インナーブランディングとは?インナーブランディングの定義、成功事例をご紹介

#インナーブランディング#コミュニケーション#ビジョン浸透#社内イベント#社内報

06.Apr.2020

近年、雇用の流動化や求人倍率の高まりを受け、人材流出防止に取り組む企業が増えています。例えば社内イベントや新しい人事制度の導入を通じて会社へのエンゲージメントを高め、組織のつながりを強くする取り組みなどです。
また、企業が新たな成長段階を迎えるにあたり、改めて自社の価値を見直し、新たな顧客価値の創出に取り組むケースも見られます。
こうした社内外の環境変化が起こる時、インナーブランディングは新たな変化に対応する有効な手段です。ではインナーブランディングとは、どのような取り組みなのでしょうか。今回はインナーブランディングの定義や成功事例についてご紹介します。

インナーブランディングとは?定義と目的について

組織開発やマーケティング分野でよく耳にするインナーブランディングとはいったい何なのでしょうか。また、通常のブランディングとはどう違うのでしょうか。その定義や目的について考えてみましょう。

インナーブランディングとインターナルブランディング

日本におけるインナーブランディングの第一人者のひとり、大妻女子大学短期大学部の甲斐莊正晃 教授によれば、「インナーブランディング」には様々な呼び名が存在しています。

【インナーブランディングの呼び名】
・インターナルブランディング
・インナーマーケティング
・インターナルマーケティング

上記はいずれも同じ意味を持つ言葉として使用されています。
本来であれば呼び名も統一すべきですが、明確な国際基準や定義が存在する自然科学の世界とは異なり、経験則を中心に研究が進められるマーケティングや組織開発の分野では用語の統一がなされていません。
そのため、使うシーンや使う人によって言葉が少し異なることが度々起こりうるのです。

実際にはインターナルブランディングという呼び方が正しいのですが、今日のマーケティングや組織開発の現場では、インナーブランディングの方が言葉として圧倒的に使われています。

大手広告代理店などでもマーケティング活動における社内向けのブランディング活動を「インナーブランディング」と呼んでおり、「インナーブランディング」というキーワードが広まった要因の一つと考えられます。

参考記事:
インターナルブランディングとは?  

インナーブランディングの定義

ではそもそも「インナーブランディング」とはどのような意味なのでしょうか。
インナーブランディングとは、企業理念や価値を定義し、自社の従業員に対して浸透と共感を促す活動を指します。

インナーブランディングの軸は、従業員一人ひとりが理解・納得した上で意識変革・文化変革をしていくことです。
企業を内側から変革し、企業価値を向上させ、より理想的な姿の実現を目指すもの、とも言い換えられるでしょう。

インターナルブランディングの具体的な施策としては、社内外への広報活動や社員研修などの教育活動に加えて、報酬制度や人事評価制度などの具体的なシステム改革も含まれます。

参考記事:
インナーブランディングに取り掛かる前に知っておきたい3つのこと。  

インナーブランディングの目的

ではインナーブランディングは、何のために実施するのでしょうか。そしてどのような効果が得られるのでしょうか。

インナーブランディングは「ブランドや企業の目標を実現するために、ブランド実現に向けた行動を社員一人ひとりが自分ゴト化すること」が目的です。

つまりインナーブランディングには、従業員や社内関係者が自ら進んで企業理念やブランドコンセプトに基づいた行動を行うことで、その結果、会社の目標達成や、ブランドが目指す価値を実現できる効果があるのです。

例えばスターバックスでは、「サードプレイス」という価値を顧客に提供しています。「サードプレイス」は、家でも職場でもないほっとできる場所を意味します。この「サードプレイス」という価値を実現するために、スターバックスの従業員はアルバイトであっても笑顔を絶やすことなく、コーヒー1杯に最高のサービスを行い、快適な店舗空間づくりを行っています。

このように企業が目指す価値を実現するには、従業員がその価値を理解し自ら積極的に価値を体現していかなければなりません。
従業員一人ひとりが価値を体現し、相乗効果が生まれブランド価値や企業目標が実現する状態をつくること。それにより社内の人間が持つ企業へのブランド価値(インナーブランディング)と、社外が企業に対して持つブランド価値(エクスターナルブランディング)の統一につながります。それこそインナーブランディングの最終目標です。

