基幹システム導入の進め方とポイントを紹介

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援

17.Nov.2020

DXの推進が叫ばれる現代では、ITの技術によって業務を効率化したり、蓄積した業務データを経営に役立てたりするために、基幹システムの導入が必要不可欠なものとなりつつあります。とはいえ、どのように基幹システムの導入を進めていけば良いのか分からないという方も少なくないのではないでしょうか。

基幹システムの導入は一部のプロジェクトメンバーのみで進めるのではなく、組織全体で一丸となって進めていくことが何よりも重要です。今回は、基幹システム導入の進め方とポイントについて詳しく紹介します。

基幹システムとは?

基幹システムとは、会社を運営する上で根幹となるシステムのことを指しています。ひとつの機能だけではなく、販売や会計など、複数の機能を備えているのが一般的です。ここでは、基幹システムについて具体的に解説します。

基幹システムでできること

基幹システムに含まれる機能として代表的なものには、販売・生産管理、仕入れや在庫管理、会計システムや人事給与システムなどが挙げられます。業種によっても重要な機能は異なりますが、例えば製造業では損失を最小限に抑えるために在庫管理の徹底が必要不可欠と言えるでしょう。在庫状況の実態を把握できなければ余分な不良在庫が発生したり、キャッシュフローが悪化したりする可能性があるからです。

生産計画から納品までの一連のフローを統括する販売管理システムも、基幹システムの一部として扱われます。また、小売業では在庫が過剰になりすぎないように仕入れ管理がとりわけ重要になります。

会計システムや人事給与システムは、人の手で長時間かかる作業の効率化を図る機能が多数搭載されており、勤怠状況から給与を自動計算するなど、日々の会社運営に欠かせない事務作業を短縮できます。同時に企業の財政状況を可視化する役割も兼ね備えており、今後の企業経営を左右する重要なデータを収集する役目を果たします。

業務システムやERPとの違い

業務システムとは、生産管理や在庫管理、給与システムなど、ある業務に関わる処理を行うシステム単体を指しています。一方、ERPは「統合的な業務システムの総称」で、各業務システムをひとつに統合したパッケージやクラウドのシステムのことです。

「Enterprise Resource Planning」の略称であるERPは、企業のあらゆる業務を統合し、データ連携によって得たデータを経営に活かすことを目的のひとつとしています。基幹システムとほぼ同じ意味の言葉として使われますが、ERPは「よりデータ連携を重視した仕組み」という意味合いを強く持っています。

基幹システム導入のメリット

基幹システムを導入すると、企業運営を進める上でさまざまなメリットを受けられます。ここでは、導入のメリットについて詳しく紹介します。

業務効率化・省人化・標準化

大きなメリットのひとつとして挙げられるのが、通常業務の効率化です。従来人の手で行っていた業務をシステムに任せることにより、大幅な手間の削減や作業時間の短縮を図ることができます。例えばこれまでFAXを利用していた仕入れ処理をシステムに切り替えると、手書きで商品や数量を記入する必要がなくなり、記入漏れなどによる発注ミスも防げます。

また、これまで人間が担っていた業務をシステムが代わりに処理することにより、省人化が進み、人的コストの削減にもつながるでしょう。事務作業などの付帯業務に追われるばかりで、本来取り組むべきコア業務がおろそかになっている企業や職場は少なくありません。基幹システムの導入は無駄が膨らんでいる状況を改善し、リソースを効果的な場所に再配置することを可能にします。

さらに、システムによる業務の標準化も見逃せません。ある業務を特定の担当者に依存する形で割り振ってしまうと、独自のフローができてしまい、急遽他の担当者が業務をこなそうと思ったときに正しい手順が分からなくなってしまうことはよくあります。担当者が複数いると、それぞれ異なるやり方で業務を進めている場合さえあるでしょう。

基幹システムの導入は基本的な業務を標準化し、誰でも同じ手順で同じ結果を得られるようにするための第一歩でもあるのです。

経営状況の可視化

基幹システムが収集するデータは、経営状況を可視化し、経営層が次の判断を適切に行うための重要な手がかりになります。

例えば自社の在庫状況を正しく管理できていなければ、想定していたよりも不良在庫が膨らみ、損失が拡大するおそれがあります。正しい販売数が分からなければ仕入れ量の判断を誤り、売れ残りが多く発生する可能性もあるでしょう。自社の持つデータを目に見える形にすることは、より効果的な経営を推し進める上で重要な施策のひとつと言えます。

