【2025年版】社内コミュニケーションがうまくいかない根本原因と解決策|大企業の課題を徹底解説
目次
コロナ禍を経てテレワークやハイブリッドワークが浸透した現在、以前にも増して「社内コミュニケーションがうまくいかない」という悩みが企業内で深刻な問題となっています。顔を合わせる機会が減ったことによる物理的な距離だけでなく、心の距離までもが離れてしまい、組織の一体感が損なわれていると感じる担当者様も多いのではないでしょうか。
部門間や事業所間での根強い縦割り意識、経営層と社員の少ない対面機会、コミュニケーションを取る場所やきっかけの不足など、さまざまな要因が原因として挙げられます。先を見通すことが難しくなった現代のようなビジネス環境のなかで、この社内コミュニケーション不足による問題や課題を認識している方も多いのではないでしょうか。
特に従業員数1,000名を超える大企業においては、組織の肥大化に伴う情報の分断(サイロ化)が顕著であり、DX推進部門や広報・人事部門の担当者は、ツールの導入だけでは解決できない「人の意識」や「組織風土」の壁に直面しています。
この記事では、社内コミュニケーション不足の原因となる課題を徹底究明し、その改善策としてどのようなアプローチがあるのかについて解説します。部門間の連携強化や経営層とのコミュニケーション活性化、テレワーク社員とのコミュニケーション改善など、具体的な対策にも焦点を当てながら、社内コミュニケーション改善の重要性について一緒に考えていきましょう。
さらに、弊社ソフィアが実施した「インターナルコミュニケーション実態調査2024」の最新データを交え、なぜ多くの企業で施策が形骸化してしまうのか、その真因と打開策をご紹介します。
社内コミュニケーション不足による影響とその原因
深刻化する組織の分断とパフォーマンス低下
冒頭に述べた通り、社内コミュニケーションの不足は、現代のビジネスにおいて深刻な問題です。部門間や他部署での連携がスムーズに取れず、従業員のモチベーションが低下し、精神的なストレスが増加することで、組織全体のパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。
従来の日本企業に見られた「阿吽の呼吸」や「空気を読む」文化は、人材の多様化や働き方の変化によって機能しなくなっています。特に大企業では、組織の階層構造が複雑であるため、現場の課題が経営層に届かず、逆に経営層の意図が現場に正しく伝わらないという「情報の動脈硬化」が起きやすい状態にあります。
社内コミュニケーション不足の原因となりやすい組織の特徴についての理解を深め、情報共有ツールやビジネスチャット、Web会議システムなどの活用による社内コミュニケーション改善の施策についても探求していきましょう。
弊社ソフィアの調査に見る「情報の三重苦」の実態
ここで、社内コミュニケーションの現状をデータから紐解いてみましょう。同調査(インターナルコミュニケーション実態調査2024)では、企業のDXやデジタル化が進む一方で、コミュニケーションの実質的な質において深刻なギャップが生じていることが明らかになりました。
調査結果によると、現場の従業員は情報共有に関して以下の「情報の三重苦」を感じていることが判明しました。
情報がない(Non-existent) 必要な情報がそもそも発信されていない、あるいは共有されていない状況です。業務遂行に必要な判断材料が不足し、意思決定の遅延やミスを招きます。
情報が遅い(Slow) 意思決定や現場への伝達に時間がかかり、情報の鮮度が失われている状況です。競合他社に対する競争優位性の喪失、顧客対応の遅れによるクレーム発生につながります。
情報が見つからない(Can’t find) 情報量は多いが整理されておらず、必要な時にアクセスできない状況です。情報検索に膨大な時間を費やす「時間の空費」、業務効率の著しい低下を招きます。
この「三重苦」は、単なる業務効率の低下だけでなく、従業員の会社に対する信頼感(エンゲージメント)を著しく損なう要因となっています。「会社は何を考えているのか分からない」「必要な情報が降りてこない」という不信感は、やがて「ここにいても成長できない」という諦めに変わり、優秀な人材の離職(リテンションリスク)へと繋がっていくのです。
