インターナルコミュニケーション

大企業向け:コミュニケーションインフラの必要性と整備手順を解説 

リモート/ハイブリッドワークが常態化した大企業では、「情報が届かない」「情報を探せない」「なかなか決まらない」といった状況が日常化しがちです。コミュニケーションインフラの整備を「ツール導入」で終わらせず、社内ポータルの運用・組織文化・ガバナンスまで含めて考える必要性が、いま改めて高まっています。本記事では、その考え方と具体的な整備の進め方を解説します。

なお本記事では、コミュニケーションインフラの範囲を「企業組織の内部におけるデジタルコミュニケーションのインフラ」を中心に扱います。対面施策や紙媒体の役割を否定するものではなく、全体最適の観点で整理していきます。

また、本文では「弊社ソフィアの調査では〜」として、大企業従業員を対象とした独自調査のデータをエビデンスとして引用しています。

コミュニケーションインフラとは

コミュニケーションインフラの定義と歴史的背景

コミュニケーションインフラをツールとして考えた場合、その歴史は端末の歴史と相互に関係しています。社外から連絡をとるときには公衆電話を探さなくてはならなかった時代から、必要なときにはポケベルで呼び出すことが主流となった1990年代、そしてケータイで自由に双方向の発着信ができるようになり、2000年代にはさまざまなコミュニケーションが行えるスマートフォンが誕生しました。

2000年代初頭FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSが広まり、2007年スマートフォンが発売されてから、SNSはいつしか仕事の生産性を上げることよりも、コミュニケーションの価値そのものを向上させることが重要になってきています。対話のために直接会う必要がなくなり、場所を選ばないコミュニケーションが当たり前の時代になりました。今後5Gがさらに普及することで、コミュニケーションの姿はいっそうの変革を迎えることでしょう。

一口に「コミュニケーションインフラ」と言っても、上記のように社会全体のコミュニケーション手段やネットワークを意味することがあるなど、その範囲は必ずしも明確ではありません。企業内のコミュニケーションにおいても、デジタル媒体にとどまらず、対面のミーティングや研修、冊子・ドキュメントなど紙媒体を用いたもの、電話やホットラインといったアナログなコミュニケーションの機会も多くあります。

こうした背景を踏まえたうえで、本記事では企業組織の内部におけるデジタルコミュニケーションのインフラに限定して詳しくご説明していきます。

一般的に、企業において「コミュニケーションインフラ」と言えば、組織内のコミュニケーションプラットフォームやコミュニケーションツールのことを指します。チャットアプリやテレビ会議システムなど、リアルタイムのコラボレーションを可能にするツール、あるいはCRM(顧客関係管理)システムをコミュニケーションインフラと呼ぶこともあります。

また、社内のコミュニケーションインフラにおける代表的なツールとしては、メール・WEB会議システム・社内SNSといった社内コミュニケーションツール、あるいはWEB社内報などの社内メディアが該当するでしょう。

大企業のDX推進部門・広報部門・人事部門(社内ポータル担当)の視点では、上記の「ツール」に加え、次の”運用・設計要素”もコミュニケーションインフラの一部として捉えると、プロジェクトが前に進みやすくなります。

  • 情報の置き場所(社内ポータル/チームサイト/規程DBなど)のルール
  • 検索性(タグ/分類/メタデータ/権限込み検索)
  • アクセス制御(権限/認証/ログ)
  • 運用体制(編集部、推進体制、問い合わせ窓口、教育)

コミュニケーションインフラの必要性が高まる背景

背景のひとつは、働き方の分散(テレワーク/ハイブリッド)です。厚生労働省は「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を公表し、ガイドライン本体や概要、チェックリスト等を示しています。働く場所が分散すると、連絡・意思決定・ナレッジ継承の”前提”が変わります。だからこそ、各社が自社に合ったコミュニケーションインフラを整備し直す必要性が高まっているのです。

