コミュニケーションインフラとは?企業における整備の必要性と方法を解説!

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#働き方

02.Sep.2020

コミュニケーションインフラという言葉を聞いたことはあるものの、ご自身の口で説明しようとすると難しいと思う方が多いのではないでしょうか。またコミュニケーションインフラを整備することが、企業にどのようなメリットをもたらすのか気になっている方もいるでしょう。

COVID-19の影響下において多くの企業で急速に在宅勤務の導入が進み、組織内におけるコミュニケーション環境のデジタル化も進んでいます。
この記事では、企業におけるコミュニケーションインフラの概念、そしてコミュニケーションインフラの一部であるコミュニケーションツールが必要な理由や、その導入方法、企業内コミュケーションのあり方などを解説していきます。

コミュニケーションインフラとは

コミュニケーションインフラをツールとして考えた場合、その歴史は端末の歴史と相互に関係しています。社外から連絡をとるときには公衆電話を探さなくてはならなかったのが、必要なときにはポケベルで呼び出すことが主流となったのは1990年代です。やがてケータイで自由に双方向に発着信できるようになったかと思えば、2000年代には音声に限らず、さまざまなコミュニケーションがとれるスマホが誕生しました。

スマートフォンの普及とともに、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSが生まれ、いつしか仕事の生産性を上げることよりも、コミュニケーションの価値を向上させることが重要になってきています。対話をするために直接会う必要がなくなり、場所を選ばないコミュニケーションが当たり前にもなりました。今後5Gが普及していくことにより、コミュニケーションそのものの姿も、さらなる変革が期待できるでしょう。

ひとくちに「コミュニケーションインフラ」と言っても、上記のように社会全体のコミュニケーション手段やネットワークを意味することがあるなど、その範囲は明確ではありません。また、企業におけるコミュニケーションにおいても、デジタル媒体を用いたものに限らず、対面のミーティングや研修、冊子やドキュメントといった紙媒体を用いたコミュニケーション、電話を使ったやりとりやホットラインなどアナログのコミュニケーション機会も多くあります。

こういった背景を踏まえた上で、この記事では、企業組織の内部におけるデジタルコミュニケーションのインフラに限定して詳しくご説明していきます。

一般的に、企業において「コミュニケーションインフラ」と言えば組織内のコミュニケーションプラットフォームやコミュニケーションツールのことを指します。チャットアプリやテレビ会議システムなど、リアルタイムのコラボレーションを可能にするツールや、あるいはCRM(顧客関係管理)システムのことをコミュニケーションインフラと呼ぶこともあります。

また、社内のコミュニケーションインフラにおいて、代表的なツールとしてはメールやWEB会議システムや社内SNSといった社内コミュニケーションツール、あるいはWEB社内報などの社内メディアが該当するでしょう。

コミュニケーションインフラが必要な理由

社内のコミュニケーションインフラを整えると、組織内の共通認識を確立させ、社員同士の信頼関係を強固にするなどさまざまなメリットが考えられます。そのためコミュニケーショントラブルが発生したときに仲裁やカウンセリングを行える、中立的な社員やコミュニケーションインフラに特化した部署の存在は、企業にとって重要と言ってよいでしょう。

コミュニケーションインフラが企業に必要な理由を、もう少し詳しく見ていきましょう。

組織間・社員間に起きる問題を解消する

これまでの会社組織では、ジョブローテーションを取り入れ定期的に配置換えが行われていました。これはさまざまな部署を体験することで社員の適性や能力を開発することを目的としていましたが、人が部署間を行き来することで交流が生まれ、横のつながりを強化する役割も果たしていました。他部署の事情を知ることで、組織間や社員間で起きる問題を解消することができていたのです。

しかし近年は雇用形態の多様化や業務内容の高度化によってジョブローテーションの対象とならない社員が増え、自分の部署以外の事情が分からない、また興味がないという人が増えてきています。これでは社内でなにか問題が起こったときに、組織間でスムーズなコミュニケーションが取れず、解決が困難になってしまいます。

