SDGs経営とは?企業がビジネスの発展のために取り組む価値を解説

#サステナブル#SDGs

02.Sep.2020

SDGsへの意識が社会において確実に高まりを見せ、日本においてもSDGs経営を導入・推進する企業が増加してきました。しかし、SDGsへの取り組みを考えてはいるものの、取り組む価値や、具体的にどのように導入・推進していくのかなど、クリアにできていない企業が多いことも事実です。今回は、企業経営にSDGsが必要な理由、SDGsを経営に統合するための実際のステップを解説します。

企業にSDGs経営が必要な背景

SDGsとは、2015年に国連で採択された、持続可能な社会を構築することを目指した17の開発目標です。17の目標は世界が直面している課題の解決に向けて設けられていますが、これらの課題はこれまで、先進国の経済合理性などの点から対応が後回しにされてきたものです。しかし昨今、経済のグローバル化や世界全体の持続可能性といった観点から、国際機関や各国政府はもとより、企業がこれらの課題に対して今まで以上に積極的に責任を果たすことが求められるようになってきたのです。企業にSDGs経営が必要となった、具体的な背景を解説していきます。

企業経営におけるリスクとチャンスになり得る

2030年までにSDGsが達成されると仮定すると、それまでに年間12兆ドルの新たな市場機会が生まれうるといわれています。SDGsに取り組むことは、長期的に見れば企業経営において大きなチャンスとなり得るのです。

例えば、SDGsによって新たなチャンスを切り開いた事例として、株式会社日本フードエコロジーセンターの取り組みが挙げられます。同社では廃棄食品を引き取って液体飼料を製造し、それを養豚農家に供給するしくみをつくりました。さらに、この液体飼料を一定割合以上使用して育てられた豚肉のブランド化も行い、養豚業者から小売り、消費者まで巻き込んだ「ループサイクル」の構築にも成功しています。SDGsが新たな市場を開拓した好例ではないでしょうか。

企業にとって、SDGsに取り組むことはチャンスにつながり、取り組まないことがリスクとなる時代でもあります。SDGsに取り組まない企業は、社会的課題解決への責任を果たさない企業としてサプライチェーンから外されることも起こり得ます。

エネルギーや環境問題など、視野を広げ、これまで以上にさまざまな社会的課題に企業が取り組むことが求められるようになっています。これらの社会的要求に応じることで、「SDGsに取り組むためにビジネスモデルを変える必要にせまられる」という可能性もあります。

企業経営においては、単にSDGsの17目標を達成すれば良いわけではなく、それらを通じてどのように市場機会を得ていくのか、マーケット、ニーズの変化を注視し、導入・推進していくことが必要です。

ESG投資の拡大

また、企業がSDGsに取り組むメリットとして、近年加速・拡大するESG投資が挙げられます。ESG投資とは、長期的な視点から事業の社会的意義、成長の持続性などに着目し、環境(E)社会(S)企業統治(G)に優れた企業へ投資するという考え方です。CSR活動は慈善事業的な意味合いが強く、CSRへの取り組みがビジネスに変わることはあまりありませんでしたが、ESG投資の加速により、SDGsへの取り組みを行わないことによる経営的なインパクトが大きくなっています。

SDGsが掲げる17の開発目標は社会問題、環境問題など、非常に多岐にわたります。SDGsに取り組むことは、こういった諸問題の解決に貢献することであり、そういった企業の姿勢はESG投資の点においてポジティブな影響を与えます。

今後消費者・従業員の中心となるミレニアル世代の存在

ミレニアル世代はSDGsネイティブであり、今後世界における環境破壊や経済格差などの問題が拡大した場合にはそのゆがみや負荷を大きく被る世代です。そのため、貧困や差別、環境問題などSDGsの開発目標となっている各種社会的課題に対して敏感で、こういった課題を解決したいという意識を強く持ちます。消費者として企業の商品やサービスを利用する基準の1つとなるのはもちろん、従業員としても鋭いまなざしで企業の姿勢や取り組みを見つめています。SDGsへの適切で積極的な取り組みは、今後の社会の中心的存在となるミレニアル世代に魅力的に映り、採用や従業員エンゲージメントに好影響を与えるはずです。