さらに、テレワークは情報セキュリティの前提も変えます。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」は、テレワーク導入・活用にあたって必要なセキュリティ対策の考え方や具体策をまとめる趣旨で策定されています。平たく言うと、「どこでも働ける」を実現するには、「どこからでも安全にアクセスできる」がセットで必要、という整理です。

そして大企業ほど、組織の多層化・縦割り・拠点分散により、情報が「作られる場所」と「必要な場所」が離れやすくなります。ここでコミュニケーションインフラの整備が遅れると、属人化・サイロ化・重複投資が起きやすくなり、DXの失速要因にもなりかねません。

この点を裏付けるデータとして、弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションに「問題がある」と感じる回答が約8割に達しています。また、課題を感じる対象として「部門間」が最多だったことは、大企業の”横連携”を支える基盤整備の重要性を示唆しています。

  • 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html
  • 総務省「テレワークセキュリティガイドライン」: https://security-portal.cyber.go.jp/curriculum/torikumi/mic_telework.html

コミュニケーションインフラが必要な理由

コミュニケーションインフラの主なメリット

社内のコミュニケーションインフラを整えると、組織内の共通認識を確立し、社員同士の信頼関係を強固にするなど、さまざまなメリットが生まれます。そのためコミュニケーショントラブルが発生したときに仲裁やカウンセリングを行える中立的な社員、あるいはコミュニケーションインフラに特化した部署の存在は、企業にとって非常に重要と言えるでしょう。

では、コミュニケーションインフラが企業に必要な理由を、もう少し詳しく見ていきましょう。

組織間・社員間のコミュニケーションコスト低減

これまでの会社組織では、ジョブローテーションを取り入れ定期的に配置換えが行われていました。これはさまざまな部署を体験することで社員の適性や能力を開発することを目的としていましたが、人が部署間を行き来することで交流が生まれ、横のつながりを強化する役割も果たしていました。他部署の事情を知ることで、組織間や社員間で起きる問題を解消することができていたのです。

しかし近年は雇用形態の多様化や業務内容の高度化によってジョブローテーションの対象とならない社員が増え、自分の部署以外の事情が分からない、また興味がないという人が増えてきています。これでは社内でなにか問題が起こったときに、組織間でスムーズなコミュニケーションが取れず、解決が困難になってしまいます。

コミュニケーションインフラを整え、部署や部門を越えたコミュニケーションが活発になれば、組織間、あるいは社員間での問題の解決に役立つのです。

弊社ソフィアの調査でも、問題意識の対象として「部門間」が最多で挙がっています。また、当事者が感じる課題として「業務に関連する情報が共有されない」「共有が遅い」「欲しい情報がどこにあるか分からない」といった”情報流通”の問題が上位に挙がっており、インフラ整備が「共有・検索・意思決定」のコストに直結することが示唆されます。

多角的な視点とコミュニケーションによる生産性向上

社員や部署が業務上の課題を抱え、その部署内だけで解決しようとすることはよくあります。しかし部署内だけでは解決できないような課題に直面したとき、コミュニケーションインフラが整備されていないと往々にして解決に時間がかかります。

特に課題解決において他部署と利害関係が一致しない場合には、部署間で調整を行ったり、企業全体としてリソースを投資したりする必要があります。しかし、相談できる相手を探して連絡を取る手段や、気軽にコミュニケーションを行える場があらかじめ設けられていない場合には、手探りで人を探すところから始まり、上長を介して他部署に話を通したり、会議体を定義したりと、なかなかスムーズに進まないものです。

コミュニケーションインフラを整え、相互理解が進むことで、困難や問題に直面したときに手を差し伸べてくれる、あるいはともに手を取り合って解決に向かう風土を社内に育むことができるでしょう。その結果として、業務の成果を上げることも可能になります。

ここで重要なのは、情報が「ある」だけでは不十分で、必要な人に「届く/見つかる/使える」状態にすることです。社内ポータル担当者の観点では、検索性(タグや分類)・導線設計・更新頻度が、生産性に直結します。

