インターナルコミュニケーション

良い職場風土とは?より良い職場風土を作るために必要なことを紹介

職場風土は、社員の発言のしやすさ、情報共有の速さ、助け合いの自然さなど、日々の行動を左右する「空気」です。特に大企業では部門・階層が多く、コミュニケーションが滞ると、職場ごとに”別会社のような風土差”が生まれます。弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションに「問題がある」と感じる回答が約8割に達しており、風土の土台としてのコミュニケーションを無視できない状況が示唆されます。
本記事では、良い職場風土についてご紹介します。また、職場風土を改善させる具体的なアクションにも触れていきます。従業員が生き生きと働き続ける組織を目指すためにも、ぜひ参考にしてください。

職場風土とは

職場風土とは、その職場に根付いている独自の価値観や決め事などのことです。職場風土は、その職場で働く従業員の感情に直接影響を与えます。良質な職場風土がある企業は、さまざまなメリットを享受できるでしょう。

職場風土の「風土」は「規範」と言い換えることができます。規範とは、集団におけるルールを指す言葉です。平たく言うと、職場風土とは、職場のメンバー誰もが同じように把握している、職場独自の暗黙の了解や雰囲気のことです。

学術的には、組織風土(organizational climate)は「働く人が認知し、モチベーションや行動に影響すると考えられる仕事環境の特性」といった形で整理されており、人々の認知と行動への影響が中核になります。この観点で見ると、職場風土を改善する第一歩は、「雰囲気」を精神論で語るのではなく、認知(感じ方)を把握し、行動に影響する要因を特定することだと言えるでしょう。

従業員は職場にほとんど毎日身を置くため、職場風土によって業務面・精神面に影響を受けることが考えられます。職場風土は、従業員の考え方や行動を左右し、人間形成にも関わってくる重要なものです。良い職場風土は、従業員が働く環境の基盤となり、それが組織の文化として継承されていきます。いかに良質な職場風土を形成するのかが、企業独自のカラーを決めうると言えるでしょう。

職場には、業務や執務を遂行する場所、もしくは設備環境といった物理的空間としての意味合いもあれば、従業員同士の人間関係や社会的空間としての意味合いも強くあります。
また、職場は組織の中の一つの組織内組織として考えることができ、数多くある組織の中でも、常に顔を合わせて直接的なコミュニケーションを取れる少人数の集団が職場です。したがって、職場は組織全体の慣習や風土から影響を受けます。職場単位の風土は、集団の所属員が創り出しているものに他なりません。

職場風土と関連する概念の整理

実務では、似た言葉として「組織風土」「組織文化(カルチャー)」「社風」「職場環境」が混在しがちです。混在したまま施策を打つと、現場に「結局何を変えるのか」が伝わらず、取り組みが形骸化しやすくなります。

職場風土と組織風土の違い

職場風土と組織風土は、似たようなものであると同時に、違いがあります。職場風土は、所属するメンバーとリーダーによって形成され、比較的容易に変化します。一方で、組織風土は、その組織全体の歴史や価値観、ビジョンによって形成され、変化が比較的難しい傾向があります。

企業の人事・研修担当としては、まず「職場(チーム/部門)単位」で変化が起こせる領域(例:会議運営、1on1の質、情報共有の型)を特定し、そこで成果を出しながら「制度・評価・方針」へ接続していくと、より良い職場風土へと現実的に進めやすいでしょう(局所改善→全体展開)。

良い職場風土の定義

結論から言えば、良質な職場風土というものが普遍的に存在するわけではありません。企業の目標やビジョンによって、適切な職場風土は変わってくるためです。たとえば、正確な業務進行が求められている職場には、緊張感のある職場風土が合っているかもしれません。

一方で、複雑な問題に取り組む必要があって従業員に多様性が求められる職場であれば、緊張感よりも、ある程度リラックス感のある職場風土のほうが適していると考えられます。大切なのは、自社の目指すビジョンや価値観に合った職場風土を形成していることです。そして、風土が企業に馴染み、従業員や組織の業績に対して機能している認識が持たれることです。これが認識できている組織は、良質な職場風土であると言えるでしょう。