導入率と活用率の乖離:デジタルツールは万能薬ではない
同調査では、ビジネスチャットなどのデジタルツールの導入率は76%に達しており、インフラ面での整備は着実に進んでいることがわかります。しかしその一方で、従業員が経営戦略やビジョンに対して「共感している」と回答した割合はわずか1割(10%)に留まっています。
平たく言うと、ツールという「ハードウェア」は整っても、そこで交わされるメッセージや対話という「ソフトウェア(コンテンツ)」が従業員の心に届いていないということです。ツールを導入しただけで「コミュニケーションが改善した」と錯覚することは危険です。ツールはあくまで手段であり、それをどう活用し、どのような文化を醸成するかが問われているのではないでしょうか。
経営層と社員のコミュニケーション不足
経営層の意図が現場に伝わらない「伝言ゲーム」の弊害
組織内でのコミュニケーション不足は、経営層と社員の間のコミュニケーションにも影響を与えます。経営層と社員のコミュニケーション不足は、企業の業務に大きな障害をもたらす可能性があります。
大企業において、経営層のメッセージが現場の社員に届くまでに、本部長、部長、課長、係長といった多くの中間管理職を経由します。この過程で情報は取捨選択され、時には歪曲され、経営層の本来の「熱量」や「ニュアンス」が失われてしまう、いわゆる「伝言ゲーム」の弊害が発生します。
経営層と社員のコミュニケーション不足が起こる主な要因の一つは、情報の伝達や意思決定のプロセスにおける不透明さです。経営層が社員に対して必要な情報や方針を適切に伝えず、社員が業務を遂行する上で不明瞭な点や混乱が生じることがあります。逆に言えば、社員が経営層に対して意見や提案を適切に伝えられない状況もコミュニケーション不足の一因となるのです。
戦略共感度10%の衝撃:なぜメッセージは届かないのか
同調査で明らかになった「戦略共感度10%」という数字は、多くの経営者にとって衝撃的な事実かもしれません。なぜ、これほどまでに経営の想いは現場に届かないのでしょうか。
その背景には、「論理(Logic)」と「感情(Emotion)」の乖離があります。
多くの場合、中期経営計画や年度方針は、数値目標やKPIといった「論理」で語られます。「売上高○○億円必達」「利益率○%改善」といったメッセージは、経営視点では正しくとも、現場社員にとっては「ノルマ」や「負担」としてしか受け取られないことがあるのではないでしょうか。
経営層と社員のコミュニケーション不足が生じると、以下のような問題が発生する可能性があります。
まず、社員は経営層の方針や目標について正確な理解を持たず、業務に対するモチベーションが低下することがあります。経営層が社員に対して適切な情報を提供せず、目標に向かって進む意欲や熱意が薄れてしまうのです。
また、経営層と社員の信頼関係も構築できなくなる可能性があります。経営層が社員に対して十分な情報を提供せず、意思決定や方針の変更に対して透明性が欠ける場合、社員は経営層に対して疑念や不信感を抱くことがあります。結果として、組織の一体感やチームワークが乱れ、業務の効率性が低下することが考えられます。

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「心理的距離」が招くコンプライアンスリスク
さらに、経営層との距離が遠いことは、コンプライアンス違反や不正の温床にもなり得ます。現場で起きている小さな不都合や懸念事項が、「言っても無駄」「悪い報告をすると評価が下がる」という心理的障壁によって経営層に上がらなくなるためです。
近年頻発している大企業の品質不正や不祥事の多くは、この「バッドニュースが上がらない」風土に起因しています。コミュニケーション不足は、単なるモチベーションの問題に留まらず、企業の存続に関わる重大なリスク管理(ガバナンス)の問題でもあるのです。
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カジュアルなコミュニケーション取得の場所やきっかけが不足している
テレワークで失われた「雑談」の価値と影響
