ピープルアナリティクス活用方法を徹底解説|進め方・データ・事例
最終更新日:2026.03.23
目次
ピープルアナリティクスとは
ピープルアナリティクスとは「人事に関するデータ(採用や育成、組織づくり、定着支援など)」を収集・分析し、人材配置や採用といった人事領域におけるさまざまな業務を効率化・公平化する手法のことです。統計的に解析するため一般的な人事評価よりも客観的な視点が有用とされ、人事業務の戦略化や判断基準の明瞭化を実現できます。また人事業務をデジタル上で行えるため「人事のデジタル化」ともいわれます。人事のデジタル化と一口に言ってもなかなか具体的な事例が思い浮かばないかもしれません。例を挙げると、Webサイトに訪れた人の数や、ページ閲覧などの行動を数値や表・グラフで分析するデジタルツールがありますが、ピープルアナリティクスはそのHR版と言えます。
給与管理システムや出退勤管理システム、タレントマネジメントシステム(従業員のスキルや経験値の一元管理システム)が該当し、それぞれから給与、労働時間、成果をはじめとする定量的な情報を収集します。そのほか企業によっては(特にオンライン上の)社内コミュニケーションの状況のデータ化や、会議スケジュール、ファイル作成数などの業務状況のデータ化までを行っている場合もあります。社員のおかれている環境を詳細に分析することが可能になりますが、同時にセキュリティの徹底や社員の心理的な抵抗に対するフォローも求められます。
ピープルアナリティクスの活用方法
ピープルアナリティクス活用の流れ
ピープルアナリティクスは主に以下4つのステップを踏んで実施します。
データの蓄積
まず行う作業は従業員に関するデータを蓄積することです。ただし最初からデータが一元管理されている企業は少なく、ほとんどの場合、営業管理や業務管理などに関する基幹システム・コミュニケーションインフラ、タレントマネジメントシステムなど、各部門の入力業務を統合するプラットフォームの導入から始めることになるでしょう。
プラットフォームの導入は、それに伴って各部署での業務プロセスが変更されるものでもあり、これまでのやり方に慣れている社員・スタッフから反発がある場合もあります。導入のメリットを説明し、理解を得ていく必要がありますが、これは組織全体としてのメリットではありつつも、現場業務を必ずしも改善するものであるとは限りません。組織として目指す姿、それが最終的に会社や現場にどのように還元されるのか、可能な範囲で具体化して伝えていくことが重要です。業務や成果に関する入力データだけでなく、社員の経歴やシステムの利用データに関しては、社員にとってセンシティブなものも含まれうるものです。そのため、「人の目で監視する」のではなく、システム的な処理がなされるということも社員の感覚として重要な要素です。同時に、情報の取り扱い・セキュリティに関しても万全でなくてはなりません。
業務や成果に関する入力データだけでなく、社員の経歴やシステムの利用データに関しては、社員にとってセンシティブなものも含まれうるものです。そのため、「人の目で監視する」のではなく、システム的な処理がなされるということも社員の感覚として重要な要素です。同時に、情報の取り扱い・セキュリティに関しても万全でなくてはなりません。
仮説設定
具体的な施策を打つためにはデータの使用用途と目的を明確に決めておくことが重要です。人事施策の目的として例を挙げると、「人事評価・配置」「採用・離職防止」「人材開発」「組織開発」の4領域に分けることができます。収集することができるデータを精査しながら、どのデータをどんな目的で分析していくのかを整理していきます。
例えば、「業務管理による成果に関するデータ」をもとに、特定の部署における優れたパフォーマンスを発揮する社員(ハイパフォーマー)を選出し、そうした社員の「過去の学習履歴」や「部署異動経験」を紐づけ、組織や部署におけるハイパフォーマーの特長を見出します。その際、自社の業務の特性や習慣・風土を踏まえながら、「こんな要素もパフォーマンスに影響しているのではないか?」という仮説出しを行うことが、自社独自のデータ活用を行う上で重要です。