意思決定スピードの向上

社内で意思決定が必要な場面においても、コミュニケーションインフラが整っていないと時間がかかりがちです。お互いの業務内容をよく理解していないことが原因で、それぞれが自部署の権利を主張するためにまとまらない……という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

こうした問題を解決するうえで、コミュニケーションインフラは有効です。たとえばTeamsなどのコラボレーションツール上に、社内で進行中のすべての案件について個別のチームを作成し、その中で業務上のやりとりをするようにすれば、他の社員や部署がどのような業務を行っているかを把握しやすくなります。適切な意見を出し合うことで業務効率が高まり、相互理解が進む結果として、意思決定のスピード向上につながります。

また、文脈ごとにエビデンスを残せるため、「言った・言わない」というコミュニケーショントラブルの回避にもつながります。

意思決定を速くするには、ツール上の”会話ログ”だけでなく、「決定事項」「根拠資料」「担当・期限」が後から参照できる形で残ることが重要です。社内ポータルやプロジェクト管理ツールと連携して、意思決定の検索性を担保できると、属人化を防ぎやすくなります。

デジタルワークプレイスの推進

政府による働き方改革の推進や関連法案の成立などを背景に、国内でも在宅勤務やテレワークが少しずつ広がりつつありました。しかしコロナ禍により、望む・望まないにかかわらず、リモートワークを強制的に取り入れなければならなくなった企業も多くあったことでしょう。社員が離れた場所で個々に作業を行うようになった結果、お互いの業務が見えにくくなり、進捗共有のための時間が増え、多大なコミュニケーションコストが発生するなど、さまざまな問題に直面した企業も少なくありません。

デジタルワークプレイスを取り入れることで、社員がどこからでも同じ環境で情報を共有し、互いの業務の見える化ができるようになります。別々の場所で働いていても社員のエンゲージメントを高めることが可能です。コミュニケーションインフラをしっかり整えることで、相手の状況が見えないことによる不安や管理者のコミュニケーション負荷を軽減し、働く場所にとらわれない安定した企業運営が実現できます。

この”どこからでも働ける環境”を運用する際は、厚労省のテレワークガイドラインにあるように、ガイドライン本体・概要・チェックリスト等を参照しつつ、労務・安全衛生・運用の観点も含めて整備することが現実的でしょう。

  • 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html

ウェルビーイングの観点からの整備

「ウェルビーイング(well-being)」とは、身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味する概念です。これは個人に対してだけではなく、グループや企業に対しても用いられます。

これまで企業は労働者の健康管理について、あくまで「身体的な健康が損なわれない」ことを重視してきました。しかし近年では企業に貢献する人材を守り、安心して働き続けられる環境を作るという意味で、組織としての「ウェルビーイング」を考えることが重要視されるようになっています。

ウェルビーイングの視点から企業を見たとき、健康的な組織は「モチベーションが高く、生産性が高い」場合が多いと言われています。社員のモチベーションを高め、組織を健康的に保つためには社内においてストレスなくコミュニケーションが取れることが不可欠です。ウェルビーイングの観点からも、コミュニケーションインフラを整備することは重要と言えるでしょう。

コミュニケーションインフラの整備方法

整備プロジェクトの全体像

ここまで、コミュニケーションインフラが必要な理由を整理してきました。では、実際にどのように整備を進めればよいのでしょうか。

整備を「プロジェクト」として進める場合、次の順番で考えると迷いが減ります。

  • 目的(何を減らし、何を増やすか)
  • 範囲(どこまでを”インフラ”として整備するか)
  • 体制(推進/運用/ガバナンス)
  • 要件(情報設計、ツール、権限、ログ、検索)
  • 導入(移行・教育・コミュニティ)
  • 定着(利用促進施策、コンテンツ運用)
  • 効果測定(KPI設計→改善)

整備専門チームの設置

コミュニケーションインフラを整備しようと考えたとき、多くの企業が情報システム部や人事部などにその役割を任せようとします。しかし、コミュニケーションインフラの整備に真剣に取り組むのであれば、整備専用チームを新たに設けることが効果的です。