社内コミュニケーションの取得の場所やきっかけが不足していることも、大きな課題として挙げられます。これは、従業員同士や部署間での情報共有がしにくい環境であることや、相談や悩みを口にしにくい雰囲気があることが原因と考えられます。
かつてのオフィスワーク中心の環境では、給湯室での立ち話や、すれ違いざまの挨拶、ランチタイムの会話、エレベーター待ちの数分間など、業務とは直接関係のない「雑談(インフォーマル・コミュニケーション)」が自然発生的に行われていました。これらの雑談は、相手の人となりを知り、信頼関係(ラポール)を築くための重要な潤滑油となっていたのです。
心理的安全性の低下とメンタルヘルス不調の増加
また、相談や悩みを口にしにくい環境では、従業員の仕事に対するモチベーションが低下したり、精神的なストレスが増加することも考えられます。
特に、「心理的安全性(Psychological Safety)」の欠如は深刻です。心理的安全性とは、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、「組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態」を指します。
雑談などのカジュアルな接点がない相手に対して、業務上の深刻な相談や異論を唱えることは、心理的ハードルが非常に高くなります。あなたの職場でも、こんな不安を感じたことはありませんか。
「こんなことを聞いたら『無知』だと思われるのではないか」 「忙しそうなのに声をかけたら『邪魔』だと思われるのではないか」このような不安(対人リスクへの懸念)が、従業員の口を閉ざさせてしまいます。
社内でのコミュニケーションが不足すると、問題や困難に直面した際に適切なアドバイスや支援を受けることができず、個人の能力や意欲が十分に発揮されない可能性があります。
同調査や関連データでも、コミュニケーション不足による精神的ストレスの増加は指摘されており、孤独感や不安感が蓄積することで、メンタルヘルスの不調や離職(特に若手社員のサイレント離職)につながるリスクが高まっています。
イノベーションの源泉である「弱いつながり」の喪失
さらに、カジュアルなコミュニケーションの不足は、イノベーションの阻害要因にもなります。
社会学者のマーク・グラノヴェッターが提唱した「弱い紐帯の強み(The Strength of Weak Ties)」理論によれば、新規性の高い情報やアイデアは、いつも一緒にいる親密なメンバー(強いつながり)からではなく、たまにしか会わない他部署の人や社外の人(弱いつながり)からもたらされることが多いとされています。
オフィスでの偶発的な出会いが減ることで、この「弱いつながり」からの刺激が失われ、組織の発想が同質化し、新たな価値創造が難しくなっているのが現状ではないでしょうか。
部門間や他部署での連携不足
「サイロ化」が招く組織の硬直化と非効率
部門間や他部署での連携不足も、大きな課題として挙げられます。企業内には多くの部門が存在しており、それぞれの部門が連携しながら業務を進めることが求められますが、部門間や他部署での連携が不足している場合、さまざまな問題が生じます。
大企業においては、専門性を高めるために組織が機能別に細分化される傾向にありますが、これが過度に進むと、各部署が自身の利益や論理(部分的最適)を優先し、全体最適を損なう「組織のサイロ化(Silo Effect)」が発生します。
隣の部署がどのようなプロジェクトを進めているかを知らず、似たような業務を重複して行っていたり、顧客に対して部署ごとに異なる説明をしてしまったりする事態は、多くの企業で見られる光景ではないでしょうか。
DX推進を阻む「見えない壁」
この「サイロ化」は、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において致命的な障害となります。DXは本来、部門横断的にデータを活用し、ビジネスモデルやプロセスを変革する取り組みですが、部門間の壁が高い組織では、データの共有すらままなりません。
具体的には、以下のような摩擦が生じることがあります。
「営業部門が持っている顧客データを、開発部門が製品改善に使えない」
「システム部門が導入したツールを、現場部門が使いにくいと拒否する」