職場風土の特徴は、組織風土に比べて変化しやすいことです。なぜなら、職場風土は、その職場に所属するメンバーやリーダーによって形成されるため、新しいメンバーの参加や、リーダーの変更によって容易に変化するからです。

たとえば、ある企業が社員を採用した際、その新しい社員は組織の持つ文化や慣習を学び、自身が加わった職場の風土に影響を受けます。同時に、新しい社員が加わったことで職場風土に変化が生じたり、逆にその職場風土が新しい社員の影響を受けて変化することもあります。また、リーダーの存在も職場風土に大きな影響を与えます。リーダーが変わることで、職場の風土は大幅に変化することがあります。リーダーの価値観や考え方が職場に広まり、それに合わせて職場風土が整備されていくことがあるからです。

しかし、職場風土と組織風土には共通点もあります。職場は組織の中の組織内組織であるため、組織全体の価値観やビジョン、歴史などが、職場風土にも影響を与えます。したがって、職場風土を正しく形成するには、組織全体の持つ文化や慣習、重要視する価値観などを理解する必要があります。

一言でいえば、”良い職場風土”とは、「安心して意見が言える」だけでなく、「何を目指し、どこまでやり切るか」が共有されている状態です。

良い職場風土がもたらす効果

職場風土が整うと、短期的には「情報共有が早くなる」「相談が増え、手戻りが減る」といった業務効果が出ます。中長期的には、採用・定着、エンゲージメント、品質、コンプライアンスなど、複数の経営指標に波及します。

弊社ソフィアの調査では、エンゲージメントスコアに影響する要素として「上司との関係」「同僚との関係」など人間関係が上位に挙がっています。これは、職場風土の改善が“関係性の改善”を通じてエンゲージメントに波及しやすいことを示唆しています。

また、組織風土を類型化し、企業業績(売上・利益)との関係を検討する試みもあり、少なくとも「風土を放置せず、把握・類型化して議論する」こと自体が、経営・人事の共通言語になり得るでしょう。

悪い職場風土のサイン

職場風土の悪化は、いきなり“雰囲気が最悪になる”というより、日常の小さな事から始まります。人事・研修担当者が早期に気づけるよう、典型例を整理してみましょう。

  • 情報が共有されない、共有が遅い、欲しい情報がどこにあるかわからない(情報流通の停滞)
  • 部門間の連携が弱く、調整コストが増える(縦割り・局所最適)
  • 上司に相談できず、問題が表に出ない(心理的安全性の低下)
  • 合意形成が遅い、フィードバックが少ない(相互コミュニケーション不全)

弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーション課題の具体として「業務に関連する情報が共有されない・共有が遅い・どこにあるかわからない」等が上位に挙がり、また課題が起きる対象も「部門間」「上司と部下」「経営陣と社員」など多層に広がっています。

加えて、法令遵守・人権配慮の観点では、ハラスメント防止は事業主の義務であり、方針の明確化と周知、相談体制、迅速な事実確認と対処、プライバシー保護、不利益取扱い禁止など具体的措置が求められます。職場風土が悪化すると、これらの運用が形骸化しやすい点にも注意が必要です。

職場風土の可視化と測定

「雰囲気だから測れない」と諦めると、施策は“やった感”で終わります。職場風土は、少なくとも次の3層に分けると測りやすくなります。

① 認知(従業員がどう感じているか:サーベイ、パルス調査、面談ログ)
② 行動(実際に何が起きているか:1on1実施率、会議時間、情報共有の回数、参加率)
③ 結果(組織成果:離職、欠勤、エンゲージメント、品質指標 等)

組織風土を“認知して、モチベーションや行動に影響する特性のパターン”として定義し、尺度(質問)を用いて把握すると整理しやすいでしょう。

厚生労働省が示すストレスチェック制度でも、本人への通知に加えて「検査結果の集団分析を職場環境改善につなげ、メンタル不調の未然防止を図る」目的が明記されています。職場風土を“職場環境の改善”として扱う際、既存制度と接続できるのは企業にとって実務メリットが大きいでしょう。

