情報過多の職場で社員にメッセージを届けるには?   【世界のInternal Communicationから~Vol3. 課題編~】


【この記事のポイント】
・企業が社員に発信する情報の量が多く、本当に必要な人に情報が届いていない
・人が注意を持続できる時間は8.5秒。「短い時間」でいかに伝えるかが重要
・社員との「接点の数」を増やすことも、伝わる仕組みづくりに有効


 

企業が社員に向けて発信する情報が、受け手のキャパシティーを超えている

ここ最近、企業ではMicrosoft 365(旧 Office365)®のSharePoint®OnlineやGoogleApps™などを利用した社内情報基盤の導入や共通化が進んでいる。そのせいか、お客さまから社内ポータルサイトの再設計について相談を多くいただくようになった。こうしたプロジェクトにおいて、いつも課題になるのが社内ポータルサイトの一番良い場所、ファーストビューに何を配置するのか、ということ。すなわち、社員に何を優先的に伝えるのかが問題になる。事業部門、管理部門、広報部門などさまざまな部門が社員に伝えたいことを優先的に配置しようとする。しかしポータルの敷地はだれの持ち物で、誰が采配をするのかが決まっていないことが多く、この意思決定に手間取る。いずれにしても、社員に伝えるべき情報はさまざまな部門が持つことで複雑化し、さらに増え続けている。社員にとって処理しきれないほどの情報量になっていることは明らかである。

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これは海外でも同じような状況なのだろうか?
インターナルコミュニケーション(IC)のゴール・目的について調査した結果があるので見てみよう。アイルランド、ロンドン、ボストンに拠点を置くインターナルコミュニケーション専門のソフトウェア会社であるNewsweaver社の調査(対象:96か国の、400社以上の主要企業)では、「ICにおける難題」について以下のような結果が出ている。

<ICにおける難題とは? 調査結果>
コミュニケーションの量…64%
会社の方針への従業員の納得の度合い(buy-in)の増加…54%
従業員のエンゲージメント…48%
情報の一貫性…43%
コミュニケーションチャネルの数…40%
コミュニケーションの質…40%
コミュニケーションスキルのレベル…37%
上長への信頼…30%
コミュニケーションチャネルの種類…29%
インターナルとエクスターナルのコミュニケーションの協力・協働…10%

<分析/見解>
情報の氾濫が問題視されている。
情報が多すぎることで、自分に関係していないと判断されたものは未読のままになってしまい、本当に必要な人に情報が届いていない場合がある。
(Newsweaver WhitePaper “Delivering Effective Internal Communications” 2016)

情報過多の状況は海外でも変わらないようだ。

社員接点をフルに生かし、短時間の積み重ねで「伝わる」仕組みをデザイン

また一方で、ここ最近の調査では、人が注意を持続できる時間(Attention Span)は8.5秒、人の集中力・記憶力が発揮されるのは90秒ともいわれている。情報を閲覧してもらう時間をどのように確保するか、いかに短い時間でコミュニケーションできるか、「時間」というのが課題になりそうだ。

時間という観点では、企業内研修の世界でもマイクロラーニングという言葉が注目されている。ざっくりいうと、一つ一つの学習コンテンツを短くし、受講者が学びやすくする。また、学んだことをすぐに実践してPDCAをまわしながら学んだことの定着を促していくという、新しいスタイルの学習方法のこと。研修においても、受講者の状況や働く環境の変化に合わせて、従来のやり方を変えようとしている。

ICの活動においても、受信側がすでにキャパシティオーバーのとき、発信側はこれまでのやり方に固執せず、伝える活動から伝わる仕組みへと活動を変革していく必要があるのではないだろうか。冒頭で紹介した社内ポータルサイトの件でいえば、経営戦略や課題に基づいて、ICを担当する部門がその情報を持っている各部門を調整し、どのように伝えていくのか、伝わっていくのかについてストーリーを構築。その上で伝えるべき情報の優先順位を決定していくのだ。優先順位決定の判断基準には、「業務効率化を目指す」「戦略や方針の理解徹底を目指す」など業務と戦略双方の視点があり、企業によって異なる。とはいえ、ITの活用目的として従来からある「業務効率化」だけでなく、「付加価値の創出」に力点を置く企業が増えており、社内ポータルサイトもどちらかというと戦略視点で設計することが多くなっている。

また、受け手の時間が限られる中、従来型のメディアの運営だけでなく、さまざまな社員接点を生かして必要な情報が伝わっている状態にしていくことが喫緊の課題となっている。上司とのコミュニケーション、部門の朝礼、面談、業務システム、イベント、研修、社員食堂、デジタルサイネージなどの会社生活におけるコミュニケーションプロセスに伝えたい情報を組み込むことで、結果として伝わっているという仕組みに切り替えていくことが求められている。そのためには、ICを担当する部門が、コミュニケーションの目的を明確にし、その達成に向けて他の部門と連携していくことが、今後ますます重要になっていくだろう。

(原稿:廣田拓也、資料翻訳:大櫛直人)

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株式会社ソフィア

代表取締役社長/チーフコミュニケーションオフィサー

廣田 拓也

異なる世界にある共通項を見つけて分断をつなぐことが得意です。最近ではソフィアがこれまで培ってきたノウハウやテクノロジーを活用し、地域の教育分野に力を注いでいます。思考回路はと判断基準は、それが面白いかどうか。そして指示命令は、するのも、されるのも嫌いです。だけど、応援を要請されたら馬車馬のように動きます。

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営業・事業開発として、マーケティング活動による市場調査およびリードの獲得、新規・既存問わず顧客との面談・調査と情報提供・ヒアリング・課題整理・提案など、プロジェクト開始までの窓口業務を担当しています。

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