このような摩擦は、コミュニケーション不足による相互理解の欠如が根本原因です。
たとえば、情報共有が行われないため、重要な情報が伝わらず、業務の進行に支障をきたすことがあります。また、意思疎通が困難となり、業務の調整や意見の交換がスムーズに行われないこともあります。さらに、部門間の連携が不足すると、業務の重複やミスが発生しやすくなります。
顧客体験(CX)への悪影響
部門間や他部署での連携不足は、企業の成果や効率に悪影響を及ぼします。現代のビジネス課題は複雑化しており、単一の部署だけで解決できるものは少なくなっています。
マーケティング、営業、開発、サポートといった複数の部門が有機的に連携しなければ、一貫性のある顧客体験(CX)を提供することはできません。
顧客からの問い合わせに対して、「それは担当部署が違うのでわかりません」とたらい回しにするような対応は、部門間連携の欠如が顧客の信頼を損なう典型例です。
そのため、部門間の連携を強化し、情報共有や意思疎通を円滑にすることが重要です。適切なツールやシステムの導入、定期的な会議や交流の場の設置など、さまざまな方法を組み合わせて連携の強化を図ることが求められます。企業全体の成長と発展のために、部門間の連携を積極的に推進していきましょう。
ここまで、社内コミュニケーション不足の原因となる主な課題について見てきました。では、これらの課題を解決するためには、どのような対策が有効なのでしょうか。
社内コミュニケーション改善のための対策
対話・教育・ツールの「三本柱戦略」
近年、社内のコミュニケーションの改善が企業にとって重要な課題となっています。効果的なコミュニケーションの確立は、チームの連携と生産性向上に直結するため、組織の成果に大きな影響を与える要素となります。
しかし、単にチャットツールを導入したり、社内イベントを開催したりするだけでは、根本的な解決にはなりません。わたしたちの知見に基づくと、持続的なコミュニケーション改善には、以下の「三本柱戦略」をバランスよく推進することが不可欠です。
対話(Dialogue) 一方的な情報伝達(Transmission)ではなく、相互理解を深めるための双方向のコミュニケーションの場を作ること。
教育(Education) コミュニケーションスキルや、ツールの正しい使い方、ダイバーシティ&インクルージョンへの理解など、従業員のリテラシーを高めること。
ツールの活用(Tool Utilization) DXを推進し、場所や時間にとらわれない情報共有基盤を整備すること。
ここからは社内コミュニケーションの課題と具体的な対策について探求し、各部署や役職間のコミュニケーションを円滑化させるための手法や、情報共有の仕組みを強化するためのツールの活用法など、実践的なアプローチをご紹介します。社内コミュニケーションの改善についてより良い職場環境の実現に向けて一緒に考えていきましょう。
部門間や他部署との連携強化策
「ナナメ」のつながりを創出する仕掛け
社内コミュニケーションの改善は、組織の円滑な運営や成果の向上に不可欠とは言え、現実にはコミュニケーションの課題が存在し、それを解決するための対策が必要です。
まず、職場のコミュニケーションの課題を把握することが重要です。会社や経営層とのタテのコミュニケーション、同僚とのヨコのコミュニケーション、部署や拠点を超えたナナメのコミュニケーションなど、さまざまなレベルでの課題が存在します。従業員の声や行動から読み取れるデータを解析し、具体的な課題を特定することが第一歩です。
特に大企業で不足しがちなのが「ナナメのコミュニケーション」、つまり直接の利害関係がない他部署の先輩・後輩や、異なる専門性を持つ同僚とのつながりです。これを強化するためには、業務上の必要性に迫られる前の「関係性の土壌」を作っておくことが重要です。
クロスファンクショナルな活動の実践
次に、コミュニケーションを加速させるための施策を考えましょう。まずは、会社としてコミュニケーションが弾む環境を整えることが必要です。
たとえば、コミュニケーションを促進するイベントやツール、社内ポータルやSNSの活用などが挙げられます。これに加えて、社員自身も積極的に関わり合いを持ち、コミュニケーションを活かす意識を持つことが重要です。
