部下育成のための1on1で話すテーマ|目的別に徹底解説【例付】
最終更新日:2026.04.22
目次
1on1ミーティングは上司と部下が1対1で行う対話で、従業員との信頼関係構築や成長支援に効果的とされています[1]。弊社ソフィアの調査によれば、多くの大企業(従業員1,000人以上)で1on1が導入され、その多くで「部下の成長支援」や「信頼関係構築」を目的に実施されています(弊社調査)[追加]。しかし「何を話せばいいか分からない」「雑談で終わってしまう」といった課題も少なくありません。そこで本記事では、1on1で話すべき内容や目的別のテーマ例、対話を深めるポイントを解説します。
・1on1の主な目的は部下の成長支援と信頼関係の構築であり、実施企業の6〜7割がこれらを重視しています。
・具体的なテーマ例として、体調確認・雑談、業務上の悩みや課題、目標設定・評価共有 、キャリア支援、組織方針の理解など、多岐にわたるものが推奨されています。
・1on1を有意義にするには、上司の自己開示や傾聴重視、部下の話を即解決せずヒントを与えるなど、対話の質を高める工夫が重要です。
1on1の目的
意義のある1on1を実現するには、目的を明確にすることが重要です。実施の目的は組織や職場によってさまざまですが、ここでは代表的な目的例をご紹介します。目的をベースにテーマを決めることで、1on1はより実りあるものになるでしょう。
実際、TeamSpirit調査でも大企業における1on1の目的は「部下との信頼関係構築」(67.6%)が最多となっており、部下のモチベーション向上(55.6%)や目標設定(50.9%)も重要視されています。
またパソナの記事でも、1on1の目的は「部下の成長をサポートする」「部下と信頼関係を作る」の2つと位置づけられています。上司がこれらの目的を常に念頭に置いて対話に臨むことで、チーム全体の結束や生産性向上にもつながると言えるでしょう。
企業理念・パーパスの浸透
1on1は個々の従業員と直接対話する機会です。その場で経営理念やパーパス経営について話し合うことで、従業員が自らの行動を組織の理念と結びつけやすくなります。リーダーが従業員とのコミュニケーションの中で会社の理念を共有することは、社員の帰属意識を高めることにつながります。実際、TeamSpirit調査では36.1%が「会社や事業に対する方針・戦略の理解促進」を目的に1on1を実施していると回答しており、経営理念や方針を語ることの重要性が裏付けられています。
上司と部下のコミュニケーションコストの低減
1on1ではお互いがじっくり向き合い、率直なコミュニケーションを取ることができます。日常の業務連絡とは異なり、時間をかけて相手の声に耳を傾けることで、心の壁を取り払った対話が生まれやすくなります。これにより、コミュニケーション不足が原因の非効率や誤解を防ぐことが期待できます。たとえば、TeamSpirit調査では、調査を受けた多くの大企業が1on1の実施によって「上司と部下の間でのコミュニケーションの回数が増えた」と回答しています。
さらに、上司が部下の業務で抱えている課題を把握し、対話を通して一緒に解決方法を考えることも可能です。また、部下からの悩みや不満などを知ることで、適切な人材マネジメントのヒントも得られるでしょう。
部下が現状どのような精神状態であるか、どのようなキャリアプランを考えているのか、プライベートでの悩みも含め、部下本人の話したい話題や悩みを引き出せるよう、上司側が努めて促す必要があります。
部下の成長サポート
部下は、業務での成功や失敗を上司に話し、一緒に考えることを通して、問題解決や業務改善などについて強く意識するようになります。上司は部下の話すことに傾聴し、部下の能力を引き出すためのフィードバックを行い、部下の成長をサポートすることに注力します。
1on1の最も重要な目的は、部下の成長を中長期的な視点で支援することです。日々の業務で部下が直面している課題や悩みを聞き取り、解決のヒントやアドバイスを与えることで、部下自身が考えて行動できるよう導きます。上司が一方的に答えを与えるのではなく、対話を通じて気づきを促すことが育成のポイントです。実際、TeamSpirit調査では「部下のモチベーション向上」(55.6%)や「目標設定」(50.9%)が1on1の目的として挙げられており、キャリア支援(33.3%)や健康チェック(32.4%)も一定の割合で重視されています。部下のやる気や能力開発を意識した対話を行うことが、成長支援には欠かせないと言えるでしょう。
新規事業の適任者の発掘
新規事業のアイディアなどは、そもそも1on1の種目的ではないのですが、副次的な効果として最近注目されています。1on1を実施することにより細やかな人事情報が共有され、非常に珍しいタレントが発掘できることがあります。
また、上司が部下のスキルや経験、また希望する業務やモチベーションなどを把握しておけば、最適な仕事を部下に割り当てられます。特に新規事業を立ち上げる際などには、適材適所の人材配置をスムーズに行える可能性が高まります。新規事業は究極的に言えば、計画やアイディアも重要ですが、何をやるかということよりも誰とやるかが重要です。
社内では上限関係だけではなく、普段からのコミュニケーションや部下の目線に立った会話を心がけることで、社員にとって居心地の良い職場環境となり、会社へのエンゲージメントが上がることで離職防止等の効果も期待できます。
従業員や社内の状況を把握する

社員個人や社内の状況を把握することは、上司が適切な人事評価をする上で重要な要素です。結果だけでなく過程も含めた評価ならば、部下も納得して受け入れやすいでしょう。部下が評価への不服から急に退職するのを防ぐ効果も期待できます。
