1on1ミーティングの目的とは?導入のメリットと活用事例を紹介!

リモートワークの普及や働き方の変化により、現代のビジネス環境では個別のコミュニケーションがますます重要視されています。そこにマッチする人材育成の方法として注目されているのが「1on1ミーティング」です。

この記事では、1on1ミーティングの目的とは何か、導入することで得られるメリットはどのようなものなのか、さらには実際の事例を通じてその活用方法について解説していきます。ビジネスの成長に寄与する1on1ミーティングの重要性について理解を深めていきましょう。

1on1ミーティングと従来の評価面談等との違い

1on1(ワンオンワン)ミーティングとは、上司と部下が一対一で行う面談です。上司と部下の面談には業務の進捗確認や目標設定、人事評価面談などの面談が挙げられますが、1on1はこれらのどれとも異なります。

1on1の特徴は、お互いの対話型コミュニケーションを重視し、上司から受動的に指導されるのではなく、双方が共同で議論するスタイルで進められることです。上司は部下から日常の悩みや不安、業務に関する課題感などに耳を傾けて積極的に引き出すことが目的であり、これはコーチングのような関わり方とも言えます。

また、上司から部下への指示や指摘、連絡事項を目的とする人事評価面談とは異なり、比較的オープンな雰囲気で実施されるため、部下も上司に率直に意見を伝え合える機会が提供されます。

さらに、1on1と従来の面談との大きな違いの1つは、実施サイクルです。従来の面談は四半期あるいは半年に1回が主流でしたが、対してシリコンバレー由来の1on1は、週に1回、最低でも1ヶ月に1回の短いサイクルで定期的に実施されます。面談の時間も長くて30分程度が一般的です。

部下から本音を引き出すことが1on1ミーティングにおける大きな目標となりますが、実施の際は上の図のような座席の位置で行うことをおすすめします。この座席配置は90度法と呼ばれており、常に目線を合わせる必要がないため、カウンセリングなどの現場でも相手がリラックスできる座り方として活用されています。お互いにリラックスして行うことで感情や感性などを引き出しやすくなるでしょう

1on1ミーティングの重要性が高まっている理由

もともと1on1は、米国シリコンバレーの企業文化として長年にわたり導入されてきましたが、日本では2012年にヤフー株式会社が導入を始めたことを契機に国内でも1on1が浸透しています。1on1が導入されるようになった背景には、どのような要素があるのでしょうか。

不確実なビジネス環境と複雑な業務

現代は、激しい変化が起こり、これまでの常識が覆されるとするVUCA時代と言われています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの英単語の頭文字を取った言葉です。
さらには技術革新や多様性を重要視する動きがIoTを中心に進むことで、業務内容も多様化・複雑化し、従来の経験に頼ることがますます難しくなっており、今や人材教育において 「個人が自ら考え行動できる自律的なスキルを身につけること」が極めて重要となっています。

また、組織内で部下たちが率直な意見や感情を上司に伝えられるような、心理的安全性を築くことも重要です。異なる立場や役割を持つ者たちによる意見交換は、組織に新たな付加価値をもたらします。
対話的なコミュニケーションを促進する1on1ミーティングは、VUCA時代の激しい変化に柔軟に対応するチームを育成する上で欠かせないアプローチと言えるでしょう

働き方の多様化

米国は地域が広く、時差があったため、日本よりも早くテレワークが進んでいました。社内コミュニケーションをデジタル化することで、テレワークという働き方を実現していったのです。
デジタルコミュニケーションは業務の効率化に一役買いましたが、一方で、対面だと自然に生じていた雑談など非公式なコミュニケーションが消失してしまいました。そこで、テレワークによって失われたコミュニケーションを補完する役割として、見かけは非効率的でも、1対1のコミュニケーションが取り入れられるようになったのです

しかしながら、リモートワークを含め、働き方の多様化が進む中で社員同士のコミュニケーションの機会は減少しています。社内のコミュニケーション不足は人間関係の構築を困難にし、困ったことがあっても「打ち明けられない」「相談相手が分からない」といった状況に陥る可能性があります。
だからこそ、上司と部下が時間を割いてしっかり話し合うことが重要です。このような取り組みにより、良好な関係が築かれ、部下が一人で抱えるリスクも軽減できます。そのため1on1の導入が積極的に行われているのです。

