ総会の実施支援」
株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの事例
株式会社ポーラ・オルビスホールディングスは、化粧品の訪問販売、百貨店やファッションビルでの販売、エステティックサロン併設店舗の展開などをしている企業です。株式会社ポーラ・オルビスホールディングスでは、既存のグループウェアの老朽化に伴い、新しいシステムへのリプレイスを検討していました。コロナ禍で働き方に変化が起こり、在宅勤務の環境構築のため、Microsoft365を選択しました。
また、リプレイスを機にグループウェアの単なる入れ替えではなく、会社のありようや文化を変えていくために活用したいと考えていました。そこで、SharePointOnlineを活用し、全社発信のサイトを構築、従業員へ会社の思いを浸透させることにしました。Microsoft365にはさまざまなツールが用意されており、これから活用範囲を広げていく可能性があります。Teamsを用いたコミュニケーションの良化は、リモートワークで働く人を含めた社内のコミュニケーション良化につながっています。
「株式会社ポーラ・オルビスホールディングス:社員の活用まで見据えたMicrosoft365導入およびSharePoint Onlineポータルサイト立ち上げ支援」
まとめ
社内コミュニケーションを活性化させるためのアプローチ方法や、代表的な企業の解決事例をご紹介しました。社内コミュニケーションの活性化のためには、その場限りで課題を解決するのではなく、継続的に取り組んでいかなければなりません。経営層の思いを伝え、社員同士のコミュニケーションが活性化するためには、自社の状況に適したコミュニケーションツールの活用やインフラの整備を行うことも重要です。
社内コミュニケーションを活性化することには、従業員が働きやすい職場を整えるだけでなく、生産性向上や離職率の低下といったメリットを得ることができます。
関連事例

株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
株式会社ソフィア
先生

ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。