SDGs×コミュニケーションで人と組織を元気にしたい ソフィアサーキュラーデザイン 平林泰直インタビュー

#サステナブル#SDGs#コミュニケーション#ビジョン浸透

12.Oct.2020

「SDGsを企業経営に取り込みたい」「けれど何から手をつけてよいのかわからない」――そうした企業のために、SDGsを通じた企業のブランディング支援をはじめ、SDGsを切り口とした経営・事業支援を手がける株式会社ソフィアサーキュラーデザイン(以下、ソフィアCD)。株式会社ソフィアの関連会社として2020年2月に設立。SDGsを文脈にしたサステナブル経営の「戦略づくり」を行っています。
今回は、ソフィアCDのサステナブルブランドファシリテーターであり代表取締役社長の平林泰直にインタビュー。変革スピードの速い現代社会において企業が目指すべき方向性は? また中長期的な視野で考えたとき、SDGs経営が企業に与える影響は? 詳しく聞きました。

株式会社ソフィアサーキュラーデザイン サステナブルブランドファシリテーター/代表取締役社長 平林泰直

株式会社ソフィアサーキュラーデザイン サステナブルブランドファシリテーター/代表取締役社長 平林泰直

環境問題から事業の中核に――「SDGs経営」こそ企業にとってのブレイクスルー

–ソフィアCDではSDGsを通じた企業のブランディング支援をはじめ、さまざまな事業の支援を行っていますが、そもそもこの業界で起業しようと思ったのはなぜでしょうか。

私は以前、大手精密機器メーカーのコミュニケーション部門に在籍し、デジタルマーケティングやウエブ分野の責任者を務めていました。そのなかで、日本の製造業界はこの数十年、ほとんど考え方が変わっておらず、成長していないと感じるシーンが多々ありました。右肩上がりの経済成長が終わった社会で、組織と個々人がたえず成長を続けるためには、社員の主体性を育むコミュニケーションが重要な要素になると考えていました。その後ご縁があって、とあるデザインファームにCOOとして転職。全編SDGsを特集して話題になった女性誌「FRaU SDGs 世界を変える、はじめかた」の企画に携わるなど、SDGsに関わる機会をいただきました。特に「FRaU」の反響は非常に大きく、SDGsによって社会が動いていく感触を得て、「これからの時代、SDGsは日本の企業にとってブレクスルーのきっかけになるのではないか」と思い、起業しました。

–2020年2月、ソフィアCDを起業されましたが、創業の理念に込めた思いについて教えてください。

国連は「持続可能な開発目標」としてSDGsを社会課題と定めており、多くの企業や自治体、団体にとってこの取り組みを戦略へ盛り込むことがテーマとなっています。しかしその一方、企業はどのように自社の事業としてSDGsを取り組んだらよいかわからず、また従業員もSDGsを“自分ごと”として捉えることが難しい、という問題に直面しています。つまり、企業がSDGsを事業として展開するには、自社内で認識を統一し、ひとつの方向へ向けて一丸となって進める共感の仕組みづくりを整えることが必要なのです。
そこで私たちは、当社の関連会社でありインターナルブランディング、インターナルコミュニケーションを専門とする株式会社ソフィアと連携しながら独自に事業を展開。まずは企業の最前線で働く人たちが、自分の関わる仕事や業務を通して社会課題を解決し、社会に貢献しているという実感を得ることを目標とします。社員が個人として持つ価値観と、企業が事業を通して世の中に提供する価値がより近づくことで、組織に対する社員の愛着が高まり、組織のパフォーマンスが向上し、社会にインパクトを与えながら企業としてさらなる成長につながっていくという、循環した(=Circular サーキュラー)サービスの展開を目指しています。

