社内コミュニケーションの課題とは?2024年調査と13の解決策
最終更新日:2026.01.29
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目次
社内コミュニケーションの課題とは?原因から解決方法まで徹底解説
働き方改革や仕事の複雑化、コロナ禍によるテレワークの導入など、私たちの働く環境は数年で大きく変化してきました。環境変化に合わせてコミュニケーションの取り方も進化を続けており、年代によってコミュニケーションの捉え方に違いが生まれています。
そのような状況の中で、社内のコミュニケーションについて課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。「社内コミュニケーション」を問題視する声はあがるものの、何が原因なのか不明確であることが非常に多く見受けられます。そこでこの記事では、社内コミュニケーションに課題が生まれる原因から解決方法まで徹底解説します。
現代の企業経営において、社内コミュニケーションは単なる「人間関係の円滑化」というソフトスキル的な側面を超え、企業の競争力やリスク管理能力を左右する重要な経営資源としての位置づけを強めています。特に、人的資本経営への関心が高まる中、投資家やステークホルダーは企業の「組織文化」や「エンゲージメント」といった非財務情報を厳しく評価するようになっています。
この記事は、最新の調査データと理論的枠組みを用いて、この複雑化する課題の深層に迫ります。
社内コミュニケーションの一般的な課題とは
HR総研が2022年に行った「社内コミュニケーションに関するアンケート」では、7割以上の人が「社内のコミュニケーションに課題を感じている」という結果となりました。
さらに、9割以上の人が「社内のコミュニケーション不足が業務の障害になる」と答えています。社内コミュニケーションは業務を円滑に進める上で必要不可欠の要素であり、コミュニケーション不足が業務の生産性に大きく影響していることがわかります。
昨今、とくに社内コミュニケーションの課題を感じる人が増えています。その理由としては、コロナ禍によってテレワーク勤務が増加したことが挙げられます。対面でのコミュニケーションは減少し、業務以外の雑談をする機会も少なくなりました。
社内のコミュニケーション不足は、社員のストレスやモチベーション低下にもつながりますので、普段から豊富なコミュニケーションを取れるように対策が必要です。
さらに、弊社ソフィアが2024年に実施した最新の「インターナルコミュニケーション実態調査」においても、この傾向はより顕著かつ複雑な形で現れています。デジタルツールの導入が進んだ一方で、ツールの乱立による情報の分断や、対面機会の喪失による心理的な距離の拡大が新たな課題として浮上しています。
平たく言うと、単に「話す量が減った」のではなく、「伝わる質が変わった」ことが、現代のコミュニケーション課題の本質と言えるでしょう。

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社内コミュニケーション不足により生じる13の課題
社内コミュニケーションの不全は、組織に対して多角的かつ深刻なダメージを与えます。
ここでは、競合他社の分析および弊社ソフィアの知見を統合し、コミュニケーション不足が引き起こす13の主要な課題について、そのメカニズムと影響を詳細に解説します。
精神的なストレスの増加とメンタルヘルスの悪化
コミュニケーション不足は、従業員の精神的健康を直接的に害する最大の要因の一つです。
HR総研の調査データ によれば、コミュニケーションに課題がある職場では、従業員が感じる精神的ストレスが前年比で20ポイント近く上昇しているというデータがあります。
人間は社会的動物であり、他者との関わりの中で自己の存在意義や安心感を確認します。特にリモートワーク環境下では、相手の表情や声色が読み取れないテキストコミュニケーションが主体となるため、「自分の発言がどう受け取られたか不安」「無視されているのではないか」といった疑心暗鬼が生じやすくなります。
このような「認知的不協和」や「社会的孤立」が蓄積することで、メンタルヘルス不調による休職や離職につながるリスクが高まります。厚生労働省の調査でも、職場のストレス要因として「対人関係」は常に上位に挙げられており、コミュニケーションの質が従業員のウェルビーイングに直結していることは明白です。
モチベーション(エンゲージメント)の低下
「自分の仕事が誰の役に立っているのかわからない」「上司からフィードバックがない」という状況は、従業員のモチベーションを著しく低下させます。コミュニケーションが希薄な組織では、会社への帰属意識(エンゲージメント)を維持することが難しくなり、結果として「言われたことしかやらない」という消極的な姿勢(静かな退職)が蔓延します。
上司や同僚との対話は、業務の意味付けを行う重要なプロセスです。何気ない称賛や、苦労を共有する会話がなくなることで、従業員は自らを組織の歯車のように感じ始めます。
わたしたちが行った調査においても、企業戦略への共感がわずか1割にとどまるという結果が出ており、これはコミュニケーション不足が「やる気の源泉」を枯渇させていることを示唆しています。
人材育成の停滞とナレッジ継承の断絶
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の機能不全が深刻化しています。かつては先輩の背中を見て技術を盗んだり、移動中の雑談の中で暗黙知としてのノウハウを共有したりすることが自然に行われていました。しかし、テレワークや業務の細分化により、その機会が消失しています。
技術的なスキル(ハードスキル)はマニュアルで伝えられても、仕事の勘所や対人折衝の機微といったソフトスキル、あるいは組織固有の「暗黙知」は、密なコミュニケーションなしには伝承されません。