あるケースでは、「社内の様々な部署のスタッフとこまめにチャットのやり取りをしているエンジニアが優れたパフォーマンスを発揮している」といったような分析が行われました。こうした目的・仮説の整理を行うことができれば、その分析のために必要なデータのかけ合わせと必要な項目の一覧を出力するアナリティクスレポートを出力することができます。
データ分析
続いて、データを分析します。役職・部署・年齢・性別など従業員の属性別に傾向を取りながら、データの中で有意に動きのあるもの、ギャップのあるものを見つけ、そこに意味を見出していきます。この分析の目的は多岐にわたるため、一概に共通した分析手段はありませんが、上記の「目的・仮説設定」が丁寧に行われていることで、HR担当者間で共通認識を持ちながら施策について議論することができるでしょう。
ただし、「データから確実に言えること」を求めるばかりでは、かえって取りうる施策の幅を減らしてしまうことになります。ある部署で労働環境に関する問題の声が挙がっているが、アナリティクス上労働状況は問題がないので何も動けない、などとなれば本末転倒です。また、要因の取り違えにも注意が必要です。例えば先のケースであれば、「社内のスタッフとチャットのやり取りをするエンジニア」が優れているからといって、「エンジニアに社内のスタッフとチャットのやり取りを奨励する」ということにはなりません。多くのスタッフと良好な関係性を築いているエンジニアの振る舞いを、今度は対面やアナログな情報も駆使して見抜いていくこととなるでしょう。
施策計画・実施
分析したデータをもとに施策を計画・実施していきます。ピープルアナリティクスという考え方において重要なのは、施策を推進する中で得られた知見や社員の声が非常に有用なデータであるということです。アナリティクス上では「認知データ」「業務データ」「行動データ」を取り扱っており、施策における振り返りは必ずしもそのまま入力されるものではありませんが、上記の「目的・仮説設定」で触れた「分析の目的」「仮説」に反映させることで、より現場に即したアナリティクスとして改善させることができます。
大企業向けの推進体制(最小構成の目安)
上位記事では、この4ステップに加えて「体制づくり(推進オーナー/関係部門)」「スモールスタート(PoC)」「運用(更新・権限・監査)」まで踏み込む構成が多い傾向です。大企業ほど”分析する前”の設計で差がつくため、要点を補足します。
担当部門が単独で完結させず、以下を”最初から”巻き込むと、後戻りが減ります。
- 人事:課題定義、施策実装、現場への展開
- DX/情報システム:データ連携、ID・権限、ログ取得設計
- 広報/社内ポータル:コミュニケーション施策設計、効果測定
- 法務/コンプライアンス:個人情報・同意・規程整備
これは、人的資本の議論が「経営戦略と人材戦略の連動」「ガバナンス・指標」の形で求められている流れとも整合します。
“スモールスタート”の具体例(PoCの切り出し方)
学術レビューでは、HRアナリティクスの導入・成果のエビデンスはまだ蓄積途上で、過大な期待や形だけの導入はリスクになり得ると指摘されています。だからこそ、最初は「離職予兆を当てる」ではなく、「現場が意思決定に使える指標を1つ増やす」など、測定可能な小さな目的で回し始めるのが現実的です。
ピープルアナリティクスで活用する7つのデータ
ここまでは活用の流れをご説明してきました。では、実際にどのようなデータを扱うのでしょうか。上位記事では「データの種類(何を集めるか)」を”最初に”具体化して、読者が自社データの棚卸しをすぐ始められる構成が多く見られます。本稿でも、元記事のデータ分類を活かしつつ、実務で迷いやすい点(どこまで取るか/何に使うか)を補足しながらご紹介します。
先述の「データの蓄積」の段階で収集する情報は具体的に以下の7つです。特に行動データは既存の評価システムでは可視化しづらい要素であり、ピープルアナリティクスにおいて高い重要度を持ちます。
人材データ
ピープルアナリティクスの分析で基盤となる人材データ、いわゆるプロフィール情報は従業員の年齢や性別、所属部署、給与といった属性を示す情報です。可能であれば、各々の具体的なスキルも収集できると好ましいでしょう。