すでにできあがった部署はたいてい多くの業務を抱えており、新たな業務を受け入れる余裕がなかなかありません。特に「コミュニケーションインフラ」のような目に見えにくい成果が求められる業務は後回しにされやすく、やがて構想自体が自然消滅してしまう可能性があります。

コミュニケーションインフラを整備するのであれば、その業務にだけ集中できる人材をそろえ、予算を投下したうえで一気に進めることをおすすめします。

大企業向けの補足として、専任チームはDX推進・情報システムだけでなく、広報・人事(社内報/社内ポータル)・法務・セキュリティ(CISO室等)を巻き込めると、後段の「個人情報」「監査」「ルール整備」で止まりにくくなります。個人情報保護委員会のガイドラインは、事業者が個人情報の適正取扱い確保の活動を支援する目的で、具体的指針として定められています。

  • 個人情報保護委員会ガイドライン: https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/

コミュニケーションの現状把握と課題共有

コミュニケーションインフラを整備する際には、まず現在の社内コミュニケーションにどのような問題が生じているかを把握し、課題を共有することが必要です。

たとえば、リモートワークを行ううえで問題となるのは、ITインフラを利用する以外にコミュニケーション手段がないことです。顔を合わせて仕事をしていれば天気の話やニュースの話題など、仕事上の会話以外も自然と生まれるものですが、表情の見えないリモートワークでは、そうした気軽なコミュニケーションが行いにくいという背景があります。その結果、業務に必要な最低限のコミュニケーションのみになりがちです。

対面でのコミュニケーションを得意としていた管理職が、うまくパフォーマンスを発揮できなくなり、管理職うつが増えてきているとも言われています。こうした問題が起きる可能性を把握するためにも、コミュニケーションインフラを築くうえでの注意点を認識しておく必要があります。

そのためには、コミュニケーション調査などを行い、現状がどのようになっているかを把握することが大切です。そこから本来あるべき状態を設計し、現状とのギャップを埋めていくとよいでしょう。

弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーション問題の発生要因として「必要性が共通認識になっていない」「組織の文化や体質」などが上位に挙がっています。これは、ツールの問題に見えても、実際は”目的の共有”や”文化”が詰まっているケースが多いことを示唆しています。

深い関係性を構築できる仕組みづくり

コミュニケーションインフラの整備にあたっては、TGIFミーティングやキックオフミーティングなど、対面のコミュニケーションを充実させることも有効です。TGIFミーティングとはもともとGoogle本社で毎週木曜夕方に行われている全社ミーティングのことを、キックオフミーティングとは新しいプロジェクト開始時に行うミーティングのことを指します。

どちらにも共通しているのは、マネジメント層が社員にトップダウン式に何かを伝えるためのミーティングではなく、共通意識を持つことで相互理解と信頼感を深め、深い関係性を構築することを目的としている点です。対面での実施が難しい状況であれば、オンライン上でお互いの顔を見ながらリラックスして、通常業務とは離れた対話ができる場を設けることも有効でしょう。

こうした機会を頻繁に設けることで組織内の信頼が築かれていけば、コミュニケーションインフラが整った際には企業がひとつのチームとなって前へ進んでいけるようになるはずです。

コミュニケーションしやすい組織文化の醸成

コミュニケーションインフラが整ったからといって、社内のコミュニケーショントラブルがすべてなくなるわけではありません。個人間のいさかいや部署間の軋轢(あつれき)は、大なり小なり発生し続けるものです。

一方で、普段からコミュニケーションしやすい文化が醸成されていれば、インフラ整備後に生じる問題の解決は格段に容易になります。個人や部署の間に中立的な立場で入り、関係を修復・再構築できる人材も育っていることでしょう。