これにより、若手が育たないだけでなく、熟練社員が持つ貴重なナレッジが組織に残らず、人が入れ替わるたびに組織能力(ケイパビリティ)がリセットされてしまうリスクがあります。
離職率の高止まりと「びっくり退職」の増加
「相談できる相手がいない」という孤立感は、離職の直接的なトリガーとなります。
特に近年、人事担当者を悩ませているのが、上司が全く予兆を感じていない状態で突然辞表が出される「びっくり退職」です。
これは、日頃のコミュニケーション不足により、部下の小さな悩みや不満のサイン(予兆)を見逃し続けた結果と言えます。信頼関係があれば、深刻化する前に相談があったはずの問題も、コミュニケーションのパイプが詰まっているために表面化せず、水面下で限界に達してしまうのです。退職理由の多くが「人間関係」に起因することは周知の事実ですが、その本質は「関係性の悪さ」以前に「関係性の希薄さ」にあることが多いのではないでしょうか。
信頼関係の欠如と心理的安全性の低下
業務連絡だけのドライな関係では、深い信頼関係(ラポール)は築けません。「雑談」のような一見非効率に見えるコミュニケーションこそが、相手の人となりを知り、「この人になら弱みを見せても大丈夫」「失敗しても責められない」という心理的安全性(Psychological Safety)醸成の土台となります。
1on1ミーティングを行っていても、業務進捗の確認(尋問)に終始している場合、部下は「監視されている」と感じこそすれ、信頼を感じることはありません。信頼関係がない組織では、ミス隠しや責任転嫁が横行しやすくなり、組織全体が疑心暗鬼のコストを支払うことになります。
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チームワークの機能不全
個々の能力が高くても、コミュニケーションがなければチームとしての相乗効果(シナジー)は生まれません。連携不足により、業務の重複や、逆にボールが落ちる(誰もやらない領域ができる)といった非効率が発生します。
「誰が何を得意としているか(トランザクティブ・メモリー)」が共有されていないため、適切な役割分担ができず、特定の個人に負荷が集中する事態も招きます。チームワークとは、単に仲が良いことではなく、互いの強みを活かし弱みを補完し合う関係性ですが、そのためには相互理解のためのコミュニケーションが不可欠です。
業務の停滞と生産性の低下
「わからないことをすぐに聞けない」環境は、業務スピードを著しく低下させます。チャットを送っても返信が遅い、誰に聞けばいいかわからない、といった状況は、従業員のアイドルタイム(待機時間)を増やします。
また、対面であれば数秒で解決する確認事項が、テキストベースの往復になると数十分かかることも珍しくありません。コミュニケーションのフリクション(摩擦)が大きくなればなるほど、組織全体の生産性は低下し、意思決定のスピードも鈍化します。
連携ミスによるトラブルの多発
部門間の壁(セクショナリズム)により、必要な情報が共有されず、納期遅延や品質不良、顧客クレームといったトラブルが頻発します。具体的には、営業部門が顧客と交わした約束が開発部門に伝わっていない、あるいは開発部門の仕様変更が営業に伝わっていないといった事態です。
わたしたちが行った調査でも、部門間連携の不備は多くの企業でトップレベルの課題として挙げられており、これが手戻りやクレーム対応という「負の業務」を増大させています。
経営層と現場の意識ギャップ(認識のズレ)
経営層が発信するビジョンや戦略が、現場に正しく伝わっていない、あるいは「絵空事」として冷めた目で見られている状況です。これを「経営情報の空中戦」と呼ぶこともあります。
経営層の理想と現場の現実に乖離があると、組織は崩壊に向かいます。わたしたちが行った調査では、従業員のわずか1割しか会社の戦略に共感していないという衝撃的なデータもあります。この意識の乖離は、組織の一体感を損ない、変革のスピードを鈍化させる致命的な要因となるでしょう。
重要な情報のサイロ化と共有漏れ
顧客からの重要なフィードバックや、市場の変化に関する情報、あるいは過去の失敗事例(ヒヤリハット)が、特定の個人や部署で止まってしまい、全社で共有されない状態です。
「情報を持っていることが権力」という古い価値観や、共有する仕組みの欠如が原因です。情報のサイロ化は、同じ失敗の繰り返しや、ビジネスチャンスの喪失に直結します。
業務の属人化とブラックボックス化
コミュニケーション不足は、業務の標準化を阻害します。担当者が休むと誰も代わりができない、退職すると業務が回らなくなる、といった属人化のリスクを高めます。
成功体験も失敗体験も個人の中に留まるため、組織としての学習(組織学習)が進みません。結果として、企業の知的資産(ナレッジ)が蓄積されず、長期的な競争力が低下します。
不正・コンプライアンス違反の温床化
風通しの悪い組織は、不正の温床となります。「悪い報告」が上に上がらない、相互監視が機能しない環境では、データ改ざんや横領などのコンプライアンス違反が長期間隠蔽されるリスクが高まります。
ビッグモーターや各種品質不正問題など、近年の企業不祥事の多くにおいて「ものが言えない企業風土」が背景にあったことが指摘されています。コミュニケーションは、組織の自浄作用を維持するための免疫システムとしての機能も果たしているのです。
イノベーションの阻害と新しいアイデアの枯渇
イノベーションの多くは、異なる知見を持つ人同士の何気ない会話や、偶然の出会いから生まれます(新結合)。シュンペーターが提唱したように、既存の知の組み合わせがイノベーションの源泉です。
しかし、コミュニケーションが不足し、同質的なメンバーだけで閉じこもっている組織からは、市場を変えるような新しい発想は生まれてきません。雑談や越境的な対話の欠如は、企業の将来の成長の芽を摘んでしまうことと同義です。
弊社ソフィア調査に見る2024年の実態
ここまで、社内コミュニケーション不足により生じる13の課題について解説してきました。では、2024年現在の大企業における実態はどのようなものでしょうか。