勤務データ
勤務データとは従業員の勤務時間や有給取得率、休職率などのデータのことです。働き方改革や離職率の改善に用いられることがあります。
デバイスデータ
デバイスデータは社内PCや貸与スマートフォンの使用履歴などを指し、社員の勤務に関する非常に具体的で明確な情報として分析に用いることができます。
オフィスデータ
オフィスデータとはオフィス設備の利用状況に関するデータのことで、会議室や複合機の使用状況から最適な設備数や配置を考察することができます。他にも、休憩室の使用状況により従業員のコミュニケーション頻度を間接的に調べることができ、働く環境を整える要素となります。
認知データ
アンケート等の取り組みによって、社員が能動的に、自身の考えとして回答するものです。従業員満足度調査、ストレスチェック、キャリア志望に関する申告、研修受講後のアンケートなど、社内で行われている様々な意識調査を指します。最近では「エンゲージメントサーベイ」と呼ばれる、月に一回など定期的に回答しその変動を図るような調査体系も普及し始めています。アンケートの目的に応じて、その活用方法が設問とともに設計されていますが、社員の回答は認知という結果であり、その要因を分析するために、その他のデータとかけあわせた分析を行うことが重要です。
行動データ
行動データとは従業員の就業時間における行動に関するデータです。エクスペリエンスデータと呼ばれることもあります。社内イントラや社内報サイトの閲覧状況、メールやチャットの送信情報をはじめ、会議室の利用状況、出社・リモートワークの選択状況など、社員が意図的に入力・回答するものでなく、自然な行動の中で現れるものに関する取得可能な全てのデータを指します。
会社によっては社員証にセンサーが内蔵され、オフィス内での行動データを取得できるようにする、スマートウォッチによって社員の健康に関するデータを取得する、社用車や社用携帯にGPSをつけて位置情報を把握できる状態にする、といった取り組みもあります。(特に、位置情報などは社員のプライバシーに関わることでもあるため、取得・取り扱いには慎重な検討が必要です。)認知データのように社員自身の傾向や質問者の意図などのバイアスが含まれづらい自然なデータとして、これらの行動データはピープルアナリティクスにおいてとても重要です。
コミュニケーションデータ
コミュニケーションデータは、社内で繰り広げられるあらゆるコミュニケーションに関するデータです。「行動データ」にも含まれますが、特にそこに意味や内容が含まれやすいものとして、特筆して取り扱われます。昨今、多くの企業がコミュニケーションツールの導入に取り組んでいます。コミュニケーションツールの利用状況から「報告・連絡・相談」の頻度を見たり、部署ごとのコミュニケーションの質を分析したりすることが可能です。コミュニケーションの状況と、生み出される成果との関係性を分析してみれば、業績改善のポイントを洗い出せるかもしれません。
また、コミュニケーションの頻度だけでなく内容も確認できるようにすれば、社内で起きているハラスメントの早期発見や防止、課題の細分化につながるなど、多岐にわたって活用できるでしょう。データに基づいた分析を踏まえて、社内コミュニケーションを活性化していくことで、協働意識の向上・生産性や職場環境の向上、顧客満足度やブランド力の改善が見込めます。
ただし、コミュニケーションデータの扱いは「目的外利用の懸念」「監視されている感覚」を生みやすいため、個人情報保護の観点から目的・範囲・保管期間・アクセス権限を明確にし、社内規程と説明をセットで設計することが重要です。
ピープルアナリティクスを活用するシーン
先述の通り、ピープルアナリティクスは採用や評価、組織づくりなど多様なシーンで活用できますが、具体的にどのような課題があり、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは活用シーンとメリットについて詳しく解説します。
人材採用
