DX推進においてプロトタイピングを行う目的、メリットとは?

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#コミュニケーション

26.Oct.2020

「ユーザー部門の要件に沿って開発を進めていたが、リリースしても誰も使ってくれない。
習慣化した業務フローを変えるためにシステム導入をしたのに、どうしたら受け入れられるかがわからない。」

「複数部署にまたがるシステムを開発しているが、関係部署の理解を得られず上手く進められていない。何度も会議を行って認識を合わせようとしているが、なかなかメリットを理解してもらえない。もっと具体的かつ視覚的に将来像を説明できればいいのだが…。」

限られたリソースを最大限活用しなければならないDX推進の現場において、上記のようなケースが度々起きてしまっていることをご存知でしょうか?

本記事では、システム導入前に社内のニーズ・インサイトを検証・発見したり、開発メンバーや関係部門からの理解を得たりするのに最適なプロトタイピングについて紹介します。

プロトタイピングとは

プロトタイピングとは、製品開発・事業開発の初期段階において、完成品の試作品(プロトタイプ)を作ることで、その製品の利点・欠点を検証したり、開発メンバー間の認識をすり合わせたりするアプローチです。もともとは生産業や建築業におけるモデル(模型)作成のことを指していましたが、昨今IT業界でもデザイン思考やアジャイル開発といった枠組みの中でよく用いられています。ソフトウェアなどの無形商材でプロトタイピングを行う場合は、紙やパワーポイントなどが用いられます。

またプロトタイピングを用いて、そもそもマーケットに製品の需要があるのかを検証することもあります。特に不確実性の高い市場においては何が当たるのか分かりません。英語ではPoC(Proof of Concept)と呼びますが、この検証を行わずに開発を進めてしまうと、需要のない製品を生み出すことにつながり、膨大な開発工数を無駄にしてしまいます。プロトタイピングを行うことで、リソースの浪費を未然に防ぐことができるのです。

次章ではプロトタイピングの具体的な手法について説明します。

プロトタイピングの手法

プロトタイピングの主だった手法として以下7つが挙げられます。

カードソーティング

これは、機能やコンテンツといった情報をポストイットなどに1枚ずつ記載し、それらをグループ分け・関連付けすることで分類の妥当性を検証するものです。画面構成や項目の整理に役立ち、ユーザーにとって分かりやすいUI構築の気づきを得ることができます。

ワイヤーフレーム

ワイヤーフレームはサイトやシステム全体の設計書になるもので、各画面構成や画面遷移の流れを紙などにスケッチしたものです。これがあれば、メンバー間の完成品イメージを統一でき、その後のUI構築作業をスムーズに進めることができます。

ストーリーボード

この手法では、ユーザーがシステムを操作して目的を達成するまでの過程を、イラストや画像を用いてストーリー形式で表現します。ユーザーの行動フローを分かりやすく可視化できるため、ユーザーの要求や気持ちを細かく分析できます。

ペーパープロトタイピング

これは、各画面のレイアウトを紙に描写しておき、それを用いて紙芝居のようにユーザーテストを行うものです。早い段階でシミュレーションを行うことができるので、実装前にシステムの課題を発見したり、ユーザーからのフィードバックを得たりできます。

デジタルプロトタイピング

この手法は、前項のペーパープロトタイピング同様にユーザーテストを行うものですが、紙ではなくグラフィックソフトを用います。完成品に近いUIでシミュレーションを行うことで、より具体的なフィードバックを得ることができます。

オズの魔法使い

これは、システムの裏側で人間が操作を行うことで、いかにもそのシステムが動いているようにシミュレーションしてみせる手法です。ペッパープロトタイピング同様、早い段階でユーザーの反応を得ることができます。

コードプロトタイピング

この手法では、実際にコーディングして主要な機能を実装し、ユーザーテストを行うものです。いきなり完成品を構築するのではなく、まず最小限の機能だけを実装してユーザーの反応を見ることで、ユーザー要求が満たされているかどうかを段階的に検証できます。

以上のように、プロトタイピングにはいくつかの手法があるので、目的やフェーズに応じて最適な手法を選択することが重要です。またそれぞれの手法に合わせたプロトタイピングツールも販売・提供されているので、状況に応じて活用を検討してみてはいかがでしょうか。

次章ではDXを推進する上で、自社内で導入するシステムやサービス等のプロトタイピングを行うメリットについて解説します。

DX推進の際にプロトタイピングを行うメリット

社内利用する製品・サービスのプロトタイプの場合は、実験的にある部署・チームで試験導入するといったアプローチがとられますが、デジタルにおけるプロトタイピングではログデータを取得できるというのが特長です。この点を踏まえ、DX推進の際にプロトタイピングを行うメリットを以下2つご紹介します。

チームメンバーの認識を統一できる

プロトタイピングを通じて、完成品のイメージを具体的に共有することができるので、チームメンバーの認識を統一することができます。またプロジェクトの途中から参加したメンバーにとっても、仕様書に加えてプロトタイプがあることで、具体的なイメージを早急に掴むことが可能です。参加時期に関わらず、メンバー全員が足並みを揃えて業務を進めていくことができるので、手戻り作業を最小限に抑えられます。

早期に社内のニーズ・インサイトを汲み取れる

プロトタイプを用いることで、社内にニーズがあるかどうかを早い段階で把握することができます。プロトタイピングの結果、ニーズがあればユーザー要求に沿って開発を進めることができ、もしニーズがなかったとしても開発リソースを無駄にしてしまうことを防げます。またログを取れる状況でプロトタイピングを行えば、ログデータから定量的に仮説検証を行うことができます。場合によってはユーザー自身が気付いていない要求をも発見でき、早期にシステムに反映することができるのです。

このように、プロトタイプを元に議論すれば、ユーザー・開発メンバー問わず、すべての関係者がシステムに対して同じ認識を持った上で検討・議論できるようになります。一方でこのプロトタイピングは、やり方を間違えると逆に時間を浪費してしまう危険性も有しています。次章ではプロトタイピングの際に気を付けるべきポイントを説明します。

プロトタイピングを行う際のポイント

仮説検証や軌道修正を前提とするアプローチ、柔軟性・スピード感が求められるDXの現場においては、プロトタイピングを行うことが常態的になってきていますが、以下3つのことに注意する必要があります。

プロトタイピングの完成度を求めすぎない

プロトタイピングはあくまで試作であり、完成品作成のための気づきを得るための手段なので、細部まで作り込んでいては時間が無駄になってしまいます。セキュリティといった非機能要件は元より、検証に必要ない機能やデザインまで実装しないように注意しましょう。

1度のプロトタイピングで諦めない

プロトタイピングで想定していた反響・結果を得られなかったということは頻繁に起こります。1度のプロトタイピングで開発を諦めてしまっては検証の意味がないので、フィードバックをもとに何がダメだったかを分析し、改善を加えて再度プロトタイピングを行いましょう。

DXに終わりはないことを理解する

DXの現場は、常にデータが更新されていき、ソフトウェアもそれに応じて進化し続けます。自社のサービスやビジネスを無事ローンチできたとしても、テクノロジーの進化に合わせて変化させ続ける必要があるため、プロトタイピングの状態を続ける必要があります。DXに終わり(完成形)は存在しないということです。

まとめ

プロトタイピングとは、製品開発の初期フェーズに完成品の試作品を作ることによって、ユーザーのニーズ・インサイトを分析・検証したり、開発メンバーの認識をすり合わせたりするアプローチでした。

あなたの会社でDXをより効率的に進めていきたい、ユーザーの真意・要求に沿ったツールを開発したいという要望があれば、今回ご紹介したプロトタイピングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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