これまでの一般的な課題に加え、弊社ソフィアが2024年8月から9月にかけて実施した「インターナルコミュニケーション実態調査2024」の結果から、大企業(従業員1,000名以上)特有の深刻な実態が明らかになりました。このデータは、表面的な課題の裏にある構造的な問題を浮き彫りにしています。
「部門間の壁」が最大のボトルネック
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションに課題を感じている関係性として、「部門間」を挙げた回答が58%と最多でした。次いで「部門内の上司と部下」(51%)、「経営陣と社員」(42%)と続きます。
この結果は、組織論における重要な示唆を含んでいます。
課題を感じる対象「部門間(横の連携)」58% 分析とインサイト:組織のサイロ化が極めて深刻です。DX推進や新規事業開発においては、IT部門、事業部門、管理部門など複数の専門性が融合する必要がありますが、ここが分断されているため、プロジェクトが停滞する主因となっています。
「隣の部署は何をする人ぞ」という状態が、大企業の俊敏性を奪っています。
課題を感じる対象「部門内・上司と部下(縦の連携)」51% 分析とインサイト:1on1などの施策は普及しつつありますが、依然として過半数が課題を感じています。これは、単なる頻度の問題ではなく、心理的安全性やフィードバックの質といった「質的なコミュニケーション不足」や、後述する世代間ギャップが解消されていないことを示しています。
課題を感じる対象「経営陣と社員」42% 分析とインサイト:パーパスやビジョンの浸透不足を示唆しています。経営層からのメッセージが一方通行になりがちで、現場の腹落ちするレベルまで届いていない、あるいは現場のリアリティと乖離していると感じられている可能性があります。
このデータは、多くの企業において「縦(階層)」のコミュニケーションよりも、「横(部門間)」のコミュニケーション不全がより広範な課題であることを示唆しています。バリューチェーンのつなぎ目で情報の断絶が起きており、これが企業全体の価値創出スピードを落としています。
情報共有の「三重苦」
わたしたちが行った調査では、社内の情報共有において多くの従業員が以下の「三重苦」に陥っていることが判明しました。
情報がない(Non-existent):
そもそも必要な情報が発信されていない、または文書化(形式知化)されていない。暗黙知のまま属人化している状態です。
情報が遅い(Late):
意思決定や通達が現場に届くまでに時間がかかりすぎ、アクションが後手に回る。階層構造が情報の流通速度を落としています。
情報が見つからない(Unfindable):
情報量は爆発的に増えているが、イントラネットやチャットログの彼方に埋もれ、検索してもたどり着けない。情報の整理整頓(インフォメーション・アーキテクチャ)の不備です。
DXの進展によりチャットツールやコラボレーションツールは増えましたが、それが逆に情報の分散(情報のサイロ化)を招き、必要な情報にアクセスするためのコスト(探索時間)が増大しているという皮肉な現状があります。
デジタルツールの導入率と活用格差
調査によると、チャットツールの導入率は76%に達しており、インフラとしてのデジタル環境は整いつつあります。しかし、わたしたちが行った調査では、ツールを「効果的に活用できている」と感じている層とそうでない層の間に大きな「活用格差」があることが浮き彫りになりました。
単にツールを入れるだけではコミュニケーションは活性化しません。「どの情報を、どのツールで、どのように発信するか」という運用ルールや、従業員のリテラシー教育が追いついていないことが、高額なツール投資を無駄にしている要因と考えられます。
社内コミュニケーションのビジネス面での課題と背景事情
社内コミュニケーションのビジネス面での課題にはどのようなものがあるでしょうか。昨今、ESGやDXなど、企業に要求されるビジネスの要件は複雑化しており、それに伴い多くの部署やチームが抱える課題や解決手段はより専門性と即時性が高まる反面「サイロ化」を引き起こしました。
情報や言葉の意味、前提となる考え方が非対称性を産む組織全体では重複業務が増えました。サイロ化が進むにつれ内部での専門用語が増え、サイロ間の共通言語を必要とします。
また、グローバル化社会や外部とのコミュニケーションの課題を生んでいます。多文化/多言語でのコミュニケーションが必須となり、お互いの文化や歴史を知らない状態でのコミュニケーションは、文脈を伝えることにおいて困難を極めます。伝える側と受け取る側の微妙なニュアンスのズレを引き起こしやすくなるのです。
これまでの日本経済は年功序列、終身雇用、企業内組合という日本的経営のもとに醸成された強烈な同質性の上に成り立っていました。
しかし、グローバル化によりコミュニケーションの対象が海外にも広がっています。そのような多様性の中で協同していくためには、円滑なコミュニケーションによって個々の多様性をつなぐことが求められているのです。
さらに、ビジネスサイクルの短期化により、従来の「稟議と承認」による重厚長大なコミュニケーションスタイルでは、市場の変化に対応できなくなっています。現場で起きた変化を即座に経営判断につなげる「OODAループ」のような高速な意思決定プロセスを実現するためには、情報の透明性とリアルタイムな共有が不可欠です。
社内コミュニケーションの人材面での課題と背景事情
現在では、労働人口の中心となる40代〜60代と20代〜30代との間で社内コミュニケーションの手法や考え方にギャップが生まれ、そのギャップが企業経営に悪影響を及ぼしています。
ミドル〜シニア世代(40代〜60代)の社内コミュニケーションは、対面でのコミュニケーションが大半を占めていました。コミュニケーションツールはなく「直接話すこと」が中心であり、遠隔でのコミュニケーションは電話が基本です。文字で連絡を取り合うことに慣れておらず、リモートでのビジネス環境に順応しにくい世代ともいえます。
