官僚主義とは?官僚主義のデメリット、官僚主義を脱する方法を解説

官僚主義という言葉は、一般的に肯定的な文脈ではあまり使われないかもしれません。しかし、組織が官僚主義的であることは本当に良くないことなのでしょうか。本記事では官僚主義の特徴や問題点、組織が官僚主義から脱する方法について詳しく解説します。

官僚主義とは

官僚主義の一般的な定義は、「新しいことを拒み、古くからの慣習を尊重する組織のあり方」です。この場合の官僚とは、国家の中央省庁に勤める役人のことを指します。中央省庁は国の中でも大きな組織であり、膨大な人数の官僚を抱えています。組織の大きさだけでなく、民間組織とは性質が異なるということもあり、古くからの慣習がなかなか変わらないのはある意味当然のことなのかもしれません。
しかし、民間企業を含めた他の組織が官僚的になってしまうのはなぜなのでしょうか。

組織が官僚主義に陥る要因とその問題点

組織が官僚主義に陥る背景にはさまざまな要因があり、組織が官僚主義的になることでさまざまな問題が生じます。ここでは3つの要因とその問題点をご紹介します。

経路依存性

第1の要因として、経路依存性が挙げられます。これは、既存の方法ですでにうまくいっているため、その成功体験に固執して変化を求めようとしないというものです。変化のないところにイノベーションは起こりえません。また、日々変わっていく世の中の状況に対する情報収集をしようとすらもしなくなります。そのため、官僚主義に染まった組織は、まるで鎖国した国のように時代に取り残されてしまいます。

また、現状がうまくいっていることで、管理職や経営者が自らの判断に自信を持ちすぎてしまうこともあります。すると、頑なになって外部の意見を求めたり参考にしたりしようとしなくなり、融通が利かない組織の状態を招きます。
さらに組織の内部では、官僚主義が人の評価にも影響を与えます。新たなチャレンジを試みる人が評価されず、代わりにミスをせず正確に仕事をこなす人が評価されるようになります。これではチャレンジの意欲がある人材は定着せず、自律型の人材も育成できず、当事者意識を持たないぶらさがり人材ばかりの組織になってしまうでしょう。

権力の集中と固定化

組織が官僚主義に陥る2つ目の要因は、権力の集中と固定化です。うまくいっている部署に権力が集中し、固定化してしまうことで、権力のない立場の部署やメンバーがその状態に異を唱えたり変えたりすることが難しくなります。
このような状態の組織では、自部署や自部門の立場や権限を守ることが優先されるため、部署や部門を越えてメンバー同士で協働することがなくなり、トップダウンの指示や方針に対して右にならえをするようになります。管理する層は力を誇示し、管理される層は権力のなすがままとなっている状態です。

業務の固定化と組織学習の阻害

3つ目の要因は業務と学習です。変化のない環境で、固定された業務を繰り返しやり続けるようになると、人はやがてその業務に熟練していきます。要所を抑えて作業するようになる一方で、手を抜くポイントを見抜いて、できるだけ楽をするようになります。

しかし、企業という組織は変革なくして成長しえません。一見、長年変化がないように見える製品やサービスであっても、実際は市場の環境や顧客の状況、競合他社の状況などは変化し続けているため、企業は日頃から学び続け、常に変革し続ける必要があります。しかし、マネジメント側からの問題提起や学習機会の提供がないままでは、多くの従業員は一見変化のない目の前の業務から学ぶべきことを見つけることができません。そして、主体的に情報をキャッチアップして学ぼうという意欲も、やがて失われてしまうのです。

これらの特徴は、大企業病の症状と似ています。ここからは大企業病についても解説します。

大企業病とは

大企業病は明確にこういった状態だと定義されているわけではありませんが、多くの場合、企業の中の風通しが悪い状態、企業での意思決定が行われるまでに多大な時間やプロセスを要する状態を指します。官僚主義とほぼ同義であり、ネガティブな意味合いで使われることがほとんどです。なお、大企業病は実際のところ、大企業だけではなく中小企業やベンチャー企業、個人レベルでも発生しうるものです。
以下のような大企業病の症状は、官僚主義的になっている企業にも当てはまるものが多いです。