上司はこれらの目的を部下に伝えた上で、あくまでも「部下について知る・興味を持つ」という姿勢で1on1を実施します。ミーティングでは現況を確認し、上司が把握していることと部下本人の認識に大きな相違はないかをチェックしましょう。このとき、「困っていることがないか?」と聞いてみることから始めると、部下も話しやすくなるはずです。
1on1で話すテーマ例
効果的な1on1にするには、事前に扱うテーマを整理しておくことが重要です。ここでは、実際の調査や専門記事で推奨されているテーマ例をご紹介します。
雑談/プライベートの相互理解:リラックスした雰囲気をつくるため、休日の過ごし方や趣味などの雑談を取り入れます。
心身の健康チェック:体調やメンタルの状態を確認し、部下の状況に配慮します。
モチベーション確認:仕事へのやりがいや現在の意欲、エンゲージメント状態を把握し、動機づけを支援します。
業務上の悩み・課題:現状の仕事で困っていることや改善したい点を共有し、上司が伴走して問題解決のヒントを提供します。
目標設定・評価共有:今後の目標や過去の成果を振り返り、評価基準や期待を共有します。
キャリア支援・能力開発:将来のキャリアビジョンや身につけたいスキルについて話し合い、上司が支援策を考えます。
戦略・方針の伝達:会社や部門のビジョン・戦略と、部下の業務との関連性を説明します。
これらのテーマを意識して1on1を進めることで、部下の意欲向上や組織全体の活性化につながるでしょう。
1on1で話す際に意識すべきポイント
1on1ミーティングで話すべきテーマがわかったからといって、それをただ話題として提示するだけでは対話にならない場合があります。ここでは、テーマ別に話す際のポイントを解説します。
自己開示の実践
相互理解を進める上でポイントになるのが、自己開示を行うことです。一方的に聞いているうちは、部下は本音で話してくれない場合があります。自分の話も交えて話すことで、緊張感を解き、部下から積極的に話ができるような場を作りましょう。ただ、プライベートのことを聞かれるのを嫌がる従業員もいるので無理やり聞くようなことはないように注意が必要です。
上司と部下のコミュニケーションは、「組織に所属している個人」という側面と「一人の人間としての個人」という側面の相克が主因であるといっても過言ではないと考えられます。上司と部下のコミュニケーションは、企業視点やビジネス的側面などの組織関連要素と、個人の感情や考え方など人間的側面が複雑に交錯しています。そのような多面性を持つため、時には現実世界との矛盾から、「表裏一体」「気を使うこと」「本音と建前」といった合理的な側面と情緒的な側面とのバランスを保つための二層構造が生じます。
重要なのは、どちらかが正しいということではなく、この二重構造の中で揺れ動いていることを認識することが肝要です。
部下の話を解決しようとしない
部下の育成を1on1で行うにあたってポイントになるのが、対話によってヒントを与えることです。上司が部下の課題に対して解決策としていきなり答えを与えることもできますが、それでは部下は成長しません。それどころか上司に聞けば答えが返ってくるものと思い、自分で考える力を失ってしまう可能性すらあります。直接的に答えを与えるのではなく、話の背景を理解することに努めたうえでヒントを伝え、自分で考えるきっかけを作ることで部下の育成を図りましょう。
また、家庭の事情など、そもそも解決が難しい問題もあります。その場合は耳を傾け、話を聴くだけで考えが整理されたり、気持ちが楽になったりすることもあります。それだけで十分に役割を果たしていると言えるでしょう。
チームでの役割を意識させる
チーム力を上げるために重要なのが、チームにおける役割を意識してもらうことです。チームにどのような形で貢献すればいいのか、どのような役割を求められているのかを意識することで、能動的な行動を促すことができます。特に、その時チームが抱えている課題に対しての関わり方を伝えられるとよいでしょう。
部下の業務との関係性を伝える
経営戦略や組織戦略を伝えるときにポイントになるのが、部下の業務との関係性を併せて伝えるということです。自分自身の業務がどのように会社の経営に関わっているかを知ることで、モチベーションやエンゲージメントの向上を期待できます。1on1での対話を通じて、経営戦略を自分事化することが大切です。
部下の体調・健康面の確認
1on1では業務以外に部下の健康面にも気を配ることが大切です。TeamSpirit調査では約32%の人が「健康チェック」を1on1の目的に挙げています。普段聞きにくい体調やワークライフバランスについても、積極的に確認してみましょう。
チームでの役割の意識づけ
部下がチームにどのように貢献しているか、どのような役割が期待されているかを話題にすることも効果的です。自分の役割を理解することで部下の自律性が高まり、チーム力向上につながります。
業務と会社戦略の関連づけ
会社の経営戦略や組織方針を伝える際は、部下の仕事との関連性も示すようにしましょう。自分の業務が会社の目標にどう貢献しているかを知ることで、部下のモチベーションやエンゲージメントが高まります。
まとめ
ここまで1on1の目的、テーマ例、実践のポイントを解説してきました。まとめると、以下の3点が重要です。
1on1ミーティングは部下の成長支援と信頼関係構築が目的であり、目的を共有することで会話の軸が定まります。
話すテーマ例として、雑談・健康チェック・業務上の悩み・目標設定・キャリア・組織戦略などがあり、段階や状況に応じて使い分けることが大切です。
1on1を有意義にするには、上司が自己開示する、傾聴重視で部下の話す時間を増やす、対話後に具体的なアクションを決めるなどの工夫が必要です。
一言でいえば、1on1は「部下のための時間」です。ソフィアの調査でも多くの大企業が1on1を導入し、高い満足度を得ています。1on1を通じて部下の成長を促し、組織の活性化につなげていきましょう。