さらに、業務以外の時間を活用してきた世代でもあります。喫煙所での会話や飲み会でのやり取りからビジネスチャンスをつかみ、生きた情報のインプット/アウトプットを繰り返して仕事の目的を実現してきた世代です。
一方、1995年以降生まれはデジタルネイティブやZ世代と呼ばれ、物心ついたときにはスマートフォンやインターネットが当たり前に存在していました。ささいな返答は言葉でなく「いいね」ボタンや「スタンプ」、「絵文字」で済ませてしまうことが一般的です。余計なコミュニケーションは望まず、簡潔に意図を伝えあうことを求める世代です。さらに若年世代では、わからないことを周りの人に質問せず、インターネット検索で解決しようと試みます。
たしかに効率的ですが、上司と部下との会話時間は減少し、コミュニケーションは希薄になります。そのような状況でミドル~シニア世代の社員は対面で直接的な報・連・相を求めるため、ここにコミュニケーションのギャップが生じてしまいます。
視点を変えれば、このギャップは、単なる「ツールの好み」の問題ではなく、「仕事観」や「信頼構築のプロセス」の相違に根差しています。シニア世代が「膝を突き合わせてこそ信頼が生まれる(ウェットな関係性)」と考えるのに対し、若手世代は「目的が明確で効率的なやり取りこそが信頼に値する(ドライな関係性)」と考える傾向があります。
このプロトコルの不一致が、上司の「最近の若手は何を考えているかわからない」、部下の「上司のやり方は古くて非効率」という相互不信を生んでいます。
社内コミュニケーションの環境面での課題
テレワークの普及により、従来と比較して社員同士の会話の時間が減り、情報の取得機会が減っています。今までのなんとなく行っていた雑談が減り、社員同士のお互いを理解し合う時間を作れないのが現状です。上記でも解説したように、お互いを理解しない状態でのコミュニケーションは、文脈を伝えることにおいて非常に困難です。
このような状況から、社内コミュニケーションに問題を持っていない企業はないと言っても過言ではないでしょう。そのため、企業はオンラインとオフラインのハイブリッドな働き方を前提に、社員同士のコミュニケーションを促す必要があります。
ハイブリッドワーク環境下では、「誰が出社していて、誰がリモートか」が見えづらく、コミュニケーションのタイミングを計るのが難しくなっています。また、オフィスにいれば自然と耳に入ってきた「周辺情報(アンビエント情報)」が遮断されるため、自分の業務に関連する周辺の動きを把握するためのコストが高まっています。これは、組織の一体感(Sense of Belonging)を損なう大きな要因となっています。
社内コミュニケーションの多様性から生まれる課題
高度経済成長期が終わり、産業の成熟期に入ると大企業は多角化が進みました。業界を越えた連携が必要となり、これまでの経験則では判断できない問題や事象が急速に増えてきています。
そのため、対面での「阿吽の呼吸」でコミュニケーションを取っていた時代とは違い、組織としてコミュニケーションの課題を認識し、環境を改善することが必要不可欠となっています。
コミュニケーションの手法にも変化が起きています。かつては対面で話すことが当然でしたが、チャットやメールを活用した文字でのコミュニケーションが増え、それらでは表情や声色で感じ取ることができなくなりました。
文字の背景にある感情を読み取る能力もコミュニケーション能力の1つとされており、経験値やスキルだけでは補えなくなっています。
現在でもコミュニケーションを「個の能力」に頼っており、属人的なスキルに位置付けている組織が多くあります。急激に変化する社会・多様化の浸透・世代間による考え方のギャップと、企業をとりまく社会環境は変化をしているにもかかわらず、個に頼ったコミュニケーションのみで変化の波を受け止めるには限界がきていることに気付かなければなりません。
社内コミュニケーションがない人とビジネスの多様化はサイロ化しか生まない
ここ近年で、業務は高度に分業化され、仕事やスキルはより専門的になっています。さらに、個々人の個性や歴史的背景などの価値観から、企業は多様性の受け入れを促進しています。しかし、人それぞれ違う考え方や価値観を知り理解することは困難であり、そのうえで共感できる人はほんの一握りかもしれません。
多様性を重視するということは、ビジネスも人もバラバラであることを受け入れ、これを構造的な仕組みや制度でマネジメントする必要があります。そのため、バラバラな社員や職場を社内コミュニケーションでつなぐことが重要となり、その結果イノベーションや自由な働き方が実現できるのです。
換言すれば、職場内がバラバラのまま、もしくは社内コミュニケーションが不足したまま、ただ不確実性や多様性を標榜する組織は、生産性の低下につながるうえにモラルやコンプライアンスなどの問題を増幅させる可能性もあります。
社内コミュニケーションの活性化が必要な理由
ここまで、社内コミュニケーションにおける様々な課題について見てきました。では、なぜ社内コミュニケーションの活性化が必要なのでしょうか。
社内コミュニケーションの活性化が必要な理由は多岐にわたり、組織全体の健全な発展に不可欠な要素です。積極的に取り組むべき課題と言えます。
社内コミュニケーション活性化の必要性について詳しく見ていきましょう。
組織の効率性や創造性が高まる
社内コミュニケーションが活発になることで、まず情報の共有や意思決定のスピードが向上します。情報が適切に伝達され、業務の進行がスムーズになります。これにより業務プロセスが効率化され、組織全体の生産性が向上します。
さらに、従業員同士の連携やチームワークが強化され、チームメンバーがお互いに意見を交換し合い、問題解決に取り組むことで創造性が引き出されます。異なる視点やアイデアが集まり新たな発想が生まれ、革新的な解決策やサービスが生まれる可能性が高まります。