管理職の役割の変化

近年、IT企業を中心に、海外と日本の管理職の役割が変化しています。特に人事の分野で注目されているのは、従来の管理職モデルから1on1を取り入れた人事マネジメントへの移行です。日本と海外の両方で、社員の離職率を下げ、エンゲージメントを高めるという目標は同じですが、賃金や待遇などの明確なリターンでは、社員を組織に留め置くことがますます難しくなっています。この点に対する対応には、日本と海外で違いが現れています。

現代は、多様な価値観が浸透し、さまざまなキャリア観を持つ社員が増加しています。賃金や待遇によって離職率やエンゲージメントをある程度制御できるかもしれませんが、根本的な人事改善にはなり得ないと、海外企業は認識しています。
ここにきて生成AIなどの新たな高度な技術の台頭により、単純な決まりきった業務の大部分が自動化されることは確実です。創造性が求められる現代のビジネスパーソンは、これまで以上に個々の価値観を尊重しています。今後、日本国内の企業でも、1on1を活用した個別最適化された人事マネジメントに注目が集まることは間違いありません。

しかしながら、多くの日本企業の管理職は、業務や部下の指導・管理業務に加えて、1on1ミーティングを行わなければならないという状況にあります。時には時間的な制約や業務量の増加などの理由で、1on1ミーティングを実施できないケースもさることながら、実施できたとしても適切な準備が不足しており、効果が得られない場合もあります

1on1ミーティング実施の目的

1on1ミーティングが現代のビジネス環境に必要な施策であることを説明してきましたが、実施にあたっては目的が明確化されていなければ意味のないものとして終わってしまいます。1on1ミーティングを実施する目的は企業によってさまざまではありますが、代表的なものについて見ていきましょう。

部下の成長・モチベーション向上

1on1を行う主な目的は、部下の成長や進歩を促進することにあります。従来の1対1の面談は、部下の評価や進捗の確認が目的とされ、上司の視点から行われていました。これに対し、1on1は部下を中心に据えたアプローチであり、従来の面談とは異なる対話形式のミーティングであるため、一方通行のコミュニケーションに陥ることが少なくなります。双方向のコミュニケーションを通じて互いの信頼関係を構築した上で部下の自主性を促進し、成長や改善を促すことができます。

さらには、1on1ミーティングは、上司と部下が直接話すことで、業務指導や日常の雑談とは異なり、お互いのことを深く理解する機会となります。上司にとっては、部下が仕事やプライベートで思考や悩み事を知ることで部下の状況を把握できます。一方、部下にとっては上司の応答を通じて人柄や考え方、仕事の進め方をより深く理解し、相互理解を深めることができます。

組織力の強化

従業員の関与を高め、企業全体の結束を強化することも1on1ミーティングの目的の一つです。従業員エンゲージメントの向上により、従来以上の忠誠心や業績向上が期待できます。長期的な組織力の向上という観点からも、1on1ミーティングは重要な施策と言えるでしょう。

1on1ミーティング導入のメリット

ここからは1on1のメリットを上司・部下・組織の項目に分けてお伝えします。

上司から見たメリット

1on1の実施は、上司から見ると下記のようなメリットがあります。

信頼関係の構築

1on1を実施する際のメリットの1つとして、部下との信頼関係の構築が挙げられます。伝統的な面談では、上司による部下の評価が焦点となり、緊張が生じますが、1on1では仕事やプライベートに関する話題がリラックスした雰囲気で話されるため、自然と距離が縮まります

対話を通じて共に課題解決に取り組むことで、信頼関係が構築され、部下のモチベーション向上も期待できます。

コミュニケーションスキルの向上

1on1で行うのは議論ではなく、対話です。対話とは、お互いの立場や意見の違いを理解し、そのずれを調整することを目的に行われます。それには相手の発言を適切に受け止め、質問を投げかける必要があります。これは業務上における縦のコミュニケーションではなく、相手の観点に立った横のコミュニケーションです。1on1を通じて、この横のコミュニケーションスキルが向上します。

部下から見たメリット

1on1に臨むことで部下は下記のようなメリットがあります。

キャリア自律

キャリア自律は、変化する環境で、自身のキャリア構築や学習に主体的かつ継続的に取り組むことを指します。将来のビジョンが不明確だと、キャリア形成に必要なステップを踏むことが難しくなります。
1on1において上司が部下の課題や目標を整理し、キャリアプランを立てる手助けをしてもらえることで、キャリア自律への道筋が明確になるでしょう。

経験学習

経験学習は、失敗や成功から学び、それを次の業務に活かすプロセスです。上司との1on1の対話を通じて部下は自らの過去の経験を振り返り、より信頼性の高い概念やルールを導き出せるようになるでしょう。これを実践することで、自己だけでは解決できない問題に対応できるようになります。