  • リスクをとることを恐れる
  • 企業体制が内向きで現場や市場の声が経営に届かない
  • 管理者が保守的で動かない
  • 社員は与えられた仕事をこなすだけで、主体的に考えたり動いたりしない
  • ぶら下がり気質の社員が多い
  • チームや組織全体の意思決定が遅い
  • 社内稟議や承認フローなどに手続きが多い

うまくいっている企業ほど官僚主義に注意が必要

大企業病が中小企業や個人単位でも起きる、よくありがちな状態であることと同様に、官僚主義も大なり小なりどこかで起こりうるものです。また、企業が拡大していくとやはり自然と生じるものだともいえます。

プロダクトライフスタイルという考え方があります。プロダクトは「導入期」「成長期」「成熟期」「飽和期」「衰退期」の流れで変化していくというものです。これは組織自体においても当てはまります。

官僚主義は、企業が順調に伸びている場合には、さほど問題にはなりません。プロダクトライフスタイルでいう、ちょうど成長期や成熟期あたりを指します。組織が大きくなっていく中で、工程分業、仕組み化をするのは当然の流れで、官僚主義的な組織の方がうまくいくこともままあります。
しかし、飽和期や衰退期に差しかかってしまったときでも官僚主義のまま変わらないでいると非常に危険です。組織がどのタイミングでどのような状態になるのかを予測し、どのような組織のスタイルをとっていくかを見極めることも重要といえるでしょう。

では、官僚主義が適さない状況で官僚主義に陥ってしまった企業が、そこから脱するためにはどのような方法をとるべきなのでしょうか。

官僚主義を改善する方法

ここからは、官僚主義を改善する方法を解説していきます。

別組織・別会社を作り、新しい事業を始める

組織を別に立てて新たな事業を始めることは非常に効果的な方法です。たとえ会社の一部であっても、イノベーティブな活動に注力する組織があれば、組織や人が「変わるべき」という企業風土が新たな組織と既存組織の間で共有されるようになるでしょう。
また、新たな組織を軌道に乗せるには多大なエネルギーを要します。保守的で排他的な官僚主義のままでは組織運営は成り立ちません。自然と官僚主義から脱却しようという風土が生まれるはずです。

組織の形を変える

組織構造を変えることは、組織が官僚主義に陥る要因の一つである「権力の集中」を排除することが目的です。

組織構造を変えた国内事例としてパナソニックがあります。パナソニックは2019年に前年の3倍、過去最高益という優秀な利益を叩き出したにもかかわらず、黒字リストラを敢行したことで話題となりました。理由は業務のAI化や賃金の負担軽減などいくつかありますが、その中に権力の集中をなくす目的もあったのです。中堅以降のエンジニアを若手と入れ替えることで企業体質を根本から変えたり、評価制度などを大きく見直したりすることで、社内の体制における新陳代謝を促しました。パナソニックだけでなく、黒字リストラを行うことで組織構造を変えようとする大企業はいくつもあります。

人や組織を変える

昨今は、働き方改革やコロナ禍におけるテレワーク導入などにより、企業が社員の働き方に関する制度を変える機会が増えています。こうした機会をうまく利用して、社内に変革を浸透させていくことも有効だといえるでしょう。まずは評価制度を変えたりといった制度の見直しから始めて、固定化した制度や人員の配置、組織の枠組みを徐々に動かしていきます。変わっていくことが恒常的になれば、組織の文化が変わり、官僚主義から脱却することも可能です。変化すること、チャレンジすることを恐れない文化は、既存事業のイノベーションや新規事業の創出にもつながっていくでしょう。

まとめ

企業が官僚主義に陥ると、この不確実な時代で企業が生き残るために必要な自律型人材が育たなくなってしまいます。プロダクトライフスタイルのサイクルの中で飽和期や衰退期に入った企業は、大企業病に陥るリスクも高まります。定期的に自社の現状に対するチェックを行い、その結果によっては官僚主義から脱却するための、組織改革や、組織文化の変革が必要になるでしょう。もし自社が官僚主義的で、それを打破したいとお考えの場合は、ソフィアまでお気軽にお問い合わせください。

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