また、従業員のモチベーションや満足度にも影響を与えます。社内コミュニケーションが活性化している環境であれば、意見やアイデアを発言しやすいでしょう。そのうえで自分の意見が尊重されるのであれば、従業員はよりやりがいを感じ、自発的に業務に取り組む傾向があります。これにより、結果として組織全体のパフォーマンスが向上することが期待されます。
情報が適切に共有される
情報が適切に共有されることは、組織内での効率的な業務遂行や意思決定に不可欠です。適切な情報共有が行われなければ、重要な情報が漏れ誤解が生じるといった可能性があります。これにより生じるトラブルや損失のリスクが高まります。
また、情報の偏りや不正確な伝達によって、意思決定の質が低下し、結果として組織全体の業績に影響を及ぼす恐れがあります。さらに、部門間や個人間の連携が困難となり、業務の効率性や柔軟性が損なわれる可能性があります。
そのため、社内コミュニケーションを活性化させ、情報が円滑に共有される環境を構築することが重要です。定期的なミーティングや報告会、情報共有システムの導入、部門間のコラボレーション強化などを通じて情報の透明性や可視化を図り、情報共有の質を向上させることが求められます。
モチベーションやエンゲージメント向上につながる
社内コミュニケーションが円滑に行われる環境では、従業員同士の情報共有がスムーズに行われます。それによって従業員は業務に対する理解が深まり、自らの役割や責任を明確に認識することで、従業員のモチベーションが向上し、業務への取り組み姿勢も前向きになるでしょう。
またチーム間や部署間での連携が強化され、情報や意見の交換が頻繁に行われることで信頼関係が築かれ、協力体制が確立されます。このような体制が整うと業務の効率化や品質向上が期待できます。従業員が協力し合いながら業務に取り組むことで成果に対する満足感や達成感が高まり、結果としてモチベーションやエンゲージメントが向上するでしょう。
社員同士の関係性が良好に
社員同士の良好な関係性は、チームワークの向上や効率的な業務遂行に直結します。コミュニケーションが活性化されていることによって社員同士の信頼関係が構築され、円滑に業務が回り、問題・課題の対処や意見交換なども速やかに行うことができます。
また、社内のコミュニケーションが盛んに行われ、社員の関係性が良好であれば職場全体の雰囲気が良くなり、モチベーションの向上やストレス軽減にもつながります。さらに社員同士が協力し合い、お互いを尊重し理解しようする雰囲気がつくられることで生産性や従業員満足度、定着率の向上が期待できます。
社内コミュニケーション不全により生じる課題
社内コミュニケーションの課題を解決するためには原因を把握することが大切です。環境の変化によって引き起こされた社内コミュニケーションの変化を感じ、課題が生じる兆候をキャッチアップします。原因が組織的なものなのか、環境なのか、または個人によるものかを分析し、組織的な解決手法を検討することが必要です。
部署間で情報共有の不足
業務を遂行する上で、1つの部署で案件が完結するケースは少なく、他部門との連携によって価値を生み出すことが一般的です。普段から部署間でのコミュニケーションが取れていないとお互いの情報が分からずに連携を取ることができません。規模が大きい企業ほど部署間のコミュニケーションが難しい傾向があります。
昨今、HRBP(ヒューマンリソースビジネスパートナー)という職業が注目されています。HRBPは企業における人事機能の1つであり、人事観点とビジネス観点の両面で事業成長をサポートする役割を担います。注目される理由として、ビジネスにおいて人的資源が重要性の高まりと人的資源活用の複雑性から、現業と人事をつなぐ必要が出てきたからです。
とはいえ、この2つを交差させ情報共有し、人事組織と現場個別課題という双方が専門性が高い内容をコラボレーションするのは非常に難しいと言えます。
わたしたちが行った調査結果でも「部門間」のコミュニケーション課題が最も多く挙げられており、この「横の連携」の欠如が、全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)やイノベーション創出の最大の阻害要因となっています。
会話する機会が少ない。話題がない
昨今、社内で会話をする機会が少なくなっています。組織には、縦の関係(経営層や上司)と横の関係(同僚や部署間)があり、どちらともコミュニケーションが不足しています。
上位者が「コミュニケーションが取れている」と感じていても、下位者では「コミュニケーションが取れていない」と一方通行のコミュニケーションになっていることはよくあることです。「理解しているけど、できない・やらない」と「理解していないので、できない・やらない」は結果は同じですが、問題はまったく違います。
業務や報・連・相に代表されるタスクコミュニケーションがビジネスの前提ではあるものの、関係性がそのパフォーマンスに影響することは誰もが理解するところでしょう。
しかし、業務内容は知っているがチームやメンバーを知らないということはよくあります。それにはまず働く仲間の周辺情報(属性や趣味など)や価値観などを知ることです。会話がないのは「相手を知らないので共通の話題がない」ということが多くの原因です。
自由に発言できない雰囲気がある
組織の中に自由な発言ができない雰囲気があるとコミュニケーションの発生を妨げてしまいます。職場において気軽な雑談から新しいアイデアが生まれることもあります。
また、ランチや飲み会を通して悩みを聞き出し、話を聞くだけでもお互いを理解することができます。自由に発言する場が減少すると考えていることを自分の中に溜め込んでしまうことになり、社員のモチベーション低下やストレスの原因になってしまいます。
自由に発言しにくい雰囲気は社内風土に要因があります。上司が発信する機会を減らし、傾聴する意識を持ってコミュニケーションを取らなければ社内のストレスは解放されていきません。
社員のモチベーションが低下している
同期や上司、部下とのコミュニケーションが不足すると帰属意識が下がり、モチベーションが低下していきます。部署間で交流がないと、他部署での行動が見えず組織の現在地を俯瞰してみることができません。