人材採用におけるさまざまな判断は主観的になりがちです。転職者の応募書類を読む人、面接を担当する人、試験の採点をする人、それぞれが自分の感覚値で評価をするため、採用の基準が不明瞭なことも少なくありません。また、アナログな採用では自社の企業活動にまつわる情報が客観的にデータ化されていないため、人材との適合度予測も個人の主観に委ねられることになります。
結果としてアンマッチな人材を採用するリスクがあり、人材の早期退職や、期待していたパフォーマンスが出せないなどの問題にも直結する可能性があるでしょう。ピープルアナリティクスを活用すれば、過去の人材データをもとにそのポジションに最適な人材の基準を定量・定性で設定でき、人材採用の評価と人材の適合度を平準化することにつながります。
採用でAI・自動化を使う場合は、差別的影響(バイアス)や説明可能性も論点になります。採用領域のAIにおける公平性をめぐる研究レビューでも、何をもって「公平」とするかの定義が難しく、実装・運用での検証が不可欠であることが指摘されています。
人材配置
ピープルアナリティクスの大きな強みは従業員一人ひとりの特性を事細かに分析できる点であり、適材適所な人材配置に役立ちます。社員が持つ特性には業績を上げる「行動」特性とその行動のベースとなる「能力」特性という2種類があります。ピープルアナリティクスはそれらの因果関係を導き出し、各部署においてやはり可視化された評価点と照らし合わせることで、一人ひとりが活躍できる部署への配置や業務の割り当てが可能です。
また、行動特性や能力特性のデータ化は自社におけるハイパフォーマーの特徴を発見するきっかけにもなります。そしてこれらの蓄積こそが継続して経営するために不可欠な後継者育成計画(サクセッションプラン)の根拠となります。
人材育成
人材育成の要である研修もピープルアナリティクスを活用することで内容や方法を最適化できるだけでなく、効果や改善点を客観的に発見でき、次回につなげることができます。
また、各部署の評価点が可視化されることから、個人の特性を踏まえた上で適切なキャリアパスの設計や提示が可能となります。双方が納得のいく異動により、個人のパフォーマンスやエンゲージメント向上も期待できるでしょう。社内において従業員が心地よく働くことができ、納得感のある評価がされるようになれば、エンプロイーエクスペリエンス(EX)向上も目指せます。
なお、上位記事では「研修は実施しているが現場で活かせない」課題への言及が多い傾向です。弊社ソフィアの調査でも、社内研修・学習コンテンツについて「受講しても実務に役立たない/役立て方がわからない」が上位に挙がっています。研修ログ×業務指標×アンケート(認知)をつなぐことで「どの研修が、誰に、どんな業務成果に効いたか」を検証しやすくなります。
退職防止施策
人材情報をビッグデータ化し、統計的手法によって活用することで退職者を予測する「退職者モデル」を構築できます。退職者モデルは退職する可能性の高い人物像を浮き彫りにすることができるため、退職防止や先手を打った対策、退職可能性の低い人材の採用などを実現できます。近年、転職をマイナス要素と思わないミレニアル世代(1981-1996年生まれの世代)が企業の中核をなす存在になり、人材は極めて流動しやすい状態になっています。優秀な人材を長く自社に留めておくためにも、退職防止の施策は昔よりもずっと重要視されていることを念頭に置く必要があります。
全社コミュニケーションの促進と健全な組織風土の醸成
ここまでに紹介した人材採用、人材配置、人材育成、退職防止施策を解決するためには、全社コミュニケーションの促進と健全な組織風土の醸成が必要です。全社コミュニケーションの促進のためには、ピープルアナリティクスを活用し、部署単位で細かく問題を洗い出して、改善していく必要があります。例えば、コミュニケーションが極端に少ない部署では、ツール等の使い方を見直すことで、より高頻度のコミュニケーションを促せるでしょう。もしくは社員同士の人間関係に問題があると見受けられた場合には、課外活動などの潤滑油を提供することで、事態を良好にすることもできるでしょう。