–社名にも含まれていますが、ソフィアCDでは、なぜ「循環(Circular サーキュラー)」を大切にしているのでしょうか。

私たちが考える「循環(サーキュラー)」には3つの意味合いがあり、それらの実現を当社のミッションとして掲げています。
一つ目は、「Circular Economy」。これは限られた資源を繰り返し利用する経済のあり方で、「調達、生産、消費、廃棄」といった従来の流れではなく、「リサイクル、再利用、再生産、省資源の製品開発、シェアリング」などを通じた資源循環の実現を目指します。すでに欧州では大きなトレンドにもなっており、今後は日本でも企業の施策として重要になってくることは間違いありません。
二つ目は、「Circular Thinking」。一般的に日本企業は課題解決力に優れ、「目の前にある課題から自分のあるべき姿を考える」という思考で企業経営を推進します。ところが一方では「バックキャスティング」といって、「ありたい姿やあるべき姿から今やるべきことを考える」という真逆の思考法が役立つシーンもあります。私たちはこれら2つの思考法を掛け合わせ、いわば「循環型思考」を定着させることで、企業変革にブレイクスルーを起こします。
三つ目は、「Circular Well-Being」。持続可能で、真の意味で幸福な社会をつくるには一人ひとりが自律的に生き、自己実現をすることが必要です。そのためには人それぞれが、お互いに想いをキャッチボールし、お互いを認め合い、尊重する「想いの循環」が大切です。これらを通して、人と組織がますます元気になる社会づくりを目指します。

SDGs経営を実現するには、社内コミュニケーションの変革から

–これまでのご経験を踏まえ、ご自身だからこそ実現できることを教えてください。

大手精密機械メーカーのコミュニケーション部門に在籍していた当時、私はデジタルマーケティングを担当していました。当時はまだ1990年代後半であり、Webサイトの黎明期。マーケティングといってもデジタル上のものではなく、テレビや雑誌など従来のマスメディアを対象にしたものが一般的でした。
そうしたなかで、先駆的にデジタルマーケティングを推進してきた経験は、今、非常に役立っていると感じます。現在、日本は政府主導のもと「ソサエティ5.0」の実現を目指しています。これは、IoTやAIなど最新テクノロジーを活用し、少子高齢化や地域格差、貧富の差などの社会課題を解決して、一人ひとりが快適に暮らせる社会の実現を目指そうというものです。すでに官民一体となって、さまざまなプロジェクトが始動しています。
こうした状況下、SDGsは社会で少しずつ普及しているものの、多くの企業では単なる理想や理念として掲げられるにとどまっていて、事業にまで落とし込まれているケースはそう多くありません。なぜかといえば、「社会課題」という言葉を聞くだけで、多くの従業員は「自分とは縁遠いテーマだ」「利益にならない」と感じてしまうからです。

–それが、企業がSDGsを導入するうえでの大きな障害になっているのですね。

そうです。企業内でのこうした「溝」を埋めるために、まず大切なことは経営者のイニシアティブです。SDGsを推進しようと考えている経営者の方に最初にお願いしたいのは、短期的な経済的指標の追求だけでなく、社会課題や社員、そしてその家族の幸せとは何かを本気で考えほしい、ということです。その上で、「SDGsに取り組む」という旗を立て、経営が自らの言葉でその理由や背景、取り組みへの想いを社員へ伝えることです。
次に大切なことは社内の密なコミュニケーションです。つまり、SDGsを浸透させるためには全社統一のトップダウン方式ではなく、従業員が自律的にSDGsを具現化していけるように、インターナルコミュニケーションが重要なのです。
インターナルコミュニケーションの重要性については、かつて私が大手精密機器メーカーでデジタルマーケティングに関わっていた時代にも非常に実感しており、これを円滑に行わなければ、企業は新たな一歩を踏み出すことができないと考えています。そのために必要なのは、企業トップと従業員の間にある意識のギャップを埋めるための「つなぎ役」。私たちは、あくまでも中立的な視点を保ち、事業部門の自律的なSDGsの推進をサポートしながら、同時に、従業員に対しては企業理念への共感を促し、従業員の意識や感情をふまえたサービスをデザインしていかなければいけないと思っています。