具体的な施策として、以下のような取り組みが効果的です。
社内公募型プロジェクト
部署横断でメンバーを募り、特定の課題解決(例:SDGs推進、オフィス環境改善、新規事業コンテスト)に取り組むプロジェクトを発足させます。これにより、普段の業務では出会わないメンバー同士が「共通の目的」を持って協働する機会が生まれます。
シャッフルランチ・オンライン交流会
部署や年次を混ぜてランダムにグループを作り、ランチ代を会社が補助する制度です。大企業での実施事例では、効果的な施策として多くの企業が導入しています。
ナレッジ共有会(LT大会)
各部署の成功事例や失敗事例を短時間で発表し合う「ライトニングトーク」を開催し、互いの業務内容への理解とリスペクトを深めます。
さらに、職場のコミュニケーションを改善するためのポイントを考えましょう。
まずは、コミュニケーションの重要性をすべての社員が理解することが必要です。コミュニケーションが円滑に行われることで、成果創出やチームワークの向上につながることを認識しましょう。
また、組織の状態や社員のスキルに合わせて、適切なコミュニケーション方法を実施することも重要です。場合によっては制度変更や改善活動も視野に入れることがあります。
具体的な改善方法としては、バラバラした組織の場合には組織全体の情報共有を促進し、ギスギスした組織の場合にはコミュニケーションスキルの向上やコンフリクト解決のトレーニングを行うことが効果的です。
また、ワイワイとした組織の場合には効率的なコミュニケーション手法を導入し、業務効率の向上を図ることが重要です。
職場のコミュニケーション改善は、組織全体のパフォーマンス向上につながる重要な取り組みです。従業員の声を反映させながら、具体的な課題を把握し、適切な施策を取り入れていくことが必要です。コミュニケーションを通じて情報共有や意思疎通を図り、より良い職場環境を作り上げましょう。
経営層と社員のコミュニケーション活性化策
「腹落ち」を生むストーリーテリングの重要性
経営層と社員の間の良好なコミュニケーションは、組織全体の効率性や生産性を向上させるだけでなく、従業員の満足度やモチベーションを高めることにもつながります。
しかし、前述の通り、単なる数値目標の伝達だけでは社員の心は動きません。社員が求めているのは、数字の背景にある「物語(ストーリー)」です。
まず、経営層と社員のコミュニケーションを活性化させるためには、定期的な対話の機会を設けることが重要です。経営層が社員とのコミュニケーションを積極的に行い、意見やフィードバックを受け入れる姿勢を示すことで、社員はより安心感を持ち、自身のアイデアや意見を積極的に出すことができます。
ここで重要なのが、経営層からの発信内容です。弊わたしたちの知見では、社員の行動変容を促すには、頭での理解(Intellectual Understanding)だけでなく、感情的な納得感である「腹落ち(Emotional Acceptance)」が必要不可欠です。
「なぜ今、この変革が必要なのか」 「それによって、社会や社員自身にどんないいことがあるのか(WIIFM: What’s in it for me)」
これらを、経営者自身の言葉で、時には弱みや葛藤も含めて語ることで、社員の共感を呼び起こすことができます。
タウンホールミーティングの進化形
また、経営層と社員のコミュニケーションを活性化させるためには、情報共有の仕組みを整えることも重要です。経営層が透明性を持って情報を共有し、社員が必要な情報にアクセスできるようにすることで、情報の障壁を取り除き、円滑なコミュニケーションにつながっていきます。
従来の一方通行的な講話ではなく、双方向性を重視した「タウンホールミーティング」が有効です。
リアルタイムQ&A
Slidoなどのツールを使い、社員から匿名でリアルタイムに質問やコメントを募集します。「忖度のない質問」に経営層がその場で誠実に答える姿勢を見せることで、信頼関係が劇的に深まります。
ハイブリッド開催
オンラインとオフラインを組み合わせ、全拠点の社員が参加できる環境を整えます。
さらに、経営層と社員のコミュニケーションを活性化させるためには、コミュニケーションツールの活用も有効です。