そして健全な組織風土を醸成するためにも、ピープルアナリティクスは役に立ちます。組織を構成する人員の特性をそれぞれデータ化すれば、相性のよい従業員同士を同じプロジェクトに配属させることも可能です。思わぬ化学反応が起き、新たな製品やサービスの誕生、価値の創出に貢献することもあるでしょう。また、仕事と人員の配置に偏りがある場合も、ピープルアナリティクスによって見つけ出し、改善することができます。
ただし、人事の属性データとアンケートの認知データだけでは、ただのアンケートの範疇を超えず、ピープルアナリティクスのレベルに至らないこともあります。コミュニケーションデータや行動データを収集し、より精度の高い人材分析を行うことが重要です。
人的資本開示の文脈では、投資家は「企業価値向上に必要な人的資本投資が行われているか」という観点での情報を求めていると整理されています。したがって、採用・育成・配置・定着の取り組みを”やっている”だけでなく、経営戦略と紐づく指標で語れる状態を作ることが、広報・IR・人事に共通の課題になります。
ピープルアナリティクスの導入で失敗しないためのポイント
最後にピープルアナリティクスに取り組む上での課題をご紹介します。データを用いた大掛かりな改革となることも多いため、情報セキュリティに関してトラブルが起こることもあるでしょう。よくある問題と対策を知っておくだけでも導入後の作業がスムーズになります。
個人情報の取り扱い
先述の通り、ピープルアナリティクスは従業員に関する多くの個人情報を扱うため、どのレベルまで収集するのか、対象範囲を深く検討することが大切です。実施の際には、従業員へ口頭や文書等で事前に説明し、明確な合意を得ておきましょう。
健康情報(健診結果等)のようなセンシティブ情報は、雇用管理分野での取扱い留意事項が整理されています。ピープルアナリティクスで扱う可能性がある場合、通常の個人情報以上に目的・管理・アクセス制御を厳格に設計してください。
データの整理
データは社内の各部門・部署から広く収集することになるため管理しやすい気配りが重要です。フォーマットが異なったり、不必要なデータを収集してしまったりすると、煩雑するだけでなく、抜け漏れや管理ミスが発生しやすくなります。フォーマットや時系列の統一を心がけましょう。
データの客観性
ピープルアナリティクスではデータの入力から分析まで一貫して高い客観性を保つ必要があります。場合によっては入力者や分析者が主観的な値や思考で入力や分析を行うことも考えられるため、随時注意して実施しましょう。
分析担当者のスキル
分析をいかに正確に目的に沿って行うかは担当者のスキルに大きく依存します。必要なデータの収集からシステムの設計までをひとつなぎでできる人材がいると心強いでしょう。仮に在籍していなくとも、ピープルアナリティクスに強い企業が支援することで幅広い情報収集と高度な分析が可能です。
よくある”失敗パターン”の補足
研究レビューでも、HRアナリティクスは流行に比べて学術エビデンスが十分とは言えず、導入の成功にはプロセス設計・組織要因(体制、意思決定への接続、運用)が重要だと論じられています。ツール導入だけで終わらせず「意思決定の場にどう持ち込むか」を先に決めることが肝です。
AIを用いる場合の”守り”の論点(大企業で特に重要)
採用・評価・配置などにAIを補助的に使うなら、リスクの特定→測定→管理といったガバナンスが有効です。日本では経済産業省・総務省がAI事業者ガイドラインを取りまとめており、またNISTもAIリスク管理フレームワークを公開しています。人に関する意思決定は影響が大きいので、社内規程・監査・説明の設計を先に置くのが安全です。
ピープルアナリティクスで社内コミュニケーションを改善するには
社内コミュニケーションは「測れない・改善できない」と思われがちではないでしょうか。しかし、デジタル社内報、社内ポータル、チャット、会議、学習などのログと、アンケート(認知)を組み合わせることで”改善の打ち手”に落とし込みやすくなります。
なぜ社内コミュニケーション改善がピープルアナリティクスのテーマになり得るか
弊社ソフィアの調査では、従業員数1,000人以上企業の回答者のうち、社内コミュニケーションに「大いに問題がある」「多少問題がある」の合計が約8割に達しており、多くの企業で課題感が存在することが示唆されています。このほかにも HR総研2024年調査では大企業で76%といった同様の調査結果がでています。