コミュニケーションインフラを整え、部署や部門を越えたコミュニケーションが活発になれば、組織間、あるいは社員間での問題の解決に役立つのです。

多角的な視点によって業務の成果を上げる

社員や部署が業務上の課題を抱え、それをその部署内だけで解決しようとすることはよくあります。しかし部署内だけでは解決できないような課題に直面したときに、コミュニケーションインフラが整備されていないと往々にして解決に時間がかかります。
特に課題を解決する上で他部署と利害関係が一致しない場合には、部署間で調整を行ったり、あるいは企業全体として課題解決に向けてリソースを投資する必要があります。しかし、その課題について相談できる相手を探して連絡を取るための手段や、気軽にコミュニケーションを行える場があらかじめ設けられていない場合には、手探りに人を探すところから始まり、上長を介して他部署に話を通したり、会議体を定義するなどが必要となり、なかなかスムーズには進みません。

コミュニケーションインフラを整え、相互理解を進めることができれば、困難や問題に直面したとき手を差し伸べてくれる、あるいはともに手を取り共闘する風土を社内に作り上げ、業務の成果を上げることも可能でしょう。

意思決定のスピードを上げる

社内で何か意思決定を行う必要がある場合にも、コミュニケーションインフラが整っていないと時間がかかります。お互いの業務内容をよく理解していないことなどが原因で、それぞれが自分の部署の権利を主張するためまとまらない…という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

こういった問題を解決するためにも、コミュニケーションインフラは有効です。たとえばTeamsなどのコラボレーションツール上に、社内で進んでいるすべての案件について個別のチームを作成し、その中で業務上のやりとりをするようにすれば、ほかの社員や部署がどのような業務を行っているのかを把握できるようになります。適切な意見を出し合うことで業務の効率が上がり、また相互理解が進む結果、意思決定のスピードを上げることにもつながります。
また、文脈ごとにエビデンスを残せるため、「言った、言わない」のコミュニケーショントラブル回避にもつながります。

デジタルワークプレイスを推進する

政府による働き方改革の推進や関連法案の成立などの影響で、国内においても近年は在宅勤務やテレワークが少しずつ広がりつつありました。しかし突如コロナ禍に巻き込まれ、望む、望まないにかかわらず、リモートワークを強制的に取り入れなければならなくなった企業も多くあったことでしょう。社員が離れた場所で個々に作業を行うようになった結果、お互いの業務が見えなくなり、進捗状況を共有するための時間が多く必要になって、多大なコミュニケーションコストが発生するなどさまざまな問題に直面した企業もあるのではないでしょうか。

デジタルワークプレイスを取り入れることで、社員がどこからでも同じ環境で情報共有し、互いの業務の見える化ができるようになり、別々の場所で働いていたとしても社員のエンゲージメントを高めることが可能です。コミュニケーションインフラをしっかり整えれば、相手の状況が見えないことによる社員の不安や管理者のコミュニケーション負荷を軽減し、社員の働く場所にとらわれることなく安定した企業運営ができます。

ウェルビーイングの観点

「ウェルビーイング(well-being)」とは、身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味する概念です。これは個人に対してだけではなく、グループや企業に対しても用いられます。

これまで企業は労働者の健康管理について、あくまで「身体的な健康が損なわれない」ことを重視してきました。しかし近年では企業に貢献する人材を守り、安心して働き続けられる環境を作るという意味で、組織としての「ウェルビーイング」を考えることが重要視されるようになっています。

ウェルビーイングの視点から企業を見たとき、健康的な組織は「モチベーションが高く、生産性が高い」場合が多いと言われています。社員のモチベーションを高め、組織を健康的に保つためには社内においてストレスなくコミュニケーションが取れることが不可欠です。ウェルビーイングの観点からも、コミュニケーションインフラを整備することは重要と言えるでしょう。

コミュニケーションインフラを整備する方法

それではコミュニケーションインフラを社内に整備するには、どのような方法があるのか見ていきます。

コミュニケーションインフラの整備専門チームを作る

コミュニケーションインフラを社内に整備しようと考えたとき、多くの企業がインフラを整えるという意味で情報システム部、あるいは社員や部署間の関係改善を期待して人事部などにその役割を任せようと考えます。しかしコミュニケーションインフラの整備に真剣に取り組むのであれば、整備専用チームを新たに設けることが効果的です。

すでにできあがった部署は通常すでに多くの業務を抱えており、新たな業務を受け入れる余裕がなかなかありません。とくにコミュニケーションインフラという、目に見えにくい成果が求められる業務を自分たちの定型業務より優先するとは考えにくく、後回しにされ、やがて構想自体が自然消滅していく可能性があります。