たとえば、社内ポータルやSNSなどのツールを活用することで、経営層と社員のコミュニケーションが円滑に行われるだけでなく、情報の共有や意見交換が促進されることが期待できます。
社長ブログや動画メッセージに対し、社員が「いいね!」やスタンプで気軽にリアクションできる仕組みは、心理的な距離感を縮めるのに役立ちます。
さらに、経営層と社員のコミュニケーションを活性化させるためには、定期的な研修やワークショップを実施することも効果的です。
経営層と社員が一緒に学び、意見を交換することで、お互いの理解を深めることができます。
最後に、経営層と社員のコミュニケーションを活性化させるためには、称賛やフィードバックの文化を構築することも重要です。経営層が社員の成果や努力を積極的に評価し、フィードバックを行うことで、社員のモチベーションやパフォーマンスを向上させることができます。
経営層と社員のコミュニケーション活性化策は、企業の成功にとって欠かせない要素です。経営層が積極的にコミュニケーションを行い、社員の意見やアイデアを尊重する姿勢を持つことで、より良い組織文化を築くことができるでしょう。
テレワーク社員とのツールを活用したコミュニケーション促進策
「情報の非対称性」を解消する運用ルール
テレワークは、働き方の柔軟性を高め、生産性向上につながる一方で、コミュニケーション不足が課題となることもあります。特に、オフィスに出社している社員と在宅勤務の社員の間で情報格差が生じる「情報の非対称性」は、チームの分断を招く大きな要因です。
そこで、テレワーク社員との円滑なコミュニケーションを促進するためには、以下の対策が有効です。
まずは、定期的なオンラインミーティングの実施です。テレワーク社員との面談や報告会を定期的に行うことで、情報共有や意思決定のスピードを向上させることができます。オンラインツールを活用し、ビデオ会議やチャットツールを通じて、顔を見ながらコミュニケーションを取ることが重要です。
しかし、会議だけでは不十分です。「オフィスにいるメンバーだけで立ち話で決めてしまう」ことを防ぐため、「意思決定のプロセスは必ずデジタル上に残す」というルールを徹底する必要があります。チャットツール上で議論の経緯をオープンにし、後からでも誰でも経緯を追えるようにすることが、情報の透明性を担保します。
ツール活用のリテラシー格差を埋める
また、コミュニケーションツールの活用も大切です。テレワーク社員同士や上司との連絡をスムーズに行うためには、メールやチャットツールなどのツールを活用しましょう。メールでは、明確な件名や要点をまとめることで、相手に伝わりやすくなります。チャットツールでは、リアルタイムなコミュニケーションが可能であり、迅速な対応ができます。
ソフィアの調査では、チャットツールの導入は進んでいるものの、「活用度の格差」が課題となっています。一部の部署では活発に使われているが、別の部署ではほとんど使われていない、あるいは上司が見ていないため報告が二度手間になるといったケースです。これを解決するには、全社的な「ツール利用ガイドライン」の策定と教育が必要です。
即レス不要ルールの明文化
「チャットは即レスしなければならない」というプレッシャーがストレスにならないよう、緊急時以外の返信ルールを定めます。
スタンプ文化の推奨
「了解しました」と打つ代わりにスタンプ一つで済ませることを推奨し、コミュニケーションのコストを下げます。
さらに、情報共有の仕組みのあり方にも配慮が必要です。テレワーク社員が必要な情報にアクセスしやすくするために、クラウドストレージや共有ドキュメントを活用することや、社内ポータルサイトやチーム内の共有スペースを活用して、情報の一元化を図ることもおすすめです。
情報がどんどん流れていってしまうチャット(フロー情報)に対し、マニュアルや議事録などの蓄積情報(ストック情報)を管理するWikiツール(Confluence、Notionなど)を併用し、「情報が見つからない」という三重苦の一つを解消しましょう。
最後に、定期的なフィードバックの実施も大切です。テレワーク社員とのコミュニケーションを改善するためには、相手の意見や状況を把握し、適切なフィードバックを行うことが必要です。定期的な面談やフィードバックセッションを通じて、お互いの課題や改善点を共有しましょう。