良い職場風土を作るために必要なこと

組織内の関係性を深める

職場風土は、組織内の人間関係に大きく左右されます。コミュニケーションを取り組織内での関係性を深め、心理的安全性を確保することにより、職場の風土はより良いものになっていくでしょう。では、組織内で関係性を深めるとはどういうことなのでしょうか。

組織内の関係性を深めるためには、目には見えない関係性を組織全体で可視化・共有化し、アプローチしていく努力が重要です。
関係性が深まれば、従業員のエンゲージメントやロイヤルティ、モチベーションが高まります。これらは業務の生産性向上や効率化、離職率の低下、ひいてはブランドの向上などにもつながります。また、関係性が深まると社員同士にシナジー(相乗効果)が生まれ、イノベーティブなアイディアの創出や現場の協働促進といったメリットにも期待できるでしょう。

ただし、関係性を深めることは、「ゆるい」関係性になることと同義ではありません。職場の目的はタスクに対して成果を出すということです。そのためにはどこか「ひりひり」とした緊張感のある雰囲気も大切であり、職場に適した風土形成が重要です。

大企業では特に、部門間の”関係性”が結果に直結します。弊社ソフィアの調査でも、社内コミュニケーションの問題対象として「部門間」が最多に挙がっており、局所最適が生まれやすい構造が示唆されます。

心理的安全性の確保

「心理的安全性」は、原典では「Team psychological safety is defined as a shared belief that the team is safe for interpersonal risk taking(対人リスクを取っても安全だという共有された信念)」と定義されています。
噛み砕いて言えば、「言っても大丈夫」「聞いても大丈夫」「間違えても学びにできる」という確信が、チーム内で共有されている状態です。

ただし注意点として、心理的安全性は「仲が良い」「ぬるい」と同義ではありません。原典でも、cohesiveness(凝集性)と同一ではない点が論じられており、安心の中で対話と学習が起きることがポイントです。

心理的安全性を確保するポイントは二つあります。一つは、「安心安全な場」作りを目指すことです。「どんな発言にも安全性が担保される」というルールを設定することが、「安心安全な場」を作る上で重要です。そして、「自由に意見を発信できる環境」で対話を促進することも、心理的安全性を確保するポイントの一つです。そのような環境が日常的に成立することで、情報やアイデアの共有が促進され、目指すべきビジョンの明確化・共有化が行われます。

社内コミュニケーションの活性化

良好な職場風土を目指すうえで必要不可欠なのは、社内のコミュニケーションを活発化させていくことです。そのためにまず、リーダーと従業員の関係性を見直しましょう。リーダーと従業員が良質な関係を結べていれば、縦のコミュニケーションが活発になります。

この主張は、企業の現状とも整合します。弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションに課題感がある回答が約8割に達し、問題対象も部門間・上司部下・経営陣と社員など縦横に広がっています。つまり、職場風土の改善を“個人の意識改革”だけで進めるのは難しく、コミュニケーションを仕組みにする必要があります。

また、従業員個人と会社が良好な関係を築くことも大切です。良好な関係を築くことで従業員は、組織が掲げる理念やビジョンに対して共感しやすくなります。このような環境を作ることで、組織の「従業員エンゲージメント」を高めることができます。

「従業員エンゲージメント」とは、従業員が組織の目指す方向性に共感して、自分も組織のために貢献したいと思う従業員の自発的な意欲のことです。「従業員エンゲージメント」が高い組織は生き生きとした雰囲気で満ち溢れ、良質な職場風土が形成されていきます。結果的に、組織内の人間関係も良好になり、社内のコミュニケーションがさらに活発化していくことでしょう。従業員エンゲージメントの向上は、自分の組織に対して愛着を感じたり、貢献意欲を持ったりする人が増え、連鎖的に状況が好転することに期待できます。

リーダーの行動変容

職場の風土を改善するチャンスは、人事異動などの構成員の物理的な変化のタイミングです。職場のリーダーの異動や変更によって、チームが生まれ変わったかのようにいい雰囲気になったという事例は、ビジネスの世界ではよく耳にするものです。しかし、異動は自分自身の考えのみではなかなか実行に移せません。では、どうすれば職場の雰囲気を良くすることができるのでしょうか。