自部門の狭いスコープだけの情報では考え方も狭くなってしまいがちです。コミュニケーションを取ることで相手の考え方を学び、組織の進むべき方向性を肌で感じることができます。
また、相談する相手がいないと悩みを抱え込んだままモチベーションが低下していきます。同僚との些細なコミュニケーションから気付く発見も多くあり、新しい発見が仕事へのヒントや意欲へと変わっていきます。
離職率が高い
組織内で起こる多くの問題は人間関係によるものです。人間関係の悩みを相談する人が近くにいない場合、自分の中だけで解決しようとしてストレスが蓄積されていきます。ストレスが溜まると会社に行きたくなくなり、働くことへの意欲が生まれません。その結果、離職率が高くなってしまいます。事前に悩みを聞くことができれば防ぐことができた事例も多くあります。意見のすれ違いがあっただけで、コミュニケーションさえ取れていれば解決できた問題ほど悔やまれるものはありません。
ミスが多発している
コミュニケーションが不足している組織では意見のすれ違いやミスが起こりやすくなります。ミスの原因を相手の責任だと考える傾向が強まり、真因分析ができないまま再発防止策を打つことができません。何度も同じミスを繰り返すことで社員にはストレスが溜まり、モチベーションが低下した状態で再度ミスが起こるという悪循環を引き起こします。
また、気軽にわからないことを相談できない環境では「聞けば解決した内容」が放置されてミスが起こりやすくなります。社内コミュニケーションが不足している職場では円滑な連携が取れず、ミスを繰り返すことで社員は疲弊していきます。
コンフリクトマネジメントとは?コンフリクトマネジメントのメリットや成長につなげる方法を解説
コンフリクト(対立)は、職場や組織で避けられないものですが、適切に管理すれば成長やイノベーションの原動力にな…
アイデアが出てこない
コミュニケーションが取れていない組織では、新規事業や企画立案の際にイノベーティブなアイデアが生まれにくくなります。個人に頼った企画立案は客観的思考がなく偏ったアイデアになりがちです。アイデアは、コミュニケーションを通してブラッシュアップされ続けることで顧客志向の企画へと成長していくものです。
また、コミュニケーション不足はナレッジマネジメントにも影響します。社員が経験してきた知識やスキルは組織にナレッジとして蓄積されていかなければなりません。ノウハウや知識の共有ができずに業務の品質低下につながります。
顧客満足度が減少している
組織内のコミュニケーション不足は顧客満足度の低下を引き起こします。部署間で連携を取らず、上司部下の報告・相談が欠けていると、本来求めている価値を顧客に提供できなくなってしまいます。
これが常態化すると、やがて納期遅延、品質低下、ニーズの誤りなど、成果物にさまざまな悪影響を与えてしまいます。部署間のコミュニケーション不足は営業機会の損失や企業のイメージダウンにつながることもあります。
社内コミュニケーションを課題として明示するには?
社内コミュニケーションを課題として明示するためには、現状のコミュニケーションを整理することが重要です。
事業の戦略や働き方など、経営テーマから今のコミュニケーションのフィットギャップが明確にならない限り解決しません。
経営層が感じる現状の課題だけでは真の課題とはいえず、客観的な視点で考えなければなりません。コミュニケーションの課題を整理して可視化するとどのような問題があるのか見えてくるようになります。
しかしコミュニケーションの課題を認識していても、要因を整理して説明できる人はほとんどいません。表面の課題だけを見て解決に導いたとしても真の要因を解決したことにはならず、効果が生まれなかったり、再発してしまったりします。要因が見えておらず突き詰めていない場合は、いくら施策を打っても効果はありません。
多くの社内コミュニケーションの課題は認識と感情のズレにある
コミュニケーションの問題に対して、社員の感情と認識の間で正しく整合性が取れていなければ社内コミュニケーションの問題を解決する手段は効果を発揮しません。
問題を正しく認識し、整理していくことが大切です。社内コミュニケーションの課題は多くの場合「事象や行動」の背景にある「感情や文脈」です。この場合は「感情や文脈」の問題を捉えない限り課題解決はしません。
たとえば何か情報が伝わっていない事象は、主に以下の4つの問題が想定されます。
- 認知されていない
- 理解されていない
- 共感されていない
- 実践されていない
たとえば、情報が「認知されていない」状態は、そもそも情報が伝わっていない状態です。コミュニケーションをリーチしていない状態です。
コミュニケーションしている情報そのものが認識されていない場合は「知らないからできない、動けない」ということになります。
情報が「理解されていない」状態は、伝え方や表現方法、情報設計、もしくは相手と共通言語でコミュニケーションが取れていない状態です。わからない、理解していない状態となります。
「共感されていない」状態は心理的に拒否されていることが考えられます。「理解しているけれど、したくない」という状態です。人間関係が悪い者同士でコミュニケーションを取るときに起こりやすい状態です。行動だけ促しても効果は生まれません。まずは人間関係を構築することが重要になります。
「実践されていない」状態には、実践できない理由があるはずです。やりたいけどできないのか、自信がないのか、原因を丁寧に分析する必要があります。
また、大きな組織では「周囲に影響を与える」ことも重要です。
情報は伝わっているし、伝えたことが実践されていても、集団としての動きにはなり得ていない、波及できていない状態になることもあります。
このような状態が起きないように経営者や各部署のリーダーは、しっかりとコミュニケーションを取り、社員の意識を同じ方向に向ける必要があります。
社内コミュニケーションの課題を解決するには?