社内コミュニケーション改善によく起こる失敗事例
失敗例:ツール導入が目的化し、運用設計が不在
社内コミュニケーションの改善には、さまざまな失敗事例が存在します。ここでは、よく起こる失敗事例について考えてみましょう。
まず、コミュニケーションの一つの失敗事例として、情報の共有の機能不全が挙げられます。チームメンバー間での情報共有が不十分であると、プロジェクトの進行に必ずと言っていいほど支障をきたします。
メンバーからの進捗報告が遅れたり、報告内容にムラがあったりすると、現状の把握が難しくなります。結果的に進んでは戻ることが多くなり、些細なトラブルが生じやすくなります。
特に多いのが、「最新のチャットツールや社内SNSを導入すれば、自然とコミュニケーションが活性化するだろう」という安易な期待による失敗です。ツールはあくまで「箱」であり、そこにどのような情報を流し、どのような文化を作るかという「運用設計」がなければ、誰も使わない「デジタル廃墟」と化してしまいます。
わたしたちが行った調査でも、ツール活用の阻害要因として「教育不足」や「目的の不明確さ」が上位に挙げられています。
失敗例:強制的なイベント参加による「やらされ感」
また、テレワークの拡大によって、社内コミュニケーションの前提が変わったことも失敗事例の一つです。テレワークの広がりに伴い、メンバー間での直接的なコミュニケーションが減少し、チームの結束力が低下することがあります。
黙々と行うテレワーク下では「何気ない会話」の相手がその場にいないので会話の機会が減り、メンバーのパーソナリティや状況把握が難しくなります。その結果、業務上でのコミュニケーションもスムーズに行えなくなり、トラブルにつながってしまうのです。
これに対し、会社側が「毎日必ず30分雑談タイムを設ける」「業務時間外のオンライン飲み会を強制する」といった施策を行うと、逆効果になることがあります。業務で忙しい社員にとって、目的のない強制的なコミュニケーションは負担でしかありません。
これを避けるためには、社員が「自発的に参加したくなる」仕掛けが必要です。例えば、共通の趣味(ゲーム、育児、ペットなど)に基づいたコミュニティ活動を支援したり、業務時間内にランチ交流会を実施したりするなど、心理的・時間的負担を考慮した設計が求められます。
さらに、従業員同士のつながりが薄いという失敗事例もあります。組織内での団結力が強ければ、チームワークや意義のある関係が重視されます。
しかし、部署間の距離感や同僚との面識の不足などによって、コミュニケーションの質が低下することがあります。たとえば、あるチームが他のチームのプロジェクトを引き継ぐ際に混乱が生じたり、同じ職場でありながら人間関係が難しいと感じ、ストレスにつながることが考えられます。
社内コミュニケーションは、強いつながりではなく距離感も大事
「弱いつながり」こそが価値を生む
社内コミュニケーションは、「活性化」や「繋がり」を強調され、強化すれば強化するほど効果が出るものと勘違いされがちです。
テクノロジーの進化により、現代社会ではさまざまなツールがコミュニケーションの際に利用されています。対面の方法に加えて、SNSやビデオ会議など新しいツールが普及し、遠く離れた人々との円滑なコミュニケーションを可能にするべく、ビジネス・教育・医療などの幅広い分野で活用されています。
しかし、ITテクノロジーの進歩により、希薄な人間関係を問題視することがよくあります。対面に比べて相手の表情や声、非言語コミュニケーションの要素を伝えることが困難で、本来伝えたかったことが伝わらない可能性があります。
言語コミュニケーションはできますが、非常に短いタイムラグや相槌の難しさにより、対面のコミュニケーションよりもストレスや疲労を感じることが多くなります。
しかし、視点を変えれば、希薄な関係性は、ビジネスにおいては、すべて悪いとも言えません。
というのも、人間関係はさほど濃密ではない方が互いにとって、生産性が上がる場合もあります。弱いつながり、強いつながりがある組織や職場が必ずしも生産性が高いとは限りません。多様性に配慮し、適切な距離感を個々人が持つ方が、個性が尊重されより生産性の高い議論ができる職場です。