参考記事:
組織が内側から変わり、継続的な成長へ動き出す ~「組織変革」成功のポイントとは~  

インナーブランディングの手法

・社内報

企業のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やブランドメッセージを社員へ伝えるには、社内報が効果的です。
最近では媒体が紙面からWebへと移行しており、社内ポータルサイトに一元化されることもあります。

・クレド

クレドはラテン語で「信条」や「志」、「約束」を意味する言葉で、企業においては自社が活動する上でのポリシーやあるべき姿を簡潔に記したものです。
クレドを作成し、全社に共有、浸透させることで従業員の意識が一丸となる効果があります。

・社内イベント

業務から離れた社内イベントは、上司や同僚、部下の普段見られない一面を垣間見るきっかけとなります。
こうして人を点ではなく面で見ることで、関係性を一歩深めることができ、業務におけるコミュニケーションコストを下げることにつながります。

・ワークショップ

体験型であるワークショップを行うことで、企業が従業員に期待する行動やスキル、意識をより現場に即した形式で伝えることができるでしょう。
座学研修より運用が難しくなりますが、その分実施には意義があるといえます。

・マネジメント・カンファレンス

マネジメント・カンファレンスとは、経営トップと現場の社員が協議し、意思決定を行う対話形式の社内会合です。
経営トップから全社員に対して直接メッセージを発信することで、社員が目指すべき姿や、達成すべきビジョンへの理解を深めることができます。また、上からの意見だけでなく、下から上への相互交流を目的として行われるのが特徴です。

・日報

普段何気なく行われがちですが、日報もインナーブランディングのひとつです。
部下が何を考え、何を行っているかを把握するために有効です。

・サンクスカード

サンクスカードは、なかなか面と向かって伝えづらい感謝の気持ちをカードに託して同僚に贈るものです。ポジティブな想いを伝え合うツールは組織の構成員同士のつながりを強化します。

・SNS

社内専用のSNSを導入することで、部署や拠点の垣根を越えたコミュニケーションが実現できます。
大手企業になればなるほど「未知の同僚」も増えるため、こうした施策は重要です。

インナーブランディングの事例

では実際のインナーブランディングの事例をみてみましょう。

アンケート調査の事例:ライオン株式会社

衛生用品の大手ライオンでは、全社でインナーブランディングの取り組みを行いました。
「ライオンという会社がなんのために存在しているのか」という存在価値、アイデンティティを確立するため、広告部門だけでなく社長が先頭に立って全員が一丸となった取り組みが行われました。企業メッセージ「今日を愛する。」が社員の活動に落とし込まれることで、社員の商品開発に役立つだけでなく、社員ひとりひとりの行動が変わっていったそうです。さらには、こうした活動を通じて企業ビジョンが落とし込まれた商品が消費者に認められることで、「自社の価値を社員自身が自覚することで消費者にも伝わる」ことが実感できるようになりました。

参考記事:
お客様インタビューvol.4
「社員の『好き』がお客様に届くまで ライオン株式会社 ブランド浸透度調査」  

日報・社内報の事例:株式会社アイワード

株式会社アイワードでは、日報と社内報を組み合わせた取り組みを35年間にわたり実施しています。
全社員が毎日の仕事や生活での気づきを日報に書き、それに対し経営者や部門長がコメントをつけ会社に提出。その中から必要な情報を翌日「フォーラム」という社内報に落とし込み、配布する活動を行っています。社内報により全社業務が見える化され、経営者と社員の相互理解が深まり、社員が「自分の責任とは何か、その責任はどう果たせばいいのか」を考えるきっかけ作りになっているそうです。こうした取り組みにより、会社の目標実現に対する社員の自主的・自覚的な行動を促しています。