SDGs経営を進める5ステップ「SDG Compass」とは

では、実際にどのようにSDGs経営を進めていけばよいのでしょうか。

これからSDGs経営への取り組みを進めていこうと考えている企業も多くあることでしょう。SDGsの導入・推進にあたって、ガイドとなるのが「SDGs Compass」です。SDGs Compassは、SDGsを導入・推進していくための企業行動指針をまとめたもので、次の5つのステップから構成されています。

  • SDGsを理解する
  • 優先課題を決定する
  • 目標を設定する
  • 経営へ統合する
  • 報告とコミュニケーションを行う

SDGs Compassが示す5ステップを解説していきます。

SDGsを理解する/コミットする

まず、企業がSDGsを理解することが最初のステップです。SDGsとは何なのか、なぜ企業が取り組むのかを正しく理解し、コミットできなければ、SDGs経営を導入し、推進していくことはできません。

実際、SDGsが「CSR活動」とは異なるものであることを、社員が理解していない場合もあります。「企業の社会的責任」という意味のCSRは、SDGs以前から知られている概念であり、すでにCSRに対応するための部署などをもうけている企業もあるでしょう。

CSRは、企業が消費者や従業員、地域社会といったステークホルダーから信頼を得るために行う社会貢献活動という位置づけです。一方、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、世界が直面するさまざまな社会的課題に対して、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包括性のある社会を実現するために掲げられた、国際社会が達成すべき17の開発目標です。またそれぞれの開発目標には細かく「ターゲット」が設けられていて、17目標合わせて169ターゲットから構成されており、非常に広範囲で多岐にわたります。

企業が中心となってSDGsの課題に取り組み、責任を果たすことが強く求められていること、また、このような課題の解決に取り組むことは、新たな市場開拓のチャンスとなり、企業の成長につながることを、すべての社員が理解しておく必要があります。今後ミレニアル世代が社会の中心的存在となっていく中で、SDGsに取り組むことは、企業価値を高め、また従業員のモチベーションを向上させて離職率を低下させることにも貢献するでしょう。

説得力をもってSDGsを導入・推進していく上では、このように、企業としてSDGsに取り組むことの意義を理解しておくことが必要不可欠です。一方、SDGsの目的やその本質の理解が不十分なままSDGsの導入・推進を行えば、企業の取り組みとSDGsが意図するものとの間にズレが生じることでしょう。これは意図しない「SDGsウォッシュ(後述)」や、企業の評判の低下につながり、企業の存続を脅かすリスクにつながります。

他社がやっている、経済産業省や環境省が推進している…といった受け身の姿勢や場あたり的な取り組みにならないようにすることが重要です。

優先課題を決定する

次のステップが、優先課題の決定です。17あるSDGsは非常に広範で多岐にわたり、1つの企業がすべてを等しく取り扱うことはできません。各企業の現状、特性に合わせて優先課題を決定することで、取り組みの重点化を図ることができます。

企業は、バリューチェーンの全体を見渡し、自社のバリューチェーンのマッピングから影響領域を特定することで、どのような取り組みに集中すべきか知ることができます。

優先課題を決定する中で注意が必要なのは、サプライチェーンの中の各セクションや関係会社がSDGsに準じているかどうかを管理しきれないという問題です。サプライチェーンが複雑であったり、各プレーヤーへの依存度が高かったりする企業では、すべてを把握するのが難しいと言えます。製造や管理を委託先に丸投げしている場合は、SDGsの理念に沿わない環境があったとしても、是正しにくい場合もあります。対外的にSDGsへの賛同を公表しているのに、サプライチェーンの把握・管理が適切にできておらず、何らかの問題が指摘された場合、むしろ企業イメージの低下を招くことにもなりかねません。サプライチェーンの運営やマネジメントの体制を把握することで、ある程度のリスクはコントロールできるようになるでしょう。

目標を設定する

その次のステップとなるのが目標の設定です。ステップ2の「優先課題の決定」を土台とし、そこから、期限を設けた計測可能で具体的な目標を設定します。具体的な目標が設定され、明確になることによって、組織全体で優先課題の共有が促され、従業員のパフォーマンス向上が期待されます。