社内のコミュニケーションスタイルを変革するのは、マネジメント層が主導しなければできないことです。コミュニケーションの重要性について経営トップ自らが繰り返しメッセージを発信し、マネジメント層が各部門のコミュニケーションをリードしながら、社内の共通認識を確立していく必要があります。こうした取り組みが現場まで浸透し、互いに手を取り合える組織文化が醸成されれば、順調な企業運営につながっていくでしょう。

コミュニケーションインフラ整備における追加の注意点

競合記事では、整備時の注意点として「セキュリティ」「コスト」「導入して終了ではない」「開発会社サポート」が明示されています。大企業の社内ポータル・コミュニケーション基盤では、この4点が”後から効いてくる”ため、初期設計に組み込んでおくことをおすすめします。

セキュリティ対策の実施

コミュニケーションツールが扱うデータは機密情報や個人情報を含むことが多いため、暗号化・アクセス制御・ログなどが重要な要点となります。さらに、ゼロトラストの考え方では、境界防御からユーザー/資産/リソース中心へと重点が移り、リモートやクラウド資産を背景に「認証・認可」がより重視されます。

  • NIST SP 800-207(ゼロトラストアーキテクチャ): https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/207/final

コスト管理の徹底

導入費だけでなく、運用(投稿設計・編集体制・問い合わせ対応)と定着(教育・コミュニティ運営)を含めたコスト設計が必要です。初期費用だけを見て導入を決めると、後から想定外のコストが発生することも珍しくありません。

導入後の定着施策の重要性

ツールを導入して終了ではなく、導入後のトレーニングが不可欠であることは多くの上位記事でも強調されています。弊社ソフィアの調査でも、活用を妨げる要因として「教育不足」「既存手段の習慣」「必要性の認識不足」が上位に挙がっており、導入後の施策こそが定着を左右することが示唆されています。

外部パートナーの活用

上位の競合記事では、外注活用(外部パートナー)まで含めた進め方が整理されています。大企業の社内ポータルは、移行・統合・権限・監査などが絡み合うため、”社内だけで抱え込まない”という判断が全体最適につながることがあります。外部パートナーのサポートを上手に活用することも、選択肢のひとつとして検討してみてください。

社内ポータルをコミュニケーションインフラの中核に置くための要点

弊社ソフィアの調査では、社内広報において「社内報(Web)」や「イントラネット(ポータル)」が活用されている実態が示されています。一方で、Webの強みである「検索」「双方向性」「閲覧データ活用」が十分に使い切れていないケースも多く、社内ポータル担当者が”インフラ側”から整備する余地は大いにあります。

実務的には、次の3点を意識すると設計がぶれにくくなります。

  • ポータルの役割分担(フロー情報/ストック情報/意思決定ログ/学習)
  • 見つけられる設計(タグ・カテゴリ・検索・権限)
  • 編集体制(誰が、何を、どの頻度で、どんな承認フローで出すか)

また、デジタルワークプレイスの課題例として「職場コミュニケーション不全」「クラウドサービスが多すぎて選べない」「セキュリティ意識の不安」などが挙げられています。社内ポータルは、こうした課題を”情報の集約点”として受け止める役割を担えるため、コミュニケーションインフラの中核になり得る存在です。

  • ソフトバンク「デジタルワークプレイス」: https://www.softbank.jp/biz/solutions/digitalworkplace/

コミュニケーションインフラの効果測定

まず前提として、弊社ソフィアの調査では、社内広報の効果測定が十分に行われていない傾向が示されています。「やりっぱなし」を避けるには、導入前にKPIを決め、導入後に改善できる形で測定することが重要です。

社内ポータル・コミュニケーションインフラのKPI例として、次のような分類が参考になります。

  • 到達(リーチ):重要告知の到達率、閲覧率、未読率
  • 発見(検索):検索成功率、検索ゼロ結果率、再検索率
  • 行動(活用):テンプレート利用数、FAQ自己解決率、申請のリードタイム
  • 関係(対話):コメント率、リアクション率、質問投稿から回答までの時間
  • 体感(理解/共感):短いパルスサーベイによる理解度・納得度(施策別)