コミュニケーションインフラを整備するのであれば、その業務にだけ集中できる人材をそろえ、予算を投下したうえで一気に進めることがおすすめです。

コミュニケーションに関する現状を把握し課題を共有する

コミュニケーションインフラを整備するときには、まず現在社内におけるコミュニケーションにどのような問題が生じているのか把握し、課題を共有する必要があります。

例えば、リモートワークを行う上で問題となるのは、ITインフラを利用する以外にコミュニケーション手段がないことです。顔を合わせて仕事をしていれば、天気の話やニュースの話題など、仕事上の会話以外も自然と生まれるものですが、表情の見えないリモートワークでは、そういった気軽なコミュニケーションが行いにくいという背景があります。そのため、業務に必要な最低限のコミュニケーションのみとなってしまいがちです。

その結果、対面でのコミュニケーションを得意としていた管理職は、うまくパフォーマンスを発揮することができなくなり、管理職うつが増えてきているとも言われています。こういった問題が起きる可能性を把握するためには、コミュニケーションインフラを築く上で注意が必要な点を認識しなければなりません。

そのためには、コミュニケーション調査などを行い、現状のコミュニケーション状態がどのようになっているのかを把握する必要があります。そこから本来あるべき状態を設計し、現状とのギャップを埋めていくとよいでしょう。

深い関係性を構築できる仕組みを作る

コミュニケーションインフラを整備するにあたって、TGIFミーティングやキックオフミーティングなど、対面のコミュニケーションを充実させることも有効です。TGIFミーティングとは、もともとGoogle本社で毎週金曜日に行われている全社的なミーティングのことを指し、キックオフミーティングとは何か新しいプロジェクトなどを開始するときに行うミーティングのことです。

どちらにも共通しているのは、マネジメント層が社員にトップダウン式に何かを伝えるためのミーティングではなく、共通意識を持つことで相互理解と信頼感を深め、深い関係性を構築することを目的としていることです。対面で実施するのが難しい状況であれば、オンライン上で、お互いの顔を見ながらリラックスして、通常業務とは離れた対話ができる場を設けるのも有効です。

こういった機会を頻繁に設けることで組織内の信頼構築ができていけば、コミュニケーションインフラが整った際には企業がひとつのチームとなって、前に進んで行けるようになるでしょう。

コミュニケーションしやすい組織文化を醸成する

コミュニケーションインフラが整ったからといって、社内のコミュニケーショントラブルがなくなるわけではありません。個人間でのいさかいや、部署間での軋轢(あつれき)は、大なり小なり発生し続けるものです。

普段からコミュニケーションしやすい文化が醸成されていれば、コミュニケーションインフラが整備された後の問題の解決は容易になっているはずです。ぶつかり合っている個人や部署の間に入り、中立的な立場で意見し関係を修復・再構築させることができる人材も育っているでしょう。

社内のコミュニケーションスタイル自体を変革するのは、マネジメント層が主導しなければできることではありません。コミュニケーションの重要性について経営トップ自らが繰り返しメッセージを発信し、マネジメント層が各部門のコミュニケーションをリードしながら社内の共通認識を確立していく必要があります。コミュニケーションの重要性に対する認識が現場まで浸透し、関係性を強固にして互いに手を取り合うことができる組織文化が醸成できれば、順調な企業運営ができるようになるでしょう。

コミュニケーションインフラ整備は、単なるツール導入ではない

コミュニケーションインフラを整備するということは、単にコミュニケーションツールを導入するということではありません。もっと根本的にマネジメント層と従業員、また従業員や部署間同士の相互理解をすすめ、エンゲージメントを強めるために行うコミュニケーション施策全般を意味します。

COVID-19の影響下においては、企業は否応なく在宅勤務導入の必要に迫られ、業務を遂行しながら社員とのコミュニケーション環境についても迅速に整える必要がありました。それにともないZoomやTeamsなどのコミュニケーションツールを活用する人が増え、急激にデジタル化が進んだといえるでしょう。

このように「目的や要求」と「手段やツール」が一致したときに、はじめてツールはその機能を発揮します。ツールを導入さえすれば、自然発生的にコミュニケーションが生まれるわけではないことは、しっかりと理解しておく必要があります。

企業が抱える多くの問題は、最終的には人と人とのコミュニケーションの問題に行き着くことが多く、コミュニケーションがうまくいくことで解決できることが多いのです。コミュニケーションインフラの目的と期待できる効果をしっかりと認識し、必要なプラットフォームやツールを整備するとともにコミュニケーションしやすい組織文化の醸成を図り、企業として大きく発展していきましょう。

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