一方、この段階で「自社の事業とSDGsの目標にコミットできない」ことが問題なることがあります。SDGsへの取り組みは本来、事業とは別枠で行うのではなく、通常の企業活動の中で行っていくべきものです。「環境保護のための植林活動」など、自社の事業内容に関係ない活動では意味がありません。例えば、「自社製品の原材料を環境に配慮した素材に変える」など、企業の事業内容に即していることが求められます。CSR活動の延長上で考えるのではなく、経営を長期的な視点で革新するという覚悟で企業理念や経営方針との整合性をとりながらSDGsへコミットする取り組みを展開していくことが必要です。

経営へ統合する/自社なりのストーリー創る

設定した目標を達成するために非常に重要なのが、次のステップである経営への統合です。このステップでは、目標への取り組みに向け、「持続可能性」を中核事業と企業ガバナンスに統合していきます。

そのためにまず、自社の設定した持続可能な目標を企業に定着させることが必要となります。このとき、避けて通れないのが従業員の理解を得ることです。従業員の理解を得るには、なぜ自分たちがSDGsに取り組むのか、従業員が共感できるストーリーで伝える必要があります。例えば、持続可能な生産消費形態のために循環型の材料を使うことで、企業の収益は下がるかもしれません。それでもこの課題解決に取り組むのはなぜなのでしょうか。

なぜSDGsに取り組むのか、どうしてこの目標なのか、SDGs経営を導入・推進することで何がもたらされるのか、SDGsに取り組む根拠や意義を説明する、自社なりのストーリーを創ることが重要です。トップが積極的にリーダーシップを発揮し、取り組む根拠やその意義を伝え、ストーリーに沿った共通理解をもつことが求められます。そして、SDGsに取り組み、これを組織として推進していくためには、SDGsを担当部署だけの取り組みとせず、すべての事業部門の活動に持続可能性を組み込む必要があります。
各部門の理解と支持、主体的な取り組みによって、持続可能性は、事業戦略・企業風土として浸透していくでしょう。

報告とコミュニケーションを行う

最後のステップとなるのが報告とコミュニケーションです。

SDGsへの取り組みに関して、企業の目標やその達成度の情報を開示、報告を行い、コミュニケーションをとることは、ステークホルダーの要望に応えるだけでなく、企業の信頼や価値を高めていく面においても欠かせません。企業の信頼や価値を高めていくことは、企業のブランディングや従業員のモチベーションアップにもつながるはずです。

ここで注意すべき点として、「SDGsウォッシュ」があります。SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組んでいるように見せかけているものの実態が伴っていないような状態を指します。たとえば、サプライチェーンの管理が適切でない場合、下請け企業で不適切労働や環境に悪影響のある製造などが行われていても気が付くことができない可能性があります。たとえそのことを知らなかったとしても、結果的にSDGsウォッシュとして批判されてしまう恐れがあります。

このように、意図的ではないとしても、無意識のうちにSDGsウォッシュをしてしまっている場合があるので、注意が必要です。SDGsに対する正しい理解と、自社の活動全体の適切なマネジメントを行うことで、SDGsウォッシュを防ぐよう心掛けるのが大切です。

まとめ

企業がSDGsに取り組むことは大きなチャンスである一方、取り組まないこと自体がリスクとなる時代になってきました。社会が変化し、SDGsへの企業の積極的な取り組みが求められています。SDGs Compassをガイドにし、自社の現状や特性に合わせて、適切かつ積極的にSDGsを経営へ統合していくことが重要となってくるでしょう。

SDGsの掲げる開発目標は、これまでは個別の国や企業の経済的合理性にかなわず、対応を後回しにされてきた問題です。言い換えると、取り組むためにはコストのかかる問題ということになります。しかし、これ以上後回しにせずに今すぐ取り組むことで、社会全体が将来的に被る大きなコストやリスクを回避するとともに、市場機会につなげることができるのです。自分たちが活動していく市場の持続可能性を守るために、SDGsに取り組むことが企業の責任として求められています。

こういった背景をしっかり踏まえ、コンフリクトを恐れずに取り組んでいくことがSDGs経営に取り組む上では重要です。

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