パーパス浸透が必要な理由とは?重視される背景、取り組み方法を解説

昨今、多くの企業が、企業のミッションやビジョンとは別に「パーパス」を掲げるようになりました。企業にとってのパーパスを定め、それに沿ったパーパス経営を行うことで、さらに企業の価値を高める取り組みが、企業経営におけるトレンドとなりつつあります。

パーパス経営において重要なのは、定めたパーパスを企業全体に浸透させる、「パーパス浸透」です。ところが、パーパス浸透は一朝一夕の単純な努力では実現できません。パーパス浸透でお悩みの経営者の方も、多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、パーパス浸透の必要性と、パーパス浸透に必要な取り組みについて、解説します。

パーパスとは

パーパスは、ミッションやビジョン、バリュー、スピリット/クレドなどのように、企業にとって重要な価値観を示す、新しい経営用語です。

パーパスとは、具体的には、どういった考え方なのでしょうか。「また新しいカタカナ語が増えただけ?」と感じている人も多いことでしょう。

実際に、日本企業では、パーパスはおろか、企業のビジョンすら社内に浸透していないことが分かっています。2020年に株式会社JTBコミュニケーションデザインが実施した「管理職・一般社員を対象にしたビジョン浸透の意識調査」では、回答者全体の半数が自社のビジョンを知らない状態であることがわかりました。次々と登場する経営用語や、複雑化する理念体系に、社員がついていけていない現実が垣間見えます。

パーパスの定義については以下に説明していきますので、ぜひこの記事を通して理解を深めてください。 

パーパスの定義

「パーパス(Purpose)」は、「目的・意図」を意味する言葉です。ビジネスの文脈で用いられる際には主に存在意義のことを指し、企業や組織、個人が何のために存在しどういった行動をするのか、といったことを表す概念です。

企業の使命や役割を表す「ミッション」、目指す姿を表す「ビジョン」など、似た意味で用いられる用語は他にもありますが、パーパスはその中でも特に企業と社会との関係性を重要視した考え方として、注目されています。

企業理念とパーパスの違い

企業理念とパーパスとは、海外では明確に異なった意味で使われているものの、日本では同じような扱いになってしまっています。それは、「三方良し」という言葉が表しているように、日本では企業を社会の公器とみなす考え方が古くから根付いており、すでに企業理念にパーパスの要素が含まれていることが多いためであると考えられます。日本の経営者がパーパスの考え方をわかりにくいと感じたり、パーパスの策定を難しく感じたりする要因もそこにあるのではないでしょうか。

企業理念、または経営理念は、「なんのために企業活動をするか」という、企業自身が定める経営のあり方です。決まった形のあるものではなく、ミッションやビジョン、バリューなどを包括する場合もあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

一方、企業理念が企業自身の決意表明であるのに対し、パーパスは、企業を社会の中に位置づけ、ステークホルダーとの関係性において企業の価値を明確化したものです。その企業がなぜ社会に存在し、社会に対してその企業がどのような価値を提供するのかをあらわすものがパーパスなのです。

本来パーパスは、会社の求心力を高め、会社の価値判断や意思決定の材料となるものです。会社に起こった出来事が、良いことなのか、悪いことなのか、パーパスに則って判断します。これは組織学習の枠組みの一つとしても機能します。 

パーパスの重要性 

それではなぜ、パーパスが重要視されているのでしょうか。

ここでは、パーパスが注目される背景や、組織における役割について、解説します。

パーパスが注目される背景

パーパスが注目されるようになった背景には、多くの有識者や経営者が、パーパスに関して発信を始めたことがあります。

たとえば、英オックスフォード大学教授コリン・メイヤー氏は、「企業のパーパス(存在意義、目的)は、単に利益を生み出すことではない。個人、社会、自然界が直面する問題の解決策を企業戦略に組み込み、人々の信頼を増やす努力を踏まえ、利益が出る形で人々の幸福に貢献することだ」と強調しています。

コリン・メイヤー氏は、The British Academyで Future of the Corporation Projectを2017年から開始し、21世紀のビジネスと社会との関係の再定義を試みています。パーパスが社会の注目を受けたのは、ちょうどこのころからでした。

また、アメリカの大手経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、2019年に企業のパーパスについて新たな方針を発表し、株主至上主義の見直しを提唱したことも、パーパスが注目を受けるターニングポイントのひとつと言えるでしょう。

この背景には、株主至上主義的な、収益の最大化だけを目的にした企業活動が限界に到達し、社会や自然界に長期的な悪影響を与えてしまうことが、世界で認識され始めたことがあります。企業法人の仕組みや技術を、社会課題の解決に使うべきだという価値観が、広まってきたのです。

企業の存在意義が、利益の創出から社会課題解決への貢献へと、大きく見直されるようになったと言えます。企業の存在意義がどのように問われ、どのように変遷してきたのかについては、別記事で解説していますので、ご覧ください。

社会課題というと、まだまだ他人事のように感じている企業も多いかもしれません。しかし、社会課題を作り出しているのは何かを突き詰めていくと、多かれ少なかれ、その原因には企業活動が関係しています。そこで「自社にできることは何か」考えること、それがパーパスにつながります。

社会課題の解決に貢献するには、社会の側に立って、自社に対するどのようなニーズがあるのか考えることが必要です。企業のパーパスは誰かから与えられるものではなく、自分たちで考え、見出していく必要があります。しかし、自分たちの立場だけで考えていては、独りよがりで旧時代的な存在意義しか思いつかないこともあるでしょう。企業に期待される役割の変化に合わせて、企業の行動も変化させていくことが大切なのです。

経営理念やパーパスがない状態で組織は機能するのか?