–SDGsへの取り組みがうまく進まない企業は、まず、どのような一歩を踏み出すべきでしょうか。

はじめは、とても小さなことでよいのです。たとえばSDGsに関するワークショップやセミナーに参加するのでもいいでしょうし、SDGsに関連した映画や動画を鑑賞することでもかまいません。
また、企業がSDGsを事業に取り込むのに役立つものとして「SDGコンパス」があります。これはいわば「企業向けの導入手引書」で、2016年3月、国際的なNGOのGRI、国連グローバル・コンパクト、国際企業で構成される組織wbcsdの3者が作成しました。「SDGsを理解する」という第一ステップから始まり、「優先課題を決定する」「目標を設定する」「経営へ統合する」「報告とコミュニケーションを行う」という、5つのステップに分類されています。まずは今、自社がどのステップにあるのか状況を見極め、それぞれに必要な取り組みをはじめるとよいでしょう。企業によっては第一ステップから始める必要があるかもしれないし、また別の企業は一足飛びに第二ステップや第三ステップからスタートしてもよいかもしれません。
いずれにしても大事なのは、企業の経営陣と従業員の間の「溝」をつくらないように、リーダーシップを発揮しながら企業全体への浸透と定着を図ること。実効性を発揮するためには、リーダーの声掛けと現場への浸透の両方が重要です。現場の従業員がSDGsを「自分ごと」として意識するには相当な距離があることを前提に、外部セミナーや社内勉強会など、あらためて学習する機会を設けるとよいでしょう。

–ソフィアCDは企業をどのようにサポートし、現状をどのように変えていくことができるのでしょうか。悩める経営者や担当者へのメッセージをお願いします。

変革のスピードが速いこの時代、企業が生き残るために必要なこととしてさまざまなことが指摘されています。そのなかで今、私が注目しているのが「レジリエンス」というキーワードです。
これは、日本語訳をすると「弾力」や「復元力」、「回復力」を意味する言葉。もとは心理学・精神医学の領域の概念で、「精神的回復力」や「復元力」という意味で用いられることが多かったのですが、近年では企業の組織行動論や経営学でも用いられるようになっており、「経済危機などのリスクに対応しつつ、それをきっかけとして、組織がより創造的に、あるいは強固になり、最終的には成長につなげていく力」という意味合いで語られています。
この考え方は、SDGsのみならず企業経営を考える際にもたいへん重要であり、ピーター・D・ピーダーセンは著書『レジリエント・カンパニー』のなかで、「レジリエンスの高い企業には、『企業としての拠り所(アンカリング)がある』『自己変革力がある』『社会性がある』という3つの特徴がある」と述べています。これらを行動に反映できる企業は、従業員のモチベーションが高まり、顧客を惹きつける魅力が生まれ、事業環境の変化を見越して自主的に変わり続ける能力を身につけ、社会の大きな方向性に対して自社の戦略と行動のべクトルを合わせることに長けているのです。

–そのため、長期的に成長を続けることができるのですね。

そうです。これはSDGs経営を考えるうえでも非常に重要であり、とりわけ、3つ目の特徴である「社会性」を示すのにSDGsは非常にわかりやすいテーマです。
SDGsは単独で対応できるものではありません。国、研究機関、産業、地域、市民などが協働し、実現しなければならない。みんなでソーシャルインパクトを起こしながら、持続可能な社会へ進めていく。そうしたなかで、企業は社会問題をマーケティングで解決したり、イノベーションによって新たな技術や仕組みを確立したりしながら、新規市場を開拓し、事業機会を創出する。その結果、事業の持続的成長が確保され、企業価値が向上していくのです。
私たちは、そうしたSDGs経営に取り組む企業に伴走し、サステナブルな環境・社会・経済・パートナーシップの実現をサポートします。ぜひ、SDGsを経営に生かすことでお困りの方は、お気軽にご相談いただきたいですね。
ぜひ一緒に、豊かな社会を作っていきましょう。

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