一般的な基幹システム導入の進め方

ここでは、よくある基幹システム導入の進め方について紹介します。

企画

最初に自社の既存システムの利用状況や問題点、システム環境などを分析し、次期基幹システムに必要な機能を列挙します。続いて、その機能をあらかじめ備えているパッケージまたはクラウドサービスのERP製品や、自社の要望に沿った開発を進められるベンダーを選定してシステム導入に向けた社内プロジェクトを発足します。

要件定義

自社の業務を詳細に分析し、システムに対応する機能と紐づけながら要件定義を行います。どのような機能が必要なのか、どんなデータを閲覧・出力しなければならないのか、帳票はどういった形式なのかなど、要件が詳細に定義されていればいるほど、ベンダーから正確な見積を入手できます。

実装

開発委託先のベンダーと要件のすり合わせが終わったら、実際に基幹システムの設計と開発が進められ、実装段階に入ります。基幹システムの中でも「業務統合システム」とも呼ばれるERPシステムは、自社が持つさまざまなデータを経営に反映させる目的でよく使われます。開発が終わったら機能ごとにテストを実施し、システムが期待通りの品質に仕上がっているか確かめます。

運用

基幹システムの導入完了後は、安定的に運用を続けられるように社内の管理体制を整えることも大切です。教育が行き届いていないと、せっかく導入したシステムが十分に使われずに終わってしまうことにもなりかねません。導入を担当した社員以外にも、システムの利用者と管理者が使い方をしっかり把握できるような丁寧な教育が重要です。

とはいえ、ここまでに述べてきたのはあくまで実装側にとってのスムーズな手順であり、理想形のひとつに過ぎません。実際には現場側の業務の変化への抵抗や、ITリテラシーの低さから、この通りに上手くいくことはほとんどないといってよいでしょう。

これからの基幹システム導入のポイント

基幹システム導入は、管理者や情報システム部門が独自で進めるのではなく、組織が一丸となって進めていくことこそが成功の秘訣です。そのためには社内全体を巻き込んだ次のような施策をとる必要があります。

基幹システムを社内浸透させるためのコミュニケーションプラン作り(チェンジマネジメント)

「なぜ基幹システムを導入・刷新する必要があるのか」を経営者自ら社内全体にしっかりと説明し、理解を得ることが大切です。この時、どのような部分が変わるのかを具体性を持って説明すると良いでしょう。例えばこれまで紙で行っていた発注作業の所要時間がシステムに切り替わることによって〇%ほど短縮される、全体の効率化で残業が〇時間削減されるなど、明確なデータを用意して説明にあたります。

実際に導入を開始するフェーズでは、システムの利用手順や使い方を簡潔かつ丁寧に説明し、マニュアルも用意して誰にでも分かりやすい教育を心がけましょう。システムの導入状況が現段階でどこまで進んでいるのかを適宜フィードバックすることも重要です。常に組織全体を見渡し、すべての社員が置き去りになることのないよう、コミュニケーションを密にすることが大切になります。

組織と業務を変えるプランづくり

基幹システム導入の際には、ただシステムを取り入れるだけでは期待通りの効果は得られません。社内の現行の業務を洗い出し、非効率な部分があれば組織や業務そのものを改善するプランづくりを進めることで、システムと現場がマッチして導入の成功に結び付きます。

労力が必要になる作業だからこそ、現場の協力は不可欠です。そのためにも、システム導入に対する現場の理解を得ておかなければなりません。

開発ベンダーに丸投げしない

開発ベンダーにすべての工程を丸投げすると、想定とは異なるシステムが出来上がってしまう可能性が高くなります。そのようなことを防ぐためにも、定期的に自社のプロジェクトメンバーと開発ベンダーで進捗会議を開き、進行状況をヒアリングして、自社の要望が適切に反映されたシステムになっているか確認しましょう。

一度完成したシステムを作り替えると、本来必要なかったはずの時間とコストがかかります。不必要なコストを発生させないためにも、プロジェクトメンバーが積極的にかかわっていくことが大切です。

まとめ

この記事では基幹システム導入の進め方とポイントについて解説してきました。従来の基幹システム導入は、一部の関係部署やプロジェクトメンバーのみが進めていく流れが一般的でした。しかし、そのやり方では組織全体にシステム導入を進める理由やメリットが浸透せず、システムを導入しても期待通りの成果が出ない可能性があります。

現場の協力を得るためにも、基幹システムを導入する必要性をしっかりと説明し、社内全体を巻き込んで理解を促すように経営者自ら働きかけていくことが重要です。

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