コロナ禍で見直された「適度な距離感」の設計
コロナ禍で、なし崩し的にテレワークを実施した会社が、エンゲージメントが向上した例も多く、「濃密な関係」や「侃々諤々」というあるべき姿を絶対として、今のコミュニケーションの状態を問題視することは少々危険です。組織毎や職場内、役職間など、それぞれの距離を検討しましょう。この距離感に関しては、まだまだ研究の余地があり、世界で実証実験を兼ねた研究が進んでいます。
重要なのは、全員が「仲良し」になることではなく、「必要な時に、必要な相手と、心理的負担なく連携できる状態」を作ることです。これを「認知的不協和」のない状態とも言えます。
個々の社員が快適と感じる距離感を尊重しつつ、業務上の連携が滞らないような「ネットワーク」を構築すること。それが、これからの大企業に求められる社内コミュニケーションのゴールと言えるでしょう。
社内コミュニケーション改善策の重要性とメリット
「学習する組織」への進化と競争優位の確立
社内コミュニケーションの改善策によって良好な社内コミュニケーションがとれる環境は、組織内の情報共有や協力関係を促進し、効果的な業務遂行につながります。
まず、社内コミュニケーションの改善策を実施することで、情報共有がスムーズに行われます。社内のさまざまな部署やチームが連携し、必要な情報を適切に共有することで、業務の効率化やミスの軽減が図れます。たとえば、社内SNSやチャットツールを活用することで、リアルタイムで情報を共有し、意思疎通を図ることができます。
さらに、社内コミュニケーションの改善策は、従業員のモチベーション向上にも繋がります。良好なコミュニケーション環境では、従業員が自身の意見やアイデアを積極的に発信することができます。その結果、従業員は自己成長や自己表現の機会を得ることができ、仕事への取り組み方やアイデアの提案に積極的になります。
特に強調すべきメリットは、「学習する組織」への進化です。心理的安全性が高く、失敗を隠さずに共有できる組織では、一つのミスが組織全体の学びへと転換されます。逆に言えば、コミュニケーション不全の組織では、同じミスが各所で繰り返され、ノウハウが属人化したまま蓄積されません。
情報が組織内を血液のようにスムーズに循環することで、市場の変化に対する感度が高まり、迅速な意思決定(アジリティ)が可能になります。これは、変化の激しいVUCA時代において、最も強力な競争優位性となります。
さらに、社内コミュニケーションの改善策は、組織全体の協力関係を強化します。コミュニケーションの円滑化により、部署間やチーム間の壁がなくなり、情報やノウハウの共有が進みます。これにより、組織全体での目標達成や問題解決がスムーズに行われるようになります。
具体的な社内コミュニケーションの改善策としては、定期的なミーティングやコミュニケーションツールの活用、情報共有の促進などがあります。さらに、上司やリーダーが積極的にコミュニケーションを取ることも重要です。また、社内コミュニケーションの改善には、従業員の意見やフィードバックを積極的に取り入れることも大切です。
社内コミュニケーションの改善策を実施することで、組織内の情報共有や協力関係が強化され、効果的な業務遂行が可能となります。従業員のモチベーション向上や組織全体の成果向上にもつながるため、企業にとっては重要な取り組みと言えるでしょう。
まとめ
ここまで、失敗しがちな社内コミュニケーションを改善するための重要なステップについてお伝えしてきました。
社内コミュニケーションがうまくいかない背景には、大企業特有の組織構造(縦割り)、テレワークによる環境変化、そして心理的安全性の欠如といった複合的な要因があります。
わたしたちは、部門間や他部署での連携不足、経営層と社員のコミュニケーション不足などの課題に対し、単なるツール導入に留まらない「対話・教育・仕組み化」の三位一体となった対策をご提案しています。
「情報の三重苦」を解消し、社員一人ひとりが戦略に共感し、主体的に動ける組織(エンプロイー・エクスペリエンスの高い組織)を作ることは、一朝一夕にはいきませんが、企業の持続的成長には不可欠な投資です。
効果的な社内コミュニケーション改善のために、本記事で紹介した視点をぜひ貴社の施策にご活用ください。