職場の風土を改善するために重要なのはリーダーの行動です。リーダーの行動や言動、仕事への姿勢、考え方が、その組織にいる従業員一人ひとりに大きな影響を及ぼします。だからこそ、リーダーが自分自身で組織の理想形を体現し、それを見せることが効果的です。リーダーが積極的にコミュニケーションを取ることで、従業員にも常にコミュニケーションを大切にする文化が継承され、職場の風土が改善していきます。

ただし、リーダーがどんなに言動を示しても、実際に従業員が行動レベルで変化してくれるとは限らないのも事実です。特に従業員同士のコミュニケーションが希薄な場合、風土が変わるレベルの行動変容を起こすのは難しいでしょう。そこで組織のリーダーは、行動を示すとともに、組織内でコミュニケーションを促す必要があります。具体的には、対話や1on1、ディスカッションといったコミュニケーションの場を設ける、コミュニケーションツールを導入するなどで、意思疎通をはかれる環境を整えましょう。

ここで大企業の人事・研修企画が押さえるべきは、「施策の導入」ではなく「活用と定着」です。弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーション促進施策として1on1や研修が多く実施されている一方、課題感が強い層ほど成果を感じていない傾向も示唆されています。したがって、研修は”受けて終わり”にせず、
①現場課題に合わせた設計
②上司・管理職の行動変容支援
③現場での実践と振り返り(フォローアップ)
までを一体で組むことが重要です。

また、心理社会的リスクの管理を”マネジメントシステムの一部”として扱うガイドライン(ISO 45003)も出ており、職場の心理的健康・安全は継続的改善の対象として扱える領域です。施策を単発イベントにせず、現状把握→対応→評価→改善のサイクルに乗せる設計が、実務上の価値につながります。

まとめ

良好な職場風土を作ることができれば、従業員同士のコミュニケーションによってイノベーティブなアイデアの創出や業務の効率化にも期待できます。さらに従業員エンゲージメントが高まりモチベーションを維持することができれば、組織の業績向上にもつながるはずです。

要するに、改善の鍵は「雰囲気」を測れないものとして扱わず、認知(サーベイ等)と行動(対話設計・運用)をセットでマネジメントすることだと言えるでしょう。弊社ソフィアの調査でも企業の社内コミュニケーション課題が広く見られるため、関係性・心理的安全性・情報流通の設計から着手するのが現実的です。

実務上混同されがちですが、職場風土は「職場(チーム/部門)単位の暗黙の了解や雰囲気」、社風(組織風土)は「会社全体としての雰囲気」を指して語られることが多いです。改善の着手点としては、変化しやすい職場単位から始め、成果を全社へ展開する順が進めやすいでしょう。
また、心理的安全性は「ぬるさ」ではなく、「対人リスクを取っても安全」という確信です。安心があるからこそ、ミスの共有や改善提案が出やすくなり、学習行動が起きます。

最初は”理想論の定義”よりも、現状把握(サーベイ/ヒアリング/指標)を行い、どこでコミュニケーションが詰まっているかを特定することが大切です。ストレスチェックの集団分析を職場環境改善につなげる考え方も、現状把握の設計に活かせます。

なお、ハラスメント防止は事業主の義務であり、方針の明確化・周知、相談体制、迅速な事実確認と対処などが求められます。これらが機能するためには、安心して相談できる職場風土が土台になります。

  • 職場風土をよくするために必要なことは何ですか?
  • 社内のコミュニケーションを活発化させていくことです。そのためにまず、リーダーと従業員の関係性を見直しましょう。リーダーと従業員が良質な関係を結べていれば、縦のコミュニケーションが活発になります。
    また、従業員個人と会社が良好な関係を築くことも大切です。良好な関係を築くことで従業員は、組織が掲げる理念やビジョンに対して共感しやすくなります。

  • 職場の風土を改善する方法はありますか?
  • 職場の風土を改善するために重要なのはリーダーの行動です。リーダーの行動や言動、仕事への姿勢、考え方が、その組織にいる従業員一人ひとりに大きな影響を及ぼします。だからこそ、リーダーが自分自身で組織の理想形を体現し、それを見せることが効果的です。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。