日本ではパーパスと経営理念が明確に別のものとして理解されていない現状について先ほどお伝えしました。ほとんどの企業は経営理念や社是、社訓など何かしら経営方針となるものを掲げています。しかし、多くの企業が経営理念の浸透を重要視しているにもかかわらず、その浸透には課題があることが数々の調査から明らかになっています。組織の中に経営理念が浸透しない背景には、具体的な浸透施策をとっていない、経営層が旗振り役になりきれていないなどの要因があります。

組織の存在意義が明確化されていない、組織の理念が構成員に浸透していないという傾向は、企業組織に限らずさまざまな場面で見られます。理念やパーパスがない状態でも組織は機能しますが、高いパフォーマンスの発揮や持続的な成長は期待できないと言えるでしょう。なぜなら先述のように、理念やパーパスは会社の求心力を高め、会社の価値判断や意思決定の材料となることで、組織学習の推進や個人のエンゲージメント向上につながるものだからです。

パーパス浸透の取り組み方法

パーパス浸透とは、パーパスを組織全体に共有し、一人ひとりの理解・納得へとつなげることを指します。

パーパスはせっかく定義しても、社内に浸透し、行動に落とし込まれなければ、意味がありません。ここからは、パーパス浸透に有効な、具体的な取り組み方法をご紹介します。

なお、パーパス策定と浸透の取り組みを同時並行で実施するケースもありますが、ここでは分かりやすいように、パーパスの策定後に浸透策を実施する前提とします。

社内報

策定されたパーパスについて、社内報で発信しましょう。記事の内容としては、経営陣からのパーパスに関するメッセージや、パーパスの解説、パーパス策定のプロセスについて、パーパスに対する社員の声などが考えられます。Web版の社内報であれば、動画による経営メッセージや、パーパスのイメージ動画などを配信して周知を図るのも良い方法です。 

社内SNS

社内SNSを利用している企業なら、パーパス浸透にもSNSを通じた双方向のコミュニケーションを活用しましょう。パーパスに関連するエピソードを定期的に発信したり、パーパスに関するメッセージを募集したり、社員からの質問を受け付けたりすることで、よりパーパスを社員にとって身近な存在にしていくことができます。

ビデオコミュニケーション

動画を利用した発信も有効です。社内報の項目で挙げたアイデアのほかにも、社内向けの研修動画を作成し、自社のパーパスを学び日々の業務を振り返る機会を社員に提供することも効果的です。

社内コミュニケーション調査

パーパス浸透には、その進捗の確認も欠かせません。社内でアンケート調査を行うことで、どの程度パーパスが社内に浸透しているか、定期的に確認しましょう。

ワークショップ

パーパスを社員に浸透するためには、自社と社会との関係性について、自社とかかわりのあるさまざまなステークホルダーについて、一人ひとりの社員が考える機会を設けることが必要です。そのため単に知識を学ぶ研修よりも、対面でディスカッションを行うワークショップが効果的です。経営陣と社員、社員と社員の対話を通じてパーパスの理解促進を図りましょう。パーパスを策定の段階においても、社員を巻き込んだワークショップは効果的です。これはパーパス策定と浸透が同時並行的に行われるケースに当たります。

パーパス浸透の事例

パーパス浸透は、具体的にどのような手順で行えばいいのでしょうか。

ここでは、ソフィアがお客様に対して実際に行っている、具体的なパーパス浸透支援事例をご紹介します。

ソフィアでは、パーパス定義から浸透までにかかる工程全てを支援しています。

具体的には、パーパスを定義するためのチームビルディングや事前研修、パーパス案の議論、パーパスに対する現状分析、パーパスに対する社内の反応を見るアンケート調査、行動指針の策定、ボードメンバーへのプレゼン、パーパスに関する全社合意、それ以降のパーパス浸透活動などです。

ソフィアではこれらの活動を、一連のプログラムとして提供しています。

A社の事例では、パーパス検討チームを対象に、5日間のグループワークを実施しました。

5日間のグループワークでは、なぜパーパスを策定するのか、策定する意図や意味合いを理解することから始まり、チームごとのパーパス案の策定、パーパスに対する行動指針を策定するまでの一通りの流れを行いました。

このグループワークは、情報収集とディスカッションによって問題を深掘りしていき、自分たちの中の「パーパス」への理解を深め、ブラッシュアップしていくことを目的としています。そのため丁寧に時間を取り、パーパス検討チームが納得いくまで話し合いに集中できる場を用意しました。

まとめ 

本記事では、パーパス浸透の取り組み方法をご紹介しました。パーパスを浸透するためには、インターナルコミュニケーションの取り組みが重要です。

ソフィアでは、「パーパス浸透の事例」でご紹介したような支援を行っています。パーパス浸透にお困りの方は、ぜひソフィアにご相談ください。

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