組織から見たメリット

1on1を実施することで組織は下記のようなメリットを享受できます。

生産性の向上

1on1によって社員一人ひとりのパフォーマンスやモチベーションが向上すると、会社全体の生産性向上にもつながります。
信頼関係の上に成り立つコミュニケーションが増えることで、部下からの新しい意見が出やすくなり、会社の成長や新しい発見も生まれる可能性もあるでしょう
さらに、人事評価への理解度が高まり、会社が求める方向に部下の能力が高まっていくことで、今後の教育にかかるコストの削減も見込めます。

離職率の低下

1on1で意識されているのは、業務内容だけでなく、プライベートも含めたさまざまな悩みに対する相談です。そのため、上司は部下の小さな変化に気付くことが容易になるでしょう。部下の悩みを解決し、働きやすい環境を整えることで、エンゲージメントが向上し、急な退職を防止できます

1on1を知らなくても1on1は実施できるのか?上司にも1on1機会の創出を!

1on1ミーティングのメリットについて述べてきましたが、これはあくまで適切な1on1を実施できた場合に実感できるものです。しかしながら、そもそも実施する側の上司が1on1を受けたことがなく、どのように進めれば良いのかイメージが沸きにくいというケースがよくあります。
自分が体験したことがないコミュニケーションを人に対して行うことは非常に難しいものです。上司自身が1on1を体験し、その効果や良さを体感することで、おのずと現場レベルでの目的も明瞭になります。目的がはっきりすると部下に対して意味のある1on1を提供できるようになるでしょう
1on1導入の際には、多くの企業が上司のスキルセットから取り掛かろうとするかもしれませんが、それだけでは不十分です。

1on1はあくまで部下の成長の場です。そのマインドセットが不十分では、「部下の課題を解決しなければならない」という考えに固執して1on1を実施してしまい、上司が話しすぎてしまうという失敗が起こりかねません。適切なマインドセットを醸成するためには、言葉で伝えるだけではなく実感してもらうことが重要なのです。
具体的には、上司同士で1on1を実施する、または外部のコーチに1on1を実施してもらう場を設けると良いでしょう。

1on1ミーティング活用事例

最後に1on1ミーティングの活用事例を紹介します。実施を検討している際は参考にしてみてください。

LINEヤフー株式会社

LINEヤフー株式会社は、2012年に1on1を導入しました。その後、外部の専門家を加え、自社に適したカリキュラムを作成し、社内に浸透させた結果、現在では約6,000人の社員が1on1を実施しています。

LINEヤフー株式会社の1on1は、経験から学びを得て次の業務に活かす「経験学習サイクル」を実務に取り入れることを基本としています。さらに、対話を深めて部下の潜在能力を引き出すことも重要視しています。
週に1度、30分間の1on1が行われた後には、1on1自体の評価も実施し、その結果を元に管理職向けのワークショップも開催されているようです。

サイボウズ株式会社

サイボウズでは、週1回〜月1回のペースで、「ザツダン」と称する1on1ミーティングを実施しています。
内容はその名の通り、雑談でも良く、決まった制度やルールはありません。部下の人材育成のために、多くの上司が自然発生的に行っています。

通常の1on1ミーティングは、ティーチングとコーチングの中間に位置づいているようなイメージですが、「ザツダン」はよりカジュアルな雰囲気であることが特徴であり、必ずしも部下の成長を促す必要はないとしています。
また、同社では、従来型の上司と部下の1on1ではなく、同僚同士で自由に相手を探して1on1を実施するケースも増えているそうです。「コミュニケーション量を増やす」という目的を達成するためには、細かい制度設計や形式に拘らず、柔軟な運用ができている点が参考になるでしょう。

出典:『サイボウズ流1on1ミーティング「ザツダン」とは?』

まとめ

1on1ミーティングは実施する上司、部下、ひいては組織そのものにもさまざまなメリットをもたらします。しかしながら、そのメリットを最大限享受するためには適切な1on1ミーティングを実施しなければなりません。

そのためには適切な1on1が一体どのようなものなのかをまず上司が体感する必要があります。上司が1on1を体感する機会を創出することで、組織がイメージしている1on1と齟齬がない1on1を上司が実施できるようになるでしょう

今回紹介した事例を参考にしながら1on1を有意義に活用し、組織全体のパフォーマンス向上につなげていきましょう。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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