マネジメント・カンファレンスの事例:株式会社サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、役員がチームリーダーとなり社員とチームを組んで、サイバーエージェントの“あした”をつくる新規事業案や課題解決案などを提案する1泊2日の合宿を実施しています。
これまでに、あした会議で設立が決まった子会社は28社、生まれた会社による売上は累計で700億円、営業利益は100億円にものぼるそうです。この取り組みにより、社員は社長はじめ役員の視点を学ぶことができ、社内情報のキャッチアップ、会社を取り巻く状況についての理解を深め、新しいアイディア創出に寄与しています。

サンクスカードの事例:日本航空株式会社

日本航空では、個を高め、社員同士で讃え合う風土醸成のためにサンクスカードが導入されました。
勤務地の違う相手や他部門の人に感謝の気持ちを伝えるツールとして活躍しています。実施方法として、『褒めたいことがあったらカードを渡して』とだけ社内に伝え、明確なルールを定めないことで自然とやりとりが発生する雰囲気感を作ることに成功しました。その結果、自分の関わる仕事の前工程や後工程にも、それを支える社員がいると相互に意識することにつながり、マニュアルを超えたサービス向上につながったそうです。

クレドの事例:米ザッポス社

ザッポス社は靴のネット通販会社です。
カスタマーサービスの対応の良さが大きな話題を生んでおり、他社では決して模倣のできない独自の企業文化を築いていることでもよく知られています。

さらに、「Amazonがどうしても欲しかった企業」として買収されたことで輪をかけて有名になり、今では「全米のビジネスマンで知らない人はいない」というほどです。

そんなザッポスでは「コア・バリュー」という自社のクレドを設けており、社員が企業の代表として正しく意思決定をできるよう導いてくれています。
ザッポスでは社員それぞれの裁量が大きく、決断に迷うときにクレドを思い返すことで、原点へ立ち戻れるそうです。

逆にいえば、社員一人ひとりがコア・バリューをきちんと理解し、実践しているからこそ大きな裁量を委ねる体制づくりができている、インナーブランディングが成功した好例といいえるでしょう。

株式会社ニチレイフーズ

冷凍食品のパイオニアとして知られるニチレイフーズ。
同社が株式会社ソフィアと取り組む社内活性化プロジェクト「ハミダス活動」は、2018年11月の第1回消費者志向経営優良事例表彰にて「消費者庁長官表彰」を受賞しています。

ニチレイフーズでは従業員のモットーとして、「もっと、思いやりをもって」「もっと、チャレンジして」「もっと、楽しく」仕事をしよう!という想いを込めた「ハミダス(とらわれず、明るく)」を掲げています。
このモットーを全社に浸透させるべく、部署名に「ハミダス」を加えた「ハミダス推進グループ」を作り、ハミダス活動を進めるようになりました。

具体的には、営業活動支援、全国の工場での地域社会貢献活動・食育活動から、従業員同士のコミュニケーションを活発にするためのバーベキュー大会、社員旅行まで、さまざまな活動の運営・支援に取り組んでいます。

結果、現在では「ハミダス」という言葉が従業員の間で広く深く浸透し、同グループの活動にも理解と共感を得られ、ボトムアップの支援社員も増えてきているそうです。
また、社内用語でも「ハミダス」という言葉が多用されるようになり、自社に根づいていることが伺えます。

まとめ

インナーブランディングは、会社の価値を向上させ、持続的成長を実現するために社員や社内関係者の行動を変える取り組みです。
今回ご紹介した事例のように、社内の行動が変われば新たな価値が生まれサービスや製品の価値が向上します。

一方でインナーブランディングはとても時間のかかる取り組みです。
社内の意識や行動はそう簡単には変わりません。
インナーブランディングに取り組んでも、なかなか成果が見えず取り組みをやめてしまう企業も少なからず存在します。

インナーブランディングを成功させるには、本気で会社が目指す価値を実現するという強い思いを持ち、トップを巻き込んで全員で取り組む必要があります。
社内の行動が変われば、必ず成果が出るはずです。
長い目で、決してあきらめずに取り組みましょう。

関連サービス

お問い合わせ

「インナーブランディングとは?インナーブランディングの定義、成功事例をご紹介」の記事をシェア!

おすすめの記事