ここまで、社内コミュニケーションの課題とその原因について詳しく見てきました。では、これらの課題を解決するにはどのような方法があるでしょうか。
社内コミュニケーションの課題を解決するためには、さまざまな施策を行う必要があります。単発的なものではなく、風土改革や環境改善といった根本から解決に働きかけるような対策が必要です。コミュニケーションは指示型ではなく自発的に改善されていくべきであり、そのための環境構築をしていきましょう。
わたしたちが行った実態調査2024およびコンサルティングの知見から導き出された、現代の大企業が取り組むべき解決策の枠組みとして、「対話」「教育」「ツール活用」の三本柱戦略が有効です。これらをバランスよく推進することで、課題解決への最短ルートを描くことができます。
自社の社内コミュニケーション可視化する
社内コミュニケーションの課題を解決するためには、まず自社のコミュニケーションを可視化しましょう。
社内コミュニケーションは状態であり簡単に良し悪しを判断できるほど単純なものではありません。
「イノベーションが生まれやすい組織にするために社内コミュニケーションを活性化させたい」などのように、組織の達成する目的やビジョンが前提にあってはじめて優劣をつけることが可能になります。
一言で言うと、「人と組織がどのような状態になることが組織全体の目標を達成する上で最適なのか」ということを検討した上で、コミュニケーションをデザインしなければなりません。
上記の目的やビジョンを前提に現状の社員同士のコミュニケーションを整理、可視化すると、社内コミュニケーションの問題点が見えてきます。まずはこの問題点を洗い出すことが重要です。
可視化の手法として、ISO 30414(人的資本情報開示)の指標を活用することも有効です。「エンゲージメント」「定着率」「リーダーシップへの信頼度」などの国際基準をベンチマークとすることで、社内コミュニケーションへの投資対効果(ROI)を経営層や投資家に説明しやすくなります。
インターナルコミュニケーション設計し実装する
インターナルコミュニケーションとは、同一の組織内における広報活動のことです。「社内広報」や「インターナルコミュニケーション」「エンプロイーリレーション」とも呼ばれます。
インターナルコミュニケーションは、組織の価値観や文化に対する社員の知識・理解を深めることにつながります。会社のビジョンを外部に向けて主体的に発信することのできる社員を育成し、組織全体を良い方向へと導く取り組みとしてインターナルコミュニケーションが行われます。
社内コミュニケーションツールの導入(ツールの活用)
コミュニケーションツールにはテキストチャットやビデオ会議システム、社内SNS、グループウェアなどがあります。これらは社内でのコミュニケーション不足を解消するために多くの企業が導入しているツールです。ツールの導入で社内のコミュニケーション活性化を促すことができます。
ただし、わたしたちが行った調査では、デジタルツールの活用度に大きな「格差」があることが判明しています。単にツールを導入するだけでなく、「緊急時は電話、記録はチャット、感情共有は対面」といったツールの使い分けガイドラインを策定し、情報の「三重苦(ない・遅い・見つからない)」を解消する運用設計が不可欠です。
コミュニケーションの機会を作る(対話の場の創出)
社内でコミュニケーションの機会を作ることでコミュニケーション不足を解消できます。
社内報やサンクスカード、社内SNSなどメディアを通じたコミュニケーションの機会を作ることが大切です。メディアを通して情報を知り、お互いの活動を共有する場面を作ることができます。
一方通行の発信だけでなく、双方向の「対話(ダイアローグ)」の場を作ることが重要です。具体的には、経営層が現場の質問に直接答えるタウンホールミーティングや、1on1ミーティングの質的向上(業務管理から成長支援への転換)などが挙げられます。
社内イベントの開催
社内イベントの開催をすることでコミュニケーション不足を解消するきっかけを作ることができます。社員に非日常の体験を届けることで、企業ビジョンの浸透や部署間での交流が期待できます。また、通常業務では話すことがなかった人同士で会話することができ、お互いの個性や考え方を知る機会になります。

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社員のコミュニケーション能力の育成(教育)
日本では社会の中でコミュニケーションスキルを学ぶ機会が乏しいため、業務の遂行に必要な社員のコミュニケーションスキル育成は会社の中で計画を立てるしかありません。
組織におけるコミュニケーションの課題や、社員のコミュニケーション能力が低い要因はさまざまです。
そのため、他社の成功事例やビジネストレンドをそのまま自社に取り入れても成果につながらない場合があります。コミュニケーションのどのような問題が自社の課題につながっているのか、社員にはどのようなニーズがあるのかを把握した上で、どのようなコミュニケーション能力を育成したいのかをあらかじめ定義しておく必要があります。
また、コミュニケーションスタイルは時代によって変化しています。そのためマネジメント層が過去の成功体験をもとに社員のコミュニケーションスキル教育を行っても現代のコミュニケーションスタイルに合わない可能性があります。人材の多様化が進んでいる中、プランを立てているマネジメント層の思考が変化していかなければ、組織を変えることは難しいでしょう。
社員のコミュニケーション能力向上は一朝一夕に実現できるものではないこと、そして社員だけでなくマネジメント層に対しても現代のコミュニケーションスタイルに合わせたコミュニケーション研修を行う必要があることをぜひ押さえておいてください。
社内コミュニケーションの課題解決における成功事例