同調査では、問題が起きている対象が「部門間」「部門内(上司と部下)」「経営陣と社員」など縦横に広がっている点も特徴です。つまり、社内広報・ポータル運用・DX推進の”接点設計”は、人事課題(エンゲージメント、定着、育成)と切り離せません。
コミュニケーション課題を”データで”捉える例
弊社ソフィアの調査では、コミュニケーション上の問題として「業務に関連する情報が共有されない」「共有が遅い」「欲しい情報がどこにあるかわからない」など、情報流通に関する項目が上位です。ポータル担当者にとっては、まさに検索ログ・閲覧ログ・回遊率・離脱ページなどが改善に直結するテーマです。
社内ポータル/社内報の”行動データ”をピープルアナリティクスに接続する
弊社ソフィアの調査では、社内広報で「社内報(Web)」が最も多く活用され、「その他イントラネット(ポータルなど)」も一定比率で活用されています。一方で、社内広報の効果測定が「十分実施」できている企業は少数にとどまる結果も示されています。ここに、ピープルアナリティクスの伸びしろがあります。
実務で使いやすい”コミュニケーション指標”の例(まずはここから)
- 到達:対象部門の閲覧率、未閲覧者比率、重要記事の閲覧期限内到達率
- 理解:記事理解度(簡易アンケート)×閲覧深度(スクロール/滞在)
- 行動:社内制度ページ閲覧→申請数、研修記事閲覧→受講登録、FAQ閲覧→問い合わせ件数の減少
このように「社内広報KPI」→「人事KPI(育成・定着等)」→「経営KPI」へ連鎖を設計すると、人的資本の説明責任にもつながります。

社内コミュニケーションの目標設定|KPI設計と成功事例で組織を変える【2025年最新版】
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ピープルアナリティクスの効果測定
効果測定が弱いと、ピープルアナリティクスは「分析して終わり」になりやすいのが現実です。上位記事でもFAQや”効果の見せ方”に一定の紙幅が割かれています。では、どのように効果を測定すればよいのでしょうか。
効果測定の基本設計
効果測定は、最低限「施策前後の比較」だけでも回り始めます。ただし、可能なら「対象群と対照群」「時系列トレンド」「現場ヒアリング(定性)」を組み合わせ、因果の取り違えを減らす工夫が推奨されます。
指標設計のコツ(人的資本開示とも整合)
内閣官房・金融庁・経済産業省の資料では、人的資本の議論として「経営戦略と人材戦略の連動」や、ガバナンス/戦略/リスク管理/指標と目標といった枠組みで整理する方向性が示されています。ピープルアナリティクスでは、分析指標を”開示・説明できる形”に整える意識が有効です。
エンゲージメント指標を扱う場合の注意
従業員満足・エンゲージメントと業績等の関係は、メタ分析で関連が議論されています。一方で、企業文化・職種・景気局面で関係の出方が変わり得るため、自社データでの検証(小さく回す→拡大)が現実的です。
まとめ
ピープルアナリティクスは人事業務をデジタル化し、効率的に社内の人事課題を解決する手段です。人材データ、勤務データ、行動データなどを広く集め、目的を定めて分析することでさまざまな人事アクションに役立てることができます。効果的に活用するためには正確なデータを十分に収集することと、データを正しくピックアップし鋭く分析することが重要であり、PDCAを何度も回すことで精度を高めることが可能になります。人材採用や人材配置を最適化したりコミュニケーションを促進したりと、ピープルアナリティクスの活用事例はさまざまです。アナログでは実現できないアプローチで企業の課題解決や業務効率化に役立てましょう。
特に大企業では、部門横断のデータ統合と、個人情報保護・AIガバナンス・効果測定を”最初から設計すること”が、導入の成否を大きく左右します。ソフィアでは、ピープルアナリティクス導入の支援を承っております。導入を検討されている際は、どうぞお気軽にご相談ください。