加えて、定性的な確認も重要です。IPAはテレワーク時の注意事項として「不明点は自分で判断せず、所属先の管理者に相談する」などを挙げていますが、これは”ルールが読まれ、理解され、守られる運用”を前提にしています。効果測定は、こうした運用の実効性(理解されているか、迷わせていないか)を確かめるためにも役立ちます。

  • IPA「テレワーク時の情報セキュリティ」: https://www.ipa.go.jp/security/anshin/measures/telework.html

コミュニケーションインフラ整備は単なるツール導入ではない

コミュニケーションインフラを整備するということは、単にコミュニケーションツールを導入することではありません。もっと根本的に、マネジメント層と従業員、そして従業員や部署間同士の相互理解を進め、エンゲージメントを強めるために行うコミュニケーション施策全般を意味します。

COVID-19の影響下では、企業は否応なく在宅勤務導入の必要に迫られ、業務を遂行しながらコミュニケーション環境も迅速に整える必要がありました。それにともないZoomやTeamsなどのツールを活用する人が増え、急激なデジタル化が進んだと言えるでしょう。

このように「目的や要求」と「手段やツール」が一致したとき、はじめてツールはその機能を発揮します。ツールを導入さえすれば自然発生的にコミュニケーションが生まれるわけではないことは、しっかりと理解しておく必要があります。

企業が抱える多くの問題は、最終的には人と人とのコミュニケーションの問題に行き着くことが多く、コミュニケーションがうまくいくことで解決できることも多いものです。コミュニケーションインフラの目的と期待できる効果をしっかりと認識し、必要なプラットフォームやツールを整備するとともに、コミュニケーションしやすい組織文化の醸成を図っていきましょう。

まとめ

組織や集団を維持・強化するためには、コミュニケーションは不可欠です。そして、コミュニケーションの場となるインフラも、同様に欠かせない存在です。

一言でいえば、コミュニケーションインフラとは「ツールを入れること」ではなく、「情報が届き、見つかり、使われる仕組みと文化をつくること」です。

しかし自社のコミュニケーションがどの程度活性化しているかは、社内にいると把握しにくいものです。そういった場合は自己判断に頼るのではなく、第三者を活用して判断を委ねるほうが、より正確な現状把握ができます。ソフィアではコミュニケーション調査をはじめ、組織変革・組織力強化のサポートに多数の実績を持っていますので、お気軽にお問い合わせください。

「社内ポータルはあるが情報が探せない」「Teams・チャットは導入したが定着しない」「効果測定ができず改善できない」といったお悩みがあれば、現状把握(調査)から一緒に設計することが近道です。まずは課題感をお聞かせください。

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よくある質問
  • コミュニケーションインフラと社内ポータルの違い
  • 社内ポータルは”情報の集約点(入口)”であり、コミュニケーションインフラはポータル・チャット・会議・検索・権限・運用体制まで含む”全体の仕組み”です。社内ポータルはインフラの一部、と整理すると分かりやすいでしょう。

  • ツールを入れても社内コミュニケーションが改善しない原因
  • 目的共有・運用ルール・教育・現場の習慣・必要性の認識不足などが原因になり得ます。弊社ソフィアの調査でも、活用を妨げる要因として教育不足や習慣が上位に挙がっています。ツールの問題ではなく、”目的と文化”の問題であることが多いです。

  • 効果測定の始め方
  • まずは閲覧・検索・投稿など”ログで取れる指標”から始め、必要に応じて短いサーベイで理解度・納得度を補完すると設計しやすいです。最初から完璧な指標を揃えようとするより、「改善できる形で測定する」ことを優先するのがおすすめです。

  • セキュリティが不安でコミュニケーションツールを広げられない場合
  • テレワークセキュリティガイドライン等を参照しながら、権限設計・認証・ログ・教育をセットで整備することが大切です。ゼロトラストの考え方(ユーザー/資産/リソース中心)も含めて検討すると、整理がしやすくなります。

株式会社ソフィア

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人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。