企業規模が大きくなるほど、コミュニケーションの課題解決には戦略的なアプローチが必要です。ここでは、実際に風土改革やコミュニケーション活性化に成功した大企業の事例をご紹介します。
三菱電機株式会社
三菱電機株式会社では、全社的な組織風土改革の取り組みの一つとして自分自身のパーパス「マイパーパス」を見つけるワークショップを開催しました。
プロジェクトグループが設置された生産システム本部に、会社からマイパーパス(自身のパーパス)を考える活動を各職場で展開するように依頼がありました。自分たちのやりたいことを言語化するためにも、各職場により適した形で取り組みを行えるようなワークショップを設計する運びとなりました。
まずは課長層の方が実際に体験し、各自職場に持ち帰って実施しました。継続的に行っていくためにも内製化の仕組みを重視し、また円滑な実施のため所長・部長クラスの方とも議論を重ね、あえてトップダウン気味に施策を展開しました。
「本当にやるの?」といった不安の声もありましたが、結果全ての職場で実施に至り反響は予想以上でした。自分自身を見つめ直すよいきっかけになったようです。
今回のプロジェクトを通して直接トップと素早いコミュニケーションが可能だということが実証できました。上層部も現場の考えていることを知りたがっています。そのため、お互い同じ視座で話すことで、Win-Winな形でコミュニケーションがとれるようになるのです。
三井不動産ビルマネジメント株式会社
三井不動産ビルマネジメント株式会社は、2016年からブランドビジョン「ビジネスシーンの明日を変えていく」を掲げ、総務部を中心に社内外に向けた浸透活動をはじめました。そして2023年6月、今後のブランドビジョン推進のさらなる取り組みとして1泊2日のチームビルディング合宿を開催しました。
オフィスを離れて観光地で滞在し、チーム全体で率直に意見を交換しました。2日目のグループワークでは会議室を飛び出し、グループごとに湖畔を散策しながら意見交換を行うなど非日常的で印象的な経験でした。入社1年目のメンバーは、先輩たちが本音で語っている様子を見て、異なる角度から意見を出し納得させるといった場面があり、本人の自身にもつながったことでしょう。
合宿が終わってからの若手メンバーは自ら意見を出し、自分が主体となって仕事を進める場面が増えました。合宿によって心理的安全性が確保されたようです。
ブランドビジョン推進の取り組みを進めるうえで共通の価値基盤、共通言語を作り、今はそれを使ってチーム内の足場を固めていっています。
ウシオ電機株式会社
ウシオ電機株式会社では、経営(ESG)浸透ツールの制作にあたり、以前から発行しているウシオ電機が発行するグローバル社内報「Ushio Power」の制作、ウシオ電機社内にのみ配布している「Ushio Power 単体版」の再創刊、web社内報のリニューアルを進めました。また、今後の施策に生かせるようweb社内報のリニューアル後にログ解析を行う方向で動いています。
社員に対して発信する社内報は、どういう反応が来るかわからない難しさがあります。とくに会ったことのない海外グループ社員に対してはどうつながりを持つのか、そういった部分に焦点を当てていくことも大切です。お客様はもちろん、社員も大事にしていく流れが生まれていてインターナルコミュニケーションを会社でも重視するようになってきました。人と人とのつながりを社内報でもちゃんと表現していくことの重要性を実感しました。
三井不動産株式会社
三井不動産による新規事業創出支援の一環として三井不動産株式会社のビジネスイノベーション推進部は、企業風土の改革を目指し、情報ポータルサイト「WARP PORTAL」を立ち上げました。かつて同社では体育会系の文化が強く、創造性やクリエイティビティを十分に発揮しにくい状況でしたが、ここで新たな取り組みが行われました。
「WARP PORTAL」は社内の新規事業事例を紹介し、様々な起業家に取材を行い、記事を掲載することで企業文化の刷新に貢献しています。この取り組みにより挑戦する気持ちを持つ人々を支援し、新たな風を吹き込む文化が育まれています。
社内報など会社がオフィシャルに発信する情報と比べると「WARP PORTAL」は少しエッジが効いていて、ぶっちゃけトークや「あるある」話ができるような、そんな場にしていくための雰囲気づくりを目指しています。
鳥居薬品株式会社
鳥居薬品株式会社は2019年、事業環境の激変に直面して大規模な事業構造改革を実施しました。構造改革後の少ない人員で事業を継続・発展させていくためには、個人のパフォーマンスを向上させることで会社全体のパフォーマンスと成果につながっていくと想定し、社員が力を発揮できる環境づくり、風土づくりをスタートさせました。
新たな風土を醸成するにあたって事務局で課題をまとめたり、社員が大切にする価値観「TORII’s POLICY」を策定したりと、浸透に向けてさまざまな施策を行ってきました。また、価値観策定のために行った合宿でのディスカッションでは、事業構造改革に対する参加者の思いで、白熱した議論が繰り広げられました。
社員で大切にしたい価値観「TORII’s POLICY」の策定と同時に、経営陣で膝突き合わせた議論を行い「鳥居薬品の志」という企業理念も策定しました。現状、何か問題があったときには「TORII’s POLICY」に立ち戻り、状況をよくするために実践して企業理念の実現を目指そうとしています。
まとめ
社内コミュニケーションの課題を解決するためにはコミュニケーションが問題になった原因を正しく理解することが大切です。組織のコミュニケーションに課題があると感じている企業は、課題の要因分析をして整理し、可視化するところから始めましょう。
コミュニケーションの課題が可視化されれば、取るべき対策も明確に見えてきます。コミュニケーションは単発的な改善ではなく継続的な取り組みによって好循環を生み出していきましょう。














